FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!!

2022/02/16/15:13:52

日経平均株価:地政学リスク改善から買い優勢に

ロシアとウクライナの国境付近での緊張緩和の兆しがみえたことで、米国株式市場ではリスク選好ムードが広がった流れを引き継いだ。東京市場では、半導体関連株などのハイテク株を中心に買い戻す動きがみられた。一方、FOMC議事要旨(1月25-26日開催分)や米1月小売売上高を見極めたいムードも出ており、下向きの25日SMAの27,474円近辺がレジスタンスとして意識された。結局、前営業日比595円の2万7640円と3営業日ぶりに反発して終了した。信用評価損益率は10日申し込み時点でマイナス10.9%と、前の週のマイナス12.18%からマイナス幅が1.28ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:方向感が出ず115.60円台を中心にレンジ相場

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、115.47円付近まで小幅に値を上げた。最近発表された米インフレ指標が強い数字だったため、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが加速するとの思惑が浮上していることも、ドルの押し上げ要因となった。ただ、前日の海外市場でつけた高値115.88円が視野入りすると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、115.70円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、115.60円台を中心とする狭いレンジでの取引が続いた。ユーロ/ドルは、欧州勢待ちの様相が強く1.13ドル台半ばで小動きとなり積極的な売買は見送られた。

 

YCCの年限短期化の可能性を引き上げ:ドイツ証券

日銀が指し値オペを通知した後も国内で金利が高止まりする中、ドイツ証券は16日付のリポートで『日銀が指値オペなどで10年金利の上昇を抑えようとしても、10年金利から離れるほど日銀のコントロールの力が弱まるため、金利は上昇しやすい。特に当社が注目しているのは、10年以下の金利の上昇である』との見解を示した。リポートでは、日銀が総括的検証で示したように長期金利よりも短期金利の方が需給ギャップへの影響は大きいとしながら、『日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組みの下、10年金利の上昇を抑えたとしても10年よりも短い金利が上昇すると金融緩和度合いは低下してしまう』と指摘した。その上で10年以下の国債買入の一時的な増額、短期政策金利のフォワードガイダンスの強化などが手段としえ考えられるとしつつ、『緩和度合い低下の根本的な解決には繋がらないと当社は考えている』とも指摘した。一部では豪州準備銀行(RBA)のように5年物金利をターゲットにすべきとの意見も取り沙汰されているが、『当社はYCCの年限短期化が必要と考えている。当社はこれまで、YCC年限短期化の可能性を40%程度と想定していたが、10年以下の金利の上昇によってその可能性を50%へと引き上げる』とした。

 

ウクライナ情勢の緊迫中で顧客は3週連続で米国株を買い越し:BofA

BofAセキュリティーズの15日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は7~11日の1週間に米株を21億5800万ドル買い越した。3週連続の買い越しとなる。この週は10日に発表された1月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る強い数字となったほか、週末にかけてウクライナ情勢への警戒感が強まったことでし、S&P500指数が週間で1.81%安となって3週ぶりに下げた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が8億9300万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しとなった。機関投資家は12億3000万ドルの買い越しで、3週連続の買い越しだった。個人投資家は3億3000万ドルの買い越しで、6週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは14億9100万ドルで4週移動平均(20億4300万ドル)をやや下回って低調だった。傾向としてはヘッジファンド以外の主体が買い越しとなり、下げ相場での押し目買い意欲がうかがえたが、買い越し額自体は小さかった。企業の自社株買いは1月にピークを迎えた後は鈍化傾向にあり、通常であれば決算シーズンの終盤である足元でピークを迎える。

 

エルドアントルコ大統領が9年ぶりにUAEを訪問

複数のメディアが報じているが、エルドアン・トルコ大統領は14日、約9年ぶりにアラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、同国首脳と会談した。両国の関係改善を目指す昨年からの流れの一環であり、今回のトップ会談では、防衛産業や貿易・医療など13の分野で協定が結ばれた。ただ、これらの動きに対するリラの反応はかなり限定的である。もっとも、主要産油国であり潤沢な資金を持つUAEが今後、トルコ投資を本格的に拡大する期待は高く、もしそうなればリラの下値も支えられるかもしれない。

 

南アの1月CPIと12月小売売上高に注目

本日の1月の南ア消費者物価指数(CPI)と、12月南ア小売売上高に注目である。CPIは1月も原油価格が上昇傾向を辿ったことで、再び南ア準備銀行(SARB)の目標中心値4.5%を大幅に上回ることになる可能性が高く、市場は12月の5.9%を若干下回る5.7%程度が予想となっている。今月はSARBの金融政策委員会(MPC)は行なわれないが、CPIの結果が予想を上回ると3月の再々利上げ期待が高まる。一方で、小売売上高は12月の数値のため、好結果を期待するのは難しい。11月後半にオミクロン株が確認されたことで、12月は南アで規制が強化されただけではなく、海外が南アに対する渡航制限を発令していた期間にあたる。市場予想では前年比で11月の+3.3%よりも弱く、+2.7%程度が予想される。

 

米1月PPIはCPIに引き続き予想上振れでFRBの引き締め観測強まる

米1月生産者物価指数(PPI)は前月比+1.0%となった。伸びは12月+0.4%から拡大し予想のほぼ2倍で、昨年5月来で最大となった。前年比では+9.7%と、伸びは過去最大となった12月から鈍化も予想+9.1%は上回った。12月分は+9.8%へ+9.7%から上方修正された。変動の激しい燃料や食品を除いたコア指数は前月比+0.8%。伸びは12月+0.6%から拡大した。前年比では+8.3%。伸びは過去最大となった12月+8.5%から鈍化も予想を上回った。PPIは特に、ビジネスにおける物価圧力を示唆した。PPIの上昇は今後、商品価格の上昇に反映され、消費者物価指数(CPI)を押し上げることになる。1月CPIは40年ぶり最大の伸びとなったことに続き予想を上回ったPPIを受けて、FRBが金融政策で立ち遅れているとの見方が一段と強まった。FRBは3月にテーパリング終了後、連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げに踏み切ると見られている。一部では50ベーシスポイントの大幅利上げの思惑も強まりつつあり、明日FRBが公表する1月開催のFOMC議事要旨でその可能性を探る。金利先物市場では依然6回超、7回近くの利上げを織り込んでおり、引き続きドルの支援材料となっている。

 

米国市場では1月小売売上高が公表:予想は前月比+1.7%

12月実績は前月比-1.9%と大幅な減少となった。消費者が品不足やインフレを警戒して製品の購買時期を早めたことが影響したとみられている。12月の減少幅は大きかったことから、1月は反動増が予想される。ただし、供給制約の状態を改善されておらず、高インフレが引き続き警戒されていることから、市場予想を下回る増加幅にとどまる可能性もある。

 

欧米市場イベント

○16:00   10-12月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○16:00   1月英CPI(予想:前月比▲0.2%/前年比5.4%)
○16:00      CPIコア指数(予想:前年比4.3%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.4%/前年比7.5%)
○17:00   1月南アフリカCPI(予想:前月比0.2%/前年比5.7%)
○19:00   12月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年比▲0.5%)
○20:00   12月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比2.7%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   12月カナダ卸売売上高(予想:前月比横ばい)
○22:30   12月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.6%)
○22:30   1月カナダCPI(予想:前月比0.6%/前年比4.8%)
○22:30   1月米小売売上高(予想:前月比2.0%/自動車を除く前月比0.8%)
○22:30   1月米輸入物価指数(予想:前月比1.3%)
○23:15   1月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
          設備稼働率(予想:76.8%)
○24:00   12月米企業在庫(予想:前月比2.1%)
○24:00   2月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○17日00:30   EIA週間在庫統計
○17日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○17日03:00   米財務省、20年債入札
○17日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25日-26日分)

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/15/15:13:11

日経平均株価:ウクライナ情勢を巡って緊迫化が強まり売り優勢に

ウクライナ情勢の緊迫化や米金融引き締め加速への警戒感を背景とした前週末の米国株安が相場の重石になった。朝方に安く始まった後も下げ幅を広げ、日経平均は心理的節目である2万7000円を割り込んだ。午後になると、ウクライナ情勢を巡って、米国務省がウクライナの隣国であるベラルーシやモルドバにいる米国民に即時出国することを勧告したと伝わった。そのため、リスク回避の姿勢が強まり下落幅が広がった。結局、前営業日比214円安の2万6865円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:115.30-40円でもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の続落や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが先行し、115.30円付近へ軟化した。本日は五・十日にあたり、仲値前後には本邦輸入勢のドル売り・円買いも通常より多く観測された。ただ、前日にブラード・セントルイス連銀総裁からタカ派色の濃い内容の発言が伝わり、米FRBが金融引き締めを加速するとの見方が広がっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いも見られ、115.40円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて115.30円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、緊迫化するウクライナ情勢の続報を見極めたいとの雰囲気から、1.13ドル台前半で小動きに終始した。

 

欧州市場では10-12月期ユーロ圏域内GDP改定値が公表:速報値は前年比+4.6%

参考となる速報値は前年比+4.6%で7-9月期の+3.9%を上回る成長率を記録しており、新型コロナウイルス感染拡大前の経済規模に戻した。ただ、ドイツの経済成長率は前期比ベースでマイナスとなっており、改定値で上方修正される可能性は低いことから、ユーロ圏全体の成長率は速報値とほぼ同水準となる見込み。

 

ラガルドECB総裁は純資産購入終了前の利上げを否定

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は14日、『純資産購入が終了する前に利上げは行われない』と述べ、『われわれの政策のいかなる調整も漸進的なものになるだろう』と発言した。ラガルド総裁はストラスブールの欧州議会で、『インフレ見通しは不確かで、以前の予想よりも高止まりが長引くものの、今年中に減速する可能性が高い』と語った。ユーロ圏の景気については、『今年1-3月(第1四半期)の成長は引き続き抑制されたものになる見通しだが、回復が継続している』との認識を示した。
ラガルド総裁はその上で、『中央銀行として何が可能で何ができないかに関し、われわれは率直になる必要がある。われわれの金融政策は、天然ガスでパイプラインを満たしたり、港に滞る貨物を一掃したり、より多くの大型トラック運転手を養成したりすることはできない』と指摘した。

 

トルコのエルドアン政権は外交手腕が問われる状況

西側諸国がロシアに対して厳しい対応をとると表明し続けているが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありながらもトルコの対応は難しくなる。というのも、トルコ主要産業の1つ観光業にとってロシアは最優良顧客である。トルコ政府は今年の観光収入をパンデミック前の水準まで回復すると予想しており、やはりロシアに頼るところも大きい。ロシアとの関係を維持し、観光業界の期待を裏切らないためにも、エルドアン政権の外交手腕が問われる。

 

メキシコ中銀と日銀の金融政策の相違からペソは買われやすい

先週10日にはメキシコ銀行(中央銀行)が今年最初の金融政策決定会合を開催。ロドリゲス新総裁の下で初の会合となるだけに注目されたが、市場の予想通り0.50%の利上げが決定された(5.50%から6.00%へ)。0.50%の利上げ決定は4対1となり、ロドリゲス総裁も0.50%の利上げを支持した。声明でも『インフレ圧力が予想以上に大きく長く続いている』としており、今後も金融引き締め方針は維持される見込みである。一方、日銀は長期金利上昇を抑制するため、2018年7月以来となる指し値オペを実実施するなど緩和し英が改めて確認されたことで、利上げに動くメキシコとは金利差拡大を意識した円売りなどが進みやすい状況にある。

 

米当局が銀行・ヘッジファンドのブロック取引調査:WSJ紙

有力欧米紙であるウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、米連邦当局がウォール街のヘッジファンドや銀行によるブロックトレード(大口取引)業務をめぐり調査していると報じている。調査対象にはモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループが含まれるという。

ブロックトレードとは、株式の取引で、証券会社を通じて同一銘柄を一度に大量に相対取引で売却または購入する取引のこと。大口投資家が市場への影響を抑えるために利用することが多く、主に立会外取引で行われる。

 

金利上昇と政治情勢緊迫のなか債券市場から現金化の動きに

金利上昇と政治情勢緊迫の環境の中、クレジット投資家の間に『売れるものは売れ』というムードが広がっていることが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査で示された。また、ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらは現金保有に切り替えるよう顧客に伝えている。BofAがまとめた最新の欧州投資家調査によれば、投資適格社債のオーバーウエートポジションはネットベースで全体の16%に低下し、2019年2月以来の低水準になった。銀行債への強気な持ち高が減り、手元現金の水準が上昇している。ゴールドマンは14日、社債を『アンダーウエート』にするよう呼び掛けた。同日には社債や株式が下落した。ロシアがウクライナ国境付近で軍備を増強していることを巡って緊張が高まる中、安全逃避の動きが強まった。利上げ観測や中央銀行の資産購入テーパリング(段階的縮小)を背景に、債券投資家は今年に入って既に損失に見舞われている。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00   10-12月英失業率(ILO方式、予想:4.1%)
○19:00   2月独ZEW景況感指数(予想:55.0)
○19:00   2月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%/前年比4.6%)
○19:00   12月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済47億ユーロの赤字)
○22:15   1月カナダ住宅着工件数(予想:24.50万件)
○22:30   1月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比9.1%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比7.9%)
○22:30   2月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:12.2)
○16日02:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16日06:00   12月対米証券投資動向
○独露首脳会談

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/14/15:13:11

日経平均株価:地政学リスクの高まりと金融引き締め警戒感から売り優勢

前週末の米国株安を嫌気されたほか、ウクライナ情勢を巡る緊張感の高まりや米金融引き締め加速への警戒感が重石となっており、市場では、先行きの見通しが悪く、積極的には買えないとの声が出ていた。一方、米国株価主要3指数の先物が小高く推移しており、投資家心理を支援しているとの見方も聞かれた。地政学リスクによる株安は長続きしないのが通例であるが、今回は世界的に金融引き締めへの警戒が高まっているタイミングでもあり、地政学リスクが資源高につながってインフレ高進を招き、金融引き締め強化をさらに後押しするとの警戒感が強い。日経平均の下げ幅は一時700円を超えて心理的な節目の2万7000円を下回る場面もあった。結局、前営業日比616円安の2万7079円で終了した。

 

東京外国為替市場:日本株安ながらも115円台半ばでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避による円買いを誘い、115.29円付近まで下落した。ロシアが近いうちにウクライナへ侵攻するとの警戒感が広がっていることも、リスク回避の円買いにつながった。しかし、10日発表された1月米消費者物価指数(CPI)が前年比+7.5%と40年ぶりの高い伸びとなったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを加速するとの見方から下値を追う動きは限られた。その後は国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、115.50円付近へ持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、115円台半ばでもみ合いとなった。今週予定されている米経済指標や米連邦公開市場員会(FOMC)議事要旨を見極めたいとのムードから、積極的な売買は見送られた。ユーロ/ドルは、1.13ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢まちの様相となっている。

 

本邦長期金利0.25%以下に抑制のため『指値オペ』実施

日銀は14日、長期金利の上昇を抑え込むために『指し値オペ』と呼ぶ公開市場操作を実施する。10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い取ることで、同水準以上に長期金利が上がらないようにする。インフレに伴い金融政策の正常化を急ぐ米欧の中央銀行と対照的に、金利を低く抑えることで金融緩和を堅持する姿勢を鮮明にする。指し値オペの実施は2018年7月以来、約3年半ぶりとなる。日銀は長期金利の指標となる10年物国債の利回りを『0%程度』に誘導する金融緩和を進めており、0.25%が許容範囲の上限である。債券市場では海外の金利上昇が波及し、2月に日本の長期金利は0.2%台前半に上昇した。10日には一時、0.23%と16年1月以来、6年ぶりの水準まで上昇した。これを受けて日銀は10日、指し値オペを14日に実施すると公表した。銀行などの投資家は市場で0.25%より高い金利(安い価格)で10年物国債を売る利点がなくなるため、当面0.25%が事実上の上限となる。

 

前週のFX概況はドル買い比率53.1%に低下

QUICKが14日算出した10日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から4.24ポイント低下の53.1%だった。米長期金利の先高観を受けて円売り・ドル買いが強まる中で、相場の流れに逆らう『逆張り』の個人円買い・ドル売りに持ち高を傾けたとみられる。他の通貨ペアではまちまちだった。円に対するユーロ買い比率は3.5ポイント上昇の23.0%だった。円に対するオーストラリア(豪)ドル買い比率は7.0ポイント低下の66.5%だった。

 

★豪中銀の利上げはCPI統計2回発表後の8月以降か

オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は11日、年内に利上げする可能性はあるものの拙速な行動はリスクを伴うとし、四半期インフレ統計を2回見てから決定する意向を示した。豪中銀は1日に債券買い入れの終了を決定した。ロウ総裁は、経済が予想以上の好調なら年内に利上げする可能性を示唆していた。ロウ総裁は11日、議会経済委員会で、最近のインフレ高進が持続するか、まだはっきりしないとし、中銀は忍耐強く情勢を見極める用意があると説明した。『この不確実性は早期に解消することはない』と述べ、あと2回、四半期消費者物価指数(CPI)統計を見たいと示唆した。1-3月のCPI統計の発表は4月27日、4-6月は7月27日に発表される予定である。したがって利上げは8月以降の可能性がある。

 

トルコの外貨建て長期債の格下げ:フィッチ・レーティング

格付け会社フィッチ・レーティングスは11日、トルコの外貨建て長期債の格付けを『BB-』から『B+』に引き下げ、見通しは『ネガティブ』としたことを発表した。同社による引き下げは2019年7月以来であり、インフレ高進と当局の政策信頼性の弱さなどが今回の決定要因とされた。既にジャンク級だったこともあり、リラの下押し圧力は強まらなかった。トルコ政府は12日、投資・輸出・事業への支援パッケージを発表した。また、個人が保有する金を簡単に現金化できるシステムや、付加価値税を簡素化し、主要な食品については8%から1%に引き下げることも決定した。エルドアン大統領は急な値上げを行う企業に対して、より厳しい管理と罰金を課すことを約束している。

 

南アでは1月CPIと12月小売売上高の結果に注意

16日に発表される1月の消費者物価指数(CPI)と、12月小売売上高の結果には注意を払う必要がある。CPIは1月も原油価格が上昇傾向を辿ったことで、再び南ア準備銀行(SARB)の目標中心値4.5%を大幅に上回ることになる可能性が高く、現在は12月の5.9%を若干下回る5.7%程度が市場予想となっている。今月はSARBのMPCは行われないが、CPIの結果が6%に近づいてくると3月の再々利上げ期待が高まる。 一方で、小売売上高は12月の数値のため、好結果を期待するのは難しい。11月後半にオミクロン株が確認されたことで、12月は南アで規制が強化されただけではなく、海外が南アに対する渡航制限を発令していた期間にあたる。市場予想では前月比で-0.3%程度が予想されている。

 

米FRBの3月の利上げの有無ではなく利上げ幅がポイント

米連邦準備制度理事会(FRB)当局者が3月の政策会合を前に直面する問題は、もはや利上げするかどうかではなく、金利をどの程度引き上げるかである。1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.5%上昇した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は6%上昇し、いずれも40年ぶりの水準に跳ね上がった。ただ、FRBはこの先、前月比の数字が鈍化に向かうかに注目する見通しである。しかしながら、1月のCPI統計では、この点で不安を和らげる要素はほとんどなかった。物価上昇圧力は1月も持続しており、前月比のインフレ率は0.6%だった。

 

欧米市場イベント

○16:30   1月スイス生産者輸入価格
○21:00   1月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.00%)
○22:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、CNBCに出演
○15日01:15   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/10/15:15:33

日経平均株価:米ハイテク株高を受け半導体や電子部品の買い戻し

朝方に高く始まった後、いったん300円超高に上昇したが、米消費者物価指数(CPI)の発表や国内の3連休を前に手仕舞い売りのが強まり上げ幅を縮め、一時はマイナスとなった。米ハイテク株高を受けて、半導体関連や電子部品の買い戻しが強まった。好決算を背景とした物色も相場を支えた。ただ、持ち高を一方向に傾ける動きは限られ、午後は小幅高の水準でこう着感を強めた。結局、前営業日比116円高の2万7696円と1月20にち以来の高値で終了した。2月第1週(31日~4日)の海外投資家(外国人)は1705億円を売り越し、売り越しは4週連続となった。個人投資家は468億円の売り越しとなり、売り越しは4週ぶり。信託銀行は2278億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:115円台半ば近辺での値動きに終始

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し、115.63円まで小幅に上昇した。しかし、大幅高となっていた日経平均株価が急速に伸び悩むと、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて一時115.48円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドル売り要因となった。午後は、国内3連休を控えた持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、115.65円付近まで上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買いにつながった。ただ、前日につけた高値115.69円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、115.60円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1420ドル台を中心とする狭いレンジ相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ECB高官の講演に注目する展開

昨日は、『多くの欧州中央銀行(ECB)メンバーがインフレ見通しに不信感を抱いている』との報道を受けて早期利上げ期待感が高まった。本日は、ECBのハト派であるデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストの講演が予定されており、『インフレ見通しに不信感』との報道に対する見解を見極めることになる。昨日は、シュナーベルECB専務理事が、エネルギー価格高によって、インフレ期待がECBの目標である2%を超えて上昇するリスクが生じれば、利上げが必要となる可能性がある、述べた。また、ナーゲル独連銀総裁も、高インフレが一時期考えていたよりも持続性があるとしてECBが今年利上げする可能性がある、と述べており、インフレ見通しに不信感を抱いていることを示唆している。

 

トルコでは資源価格の高騰で財政圧迫の要因になる可能性も

原油相場が堅調なこともエネルギーを輸入に頼るトルコにとっては頭が痛い話である。資源価格の高騰を受け、政府は電気料金を最大120%引き上げることを決定した。当然ながら市民や企業からの反発は強く、その後に政府も電気代の抑制策を検討し始めた。しかしながら財政圧迫の要因にもなりかねず、リラにとっては上値の重さに繋がる可能性もある。なお、先週末に新型コロナウイルスに感染したエルドアン・トルコ大統領だったが、症状は軽症のようである。ただ、健康状態について侮辱的・挑発的なメッセージをSNSに投稿したとして、トルコ当局は26人を一時拘束した。全員が釈放されたが、6人は司法保護観察の対象とされた。

 

今晩ラマポーザ南ア大統領は国家演説を実施

日本時間では翌11日2時にラマポーザ南ア大統領は国家演説(通称SONA)が行われる。先日記載したが、SONAは幅広い政治、経済および社会問題を考察し、政府の役割について国民に向けて説明する。そして来年の政府の行動計画を設定することになっている。市場がこのSONAで大きく動く可能性は低いが、念のために注意はしておきたいところである。

 

メキシコペソは利上げ期待からペソ買いの流れは継続

日本時間の11日午前4時にロドリゲス新体制による今年初の金融政策決定会合を控えるなか、利上げ期待からのペソ買いの流れが継続しそうである。本日は最新の1月消費者物価指数(CPI)が予定されており、11月の+7.37%をピークに今月もやや鈍化することが予想されているが、依然として高水準を付けることが想定されている。今日の結果で中銀の利上げに対する思惑に影響を与えるとも思えず、予想とほぼかい離がなければ会合に向けては金利先高観を受けたペソの押し目買いとなる可能性が高い。

 

米国債の利回り予想を引き上げ:ゴールドマン・サックス・グループ

GSGは米国債利回りの予想を引き上げた。10年債利回りの2022年末目標を2.25%(従来予想2%)、23年末目標は2.45%(同2.3%)にそれぞれ上方修正した。見通しの変更幅は短期債で最も大きく、新たな予想は従来よりもフラットな利回り曲線を示唆している。予想通りとなれば、2年債と10年債の利回り差は23年末までに解消する。ゴールドマン・サックスでは2年債利回りについて、22年末に1.9%、23年末は2.45%と予想した。同行のエコノミストは米利上げが年内に5回、23年に3回、24年に2回実施されると見込んでいる。

 

米国市場では1月消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+5.9%

12月実績は前年比+5.5%だった。中古自動車、新車、家具類の上昇が目立っており、供給制約の改善は遅れており、高い伸びとなった。1月については、状況が変わっていないため、インフレ率は12月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月トルコ失業率
○16:00   1月ノルウェーCPI(予想:前月比▲0.1%/前年比4.2%)
○17:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○21:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:15   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22:30   1月米CPI(予想:前月比0.5%/前年比7.3%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比5.9%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/161.5万人)
○11日02:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○11日03:00   米財務省、30年債入札
○11日04:00   1月米月次財政収支(予想:250億ドルの黒字)
○11日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:6.00%に引き上げ)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/09/15:15:50

日経平均株価:ハイテク株が指数を押し上げに寄与

米国株高を受けて高く寄り付いた後も、企業決算を手掛かりとした物色がみられ、堅調に推移した。半導体関連や電子部品といったハイテク株が買われて指数の押し上げに寄与したほか、米長期金利が上昇する中、銀行株もしっかりとなった。ただ、米消費者物価指数(CPI)の発表や国内の連休を前に、上値追いには慎重だった。結局、前営業日比295円高の2万7579円と続伸して終了した。信用評価損益率は4日申し込み時点でマイナス12.18%と、前週のマイナス15.75%からマイナス幅が3.57ポイント縮小した。改善は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:株価からリスク選好の円売りやや強まる

ドル/円は、米長期金利低下を眺めたドル売りに押され、115.32円付近まで下落した。仲値発表後に、本邦輸出勢のドル売り・円買いフローも断続的に観測された。ただ、前日の欧州市場でつけた安値115.24円が視野入りすると下げは一服した。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大がリスク選好の円売りを誘い、115.50円付近まで値を持ち直した。しかし、今晩の米国株価動向や米FRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.1420ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。

 

英BPは21年利益は8年ぶりに高水準

英石油大手BPが8日発表した2021年決算は、利益が128億5000万ドルで8年ぶりの高水準となった。天然ガスと原油の価格高騰と、世界経済の新型コロナウイルス禍からの回復を受けた。前年は57億ドルの赤字を計上していた。バーナード・ルーニー最高経営責任者(CEO)は発表文で『21年はわれわれの言った通り、BPが変革しながら業績を上げていることを示している』とした。21年第4・四半期の純利益に相当する『アンダーライイング・リプレースメント・コスト利益』は41億ドルに達し、アナリストの予想39億3000万ドルを上回った。

 

トルコ財務相が金をリラに転換を促す新たなスキーム発表

ロンドンで投資家や経営者との会合に臨んだネバティ・トルコ財務相が、個人が保有する金をリラに転換を促す新たなスキームを週末にも発動すると述べたことが伝わった。一部報道によれば、トルコ家計が保有しているとされる2500億ドルから3500億ドル相当の金のうち、新たな促進策で1000億ドル以上がリラ預金に移されると政権は見込んでいる。なお、ネバティ財務相は昨日の会合で、トルコのダイナミックな生産能力や力強い成長実績、健全な財政と堅固な銀行部門などが同国の大きな可能性に繋がると訴えた。インフレ高進については一時的とし、これまでの考えを繰り返した。海外投資家向けの国債発行にも言及しており、どの程度の需要があるかが注目される。

 

10日にラマポーザ南ア大統領は国家演説を実施予定

今週10日(日本時間では11日2時)にラマポーザ南ア大統領は国家演説(通称SONA)を行うことが決定した。SONAは幅広い政治、経済および社会問題を考察し、政府の役割について国民に向けて説明する。そして来年の政府の行動計画を設定することになっている。市場がこのSONAで大きく動くことはあまり記憶にないが、念のために注意はしておきたい。

 

メキシコでは利上げが確実視されるなかペソは底堅い展開

最新の消費者物価(CPI)、そして週後半にはメキシコ中銀の金融政策決定会合など、重要イベントを控えて積極的な動きにはなりづらいが、基本的には6会合連続の利上げが確実視される中で、金融引き締め期待感からのペソ買いは継続する見込みとなっている。

 

富裕層は米利上げ見込みから現金を積み上げ:UBSこ顧客調査


UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの調査によると、相場下落を深く懸念しているという回答は世界の富裕層のほぼ半数と、1年前の45%から増加した。調査は1月4-24日に実施された。S&P500種株価指数は同期間中の下落率が取引時間中の最大で12.4%に達する場面もあり、史上最悪の年明けとなっていた。連邦準備制度の3月利上げが想定されている米国では、61%が資産の10%超を現金相当資産にしていると回答。2021年初頭は59%だった。80%超がバイデン政権はインフレ抑制を最優先課題とすべきだとの考えを示した。UBSのリポートは「インフレと利上げという背景の中で、投資家はヘルスケアやテクノロジーなどのセクターに投資する『適切な機会』を待っている」と解説した。UBSは資産100万ドル以上の個人3000人と年商100万ドル以上の事業主1200人を対象に調査した。UBSによると、米国の富裕層は新規の住宅ローン借り入れや既存ローンの借り換えで金利上昇可能性に備えている。

 

21年米家計の負債総額は1兆ドル増加:07年以降で最大

ニューヨーク連銀が8日に発表した米国の家計債務と信用に関する報告書によると、家計の負債総額が2021年に1兆ドル増加した。増加額は07年以降で最大となった。価格が一段と高騰している住宅や自動車などの購入増加が背景という。21年に組成された住宅ローンは4兆5000ドルを超え、1999年以降のデータベースで最高を記録した。住宅ローン残高は第4・四半期に2580億ドル増加し、昨年末時点で10兆9300億ドルとなった。自動車ローンの組成はパンデミック(世界的大流行)前のトレンドに戻ったものの、自動車価格の上昇を受けて融資額は増加した。『自動車価格が高騰したため、購入者は追加費用を調達するためにより多く借り入れた』という。また、住宅ローンの借り換えが増加しているとし、金利上昇を予想した一部の借り手が低い借り入れコストを利用している可能性もあるとした。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独貿易収支(予想:110億ユーロの黒字)
○16:00   12月独経常収支(予想:200億ユーロの黒字)
○18:30   1月南アフリカSACCI企業信頼感指数(予想:92.5)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   1月メキシコCPI(予想:前年比7.02%)
○21:00   1月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比10.39%)
○21:00   12月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲3.3%)
○22:10   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○24:00   12月米卸売売上高(予想:前月比1.2%)
○10日00:30   EIA週間在庫統計
○10日00:30   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○10日01:00   12月ロシア失業率(予想:4.3%)
○10日01:00   1月ロシアCPI(予想:前月比1.1%)
○10日02:00   マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○10日02:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、10年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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