FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/25/15:13:18

日経平均株価:米国の金融引き締めへの警戒感が強く売り優勢に

前週末の米国株安を嫌気する形で朝方に安く始まった後、安値圏でのもみ合いが続いた。米国の金融引き締めへの警戒感がくすぶり、相場の重石となった。いったん下げ幅を縮小する場面もあったが長続きせず、安値圏でもみあった。足元では企業決算シーズンに入り、弱気の業績見通しが示される『ガイダンスリスク』が警戒されている。大型連休を控えているほか、日米の中央銀行の会合を見極めたいとのムードもあり、『積極的なポジションを取りにくい』との声が聞かれた。また、新型コロナウイルスの感染が広がる中国のロックダウンへの警戒も日本株の重石となった。結局、前営業日比514円安の2万6590円で終了した。12日以来約2週ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:日銀金融政策会合を控えて128円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、先週末に黒田日銀総裁が強力な金融緩和を粘り強く続けていく方針を改めて示したことで、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが先行し、128円台半ばから128.86円付近まで上昇した。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りも通常より多く観測された。しかし、今週予定されている日銀金融政策決定会合のイベントを前に積極的な上値追いは見送られた。その後、米長期金利が低下すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて128.25円付近へ下落した。世界的な株安でリスク回避姿勢が強まったこともリスク回避の円買いにつながった。午後は、低下していた米長期金利が持ち直すと、ドルは買い戻されて128円台半ばへじり高となった。ユーロ/ドルは、米FRBの金融引き締めペースが加速するとの思惑から、ユーロ売り・ドル買いが優勢になり1.077ドル付近へ下落した。

 

前週のFX概況はドル買い比率とポンド買い比率は上昇

QUICKが25日に算出した22日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は63.6%と前の週末から6.9ポイント上昇した。主要中銀が利上げなど金融引き締めに転じる姿勢を示す中、引き続き金融緩和を続ける日本との金利差拡大が意識されている。前週は為替介入への思惑などから一時的に円高・ドル安方向に振れる場面はあったものの、金融政策の方向性の違いにより円安・ドル高基調が続くとの市場の認識を変えるには至らなかった。円の先安観を意識した円売り・ドル買いの持ち高形成が進んだほか、「一方的に円安・ドル高が進んだことで『逆張り』の個人も耐えられなくなっている面もある」との声が聞かれた。同期間はドル以外の通貨に対しても円売り・外貨買いの比率が高まった。『ポンド/円』取引でポンド買いの比率は54.8%と前の週末から13.4ポイント上昇した。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率は同3.7ポイント上昇の65.3%、「オーストラリアドル/円」取引での豪ドル買い比率は同6.0ポイント上昇の64.8%だった。

 

中国は米FRBの政策変更に対応可能:元への影響は小幅

中国国家外為管理局(SAFE)は22日、米連邦準備理事会(FRB)の政策変更に中国は対処可能で、海外の不確実性が通貨人民元に及ぼす影響は小さいとの見方を示した。王春英報道官は中国経済の強さや経常黒字、継続的な海外投資、良好な対外債務構造などを理由に挙げた。『FRBの政策変更のペースと波及効果を注意深く監視していく。国内為替市場の状況をリアルタイムで評価し、市場の安定を効果的に維持する』と表明した。FRBのタカ派姿勢や中国経済への懸念、米中の利回り差などを踏まえると、元に対する下落圧力が高まるとアナリストは予想している。しかし、王氏は元相場について、妥当でバランスの取れた水準で基本的に安定するとの見通しを示した。最近の大きな動きは、主に世界市場の変動と需給の変化の影響と分析した。『中国は正常な金融政策を実施することができる。金融システムは比較的安定し自律的だ。海外からもたらされる不確実性が元相場に与える影響は小さいだろう』と述べた。

 

トルコのインフレ対策は限界に近づいている

ロシアも含めた海外マネーを取り入れようとトルコ政府は、外国人への不動産売却を促進するため、国内の不動産業者への財政支援策を講じる。外資がより積極的にトルコ不動産を購入するようであれば、通貨リラにとっても悪い話ではない。ただ、ウクライナとロシアの戦争が長引くなか、トルコの主要輸出先である欧州の景気鈍化はトルコ経済にとっても懸念材料である。国際通貨基金(IMF)は先週、ユーロ圏の2022年成長見通しを前回3.9%から2.8%に、23年も2.5%から2.3%に下方修正した。経済的に結びつきが強いドイツにおいては、同国連銀が先週末、ロシア産エネルギー禁輸に踏み切ればマイナス成長の恐れもあるとの見通しを示した。またトルコ国内のインフレ高進に歯止めがかからないことも、リラの上値の追いづらさに繋がっている。一部通信社のエコノミスト調査では、足もとで61%を超えているインフレ率が年末までに低下したとしても55%程度との結果がでた。金融引き締め無しでのインフレ対策は限界に近づいている。

 

南アランドは代替輸出国通貨としての需要と金融引き締めが下支え

南アの洪水被害が想像以上に拡大したことがランドの重しになっている。ラマポーザ南ア大統領は被害総額が数十億ランドになると発表した。洪水で被害を受けたインフラ修復のために、財政赤字削減と政府債務抑制の計画に黄信号が点灯している状況である。被害地域にあるトヨタ自動車の工場が操業停止になるなど、民間部門への影響も深刻である。これまではネガティブなニュースに反応が鈍かったことが多いランドも、先週後半から急落している。もっとも、ウクライナでの戦争による代替輸出国通貨としての需要は根強く、下値の支えとなる。また、先週発表された3月CPIは前年比5.9%と予想より弱かったものの、南ア準備銀行(SARB)の目標レンジ(3.0-6.0%)のほぼ上限に達している。インフレ圧力が高いことも、SARBの引き締め強化に繋がるとの思惑から、引き続きZARには買い要因となる。

 

メキシコではリチウム国有化法案可決で新たな火種

憲法改正法案、電力改正法案と立て続けに重要な法案の採決を行っているメキシコ議会だが、今度はレアメタル・リチウムの国有化に関する鉱業法改正案についての採決が行われた。現在リチウム鉱床などの契約は、中国のガンフォン・リチウム傘下のバカノラリチウムをはじめ、外資系企業数十社と結んでいる。今回提出された改正法案では、リチウム自体を国家戦略資源と定めて管理を強化し、民間企業の参加を制限する内容となっている。この法案は発足当時からロペスオブラドールが目標としていた改革案だったが、昨年には一度法案を取り下げるなど断念する姿勢を示していた。しかしながら今回、議会にて19日に採決され賛成多数で可決に至った。これにより、前述したバカノラリチウムを始めとした民間企業には多大な影響を与えることが容易に想定される。もっとも大統領は記者会見で、法案可決に満足し『すべての契約、リチウムの認可が見直されるだろう』と述べた。新たな火種を生んでしまったことは確かである。

 

欧米市場イベント

○17:00   4月独Ifo企業景況感指数(予想:89.0)
○18:00   2月ユーロ圏建設支出
○24:00   マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、議会証言
○ニュージーランド、オーストラリア(アンザックデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/22/15:16:51

日経平均株価:米国株安と米長期金利上昇を嫌気した売り

前日の米国株安や米長期金利の上昇を嫌気する形で朝方に安く始まった後も、下げ幅を拡大した。売り一巡後も上値は重く、心理的な節目の2万7000円を挟んだ動きが続いた。市場では、米国市場の金利や株価の動向に振り回されており、前日の上昇分を打ち消す展開になった。国内企業の決算がこれから本格化するほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にして、目先は上値を追いにくいとの声も聞かれた。結局、前営業日比447円安の2万7105円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:日米協調介入についての報道で円買いが強まる

ドル/円は、米長期金利が2.95%を超える水準へ上昇したことがドル買いを誘い128.69円付近までじり高となった。仲値に向けて本邦輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれたことも、ドル/円の押し上げにつながった。ただ、前日のNY市場でつけた高値128.70円に接近すると上げは一服した。午後に入ると、一部メディアが鈴木財務相とイエレン米財務長官の会談で、『市場が注目していた協調介入についても議論されていた』と報じた。この報道がドル売り・円買いを誘い、128.30円台へと下落した。その後も、米長期金利がやや低下すると、一段とドル売り・円買いが強まり、128円を割り込んで127.90円付近へ下落した。ユーロ/ドルは、夕方に発表されるフランスやドイツの指標を見極めたいとの雰囲気もあり、1.0840ドル台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。

 

不動産ファンドにリスク:日銀の『金融システムリポート』

日銀は21日、半期に一度の『金融システムリポート』を公表し、地域金融機関中心に伸びている不動産業向け融資について、不動産ファンドには海外の投資ファンドから資金が流入しており、米金利の上昇などグローバルな環境変化が海外ファンドの投資減少につながれば、不動産ファンドの価格下落につながると警鐘を鳴らした。リポートは、日本の金融システムは『全体として安定性を維持している』と総括した。先行き、新型コロナウイルス感染症の再拡大と米長期金利の上昇がともに生じて実体経済と国際金融市場が調整する状況を想定しても『日本の金融システムは相応の頑健性を備えている』とした。

 

ECBの年内0.75ポイント利上げを織り込む:短期金融市場

欧州中央銀行(ECB)は、インフレの記録的高進に伴い政策金利の中銀預金金利を年内プラスに引き上げざるを得ず、年内0.25ポイント利上げが3回決定されるとの見通しが短期金融市場に反映されている。ユーロの短期金利に連動するスワップ取引市場は、ECB政策委員会の12月の決定までに合計0.75ポイントの利上げを織り込む。中銀預金金利(現行過去最低のマイナス0.5%)は、2012年以降で初めてプラスになる見込みである。

 

トルコ政府は外国人への不動産売却を推進:リラ相場の支えとなることが期待

欧州序盤にトルコの4月消費者信頼感指数が発表され、結果は67.3と前回72.5を下回り、約12年ぶりの低水準を記録した。国内のインフレ高騰や通貨安が消費者マインドの大きな重しとなっている。欧米金利が上昇基調を更に強めてしまえば、トルコの外貨債務増は避けられず、リラの対ドルやユーロでの売り圧力に繋がってしまう。トルコ政府は、外国人への不動産売却を推進するため、国内の不動産業者への財政支援を行う方針のである。政府はすでに、住宅ローン金利をインフレ率より遥かに低い水準で抑え、住宅市場の活性化に努めている。昨年の外国人向け住宅販売数は過去最高を記録しており、今後も拡大継続ともなれば、こちらはリラ相場の支えとなることが期待される。

 

急激な南アランド売りの理由付けは難しい状態

市場では、洪水の影響による南アの財政負担増、度重なる電力の負荷制限などがランド売りを促しているとされている。また、南アでのコロナ陽性率がこの3カ月で最大となっていることも売り要因とする市場参加者もいる。しかし、負荷制限については、この2日間でステージ4から2へと引き下げられていることを考えると、この要因でランドがここまで売られたという理由付けは難しい。連日の大相場で、ドルに対するランドの3カ月インプライドボラティリティは、昨日2月以来最も急上昇した。通貨を売るオプションと買うオプションのプレミアムも逆転 している。ただ言えることは、ここまで急激なランド売りが進んでいるなかで、トレンドに逆らうのは適切ではない。

 

メキシコの憲法改正案は否決:憲法改正はとん挫

メキシコ連邦議会下院は17日、ロペスオブラドール大統領が提出した憲法改正案を賛成275票、反対222票で否決した(憲法改正には3分の2以上の賛成が必要)。大統領はこの決定に対して『国民より外国企業の利益を優先し、国を裏切った』と怒り心頭のようだが、同時に自身の任期中に憲法改正案を再度提出することはないと表明した。国内外から大きな批判を集めていた憲法改正はとん挫した格好となった。

 

経済指標からFRBの金融引き締めを正当化

米労働省が発表した最新週次新規失業保険申請件数(4/16)は2000件減の18.4万件とパンデミック前の水準で推移した。また、失業保険継続受給者数は141.7万人と、前回から予想以上に減少した。1970年1月以降で最小となった。また、米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数の仕入れ価格は84.6と1979年来の高水準となった。労働市場のひっ迫やインフレ上昇が証明され、連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め加速計画を正当化する。

 

パウエル米FRB議長は速やかな利上げの必要性に言及

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は21日の国際通貨基金(IMF)パネル討論会に参加し、若干さらに速やかな利上げの必要性に言及し、委員会の判断次第だとしながらも5月連邦公開市場委員会(FOMC)での50bpの利上げも選択肢とした。
また、インフレは世界的な問題だが、その水準に違いがあるとし、米国は他国に比べインフレにおける問題が大きく、速やかに引き締めを行う姿勢を見せた。短期金融市場では5月FOMCでの50BPの利上げを100%織り込んだ。年末までにさらに2.25%、2.5%の利上げも織り込み始めている。パウエル議長は特に労働市場はかなり過熱し過ぎで、持続できない水準とし、ひっ迫している労働市場を冷やす必要性があることを示唆した。

 

米国市場では4月サービス部門PMI速報値が公表:予想は58.0

3月実績は8ヵ月ぶりの浩志淳となった。飲食・宿泊サービス需要が持ち直していることが要因。4月についても、コロナ関連の規制緩和の恩恵を受けているセクターにおける景況感はまずまず良好とみられる。ただし、金利上昇や高インフレの影響は無視できないため、4月の数値は3月実績を若干下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比2.8%)
○15:00   3月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.4%/前年比0.7%)
○16:15   4月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:53.0)
○16:15   4月仏サービス部門PMI速報値(予想:56.5)
○16:30   4月独製造業PMI速報値(予想:54.5)
○16:30   4月独サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○17:00   4月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:54.7)
○17:00   4月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:55.0)
○17:00   2月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:30   3月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.8%)
○17:30   4月英製造業PMI速報値(予想:54.0)
○17:30   4月英サービス部門PMI速報値(予想:60.0)
○21:30   3月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比2.1%)
○21:30   3月カナダ原料価格指数
○21:30   2月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比横ばい)
○22:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○22:45   4月米製造業PMI速報値(予想:58.2)
○22:45   4月米サービス部門PMI速報値(予想:58.0)
○22:45   4月米総合PMI速報値(予想:57.9)
○23:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○24日 仏大統領選決選投票

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/21/15:18:02

日経平均株価:ハイテク株中心に買い戻しの動き

前日の米国株はまちまちで、寄り付きは小幅な上昇した。しかし、すぐに上げ幅を3桁に広げると、買いが買いを呼ぶ展開となった。米国ではネットフリックスが暴落してナスダックが弱かったが、これは前日のうちに織り込んでいたことから、レーザーテックや東京エレクトロンなど大型グロース株に強い見直し買いが入った。また、NYダウが大幅高となったことで、米国株が崩れることに対する警戒も大きく後退した。米長期金利の上昇一服や、NYダウ先物が堅調に推移したことが追い風となった。値がさハイテク株を中心に買われ、上げ幅は一時360円を超えた。前営業日比335円高の2万7553円と3日続伸して終了した。4月第2週(11日~15日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は863億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。個人投資家は178億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。信託銀行は2699億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。

 

東京外国為替市場:午後になると利益確定やポジション調整のドル売り優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利の上昇に支えられ、128.50円付近へ値を上げた。日経平均株価の上げ幅拡大でリスク選好が高まったことも円売りを誘った。その後も、G7声明で為替への言及がなかったことが判明すると、さらにドル買い・円売りが進んで128.64円付近まで値を上げた。ただ、昨日の欧州市場でつけた高値128.71円に接近すると上げは一服した。午後に入ると、このところ政府要人から円安けん制発言が相次いでいるため、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いに押されて128.10円台へ軟化した。海外時間に予定されているパウエル米FRB議長の講演や日米財務相会談の内容を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、前日にECB当局者から早期の利上げに前向きな発言が伝わったことで、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.08ドル台前半から1.08ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

トルコ中銀が市場の信頼を取り戻すのはかなり難しい

国際通貨基金(IMF)は19日、新興国の多くの中銀がインフレに対処するため、すでに大幅な金融引き締めを実行しているとし、信頼性維持のために継続すべきだと述べた。一方、エルドアン大統領の圧力でトルコ中銀は、昨年9月から4カ月連続で利下げを実施し、インフレ高騰を招いたにもかかわらず、その後も政策金利を据え置いている。現状のままでは、市場の信頼をトルコが取り戻すのはかなり難しいと言える。

 

南アでは洪水の影響と3月CPIが予想を下回りランド売り材料

洪水の影響を徐々に市場が警戒しはじめランドに対して売りが入っている。また、昨日、発表された3月の南アの消費者物価指数(CPI)は、市場予想の+6.0%をわずかに下回る+5.9%となり、こちらもランド売り材料とされた。CPI上昇の要因となったは、輸送価格が前年比で14.3%上昇したこと、燃料価格は前月比で7%超上昇、ガソリン価格は前年比で33%高く、ディーゼル価格も前年比で35%超上昇したことなどがあげられる。一方で、食料品価格の上昇が抑えられたことが、予想に届かなかった一因となっている。

 

メキシコではリチウム国有化法案可決が懸念材料

メキシコ議会は昨日、リチウム国有化法案を可決した。これまで民間企業に委ねていたリチウム鉱床などを政府が管理することになり、外国企業による参入がしづらくなった。現在契約している企業などからの反発は必至と見られ、大きな懸念材料となりそうである。

 

米国中古住宅は低迷傾向に:金利高と価格上昇が主因

全米不動産協会(NAR)が発表した3月中古住宅販売件数は前月比‐2.7%の577万戸と市場予想通り2月593万戸から減少した。2020年5月来で最低となった。住宅ローン金利の上昇に加え、中間価格が37.53万ドルと過去最高を更新したため、購入を躊躇する動きが強まったと見られる。

 

米政策金利を年末までに中立水準まで引き上げ:ベージュブックも正当化

5月FOMCの材料となる米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、インフレ圧力が依然強いが、経済活動の緩やかなペースでの拡大が明らかになった。景気の見通しで、最近の地政学的リスクやインフレで陰りが見えるとした。企業は速やかに仕入れコストの上昇を販売価格に反映していることも明らかになったが、2,3の地区で物価高が売り上げにマイナスに影響しているとの指摘もある。強いペースでの賃金の上昇が減速し始めた兆候を指摘した地区もあり、インフレがピークをつけた可能性もある。ただ、内容はFOMCの引き締めペースを修正するものではなく、FRBは年末に向け金融政策を中立に戻す政策を進めると見られる。

 

欧米市場イベント

○未定     4月月例経済報告
○15:45   4月仏企業景況感指数(予想:105)
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比7.5%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比3.0%)
○21:30   4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:21.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:18.0万件/145.5万人)
○22:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   3月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.3%)
○23:00   4月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲20.0)
○22日01:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○22日02:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合のセミナーに参加
○ブラジル(チラデンテスの日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/20/15:19:17

日経平均株価:為替や米株先物の値動きに反応しやすい展開

前日の米国株高の流れを受けて買いが先行した。円安も日本株にはプラスに作用している。一時上げ幅404円付近まで切り上げていたが、決まった利回りで国債を無制限に買い入れる指し値オペを日銀が通告したことが分かると、ドル/円は一時128円台半ばまで下落した。為替が円高に振れる場面で日経平均も上げ幅を縮める動きがみられた。大型連休中に米FOMCが予定されているほか、来週から企業決算の本格化を控え様子見ムードが強まりやすいだけに、為替の動向や米株先物の値動きに反応しやすい。結局、前営業日比232円高の2万7217円と続伸して終了した。信用評価損益率は15日申し込み時点でマイナス12.49%と、前の週のマイナス12.7%からマイナス幅が0.21ポイント縮小した。改善は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:急ピッチの上昇に対する警戒感からドル売り優勢に

ドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが先行、129円台前半から一時129.43円付近まで値を上げて約20年ぶりの高値を更新した。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りの通常より多く観測された。仲値発表後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、129円を割り込んで一時128.55円付近へ値を下げる荒い値動きとなった。磯崎官房福長官が『為替の安定は重要で急速な変動は好ましくない』『米国などの通貨当局と緊密な意思疎通を図りながら適切に対応したい』などと発言したことも円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いは続き、米長期金利が小幅に低下すると、さらにドル売り・円買いが進んで128.06円付近まで下落した。その後、米FRBの禁輸引き締めペースが加速するとの思惑からドルの押し目買いが入り、128.70円付近へ値を持ち直した。ただ、今晩予定されているG20財務相・中央銀行総裁会議やFRB当局者の講演を前に、積極的な上値追いは手控えられた。ユーロ/ドルは、米長期金利低下を眺めたドル売りが一巡すると、1.0815ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

IMFは世界経済成長率見通しを引き下げ

国際通貨基金(IMF)は、ロシアのウクライナ侵攻や中国のコロナ都市封鎖が影響し、世界経済成長率見通しを引き下げた。2022年世界経済成長率を1月の4.4%から3.6%へ引き下げ、2023年を3.6%と、3.8%から引き下げた。また、ユーロ圏は戦争や燃料価格上昇で成長の下方リスクに直面していると警告。市場では金融引き締めにより、景気後退入りが警戒されている。

 

22年中国成長率見通しを外銀が下方修正

UBSのエコノミストは18日の顧客向けリポートで、『経済への強い下押し圧力を考慮』し、国内総生産(GDP)成長率予想を5%から4.2%に引き下げた。バークレイズも同日、『コロナを巡る混乱が長期化するとの想定』で、成長率予測を0.2ポイント下方修正し4.3%に変更した。BofAは18日のリポートで、4.8%から4.2%に下方修正。スタンダードチャータードもロックダウン(都市封鎖)の悪影響が強まるとして5.3%から5%に引き下げた。

 

仏大統領選の決選投票ではマクロン大統領が優勢:各種世論調査

各種世論調査によると、フランス大統領選の決選投票で現職のマクロン大統領がマリーヌ・ルペン氏との差を広げているもよう。イプソスの世論調査によると、マクロン氏の得票率は56.5%と、第1回投票の2日前(4月8日)の53%を上回った。オピニオンウェイの世論調査では、マクロン氏の得票率は56%、仏世論研究所の世論調査ではマクロン氏の得票率は55%。

 

ロシアマネーがトルコに向かっている可能性も

ロシアマネーがトルコに向かっている可能性もあり、リラ相場の支えとなっているのかもしれない。トルコ当局は先週末、欧米から制裁を受けたオルガルヒ(ロシア新興財閥)の所有する豪華ヨットを、同国南西部の沿岸に停泊させることを許可した。トルコは、西側諸国が強化する経済制裁に参加していない。オルガルヒの投資を歓迎すると述べた政府高官もおり、ロシア資産の避難先としてトルコが選択の1つとなっている可能性もある。ただ、トルコ国内のインフレ高騰はリラの上値の追いづらさとして意識され続ける。エルドアン大統領は先日、物価高は全世界に共通する問題と述べ、『トルコは、生産力と物流の優位性から、最も影響を受けていない国の1つ』との見解を示した。これまで政権が講じたインフレ抑制策はあまり効果が出ておらず、大統領は批判をかわすことに精一杯のようである。

 

南アの3月CPIが注目:予想上回るなら利上げ幅拡大の思惑も

南アの消費者物価指数(CPI)が発表されるため、ランドも指標結果次第で動く可能性が高い。ロシアによるウクライナ侵攻後の数値のため、市場予想では前年比で6.0%上昇となっている。南アフリカ準備銀行(SARB)のインフレ目標とする3.0-6.0%のレンジ上限であり、予想を上回る結果が出た場合は来月SARBの利上げ幅が拡大する可能性もある。ところで、南アフリカにおける小麦価格の上昇率は、世界平均と比較すると低い水準にとどまっている。2月25日から3月7日までの間に、シカゴの小麦先物(7月)は34%上昇した。一方の、南アの小麦価格は14%上昇だった。この原因は複数あるが、一つは南アもある程度の規模の小麦を生産しているため供給不安には現時点ではなっていないこと、そして二つ目はランド高の恩恵がある。

・17:00 3月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.0%/前年比6.0%)

 

メキシコ政府による電力市場の独裁は後退

ロペスオブラドール大統領が推し進める電力改正法案だが、昨日下院にて採決され、過半数の賛成票を獲得したが、可決に必要な3分の2を獲得することはできなかった。この結果に対して大統領は“反逆行為だ”と激怒した。ひとまず、市場が恐れていた政府による電力市場の独裁はひとまず後退した模様である。

 

米国住宅市場は予想外に強い内容

米商務省が発表した3月住宅着工件数は前月比+0.3%の179.3万戸と、2月178.8万戸から減少予想に反し増加し住宅ブームの2006年6月以降16年ぶり高水準となった。3月住宅建設許可件数も+0.4%の187.3万戸と、2月186.5万戸から減少予想に反し増加し1月来で最高となり、今後の着工件数の増加を示唆した。住宅ローン金利の上昇や建築材料、人件費などのコストの上昇という逆風で、パンデミック期間中、米国経済の回復をけん引してきた住宅市場が今年は鈍化すると警戒されているが、予想外に強い結果となった。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比2.6%)
○17:00   3月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.0%/前年比6.0%)
○18:00   2月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.7%/前年比1.5%)
○18:00   2月ユーロ圏貿易収支
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:15   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○21:30   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30   3月カナダCPI(予想:前月比1.0%/前年比6.1%)
○23:00   3月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲4.0%/年率換算580万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○21日00:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○21日02:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○21日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/19/15:13:08

日経平均株価:方向感を欠く展開も反発して終了

朝方に高く始まったがマイナス圏に沈む場面もあり、方向感を欠く動きとなった。前日の米フィラデルフィア半導体指数の上昇を受けて、半導体関連や電子部品などハイテク株が総じて堅調だった。また、為替相場が円安方向に振れ、自動車や機械といった輸出関連株の支えになった。結局、前営業日比185円高の2万6985円と3営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:口先介入では円安基調は止まらず

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、127.30円台へ上昇した。その後も、日米金融政策の方向性の違いを意識した仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、127.80円付近へ上伸した。鈴木財務相が『為替の安定は重要で、急速な為替の変動は好ましくない』と市場をけん制したが、ドル高・円安基調に歯止めはかからなかった。午後に入っても堅調地合いは続いて一時128.23円付近まで急伸、約20年ぶりとなるドル高・円安を更新した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、128.10円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、イースター休暇の連休明けとなる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、1.07ドル台後半で方向感に乏しい値動きとなった。

 

20日のG20と21日の日米財務相会談での円安懸念発言には注意

今週は20日に米ワシントンでG20財務相・中銀総裁会議が開催される。21日にかけては、日米財務相会談も開かれる予定になっている。こうしたイベントで円安・ドル高のスピード面や水準面に関し、警戒発言が出てくると、調整的な円高・ドル安を促す可能性もある。18日には日銀の黒田東彦総裁が『大きな急速な円安にはマイナスが大きくなる』、『最近の円安はかなり急速な為替変動』と語り、円安のスピード面での警戒姿勢を強めていた。ただし、米国側の立場でいえば、現在のドル高は米FRBによる金融引き締め加速の姿勢が一因となっている。その中での米国によるドル高懸念は、政策的な整合性が取れない。しかも米国では物価が高騰しており、輸入物価などの押し下げにつながるドル高は、現状段階で歓迎すべき方向となっている。

 

中国景気は公共投資が下支え:中国当局にとっては難しい局面が続く

今年の中国は秋の共産党大会を控えて政治的に重要な年を迎えている。通常は経済の安定がなにより重視される一方、コロナ禍の制圧を目指す当局はゼロ・コロナ戦略を維持して経済活動の足かせとなっている。足下ではロックダウンの動きが広がり、企業マインドも下振れするなど一段と難しい状況になっている。1-3月の実質GDP成長率は下振れが懸念されたが、前年比+4.8%と伸びが加速し、前期比年率ベースでも+5.3%と試算されるなど堅調さが続いていることが確認された。サービス業が下振れするなど家計消費が弱含む動きがみられる一方、建設業は堅調に推移するなど公共投資の進捗が下支えしているとみられる。国家統計局は足下の状況について、短期的な下振れを警戒しつつ依然強気の見方を維持している。ただし、今年の成長率目標(5.5%前後)の実現のハードルは極めて高い。中銀は追加で預金準備率の引き下げを決定したが、ウクライナ情勢の悪化に伴う物価高は政策対応を難しくしている。過剰債務問題も政策対応余地を狭めるなか、中国当局にとってはコロナ禍対応を含めて難しい局面が続くことは避けられそうにない。

 

トルコの不動産業界は活況

トルコ統計局が先週発表した3月住宅・マンション販売は、件数では13万戸を超えて前年比で20.6%増を記録した。今年に入り、1月が約8.8万戸、2月は約9.7万戸と着実に販売数が増えている。トルコ政府は、住宅ローン金利を低く抑えて購入を後押ししている。中銀データによると、足元のインフレ率は60%を超えているにもかかわらず、住宅ローンの平均借入れコストは18.09%でした。ローンによる購入件数は3万戸を上回り、これは前年比38.8%増とされた。来年の総選挙までエルドアン政権は金利を押さえつける可能性は高く、トルコの不動産業界は更に活況を呈しそうである。

 

南アの洪水の影響には注意が必要

南アもインフレ懸念はあるが、他の新興国よりも比較的安定していることを受けたランド買いが続きそうである。しかし、南アの洪水の影響も深刻になっていることには留意しておいたほうが良い。先週もトヨタ工場の操業停止について記載したが、今回の洪水で企業や公共インフラにも甚大な被害が出て、ラマポーザ南ア大統領は、数十億ランドの経済的損失になると昨日発表している。

 

ヘッジファンドが7週連続で米株を売り越す:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの19日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は11~15日の1週間に米株を200万ドル売り越した。小幅ながら3週連続の売り越しとなる。この週は米FRB高官からタカ派的な発言が相次いで金利上昇基調が強まる中、S&P500指数が2.13%安となって2週連続で下げた時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が7億5100万ドルの売り越しで、7週連続の売り越しとなった。機関投資家は2億4700万ドルの買い越しで、3週ぶりの買い越しとなった。個人投資家は3億4500万ドルの売り越しで、2週連続の売り越しとなった。企業の自社株買いは8億3800万ドルで4週移動平均(6億7500万ドル)を上回って改善した。相場の地合いが悪い中、個別株が買い越しの一方でETFは売り越しだったが、機関投資家が買い越しに転じたものの、HFの売り越し基調は続いた。決算シーズンに入って自社株買いはやや回復したが、S&P500採用銘柄の時価総額対比では年初来で0.06%にとどまり、2021年(0.07%)や2019年(0.10%)を下回っている。

 

米4月住宅市場指数は4ヵ月連続低下:値ごろ感は失われつつある

全米住宅産業協会(NAHB)が発表した4月NAHB住宅市場指数は77と、予想通り3月79から低下し昨年9月来で最低となった。年初から4カ月連続の低下となった。ただ、20年6月以降、ポジティブセンチメントを示す50を23カ月連続で維持している。急激な住宅ローン金利の上昇に加えて、原材料や雇用不足でコストを押し上げ、住宅価格の上昇に繋がっていることが建設会社のセンチメントにマイナスに影響した。30年物固定住宅ローン金利は3月初め3.9%前後だったが、現在は5.15%まで急伸している。新築住宅の価格は2月時点で前年比で10%超上昇しており、明らかに値ごろ感は失われつつある。特に住宅市場はパンデミック中、景気回復を主にけん引してきたため、鈍化は警戒される。スタグフレーション懸念も浮上する中、本年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有する・セントルイス連銀のブラード総裁は成長が抑制するまで引き締めを行う必要性を主張するなど、連邦準備制度理事会(FRB)高官は、引き締め加速を必要とする姿勢を変えていない。

 

欧米市場イベント

○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:25.00万件)
○21:30   2月対カナダ証券投資
○21:30   3月米住宅着工件数(予想:175.0万件、前月比▲0.9%)
          建設許可件数(予想:183.0万件、前月比▲1.9%)
○20日01:05   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合と関連イベント(ハイブリッド形式、24日まで)
○IMF、世界経済見通し公表

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ