FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/11/15:17:35

日経平均株価:米国の金融政策に対する警戒感から売り優勢

前場中盤ではプラス圏に浮上する場面があったが、心理的節目の2万7000円回復後は利益確定売りに押され、再びマイナス圏に転落した。米長期金利が上昇する中、ハイテク株安となった米市場の動向を嫌気したほか、このところのアジア株の軟調な値動きも重石になった。市場では、上海でのロックダウン(都市封鎖)やウクライナ情勢などの懸念材料がある中で決算シーズンが始まり、積極的に買いづらいろの声が聞かれた。結局、前週末比164円安の2万6821円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇で125円前後の高値圏での売買が継続

ドル/円は、日経平均株価が軟調なスタートとなったことでリスク回避のドル売り・円買いが先行し、一時124.28円付近まで下落した。しかし、米長期金利が上昇に転じると、日米金利差拡大を意識したドル買い・円売りとなり124.52円付近までじり高となった。その後、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、124.64円付近まで上値を伸ばした。仲値発表後も、ドル買い基調が続き、124.99円付近まで更に上値を伸ばした。黒田日銀総裁が支店長会議で『コロナの影響を注視し、必要なら躊躇なく追加緩和する』などと発言し、日米金融政策スタンスの違いが改めて浮き彫りになったことや、日経平均株価が一時プラスに転じたこともドル買い・円売りを促した。午後のドル/円は、米長期金利が、2019年3月以来の水準となる2.78%台に乗せるなどして、ドル買い圧力が増しているが、3月28日につけた125.10円が意識されており、一時125.05円付近まで上値を伸ばしたものの、上値を追う動きは鈍かった。大局的には、125円前後の高値圏での売り買いが続いている。午前中に内田日銀理事が『為替相場が短期的に過度に変動すると不確実性が高まる』などと発言したことも、市場の警戒感を誘いドル買いを控える動きにつながった。ユーロ/ドルは、1.088ドルの台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は低下・仏大統領選前にユーロ買い比率は上昇

QUICKが11日に算出した8日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買い比率は前の週末から7.5ポイント低下の56.2%だった。前週は日米の金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが進んだ。円安・ドル高が進むなかで、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる傾向が強いとされる個人投資家は円買い・ドル売りの持ち高を増やした。『ユーロ/ドル』取引ではユーロ買い比率が58.4%と、前の週から13.1ポイント上昇した。前週のユーロ相場は対ドルで下落基調が続き、個人からは『逆張り』の買いがユーロに集まった。10日に1回目の投票が実施された仏大統領選を前に、極右国民連合のルペン党首が追い上げをみせるなど、欧州政治の不透明感がユーロ相場の重荷になっていた。

 

ECBはQE7月終了で12月利上げ開始か

欧州中央銀行(ECB)は、ウクライナの戦争がユーロ圏の経済成長に及ぼす脅威に目をつぶり、資産購入による量的緩和(QE)を今夏で終了する一方、12月に過去10年余りで最初の利上げに動く準備を整える見通しである。最新の調査に回答したエコノミストらが予想した。ユーロ圏のインフレ率はECBの物価目標(2%)の既に4倍近いペースに加速し、ロシアのウクライナ侵攻の影響でさらに拍車が掛かる状況にある。調査結果によれば、純資産購入は7月に終了し、中銀預金金利(現行マイナス0.5%)は約9年ぶりに来年3月時点でゼロに戻ると見込まれる。ゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレーも、12月の利上げ開始後に政策金利が漸進的に引き上げられるとみている。

 

ロシアから流出した投資資金がトルコに向かいリラの支え

ロシアのウクライナ侵略を巡っては、トルコ観光業への打撃が懸念される。ただ一方で、トルコ防衛産業にとっては追い風が吹いているとの報道も見られる。ウクライナへの武器輸出だけではなく、(攻撃力やコストパフォーマンスなどが認められ)他国からも軍事関連でトルコへの引き合いが増えてきている。また、欧米によるロシアへの経済制裁強化により、同国から流出した投資資金がトルコにも向かっている、または向かう可能性があることもリラの支えとなっている。露・富裕層がトルコの不動産を買いあさっているとされ、また同国・不良債権市場にロシアから資金を引き出した運用会社が興味を示しているとも一部通信社が報じている。もちろん、インフレ高騰にもかかわらず、トルコ中銀が利上げに動けないのはリラにとってはネガティブな材料である。3月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比61%台まで加速したにもかかわらず、中銀金融政策委員会(MPC)は今週、政策金利を14%で据え置くことが確実視されている。

 

代替輸出国の通貨としての南アランド買いが続きそう

先週6日より南アでガソリンやディーゼル価格の改定が始まった。ゴドンワナ南ア財務相が、5月末まで一般燃料税を1リットル当たり1.5ランド引き下げると発表したことで、当面は上げ幅が限られる。しかしながら、財政的にそれほど余裕があるわけでもなく、5月末以後もこの減税が継続されるかも不透明である。南アのインフレ圧力は高く、金利上昇によるランドの買い意欲は依然として強い。また、ロシアに対する追加制裁で、先週は下押しする場面もあったが、コモディティ価格が堅調な動きをみせている。代替輸出国の通貨としてのランド買いの流れも続きそうである。

 

日本とメキシコの金融政策の違いがペソ下支え:米国との対立が深まる懸念

前週に公表された3月メキシコ消費者物価指数(CPI)は前年比で7.45%の上昇となり、市場予想や前月分を上回る結果となった。メキシコ銀行(中央銀行)内でこれまで利上げに慎重な姿勢を見せていたエスキベル、ヒース両副総裁が足もとでタカ派寄りの発言をしていることもあり、今後も中銀の金融引き締め姿勢は継続すると思われ、日本とメキシコの金融政策の違いがペソ/円を下支えする。一方、懸念材料となるのがロペスオブラドール大統領が推し進める電力改正法案である。先月にはケリー米大統領特使がロペスオブラドール大統領との会談で電力改正法案の見直しを求めたほか、米国通商代表部(USTR)は電力改革が実現した場合は対抗措置を取る姿勢を示しており、米国との対立が深まることが予想される。

 

ハト派のブレイナード理事がタカ派に

米連邦準備制度理事会(FRB)の副議長指名で、通常はハト派として知られるブレイナード理事が今週初めに開催されたイベントでバランスシート縮小を17-19年に比べてかなり速やかに実施していく方針も再表明した。早くて5月連邦公開市場委員会(FOMC)に速やかにバランスシート縮小開始する可能性が強いと言及した。加えて、FRBが今週公表した3月開催分のFOMC議事録の中で、保有資産の縮小を各月950億ドルペースと、2017-19年の2倍のペースで実施することで合意したことが明らかになった。また、多くのメンバーが年内0.5%ポイントの数回の利上げの必要性を主張したことが明らかになった。ウクライナ戦争は成長リスクになると同時に、インフレの上方リスクになるとの見方が影響した。22年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を有するセントルイス連銀のブラード総裁は、FRBの政策が立ち遅れており、下半期に政策金利であるFF金利誘導目標を3%-3.25%まで引き上げることが望ましいと急速な利上げの必要性を主張した。年内、利上げで3%、バランスシート縮小の効果で0.5-0.75%の利上げに相当、3.5-3.75%程度に金融政策が引き締まる見通し。今後は、経済がこのペースの利上げに十分なだけ強まるかどうかに注目が集まる。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○15:00   2月英鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年比2.1%)
○15:00   2月英製造業生産高(予想:前月比0.3%)
○15:00   2月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:167.00億ポンドの赤字/71.50億ポンドの赤字)
○15:00   3月ノルウェーCPI(予想:前月比1.1%/前年比5.0%)
○16:00   2月トルコ経常収支(予想:53.0億ドルの赤字)
○16:00   2月トルコ失業率
○20:00   2月メキシコ鉱工業生産(季調済)
○22:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○22:30   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、ウォラーFRB理事、あいさつ
○12日01:40   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○12日02:00   米財務省、3年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/08/15:16:09

日経平均株価:自立反発狙いの買いが下支え

朝方は米国株高を好感し反発したが、その後は米国株先物やアジア株のさえない値動きが重石となり、徐々に値を消す展開となった。米長期金利の上昇、ウクライナ情勢など、複数のさえない外部要因が嫌気されたほか、週末相場の手仕舞い売りも先行した。来週は、米国や中国で3月消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)などの発表が予定されていることから、様子見ムードが強まった。ただ、前日までの下げが急ピッチだったため、自立反発狙いの買いが入って相場を支えた。結局、前営業日比97円高の2万6985円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:123.90円を中心とする狭いレンジ取引

ドル/円は、本邦輸出勢などから継続的にドル売り・円買いが持ち込まれ、123.67円付近まで下落した。元日銀理事の早川氏が『日銀は早ければ今夏にもイールドカーブコントロール(YCC)政策の弾力化に動く可能性がある』との見解を示したことも、円買いにつながった。ただ、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次ぎ、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることから下値を追う動きは限られた。その後、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、123.95円付近へ値を持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、123.90円台を中心とする狭いレンジで取引された。今晩の米株価動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、10日に行われる仏大統領選の第1回目投票を前に極右政党ルペン候補の支持率が現職のマクロン候補を猛追しているため、同国の政局先行きを警戒したユーロ売り・ドル買いが入り、1.08ドル台後半から1.0855ドルふきへ下落する場面があった。

 

材料出尽くしが近づき金利差からの円安圧力はピークが近いか:野村証券

ドル/円が125円台に乗せた後、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で量的引き締め(QT)の方針が示されたものの、上値の重い展開となっている。野村証券は8日付の国際金融為替フラッシュのリポートで『米国でバランスシート縮小の方針が明らかになったことで、当面の米国の金融政策正常化は材料出尽くしが近づき、米日金利差面での円安圧力はピークが近づいていよう』との見解を示した。リポートでは『しかし、今週は豪州準備銀行(RBA)のタカ派化が明確になるなど、全体として見れば海外での金融政策正常化の機運は強まっている』とも指摘した。来週には13日のカナダ銀行(BOC)、およびニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策、14日の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えていることを踏まえ、『BOCは50bp利上げの公算が大きい。ECBもタカ派化の公算が大きく、クロス円主導での円安圧力が高まる可能性がありそうだ』とも指摘した。来週後半に欧米でイースターを控える中、ECB理事会後には持ち高調整による円買い戻しが広がる可能性もあるとみていた。

 

中国減速で4月の日本株買いシナリオに黄信号:JPモルガン

JPモルガンの8日付リポートで、足もとの日本株の軟調さは米連邦準備理事会(FRB)による引締め強化のみならず、中国・上海のロックダウンが長期化している点も関係していると指摘した。日経平均のザラ場時間帯のリターンは中国株のすう勢に影響を受けやすとの見方が示されている。リポートでは、中国景気下振れへの不安感が日本市場における中国向け売上比率の高いシクリカル銘柄などの回復を鈍らせている可能性があるほか、一部の海外投資家は中国株ダウンサイドに備えたヘッジとして、日本株でショートを構築していた可能性があるとも指摘している。さらに、上海のロックダウンが長引くほど外需銘柄での上値追いに慎重にならざるを得ないことから、『4月の海外勢による日本株買いシナリオ』が期待したほど鮮明化しないリスクがあるとし、フローの一部は外需を避け、リオープン観測を拠り所に『一部の内需銘柄を消去法的ながらも選好している』との見方も示された。

 

ロシアのデフォルトと欧州内の不協和音

米国政府が米国の中継銀行に対してロシアのドル建て国債の支払い禁止を命じたことを受け、ロシア政府はドルでの支払いを断念し、支払い相当額のルーブルを特別口座に保管する方針。猶予期間が終わる30日以内にドルでの支払いが行われない場合や、ルーブルでの支払いが執行された段階で、デフォルトと認定される可能性が高い。
 欧米がロシア向けの追加制裁を打ち出すなか、ハンガリー政府がEUの方針に反し、ロシア産のガス輸出代金をルーブルで支払うことを示唆。欧州委員会が法の支配の原則に違反するとし、同国向けのEU予算の停止手続きを開始したことに対抗した可能性がある。今後のロシアへの追加制裁の決定を巡っては、ハンガリーとEUの間の対立が影を落とす恐れがある。

 

トルコ中銀による4月の市場参加者調査結果の発表

トルコでは足もとのインフレ率が60%台を超えてきており、複数の米投資銀行も年後半まで高止まりするとの見通しを示している。そういったなか本日は、トルコ中銀による4月の市場参加者調査の結果が発表される。前回調査では、インフレ予測の中央値が年末は40%半ば、1年後が26%半ばだった。リラ相場への影響は限定的と思われるが、主要な市場参加者がどの程度まで物価の上振れを見込んでいるのかが参考になる。

 

海外投資家がトルコの不良債権購入に関心

一部通信社は、海外の資産運用会社や銀行がトルコの不良債権購入に関心を示していると報じた。記事によれば、現在トルコの銀行は大幅に延滞しているローンを500億リラ以上、くわえて不良債権を約1600億リラ抱えている。昨年末の規制緩和により、非居住者もそれら債権に投資できることになった。ロシアへの経済制裁が強化されるなかで、同国から流出した資本が行き場を探しているということも、トルコにとっては追い風になっている。

 

米国の労働市場のひっ迫を新たに証明

米先週分新規失業保険申請件数は16.6万件と、前回から予想外に減少し、1968年来で最低となった。労働市場のひっ迫を新たに証明した。パウエル議長は、労働市場が不健全な程ひっ迫していると見ており、速やかな引き締めが必要となる理由として挙げている。 米連邦準備理事会(FRB)が6日に公表した3月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、多くの高官が50bpの利上げを主張したが、ウクライナ戦争が不透明感を生んだため25BPにとどめたことが明らかになった。ただ、多くの高官が年内1回以上50BPの利上げが正当化される可能性を主張した。また、バランスシート縮小ペースでは米国債が600億ドル、住宅ローン担保証券が350億ドルと、各月950億ドル規模の縮小が適切となるとの見解で合意した。2017-19年のペースの2倍で、保有資産を1.1兆ドル減らす。

 

欧米市場イベント

○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:10   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:30   3月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○20:15   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:30   ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、ヘロドトゥ・キプロス中銀総裁、講演
○21:00   3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比11.00%)
○21:30   3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化8.00万人/失業率5.3%)
○23:00   2月米卸売売上高(予想:前月比0.8%)
○9日01:00   10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比5.0%)
○9日01:00   3月ロシアCPI(予想:前月比7.8%)
○10日 仏大統領選第1回投票

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/07/15:14:19

日経平均株価:米FRBの金融引き締めを警戒した売り優勢

前日の米国主要株価3指数が続落したことに連れて日経平均株価も寄り付きから弱含みで推移した。米長期金利が上昇する中、幅広い銘柄が売られ、心理的節目2万7000円を下回った。特に値がさのハイテク株や株価収益率(PER)の高い銘柄の下落が指数の重石となった。3月18日以来、およそ3週間ぶりに2万7000円を下回った。米FRBが金融引き締めを積極的に進めるとの観測から、リスク回避の売りが優勢となった。結局、前営業日比461円安の2万6888円と続落して終了した。3月第5週(28~1日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は3603億円の買い越しとなり、買い越しは6週ぶりとなった。個人投資家は915億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。信託銀行は1787億円の売り越しとなり、売り越しは3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融スタンスの違いからドルの下値は限定的

ドル/円は、日経平均株価の大幅安や米長期金利低下を背景にドル売り・円買いが先行し、123.47円付近まで下落した。しかし、日米金融スタンスの違いが明確になっているもともあり、下値を追う動きは限られた。その後は、米FRB当局者によるタカ派的な発言が相次ぎ、米国の金融引き締めが加速するとの思惑からドルの押し目買いが見られ、123.70円付近へ持ち直した。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、123.70円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。今晩の米国株価動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇が一服していることで、ポジション調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.0920ドル付近へ値を上げた。

 

本邦3月末外貨準備高は前年同月比で減少

財務省は7日、3月末の外貨準備高が1兆3560億7100万ドルだったと発表した。前年同月末に比べ、123億9400万ドル(0.9%)減少した。米国債の金利上昇(価格は下落)などにより保有債券の時価評価額が減少したことに加え、ユーロが対ドルで相場で下落したことによるユーロ資産のドル換算額が減少したことなどが影響した。前月比では285億200万ドル減少した。債券の利息収入や金価格の上昇で保有する金の時価評価額が増加した一方、ユーロの対ドル相場下落でユーロ資産のドル換算額が減少した。

 

欧州市場では2月ユーロ圏小売売上高が公表

1月実績は前月比+0.2%の小幅な伸びにとどまった。インフレ進行の影響が出ている。ネット通販も低調だった。2月については、高インフレの影響が引き続き残ること、食品や飲料の販売は伸び悩んでいることから、売上高の伸びは1月実績を下回る可能性がある。

 

トルコの観光業は不調でも軍需関連は好調

一部通信社が報じたところによると、1-3月期のトルコ防衛産業によるウクライナへの輸出額は5900万ドルを超えたようである。これは前年同期比の約30倍になる。ウクライナとロシアの戦争は、トルコの観光業にとってはかなりの痛手だが、軍需関連企業にとっては収益に繋がっている。

 

南アでは燃料価格の改定で今後の経済の変化に注意

6日より南アの燃料価格が引き上げられた。もっとも税率は下げており、国内の混乱は現時点では避けられている。ただ、同じ商品や食品を手に入れる場合でも、ガソリン代を負担して行くよりも、デリバリーの方が安価で買えるという考え方も広まっている。燃料価格の改定で今後、南アの経済動向に変化が出てくるかもしれない。本日も引き続き南アからの経済指標や政治イベント等も主だったものがないので、コモディティや株式市場の値動きを見ながらの取引になる。

 

ロシアのデフォルトリスク再浮上

米国政府はロシア向けの金融制裁の運営を強化し、ロシアが米国の金融機関に保有するドル資金を使ってドル建て国債の支払いを行うことを禁止した。4日に期限を迎えた元利払いは履行されなかった模様で、30日の猶予期間中にロシアが手元のドル資金で返済を履行しない限り、1998年以来の国債デフォルトとなる。仮に返済を履行した場合も、ロシアの債務返済は綱渡りが続く。特例措置が期限を迎える5月25日以降に、米国の金融機関がロシアの債務返済に関連した業務を継続できるかが次の焦点となる。

 

FOMC議事要旨の内容はタカ派:ブレイナードFRB理事の発言を裏付ける

ブレイナードFRB理事の発言を受けて、市場としてはある程度の覚悟をした上での3月FOMC議事要旨だったが、内容は思っている以上にタカ派的だった。先ず、0.25%の利上げについては、声明文ではブラード米セントルイス連銀総裁1人が反対票を投じたことのみ判明していたわけだが、実は『多数のメンバーが0.5%利上げを支持していたものの、ロシアのウクライナ侵攻を受けて0.25%に修正した』という内情が伝わってきた。また、5月FOMCでも正式に開始が決定される見通しとなっているBSの縮小、いわゆる量的引き締めについても『月額で米国債600億ドル、MBS350億ドルの950億ドルを上限として減額していく』方針であることも判明した。前回2017年のQTでは月額500億ドル程度だったことから、ほぼ倍額の減額ペースということ。前日のブレイナード発言を裏付ける内容だったことが分かる。

 

米国では高インフレ時代より深刻

現在の米10年債利回り2.5%と7.9%CPI(消費者物価)のギャップ5.4%は1970年代初頭の第1次石油危機時の4.7%や1980年代初頭の第2次石油危機時4.5%の高インフレ時代より深刻な高インフレを彷彿とさせる。つまり、多くの識者が予想するFF金利3%水準へのメジャード利上げで退治できるような生易しいインフレではない可能性が高く、5-6月FOMC連続0.5%利上げもまた政治問題化した40年ぶり高インフレ退治へのFRBの脱『behind the curve』戦略に他ならない。(※景気や物価の上昇に対して、意図的に利上げのタイミングを遅らせる金融政策のこと。FRB(連邦準備制度理事会)が伝統的にとるハト派寄りの金融政策として知られている。)

 

スーパーサイクル12年周期の上昇局面?:10年のインフレ時代到来

米FRBの『インフレ一過性』論が大外れした今、過去100年間で4回あったコモディティ『スーパーサイクル』の上昇12年相場の始動が注目される。1996年に始まった前回のスーパーサイクルは拡大の12年後の2008年の世界金融危機と共にピークを迎え、12年の下落を経て2020年に底を打ち、新しいスーパーサイクルの12年周期の上昇局面に『プーチンの戦争』や火山大噴火による寒冷化が掉さし、向こう10年のインフレ時代の到来を告げようとしている。

 

欧米市場イベント

○14:45   3月スイス失業率(季節調整前、予想:2.4%)
○15:00   2月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年同月比3.7%)
○18:00   2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比4.8%)
○20:00   3月メキシコCPI(予想:前年比7.36%)
○20:30   ECB理事会議事要旨(3月10日分)
○21:15   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.0万件/131.1万人)
○22:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○8日03:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、エバンズ米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○8日04:00   2月米消費者信用残高(予想:166.5億ドル)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/06/15:18:28

日経平均株価:米国株式の下落やさえないアジア株動きを嫌気

米国株式市場の下落を受けたほか、ロシアへの追加制裁に対する懸念などから市場センチメントが悪化した。日経平均は、下値の目安として意識されていた3月22日と同23日に開けた窓の下限値(2万7284.47円)を下回り、テクニカル面でも下値リスクを大きくした。また、休日明けのアジア株もさえない動きで、日経平均の重石となった。市場では、押し目買いで指数は下げ止まったが、米金融引き締め懸念やウクライナ情勢に対する警戒感が再び高まっており、上値は追えないとの声が聞かれた。前日比437円安の2万7350円と反落して終了した。信用評価損益率は1日申し込み時点でマイナス11.94%と、前の週のマイナス11.36%からマイナス幅が0.58ポイント悪化し、悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米金利先高観からドル押し目買い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、124.05円付近までじり高となった。前日にブレイナード米FRB理事からタカ派的な発言が伝わり、米国の金融引き締めペースが加速するとの思惑が浮上していることも、ドルの押し上げ要因となった。しかし、このところ政府要人から円安けん制発言が相次いでいることもあり、上げは一服した。その後、大口のドル売り・円買いフローが持ち込まれ、123.65円付近へ急速に値を下げる場面があった。午後は、米金利先高観からドルの押し目買いが入り、123.95円付近へ上昇した。ただ、7日未明に発表される米FOMC議事要旨を前に、積極的な上値追いは手控えられている。ユーロ/ドルは、1.0895ドル前後で小動きに終始した。

 

中国の22年経済成長率を5%に下方修正:世界銀行

世界銀行はこのほど、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や米国の利上げ、中国の成長鈍化などの影響を考慮し、2022年の東アジアと太平洋地域の経済成長率を5%に下方修正した。昨年10月時点での予想は5.4%だった。『信報』が5日、外電を引用して伝えた。うち、中国については、基本シナリオで成長率が5%になると予想。前回予想は5.4%だった。悲観シナリオでは、4%まで減速する可能性があるとした。

 

3月は新興国市場から資金が流出:国際金融協会

国際金融協会(IIF)が5日公表した非居住者資金動向によると、3月は新興国市場から98億ドルの資金が流出した。流出は1年ぶりとなった。中国からの資金流出が目立った。2月は133億ドルの流入だった。3月は株式から67億ドル、債券から31億ドル流出した。中国からは債券で112億ドル、株式で63億ドルが流出した。中国株式からの資金流出は2020年9月以来となった。中国を除く新興国市場では、債券に82億ドルが流入した。株式は4億ドル弱の流出だった。3月の動向にはロシアの数値は含まれていない。
中南米には108億ドルが流入。流入額は7月以降で最大だった。

 

トルコはインフレ高進でAKPの支持基盤も揺らぐ

トルコメディアは昨日、イスタンブール経済研究所が行った調査「トルコ・レポート」の結果を報じている。3月に実施された調査では、人々が収入のどの程度で出費を賄っているかを質問した。それによれば、調査に参加した人の60%近くが自分の収入だけでは支出をカバーするには不十分と答え、27%がやっとのことで賄えていると答えた。「収入が支出を上回っている」と答えた人はわずか7%で、6%が「余裕がある」と回答した。また今回の調査では、エルドアン大統領が率いる与党・公正発展党(AKP)の支持者にも経済的な苦境が及んでいることがハッキリとした。AKP支持者の約4割が「収入が支出をカバーできていない」と回答している。大統領選も行われる次の総選挙まで約1年となった。2018年6月選挙では全国で42%超の得票率だったAKPが、どの程度まで率を落とすかが次回の焦点となるかもしれない。 

 

南アでは本日から燃料価格の引き上げ:貧困層を中心に大きな痛手

本日6日から南アでは燃料価格が引き上げられる。今回はガソリンの上げ幅はリッターあたり28-36セント程度で抑えられるが、これはゴドンワナ財務相が、5月末まで一般燃料税を1リットル当たり1.5ランド引き下げると発表したことによる。価格を急激に上げると、貧困層を中心に南ア経済にとって大きな痛手となるため、ダメージ軽減の対策である。しかしながら財政的にそれほど余裕があるわけでもなく、5月末以後もこの減税が続くのかは分からない。

 

ブレイナード理事のタカ派発言に市場はサプライズ

連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、インフレを押し下げることが最重要で、一連の利上げで、系統的に引き締めを継続するFRBの方針を再表明した。さらに、バランスシート縮小を17-19年に比べてかなり速やかに実施していく方針も再表明した。早くて5月連邦公開市場委員会(FOMC)に速やかにバランスシート縮小する可能性が強いと言及した。同総裁は通常ハト派、または中立として知られることから、タカ派発言はサプライズととらえられている。また、同時に、FRBの中でも議長と同じく影響力が強い副議長候補でもあるため、市場は同氏の発言を重要視している。ブレイナード理事は『バランスシート縮小は3月の見通しに示された以上に引き締め効果がある』としている。FRBは利上げとバランスシートの縮小の効力は同じとしており、利上げ幅を25ベーシスポイントに抑え、保有資産の縮小を加速させていく選択肢もある。どちらにしても、金利上昇に伴うドル買いが継続すると見られる。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表

3月15-16日に開催された米FOMCでは0.25%の利上げを決定したほか、年内は毎回の利上げ実施の見通しが示された。想定以上にタカ派色の強い内容なら金利高・ドル高要因となりやすい。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.2%/前年同月比5.4%)
○16:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:30   3月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:57.8)
○18:00   2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.3%/前年比31.5%)
○19:45   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:4.00%に引き上げ)
○22:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○23:00   3月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:60.0)
○23:30   EIA週間在庫統計
○7日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月15日-16日分)
○北大西洋条約機構(NATO)外相理事会(ブリュッセル、7日まで)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/05/15:15:00

日経平均株価:材料難から上下に振れにくい展開

朝方は、米国株式市場の上昇を好感して高寄りしたものの、NYダウ先物が軟化したことなどから徐々に見送られ、動きに乏しい展開となった。日経平均で2万8000円を超えた上値水準は重さが意識されるとの指摘もあった。市場では、ウクライナ情勢、原油価格、為替動向など環境面に不透明感が漂う中で決め手となる材料に欠き、上下いずれにも振れにくくなっているとの声が聞かれた。結局、前営業日比51円高の2万7787円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢のドル買いから122円半ばでもみ合い

ドル/円は、黒田日銀総裁が衆院財務金融委員会に出席し『今回の為替相場の変動はやや急だと思っている』との見解を示した。この発言が円安けん制と受け止められると、ドル/円はドル売り・円買いが強まり、122円台後半から一時122.37円付近まで下落した。しかし、本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、122円台半ばへ切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、122.50円前後でもみ合いとなった。今晩公表される3月米ISM非製造業景況感指数や米FRB当局者の発言を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の金利上昇抑制策の持続余地と一服を睨む展開

日銀は3月後半以降、長期金利の上昇を抑えるため、特定の利回りで国債を無制限に買い入れる『指し値オペ』を強化させた。一方で日銀の指し値オペについては、日本の大中小企業や金融機関による3月『年度末』の決算対応や資金繰り配慮、コロナ打撃配慮などで強化された可能性もある。同時に日本の政府・与党サイドからは、急激な円安による輸入物価押し上げリスクなどの円安弊害も懸念され始めた。その中で日銀が3月期末対応の一段落もあって金利上昇の抑制を後退させたり、政府・与党・日銀から円安のスピード面でのけん制発言が出てくると、ドル/円、クロス円で短期調整的な円高と外貨安が後押しされる。

 

10年物国債金利を7年ぶり上げへ

本邦財務省は5日実施の10年物国債の入札で、国債の額面価格に対する利子の割合を示す表面利率を、現在の年0.1%から0.2%に引き上げる見通しである。米国の急激なインフレと金利上昇の影響で、日本でも長期金利が上昇しているためで実勢に合わせる。10年物国債の利率引き上げは2015年3月以来、7年ぶりとなる。入札は4月発行分から。利率引き上げは住宅ローン金利の上昇や、国の利払い費の増加といったさまざまな影響が出る可能性がある。

 

トルコのインフレ改善の見通しが立たない

3月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比61.14%と予想をやや下回ったが、約20年続くエルドアン政権下では最高水準を記録した。市場の反応は鈍かったものの、インフレ改善の見通しが立たないなかでリラの買いづらさは意識されたままである。3月インフレ指標では、コアCPIも前年比48%台まで上昇し、生産者物価指数(PPI)にいたっては前回105.01%から115%近くまで伸び率が加速した。昨日の指標結果を受けて複数の米金融機関は、年終盤にかけてトルコのインフレ率は65-70%台で推移する可能性があると予想している。ただ、トルコ中銀は為替リンクの預金保護制度に注力しているため、CPIに対応(利上げなどで)することはないと見ている。

 

保険各社は米景気後退を想定:ゴールドマン調査

保険各社の幹部(運用資産総額13兆ドル超=約1600億円)は米国が近い将来にリセッション(景気後退)に陥ると見込んでいることが、ゴールドマン・サックス・グループ実施の年次調査で明らかになった。調査対象となった最高投資責任者(CIO)や最高財務責任者(CFO)328人のうち、60%余りが米国は今後2-3年に景気後退に見舞われると予想した。今回の結果は『世界的に見通しの明確なシフト』を示唆していると、ゴールドマンはリポートで説明した。保険会社の3分の1強は、今後12カ月に最も高い総リターンが見込まれる3大資産に商品(コモディティー)を挙げた。同項目は過去3年間にわたってプライベートエクイティー(PE)や新興国株が独占していた。

 

米国市場では2月貿易収支が公表:予想は▲885億ドル

1月実績は▲897億ドルだった。輸入の増加によって赤字幅は市場予想を上回り、一段と拡大した。2月については、輸出額が急増する可能性は低いとみられており、輸入に対する需要が依然として堅調であることから、貿易赤字額は1月実績に近い水準となる可能性がある。

 

米国市場では3月ISM非製造業景況指数が公表:予想は58.4

2月実績は56.5で1月実績を下回った。新型コロナウイルスの冬場の感染再拡大の影響が消えていなかった。3月についてはロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響が表面化するが、雇用情勢の改善、サプライチェーン(供給網)のひっ迫は解消されつつあること、受注残は高水準を伊jしていることから、2月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:45   2月仏鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○16:50   3月仏サービス部門PMI改定値(予想:57.4)
○16:55   3月独サービス部門PMI改定値(予想:55.0)
○17:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:54.8)
○17:30   3月英サービス部門PMI改定値(予想:61.0)
○21:30   2月カナダ貿易収支(予想:29.0億カナダドルの黒字)
○21:30   2月米貿易収支(予想:885億ドルの赤字)
○22:45   3月米サービス部門PMI改定値(予想:58.9)
○22:45   3月米総合PMI改定値(予想:58.5)
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:58.4)
○23:05   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○6日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○6日03:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加

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