FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/28/15:13:55

日経平均株価:高値警戒感から10営業日ぶりに反落

日経平均株価は前週末まで9連騰後の高値警戒感から売り優勢で始まったものの、日銀が指し値オペを通告したことでドル/円が円安方向に振れ、輸出関連株を中心に中盤から下げ渋る動きとなった。市場では『日銀の指値オペがあるか否かが注目点だった。一方、日経平均は25日移動平均線とのかい離率が6%を超えて推移しており、テクニカル的に上げのスピードが鈍っても不思議ではないとの声も聞かれた。中国・上海市が28日から一部で事実上のロックダウン(都市封鎖)を始めたことも相場の重荷となり、下げ幅は一時300円を超えた。結局、前営業日比205円安の2万7943円と10営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:債券の指し値オペと米長期金利上昇でドル買い優勢

ドル/円は、日銀が午前10時10分ごろに金利上昇を抑制するために指し値オペを通告すると、海外勢などから仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、122円台前半から123.10円まで急伸した。米長期金利が上昇したことも、ドル買いにつながった。ただ、123円に乗せた達成感から、利食い売りなどに122円台後半へ押し戻される荒い値動きとなった。午後に入ると、米金利先高観から再び上値を試す展開となり、一時123.25円まで上伸して2015年12月以来のドル高・円安をつけた。ユーロ/ドルは、このところ米FRB当局者から0.50%の利上げに前向きな発言が相次いでいることで、持ち高調整のユーロ売り・ドル買いが入り、一時10.945ドル付近まで下落した。

 

日銀『指値オペ』通知:金利抑制へ再発動

日銀は28日、指定した利回りで無制限に国債を買い取る『指し値オペ(公開市場操作)』を実施すると通知した。新発10年物国債を対象に0.25%の利回りで原則として応札分をすべて買い取り、金利の上昇(債券価格の下落)を抑制する。指し値オペの発動は2月14日に続き今年2回目。海外金利の上昇を受けて国内債への売り圧力が強まるなか、金融緩和を続ける姿勢を強く示す狙いがある。国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは28日午前、一時0.245%と2016年1月以来の高水準をつけ、日銀が長期金利変動の上限とする『0.25%程度』に迫っていた。前週末の米債券市場で米長期金利が上昇し、国内債にも売りが及んだ。指し値オペ発表後に長期金利は一時0.240%に低下し、午前の取引終了までに日銀が指定した0.25%よりも低く(価格は高く)推移した。日銀は同日昼、指し値オペでの日銀の買い入れ額がゼロだったと発表した。日銀の提示した価格よりも市場の方が高く売れるため、応札する金融機関がなかった。日銀が前回2月に指し値オペを実施した際にも、市場金利の方が低く推移し、金融機関からの応札はなかった。もっとも午後には長期金利は一時0.250%と日銀の『上限』に達した。20年物国債利回りは同0.770%、30年物国債利回りは同1.000%とそれぞれ上昇した。米国を中心に世界的な金利上昇の勢いが強いなか、日本の国債利回りにも上昇圧力がかかっている。

 

実質実効為替レートは1972年2月に近づいている可能性も

ドル円の上値目処は、2015年6月の高値125.86円だが、当時は黒田日銀総裁が『実質実効為替レート(67.63)ではかなりの円安であり、一段安はありそうにない』と円安をけん制し、ドル安・円高方向に反転させた。国際決済銀行(BIS)が発表した円の2月の実質実効為替レートは、66.54となり、1972年以来の低水準だった1月の67.38からさらに低下している。3月は、ドル/円が123円台に上昇するなど、円が全面安の展開となっており、1972年2月の66.25に近づいているかもしれない。実質実効為替レートは、日本の貿易量や物価水準が反映して総合的な実力を示しているが、輸出企業は海外に生産拠点を移していることで円安の恩恵は限定的となり、購買力の低下は家計の負担を高めることになる。

 

トルコの観光関連セクターへの打撃:イスタンブールの停戦協議が注目

トルコの観光シーズンを間近に控え、重要な顧客であるロシアとウクライナの戦争の行方も注視すべき材料である。2021年のロシアからトルコへの観光客数は約470万人、ウクライナからが約210万人と、それぞれ外国人観光客の割合では全体1位の19%と3位8.3%を占めている。トルコ当局は今年、ロシアからの旅行客数をパンデミック前の約700万人と予想していたが、ロシアへの経済制裁が強化されるなかで期待通りとはなりそうにない。露ウクライナ戦争が長引けば、トルコ主要産業である観光関連セクターへの打撃は大きくなってしまう。本日からイスタンブールで始まる停戦協議が注目される。

 

南ア準備銀行のタカ派姿勢を確認

先週に南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.25%引き上げ4.25%とした。サプライズだったのは、前回1月のMPCでは5名中1名が据え置きを支持したのに対し、今回は5名中2名が0.50%の利上げを主張したことである。また、22年の消費者物価指数(CPI)見通しは平均+5.8%(前回+4.9%)、23年は+4.6%(前回+4.5%)へ上方修正した。。コアCPIは、22年が+4.2%(前回+3.8%)、23年は+5.0%(前回+4.4%)へと上方修正されました。SARBの次回会合は5月19日だが、SARBのタカ派姿勢が確認されたことでランド/円は堅調に推移しそうである。

 

メキシコ中銀は積極的な金融引締めに動きとの期待感

メキシコ中銀が今年2回目となる金融政策決定会合を開き、政策金利を予想通り0.50%引き上げることを決定した。声明では『世界的な金融および金融情勢の継続的な引き締め、および地政学的紛争に関連する重大な不確実性とより大きなインフレ圧力の環境によってもたらされる課題について検討』『インフレ圧力と期待に影響を与える全ての要因を徹底的に監視』などと引き続きインフレを警戒しながらの政策運営になることを強調した。インフレ見通しに関しては、今年のインフレ見通しを第1-4四半期まで全て大幅に上方修正した。そして、中銀目標の3%前後に落ち着くのは前回の2023年第1四半期から2024年第1四半期と1年後ずれさせた。そして、市場の注目となっていたメンバーそれぞれの票では、全会一致で0.50%の利上げであることが分かった。今後も積極的な金融引き締めに動くとの期待感が高まるなか、まだまだペソ高のトレンドは継続しそうである。

 

コモディティ価格が1915年以来の大幅上昇へ:バンクオブアメリカ

BofAは25日、今年のコモディティー価格が1915年以来の大幅な上昇を記録する勢いだとの見方を示した。新型コロナウイルスの流行、ロックダウン(都市封鎖)、社会不安、戦争、過度の金融・財政刺激、供給制約が、『壮大な』インフレにつながっていると同社のアナリストは指摘した。一方、国債は1949年以降で最悪の年になると指摘した。中央銀行が物価高騰を抑制するため、金融引き締めと利上げに乗り出しているため、『マイナス利回りの債券が(市場から)静かに消えつつある』と述べた。米調査会社EPFRグローバルのデータに基づく週間調査では、132億ドルがキャッシュに、21億ドルが金に流入した。債券から2億ドル、株式から19億ドルから流出した。

 

米国では富裕層の未実現キャピタルゲイン最低20%課税提案

バイデン米大統領は、28日に発表する2023会計年度(22年10月-23年9月)の予算教書で、1億ドル(約122億円)を上回る超富裕層の家計を対象に所得と未実現のキャピタルゲイン所得の両方に最低20%課税する増税案を提案する。ホワイトハウスが『ビリオネア最低所得税』と呼ぶ案は、最富裕層の増税に向けバイデン政権がこれまで行った提案で最も踏み込んだ内容となる。法律が成立すれば、今後10年で推定3600億ドルの新たな税収が見込まれ、これはホワイトハウスが同じ期間に想定する赤字支出の削減額(1兆ドル)の3分1余りに相当する。ホワイトハウスは『バイデン大統領は資本主義者であり、誰もがミリオネアやビリオネアになれるはずだと信じている。同時に米国の最富裕層家計が勤労者世帯より低い税率で納税する結果になる米国の税法は間違っていると考えている』と説明した。

 

欧米市場イベント

○19:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○20:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:00   2月メキシコ貿易収支
○21:30   2月米卸売在庫(予想:前月比1.1%)
○29日00:30   米財務省、2年債入札
○29日02:00   米財務省、5年債入札
○欧州・英国は27日から夏時間に移行済み

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/25/15:14:55

日経平均株価:利益確定売りも強く下げに転じる場面も

前日の米国株式市場では、主要株価3指数が1%超反発して取引を終了した。これまで売られていた半導体株や大型グロース株に買い戻しが入った。高騰していた原油価格が下落したことも支援材料となった。日経平均株価は、朝方に高く始まったが、8連騰後の週末とあって利益確定や戻り待ちの売りに上値を抑えられた。市場では外部環境に大きな改善はみられず、目先は買い戻し要因以外に積極的に買う理由が見当たらなくなっているとの声が聞かれた。結局、前営業日比39円高の2万8149円と9日続伸して終了した。3月第3週(14日~18日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1955億円売り越し、売り越しは4週連続となった。個人投資家は3556億円の売り越しとなり、売り越しは5週ぶりとなった。信託銀行は46億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:急ピッチの上昇や持ち高調整のドル売りやや優勢

ドル/円は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、121.70円付近へ下落した。日銀が長期金利の上昇を抑制するための指し値オペ通知を見送ったことも円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いは続き、午前中に鈴木財務相から『為替の急速な変動は望ましくない、緊張感をもって注視したい』との発言が伝わったことから、海外勢などがドル売り・円買いに動いて121.18円付近まで下落した。しかし、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいるため、下げは一服した。その後は、米金利先行観からドルの押し目買いが入り、121.70円付近へ値を切り返す荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の円安容認で円売りが継続する可能性も

日銀の片岡審議委員が『円安の全体的な効果はプラス』『円安のデメリットは非常に小さい』と発言し、先週の黒田日銀総裁と同じく、日銀関係者が円安の進行を助長させているかたちである。輸入物価指数が3割を超えて急上昇し、今後も原油高・コモディティ高の中での円安が家計及び経済への影響が出てくるとの意見を、日銀は重要視していないようである。岸田首相は『原油高・原材料高・食材高には万全に対応する必要がある』とし、29日にも物価対策を発表するとしている。しかし、小手先の物価対策で世界的なインフレの勢いを止めるのは難しいだけでなく、円安対策ではないことで、今後も円安がさらに進行する可能性が高い。

 

実質実効為替レートは1972年6月以来の低水準:一段の円安は売られ過ぎ?

ドル/円の上値目処は、2015年6月の高値125.86円だが、当時は黒田日銀総裁が『実質実効為替レート(※67.63)ではかなりの円安であり、一段安はありそうにない』と円安をけん制し、ドル安・円高に反転させた。国際決済銀行(BIS)が発表した円の2月の『実質実効為替レート』は、66.54となり、1972年6月以来の低水準だった1月の67.38からさらに低下している。3月は、ドル/円が122円台に上昇するなど、円が全面安の展開となっており、1972年2月の66.25に近づいている可能性が高い。実質実効為替レートは、日本の貿易量や物価水準が反映して総合的な実力を示しており、輸出企業は海外に生産拠点を移していることで円安の恩恵は限定的となり、購買力の低下は家計の負担を高めることになる。岸田政権による夏の参議院選挙を見据えた輸入物価抑制のための『悪い円安』をけん制する発言には、引き続き要警戒となる。

 

トルコ中銀のMPCで利上げ協議は見当たらず

トルコ中銀が発表した先週の金融政策委員会(MPC)議事要旨では、一部で可能性が報じられた『利上げ協議』に関する記述は見当たらなかった。ところで昨日は、カブジュオール・トルコ中銀総裁が投資家との会合に出席し、金融当局は経常収支の悪化を警戒していると述べた。ただ、経済界が危惧しているインフレ高進に関しては、エネルギー価格が落ち着けば抑制されると楽観的な見方を示したとされている。NATO首脳会議が行われたブリュッセルで予定されていたエルドアン大統領とバイデン米大統領の会談は、直前に取り止められた。トルコ所有のロシア製地対空ミサイルS400について、妥協点が全く見つかりそうもなかったことがキャンセル理由と一部では言われている。トルコは西側諸国が強化している対露制裁に参加しておらず、ウクライナとロシアの仲介役に手を挙げてはいるものの、NATO同盟国と歩調が合っていないことは気になるところである。

 

南ア準備銀行はMPCで予想通り政策金利を引き上げ

注目されていた、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)は市場予想通りに0.25%引き上げ、政策金利を4.25%に設定した。サプライズだったのが前回1月の会合では1名が据え置きに票を入れたが、今回はメンバー5名中、2名が0.50%の利上げを支持する結果になったことである。前回とは違いかなりタカ派の投票結果になっている。また、1月よりも消費者物価指数(CPI)の予想を大幅に引き上げている。22年のCPI見通しは平均5.8%予想(前回予想は+4.9%)、23年は4.6%(前回予想は+4.5%)へ。コアCPIは22年は4.2%(前回は3.8%)、23年は5.0%(前回は4.4%)とした。 また、国内総生産(GDP)も22年GDP見通しは+2.0%(前回は+1.7%)、23年は+1.9%(前回は+1.8%)と上方修正した。なお、クガニャゴSARB総裁は経済のリスクとしては、電力の負荷制限と(今年総選挙が行われることで)政治の不確実性についても指摘している。

 

メキシコ中銀は7会合連続の利上げ

メキシコ中銀は24日に開催した金融政策決定会合で、政策金利を予想通り0.5%ポイント引き上げ6.50%とした。利上げは7会合連続となった。中銀発表の数時間前にはロペスオブラドール大統領が0.50%ポイントの利上げが決定されたとの異例の公表をしていた。利上げは全会一致だった。中銀は利上げ決定に際し、世界的な金融・財政状況の引き締め、地政学的な紛争に関連する不確実性、インフレ圧力の上昇を考慮したと指摘した。声明で『予想される期間内のインフレの軌道に対するリスクバランスは悪化しており、依然として上方に偏っている』とした。これに先立ち、ロペスオブラドール大統領は午前の定例記者会見で、インフレについて言及するとともに米連邦準備理事会(FRB)の先週の利上げに触れ、メキシコ中銀も政策金利を6.50%に引き上げたと公表した。『メキシコ中銀は昨日、全会一致で決定した。われわれはメキシコ中銀の自主性を尊重する』と述べた。

 

NY外国為替市場ではルーブル売り再開

NY外為市場ではロシアルーブル売りが再開した。本日は、北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議、G7首脳会議、EU首脳会議(25日まで)が開催され、ロシア対策が協議される。同時に、米国などが追加制裁を発表したためルーブル買いが後退した。ロシアのプーチン大統領は欧州諸国に燃料の購入にルーブルでの支払いを要請したため、一時ルーブル買いが優勢となった。もし、ルーブルでの支払いがなければ、即座に供給を停止すると警告した。これに対し、イタリアはルーブルで支払い意向ないとの姿勢をすでに表明している。さらに、ロシア株式市場で、取引が一部再開した。ただ、空売りは禁止した。非居住者による売買は4/1まで再開されない。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.7%/前年比7.8%)
○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.5%/前年比5.6%)
○18:00   3月独Ifo企業景況感指数(予想:94.2)
○22:10   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○23:00   2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比▲2.2%)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:59.7)
○26日00:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○27日 欧州・英国が夏時間に移行

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/24/15:12:47

日経平均株価:午後からプラス圏に戻す強い地合い継続

原油先物の強い基調が継続し、インフレ高進と景気後退が同時進行するスタグフレーションへの警戒感が相場の重石となった。前日までの7連騰で2800円超上昇しており、利益確定や戻り売りが出やすかった。午後にかけて主力銘柄の一角に買い直しが入って下げ幅を縮小した。値がさ株などが指数を押し上げ、上昇に転じた。前営業日比70円高の2万8110円と8日続騰して終了した。信用評価損益率は18日申し込み時点でマイナス12.27%と、前週のマイナス15.66%からマイナス幅が3.39ポイント縮小した。改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:午後にはリスク回避後退で円売り優勢

ドル/円は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが先行して120.95円付近まで下落した。仲値にかけて本邦輸出勢の銅r売り・円買いも通常より多く観測された。ただ、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいるため、下値を追う動きは限られた。その後、米長期金利上昇を眺めたドルの押し目買いが入り、121.30円付近へじり高となった。午後に入っても堅調地合いは続き、米長期金利が上昇すると、一時121.48円付近まで値を上げて2016年1月以来のドル高・円安をつけた。日経平均株価の持ち直しでリスク回避姿勢が和らいだことも円売りにつながった。ユーロ/ドルは、米FRB利上げペースが加速するとの思惑からユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.0977ドル付近まで下落した。

 

欧州市場では3月マークイットユーロ圏製造業PMI:予想は56.0

供給制約の影響は消えていないこと、ロシアによるウクライナへの軍事進攻やロシアに対する経済制裁の影響が強まり、欧州経済の減速が警戒されていることから、3月実績は悪化する可能性が高いとみられる。

 

トルコ中銀のMPCによる議事要旨の内容に注目:3月17日開催分

トルコ中銀は本日、17日に開催した金融政策委員会(MPC)会合の議事要旨を発表する。先週は一部トルコメディアが利上げについて協議される可能性を報じていたものの、声明では引き締めの雰囲気は感じられなかった。ただ、もしMPCが緩和サイクルからの転換を少しでも話し合ったとなれば、リラにとってポジティブと受け止められるかもしれない。一方、逆にインフレを楽観視する発言が多いようだと、失望売りに繋がりやすい。

 

南ア中銀のMPCでは0.25%利上げを予想:今回は声明文に注目

昨日発表された2月南アCPI(前年比)は5.7%と予想5.8%を僅かに下回り、前回から横ばいとなった。原油価格が上昇しているにもかかわらず、横ばいとなったことで、本日行われる南ア準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)は0.25%の利上げに留まるとの予想になっている。本日はMPCでの声明文には注目しておきたい。前回1月でのMPCでは4対1で利上げが決定され、反対の1票は据え置きを求めていた。声明で0.25%以上の利上げについては話が出なかったとされ、南ア債利回りが発表後に低下したこともあり、ランド/円は弱含んだ。同様なコメントが本日も出てきた場合は、ここ最近は上げ幅が大きかったこともあり、一時的な調整で振り落とされることには警戒しておきたい。逆に0.5%についても議題に上っていた場合は、ランド/円は上値を試す可能性がある。

 

先行きのメキシコ国内景気には弱気の見方:政策金利は上昇修正

メキシコは24日に控えている金融政策決定会合で7会合連続での利上げが予想されている。一部米銀が今年の年末時点でのインフレ見通しを+4.88%から+5.70%まで大幅に上方修正するとともに、政策金利見通しを7.50%から7.75%に引き上げました。一方、GDP見通しは今年を据え置き、来年2023年を+2.10%から+2.00%に引き下げるなど、メキシコ国内景気には弱気な見方を示している。 

 

5-6月米FOMCで50bpの利上げを予想:ゴールドマンサックス

ゴールドマンサックスはFRBが5月、6月FOMCで2会合連続で50ベーシスポイントの利上げに踏み切ると見ている。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は21日の全米企業エコノミスト協会年次会合での講演で、1月時点の『着実な利上げ』から『迅速な利上げ』が必要になると、文言が置き換えられたことが50ベーシスポイント利上げのシグナルと指摘している。

 

世界の債券相場では過去最大の下落:約2.6兆ドル失う

国債と社債を合わせたブルームバーグ・グローバル総合指数は2021年序盤に付けた高値から11%下げ、1990年にさかのぼるデータ上で過去最大の下落率を記録した。08年の金融危機時の10.8%を上回る値下がりとなっている。時価総額にして約2兆6000億ドル(約315兆円)相当が失われたことを意味し、これも08年の約2兆ドルを上回った。

 

米住宅ローン金利の上昇:住宅市場の冷え込みで景気の足かせ

契約時点での統計となるため住宅市場の先行指標として注目される新築住宅販売件数の2月分は前月比2%減の77.2万戸と、1月80.1万戸から予想外に減少した。住宅ローン金利の上昇が影響した。30年の固定金利は1月時点の3.25%から4.72%まで急騰。
住宅ローン借り換え件数も前年から54%減少した。ただ、新たなローン申請は5%減と小幅な減少にいまのところとどまっている。住宅ローン金利が前年から44%上昇したほか、住宅価格は前年比10.6%高と、住宅市場の値ごろ感はかなり悪化した。パンデミック中の住宅市場をけん引してきた比較的若い層の最初の住宅購入者は今後、購入を控える可能性が高まる。住宅市場の過熱感も今後、鎮静化する可能性も示唆された。パンデミック以降、米国経済をけん引してきた住宅市場の鈍化で、成長が弱まる可能性は警戒される。

 

米国市場では2月耐久財受注が公表:予想は前月比-0.6%

1月実績は予想以上の増加となった。民間航空機・同部品、機械などの受注増が目立った。企業の設備投資の先行指標とされる『航空機を除く非国防資本財』(コア資本財)の受注も増加した。2月については全体の数字は1月の反動で減少する可能性がある。

 

米国市場では3月S&Pグローバルサービス業PMIが公表:予想は56.0

2月実績は56.5だった。2月は受注が増加したが、投入資材の価格上昇は続いていた。3月についてもこの状況は変わらないが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響が表面化するとみられており、2月実績を下回る可能性が高いとみられる。

 

欧米市場イベント

○16:45   3月仏企業景況感指数(予想:110)
○17:15   3月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:55.0)
○17:15   3月仏サービス部門PMI速報値(予想:55.0)
○17:30   3月独製造業PMI速報値(予想:55.8)
○17:30   3月独サービス部門PMI速報値(予想:53.8)
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○18:00   3月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:56.0)
○18:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:54.2)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.75%に引き上げ)
○18:30   3月英製造業PMI速報値(予想:56.7)
○18:30   3月英サービス部門PMI速報値(予想:58.0)
○18:30   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:30   10-12月期米経常収支(予想:2180億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.2万件/141.0万人)
○21:30   2月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.5%/輸送用機器を除く前月比0.6%)
○21:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:4.25%に引き上げ)
○22:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:10   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○22:45   3月米製造業PMI速報値(予想:56.3)
○22:45   3月米サービス部門PMI速報値(予想:56.0)
○22:45   3月米総合PMI速報値(予想:54.4)
○22:50   エバンズ米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○24:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○25日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:6.50%に引き上げ)
○25日04:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、25日まで)
○主要7カ国(G7)首脳会合(ブリュッセル)
○北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議(ブリュッセル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/23/15:13:03

日経平均株価:テクニカル面が好転したことで上値追いの展開

ハイテク株に買い戻しが入り、ナスダック総合が約2%高と上げを主導した。米国債利回りの上昇を受けて金融株が買われ、S&P銀行株指数も2.5%高と大きく上昇した。これを受けて、日本株も好地合いを引き継ぐ形で上伸した。ウクライナ情勢や原油を始め資源価格の上昇など不透明要因は残るものの、テクニカル面が好転したことで上値追いに弾みが加わった格好となった。また、来週29日に年度内受渡最終日を控え、配当権利取りの動きが活発化していることも株高の背景にある。結局、前営業日比816円高の2万8040円と大幅に7日続伸した。

 

東京外国為替市場:仲値以降はドルが全般強く底堅い展開

ドル/円は、朝方におよそ6年1ヵ月ぶりの高値121.41円をつけた反動から、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、120.80円付近へ下落した。仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれたことも、ドル/円の押し下げ要因となった。しかし、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいることもあり、下値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて121.00円近辺でのもみ合いが続いた。NY時間に予定されているパウエルFRB議長の講演内容を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

追加証拠金の増加で商品派生市場注視する必要:ECB副総裁

欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は22日、コモディティー(商品)のデリバティブ(金融派生商品)価格が不安定な動きで市場のストレスを高めているとして、動向を注視する必要があると述べた。デギンドス氏は会合で『非常に注意深く見る必要がある唯一の市場はコモディティー・デリバティブだ。市場が不安定で、マージンコール(追加証拠金の差し入れ義務)が増え、それに応じられないケースも起きている』と指摘した。『ただ今のところ、強いストレスは見られない。マージンコールの大半は完全に履行されている』と述べた。

 

トルコとサウジアラビアとの溝が埋まる兆し

トルコにとってポジティブ材料は、主要産油国サウジアラビアとの溝が埋まる兆しが見え始めたことである。イスラム協力機構(OIC)会議に先立って両国の外相が会談し、トルコ側からは、建設的な話し合いが行われて関係改善で合意したと発表された。

 

南アでは2月の消費者物価指数に注目

本日は、市場の注目度が高い2月の南ア消費者物価指数(CPI)が発表されることで、イベント前は神経質になりそうである。特に明日には、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)も開かれることで、CPIの注目度はより高まっている。市場では1月の+5.7%より若干上回る+5.8%の予想となっている。1月に利上げを行ったのにもかかわらず、2月は原油が高騰したことでCPIも下げ止まっていないかたちになる。もし、南アの目標としているバンド(3-6.0%)を上回る結果となった場合は、更にランド買いに動く可能性があるので要警戒となる。

 

メキシコ大統領はメキシコへの投資が高まるとの期待:専門家の間では冷ややか

ロペスオブラドール大統領が定例記者会見で『ロシアとウクライナの戦争により、ロシア産の様々な資源などが禁輸となることを受けて、メキシコへの投資が高まるとの期待感を抱いている』と発言した。この世界的な供給危機の流れに乗って世界で最も投資魅力のある国になることができると自信を示した。ただ、専門家の間では冷ややかな意見が多く、現にロペスオブラドール大統領就任時に比べて昨年末の総固定投資の水準は15%も低下しているため、今回の戦争によってメキシコへの投資状況が一変すると考える向きは少ない。

 

米FRBは10年債と3ヵ月物の利回り差を注視

米債券市場で残存年数の短い国債が、長い国債を利回りで逆転する例が相次いでいる。22日終値では20年債が30年債を上回り、5年債と7年債がともに10年債を上回った。景気後退のサインである『逆イールド』の発生と指摘されるが、正しいとはいえない。米連邦準備理事会(FRB)が景気後退の予測に使うのは10年物と3カ月物の利回り差である。同利回り差は22日時点で1.84%とむしろ昨年末(1.45%)より広がっている。逆イールドにはほど遠く、FRB高官の米景気への強気見通しを支えている可能性もある。逆イールドと景気後退の関係を証明する明確な理論はない。過去のデータに基づく実証的な研究であり、統計的に有意な結果が出ているというに過ぎない。しかし、その予測精度は高い。

 

22年のFOMCはタカ派:5月から2会合連続での50pb利上げ予想も

2022年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するセントルイス連銀総裁のブラード総裁は21日のインタビューで、FRBが利上げにおいて、積極的に動く必要があるとタカ派姿勢を再表明した。できるだけ速やかに政策を中立にする必要があると主張した。他の22年FOMC投票メンバーも、メスター・クリーブランド連銀総裁やジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁といった超タカ派で構成されている。ウォラー理事も先週のCNBCとのインタビユーで、何回か50ベーシスポイントの利上げが必要と主張していた。ほとんどの、FRB高官はできるだけ速やかに政策を中立にすべきと訴えている。FRB高官は中立水準を2%-2.25%前後と見ている。パウエル議長も21日の全米企業エコノミスト協会年次会合での講演で、『迅速に』金利を引上げ、高インフレの定着を回避するために一段と積極的に利上げをすべきだとの考えを示した。議長のタカ派発言を受けて5月FOMCでの50BPの利上げが確実視されつつある。パウエル議長講演前は短期金融市場での5月FOMCでの50BPの利上げ確率は9%に過ぎなかったが、現状では70%近く織り込まれた。

 

米国市場では2月新築住宅販売件数が公表:予想は81.4万戸

1月実績は80.1万戸だった。住宅ローン金利と価格の上昇を受けて住宅取得の意欲は低下したことから、販売件数は12月実績を下回った。2月については、1月に減少した反動でやや増加する可能性がある。ただ、住宅ローン金利は低下していないことから、1月実績を大幅に上回る可能性は低いと見られる。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英CPI(予想:前月比0.6%/前年比6.0%)
○16:00      CPIコア指数(予想:前年比5.0%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.8%/前年比8.2%)
○17:00   2月南アフリカCPI(予想:前月比0.7%/前年比5.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○23:00   2月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.1%/81.0万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲12.9)
○24日00:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○24日00:45   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○24日04:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/22/15:15:06

日経平均株価:円安進行とともに主力銘柄を中心に堅調推移

前日の米国株式市場は軟化したが、前週の好調地合いを引き継ぎ、立ち合い時間ペースで3月1日以来の2万7000円台回復となった。ウクライナ情勢を巡って不透明感が根強い中、パウエルFRB議長が従来の予想よりも積極的な金融引き締めを示唆、タカ派発言が意識された。しかしながら、日本株は米株安を気にすることなく朝方から上値追いの展開になった。米国の急速な景気悪化は避けられるとの見方が出ているとの声も聞かれ、円安進行とともに主力銘柄を中心に堅調に推移した。結局、前営業日比396円高の2万7224円と終値として2月18日以来およそ1ヵ月ぶりに2万7000円台を回復して6日続伸した。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの地下街を意識したドル買い優勢

ドル/円は、前日に行われたパウエル米FRB議長の講演がタカ派的な内容となり、米国の利上げペースが加速するとの思惑からドル買い・円売りが進み119円台半ばから120.10円付近まで急伸した。日経平均株価の大幅高や米長期金利が上昇したことも、ドル/円の押し上げにつながった。ただ、120円台に乗せた達成感から利益確定売りも見られ、小幅に値を下げて119.90円でもみ合う展開になった。午後に入ると、日米金融政策スタンスの違いを意識した仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれて一時120.46円付近まで急上昇し、2016年2月以来の高値を更新した。輸入物価の上昇で、日本の貿易赤字が拡大していることも円売り要因となった。ただ、心理的節目の120.50円へ接近すると上げは一服、120.30円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、FRBが早ければ次回の会合で0.50%の大幅利上げに踏み切るとの観測から、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.098ドル近くへ下落した。

 

損失覚悟で円売り・ドル買いの動き:前週のFX概況


QUICKが18日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は上昇した。ドル/円は取引の総建玉に占めるドル買いの比率は45.2%と前の週末から9.1ポイント上がった。前週は米FRBが利上げに踏み切り、2年ぶりにゼロ金利を解除したことを材料に円安・ドル高が進んだ。相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとってきた個人投資家が、損失覚悟で円買い・ドル売りポジションの解消に動いたことで、ドル買い比率が上がった。ユーロ/円取引の総建玉に占めるユーロ買い比率は25.3%と12.8ポイント低下した。ユーロ/ドル取引のユーロ買い比率は7.3ポイント低い45.7%だった。

 

ロシア国債のルーブル建てが取引再開

ロシアのルーブル建て国債の取引が21日に再開した。金融情報会社リフィニティブによると、10年物国債の利回りは14%台まで上昇(価格は下落)し、前回取引のあった2月25日(12%台半ば)を上回った。取引時間中には利回りが20%に迫る場合もあった。ロシアによるウクライナ侵攻に伴ってルーブル建てのロシア国債の鳥非違が停止し、モスクワ証券取引所では21日から再開された。18日には取引再開を決めたロシア中央銀行が市場の流動性を確保して金融安定化に向けたリスクを抑えるために国債を購入する方針を示していた。

 

ECBは米FRBの金融政策と当面は同調せず:ラガルドECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は21日、ECBと米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は当面、同調しないとの見方を示した。ウクライナ紛争による欧州と米経済への影響が大きく異なると指摘した。FRBは先週金利を引き上げ、今後も利上げを続ける構えを見せた。一方ECBは過去最低水準にある預金金利の引き上げを急がないとしている。ラガルド氏は金融会合で『(欧州と米国の)経済はウクライナ紛争の前から異なる位置にある』とし、欧州は地理的な理由により米国よりも紛争の影響が大きいと話した。

 

トルコ大統領が統計局の副局長を解任

トルコでは先週、統計局の副局長2名がエルドアン大統領によって解任された。大統領は2019年4月から今年1月にかけて4回も統計局・局長を更迭しており、今回も大統領の意にそぐわない人物を外すという、一連の流れの1つと見られている。なお、1月の局長入れ替え後には、国際統計協会(ISI)と国際公的統計協会(IAOS)が『トルコ統計の信頼性を大きく損ねる』と共同で強い懸念を表明した。トルコでは野党や反政府グループから、トルコ統計局の発表するインフレ率や失業率など重要指標は実態を反映しておらず、改ざんされた数値が提示されているとの批判が出ていた。政治的な圧力を受けて統計局が、国内経済の悪化規模の覆い隠すために数字を操作していると疑われている。統計局のトップを納得できる理由もなしに大統領が挿げ替えているところを見ると、改ざん疑惑が高まっても仕方がない。トルコ政府が実施したインフレ抑制策や景気浮揚対策の効果が見られず、来年の選挙を控えてエルドアン大統領はかなり焦っている。今後、大統領にとって不利な指標結果が出るようならば、見栄えを良くしようと更に統計局に対して圧力を強めるかもしれない。

 

24日の南アの金融政策委員会を注目:利上げの可能性と利上げ幅

南ア財務省は15日、22年インフレ予想を5.0%から5.5%に上方修正した。インフレは『4-5月にピークを迎え、その後は原油価格の下落予想とともに低下』との見解を示した。もっとも、『ウクライナでの戦争が4月以後も継続する場合は、更なるインフレ懸念もある』としている。このような状況下で、今週は23日に2月の南ア消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、翌24日には南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)が開催される。インフレが高止まりしており、再利上げの可能性が高まっているが、利上げ幅にも注目されている。現時点では0.25%の利上げが有力ですが、CPIの結果次第では0.50%の利上げ予想になる可能性もある。

 

メキシコ中銀の政策金利上げは織り込み:全会一致の利上げになるか注目

25日にメキシコ中銀の政策金利発表がある。予想では7会合連続となる利上げとなっており、これについては波乱はないと思われる。直近のインフレ指標は高いままでエネルギー価格などを差し引いたコア指数に至っては2001年6月以来の高水準を付けていることもあり、単なる資源高による一時的なインフレとはみなせない状況になっており、中銀もインフレ抑制のための利上げを余儀なくされる。一方で、中銀メンバーの中でもハト派とされるエスキベル・ヒース両副総裁が早期の利上げによる景気後退を懸念しているため、今回の会合で全会一致での利上げとなるかどうかにも注目したい。

 

欧米市場イベント

○16:20   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:00   1月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:35   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:00   1月ユーロ圏建設支出
○21:30   2月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比2.5%)
○21:30   2月カナダ原料価格指数(予想:前月比5.5%)
○22:00   パネッタECB専務理事、講演
○22:15   ラガルドECB総裁、講演
○23:00   3月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:2)
○23:35   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○23日00:15   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○23日02:00   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○23日03:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○23日06:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、討議に参加

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