FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/18/15:14:47

日経平均株価:米長期金利の上昇や米国株先物の軟調を嫌気した売り

イースターで主要海外市場が休場となったため手掛けにくさが強調される中、米長期金利が上昇、つれて米国株先物も軟調に推移したことが嫌気され、日本株は朝方から軟調な動きが続いた。また、中国経済の減速懸念に加えウクライナ情勢を巡る不安が根強く、幅広い銘柄に売りが出た。市場では3月期企業の決算発表が本格化することで、全般に様子ムードが広がり、商いは総じて細かった。結局、前営業日比293円安の2万6799円で終了した。

 

東京外国為替市場:20年ぶりのドル高・円安を更新

ドル/円は、米長期金利上昇を眺めて126円台半ばから一時126.79円付近まで値を上げ、およそ20年ぶりのドル高・円安を更新した。しかし、黒田日銀総裁が衆院決算行政監視委員会に出席し『為替の過度に急激な変動はマイナスに作用することも考慮する必要がある』『為替相場をより注視していく』などと発言すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、126.25円付近へ下落した。その後、日銀総裁が金融緩和を続けていく方針を改めて示したことで、126.60円付近へ値を持ち直す荒い値動きとなった。中国国家統計局が発表した1-3月国内総生産(GDP)や3月小売売上高などの指標は、強弱入り混じった内容だったこともあり、ドル/円相場への影響は限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、126.60円台を中心とする狭い値幅でもみ合いとなった。今晩の米株動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、イースターマンデーで海外勢の流動性が低下しているため、積極的な売り買いは目立たず、1.0795ドルを挟んで小動きに終始した。

 

ドル買い比率が小幅に上昇:豪ドル買い比率は低下

QUICKが18日算出した店頭の外国為替証拠金5社合計の建玉状況によると、15日時点で円に対するドル買い比率56.7%と前の週末から0.5ポイント上昇した。前週は日銀の黒田総裁の発言をきっかけに円相場が一時1ドル=126.70円と約20年ぶりの安値をつけた。利益確定を目的とした円買い・ドル売りが入る一方、円安・ドル高基調は変わらないとの見方から週後半にかけて『ドルに買戻しが入った』という。オーストラリアドルやユーロに対しては円を買い戻す動きが目立った。『豪ドル・円』の取引で総建玉に占める豪ドル買いの割合は前の週末と比べ2.9ポイント低い58.8%、『ユーロ・円』鳥非違でのユーロ買い比率は20.4%と同1.8ポイント低下した。

 

4ヵ月ぶりに中国預金準備率下げ:経済停滞に対応

中国人民銀行(中央銀行)は15日、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す『預金準備率』を引き下げると発表した。25日から0.25~0.5%下げる。新型コロナウイルスの感染拡大を徹底して抑え込む『ゼロコロナ』規制で経済が停滞していることに対応する。準備率の引き下げは2021年12月以来、4カ月ぶりだ。準備率を下げると市中銀行が人民銀に預けるお金が減り、貸し出しなどに回すお金が増える。大手行などの引き下げ幅は0.25%だ。経営範囲が1つの省にとどまる日本の地銀相当の都市商業銀行や農業協同組合に似た農村商業銀行は0.5%下げる。地銀などが顧客層とする中小零細企業や農家の資金繰り支援に重点を置く。人民銀によると、計5300億元(約10兆円)の長期資金が市場に放出される。銀行の資金コストが年65億元下がると見積もる。

 

20日の3月貿易収支と21日の日米財務相会談に注意

米国財務省は、ドル高は米国経済の喫緊の課題であるインフレを抑制する要因でもあり、ドル売り・円買いの為替介入の可能性は低い。しかし、21日に開催予定の日米財務相会談には要警戒となる。3月のFOMC議事要旨では、『ウクライナ情勢の不確実性により、0.50%ではなく0.25%の利上げに留まった』ことが示された。ウクライナ情勢が悪化した場合、5月FOMCでの利上げ幅が0.25%に留まる確率が高まることには要警戒である。経済指標では、日本の3月の貿易収支は48億円の小幅な赤字と予想されている。リスクシナリオとしては、貿易黒字だった場合だが、2月の経常収支黒字に続いて、構造的な円安要因が緩和される可能性が高まる。

 

トルコ政府は中銀への外貨収入売却の比率を引き上げ:企業の活動意欲の低下も

トルコ当局は先週、輸出業者に義務付けている中銀への外貨収入売却の比率を25%から40%に引き上げることを正式に決定した。本日から拡大された比率が適用される。これにより、8日時点で183億ドルとされたネットの外貨準備高の増加が見込め、リラにとっても一先ず支援材料とされる。もっとも、確かに現状の準備高は年初の80億ドル割れから持ち直しているが、昨年12月前半の水準には回復していない。通貨スワップでなんとか体裁を整えているとも言われており、準備高不足への危惧を後退させるにはまだ時間がかかる。また今回の措置は、企業の資金繰りを縛ることにもなりかねない。エルドアン大統領は輸出業者に対する融資金利の優遇策を打ち出しているが、外貨収入への規制強化によって企業の活動意欲が低下する可能性もある。

 

南アの2月消費者物価指数(CPI)に注目:利上げ幅拡大への思惑

今週の南アからの注目イベントは、20日発表の消費者物価指数(CPI)です。2月分でもあり、ウクライナ侵攻後の原油急騰の影響はある程度限定されていると思われる。ただし、予想よりも強い結果となれば、南ア準備銀行(SARB)の利上げ幅拡大への期待が高まる。なお、次回金融政策委員会(MPC)は5月19日の予定である。南ア財務省によると、北米、欧州、アジア、アフリカの年金やヘッジファンド・金融機関など、さまざまな投資家が南ア債への関心を示していることが明らかにされた。財政状態の改善、他の新興市場(特にロシアやトルコなど)と比較した場合の相対的な『安全な避難所』としての魅力も、ランド/円の買い要因である。

 

メキシコのトラック運転手が抗議デモ:米国のインフレ圧力が高まる恐れ

メキシコでは米国との国境付近でのトラック運転手によるストライキが話題となっている。バイデン米政権が新型コロナウイルス関連の国境規制を終了すると、共和党のアボット・テキサス州知事がこれに反対して州国境での安全検査強化を発表した。対してメキシコのトラック運転手が抗議デモを起こし、国境の主要な商業用道路が通行停止状態に陥っている。市場ではこの抗議デモによって米国内でサプライチェーンが混乱し、さらにインフレ圧力が高まる恐れがあるとして、米国への影響も懸念されている。

 

米経済の今後12ヵ月のリセッション入り確率は15%:ゴールドマン

米連邦準備理事会(FRB)が3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを開始する一方、インフレ懸念が根強く米経済の景気後退(リセッション)入りが警戒される中、ゴールドマン・サックスは17日付のリポートで『表面的には、米国の過去の引き締めサイクルもソフトランディングの可能性が低いことを示唆している。第二次大戦後、14回の引き締めサイクルのうち11回は2年以内にリセッションが続いた』との見解を示した。リポートでは、明るい材料としては、これらの景気後退のうち8つだけが、部分的にもFRBの引き締めに起因している可能性があり、最近では軟調、軟調な踊り場がより一般的になっていることだと指摘している。その上で、額面通りに見れば『これらの歴史的パターンは雇用・労働者格差を縮小し、インフレ率を2%の目標に戻すことを目指しているFRBがソフトランディングへの困難な道に直面していることを示唆している』としながら、『しかし、リセッションを回避しつつ景気を冷やすというFOMCの目標は、コロナ後の労働供給と耐久財価格の正常化によって促進されるため、不況が避けられないとは思わない』とも指摘した。それにも関わらず、歴史的なG10諸国のエビデンスを踏まえるとリセッション入りの確率は通常よりも高いことを示唆しているとしながら、今後12カ月のリセッション入り確率を15%、今後24カ月のリセッション入り確率を35%と見込んでいる。

 

欧米市場イベント

○23:00   4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:77)
○19日05:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合と関連イベント(ハイブリッド形式、24日まで)
○ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、南アフリカ(ファミリーデー)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/15/15:22:38

日経平均株価:海外市場休場で模様眺めムード強く売りやや優勢

前日の米国株安が嫌気されたほか、イースターで海外市場が休場となることから、模様眺めムードになった。新たな手掛かり材料に乏しく、ファーストリテイリングなど好決算を発表した銘柄は買われたものの、全体的には見送られた。半導体関連株などが売られ、一時下げ幅は380円を超える場面もあった。結局、前営業日比78円安の2万7093円と3日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:短期筋などによる仕掛け的なドル買い

ドル/円は、朝方に126.25円付近まで上昇したものの、上値を追う動きは鈍くなり、しばらくは126.20円前後で停滞した。鈴木財務相が『為替の安定は重要、急速な変動は望ましくない』と円安けん制発言したものの、従来発言の繰り返しだったことから、ドル/円相場への影響は限定的だった。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、13日につけた126.36円付近までドル買い・円売りが進んだ。仲値発表後もドル買い基調が続き、126.56円付近まで再度高値を更新した。海外市場がイースター休暇入りしていることから、市場が閑散となっているところに短期筋などによる仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれたことも、ドル/円相場上昇要因の一つとなった。その後は、一定の高値警戒感も広がったことから、小幅に値を下げ126.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。午後は、海外勢のイースター休暇や週末を控えて、ポジション調整の売り買いに終始する参加者が多く方向感が出ず、126.30円台を中心とするレンジで取引された。何度か新値付けをトライしようとする値動きがあったものの、参加者が少ないことから追随がなく、ことごとく失速した。なお、本日は岸田首相の『日銀の政策は為替誘導のために行われているもではない』との発言も伝わっていたが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、欧州勢の多くがイースター休暇に入ることで、参加者が極端に少なかったため、1.08ドル台前半でこう着した。

 

ウクライナでは22年3割超の減少:ウクライナ中銀

ウクライナ中銀は、ロシアの侵攻により今年のGDPは少なくとも3分の1減少し、インフレ率は20%を超える可能性があるとの見通しを示した。一方、現時点では固定為替相場の維持がなお重要としながらも、通貨市場の均衡が取れ次第、変動相場制に戻す方針と説明している。

 

ECBは政策金利据え置き:早期利上げ観測が後退

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利据え置きを決定した。資産購入プログラムを第3四半期に終了する可能性が高まったと指摘したほか、量的緩和策の終了後しばらくして利上げに踏み切る方針を表明した。ラガルド総裁はその後の会見で、ウクライナ戦争が欧州経済に著しいリスクとなり、不透明性が非常に高いと慎重姿勢を強調した。また、量的引き締め(QT)に関する言及は時期尚早との見方で、米国経済とは相違すると述べ、タカ派色が予想されていたほど強くなく、早期利上げ観測の後退した。

 

トルコ中銀は政策金利を据え置き:インフレの見通しは楽観的

トルコ中銀・金融政策委員会(MPC)は14日、政策金利を14.00%で据え置くことを決定した。4会合連続の据え置きは市場の予想通りだった。声明では物価上昇のペースはいずれ鈍化すると、これまでと同じ『楽観的な』見通しを示した。今後リラの上値を抑えそうな要因は、やはりウクライナ情勢の悪化。中銀声明では、今後インフレが抑制される理由として『進行中の地域紛争の解決』を挙げている。しかしながらプーチン露大統領は強硬な姿勢を崩さず、現状ではウクライナとロシアの戦闘激化は避けられそうにない。トルコ中銀MPCの見方は、あまりにも期待感が先行し過ぎている。

 

南アでは大雨による洪水:今後の経済指標に注意

今週に南ア東部クワズールナタールの一部を襲った大雨による洪水の影響で、南アのトヨタ工場が操業停止となっている。洪水による被害が今後も深刻になる可能性もあり、今後の経済指標にも要注目である。

 

メキシコの政策金利は年末には7.75%か

市場調査会社フィッチ・ソリューションズは、『中南米地域の中央銀行はインフレ圧力の高まりを受け、積極的な利上げサイクルを今後数カ月に渡って延長することになる』と予想している。また、メキシコ銀行(中央銀行)も年末までに追加で125bpの利上げが実施されるとしている。メキシコの政策金利は現在6.50%なので、今年の年末には7.75%まで上昇する計算となる。

 

米FRB高官の相次ぐタカ派発言:急速な金融引き締めに傾斜

米国のインフレがピークに近いとの見方も浮上する中、FRBの高官はFRBの金利を中立水準に引き上げる必要性を強調した。ウォラー理事もCNBCとのインタビューで、インフレはピークに達したとの認識で、今後、減速するとの見通しを再確認した。ただ、インフレを目標の2%に引き下げるため5月FOMCでの0.5%ポイントの利上げのみならず、6月、7月も同ペースで追加利上げの必要性を指摘した。パンデミック以降、政府の支援策も加わり世帯の貯蓄が膨らんでいるため今後も消費の伸びに期待でき、経済が積極的な利上げに耐えうるに十分な程強く、高インフレに対処する良い機会だと訴えた。また、景気後退入りを回避できると自信を表明。2022年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するブラード・セントルイス連銀総裁は、英フィナンシャルタイムズとのインタビューで、緩やかな利上げでインフレが抑えられると思うのは『幻想』、との考えを示した。成長を抑制する水準まで利上げする必要性を強調し、やはり、5月FOMCでの50ベーシスポイントの利上げに続き、急速な引き締めが必要との考えを示している。

 

1年以内の景気後退確率が28%:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスは14日付リポートで、『インフレ率の上昇、新型コロナウイルスの回復による成長の鈍化、および歴史的に厳しい労働市場のため、投資家の間でスタグフレーション(インフレと景気後退が同時に進行)の懸念が依然として高い。そして、米連邦準備理事会(FRB)が1990年以降で最も急な利上げサイクルの一つに乗り出したことで、景気後退リスクへの懸念も高まっている』と指摘している。景気先行指標や一致指標を分析すると、景気敏感に対するディフェンシブのバリュエーション(投資尺度)、米2年債と10年債の利回り曲線などに強気と弱気の混同したメッセージを送っている。市場が示唆する景気後退確率の現在の水準は20~30%であり、歴史的には12カ月以内に28%の割合で景気後退が起こるとも分析した。リセッション(景気後退確率)確率が60%を超えた場合にのみ、12カ月以内にリセッションが発生しない事例はほとんどなかったという。市場が暗示する景気後退の可能性は助けになるが、早すぎる売却はポジティブな株式リターンの放棄を意味することから、景気後退前後の市場タイミングは明らかに難しいとしつつ、『資産配分では株のオーバーウエート株を維持するが、低確率でも影響が大きいテールリスクのヘッジによるリスク管理に注力する』との見解を示した。

 

欧米市場イベント

○15:45   3月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.4%/前年比4.5%)
○21:30   4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:1.0)
○22:15   3月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
          設備稼働率(予想:77.8%)
○16日05:00   2月対米証券投資動向
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・債券・商品市場が休場。

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/14/15:15:48

日経平均株価:外部環境の落ち着きを好感した買い優勢

前日の米国長期金利低下や米ハイテク株高を好感した。外部環境が落ち着いているほか、米消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)など注目されていた指標の発表を通過し、投資家の警戒ムードが和らいだ。また、中国当局による金融緩和などの政策期待で米国株先物やアジア株もしっかりとした流れとなり、日経平均はじりじりと上値を伸ばす展開になった。市場では、米国金利低下など外部閑居の落ち着きに加え、投資家心理も改善した。ただ、イースター休暇を控え、売り方の買い戻しが進行したとの声が聞かれた。4月第1週(4日~8日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家(外国人)は6857億円買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。個人投資家は2951億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。信託銀行は4930億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下を眺めドルの上値が重い

ドル/円は、シドニー市場のドル売り・円買いの流れが続き、開始直後に一時125.21円付近まで下値を広げた。その後は、日経平均株価が堅調なことでドル買いは戻され、125.40円台まで反転した。さらに、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、125.58円付近まで上値を伸ばした。ただ、仲値発表後に、国内輸出企業などのドル売り・円買いも見られ、125.30円台へと下落し、行って来いの展開になった。午後は、米長期金利が低下したことで、日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いとなり、一時125.10円付近まで値を下げた。当局が神経質になっていることは市場心理を圧迫しており、円を売りづらい雰囲気が広がった。ユーロ/ドルは、今晩予定されているECB定例理事会を控えて、ポジションを一方向に傾けにくいことから、様子見ムードが広がり、1.09ドル台前半でもみ合いとなった。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会:主要政策金利は据え置きの公算

ロシアのウクライナ侵攻を受け、経済見通しに対するリスクは大幅に増大した。ECB理事会はインフレ率が中期的に目標の2%で安定するとの基本シナリオを維持しているが、ウクライナでの戦争は、供給サイドの制約を再び悪化させる可能性があることから、利上げ時期が多少早まる可能性は残されている。

 

スタグフレーションへの懸念:運用者は景気悪化の表面化に身構え

エネルギー危機と中央銀行のタカ派傾斜が主要国経済を1970年代のようなスタグフレーションに陥らせる。現時点でこの可能性は高くはないが、特に欧州の運用者の間でこのシナリオについて懸念が高まっている。今月のバンク・オブ・アメリカ(BofA))のファンドマネジャー調査によると、経済成長を巡る楽観は過去最悪に落ち込んだ。スタグフレーションの予想は66%と2008年以来の高水準に上った。米国の3月インフレ率は1981年以来の高さだった。運用者は景気悪化の表面化に身構えており、欧州の運用会社でその傾向が強い。

 

トルコ中銀・金融政策委員会では政策金利の発表:声明文に注目

トルコ中銀・金融政策委員会(MPC)では、『政策金利、14%で据え置き』を4会合連続で決定することが確実視されている。ただ、足元のインフレ加速度はMPCの想定を超えているはずであり、(大統領の意向で)利上げが出来ないにしても『緩和サイクル休止の延長』を話し合っていてもおかしくはない。インフレ高進への警戒感も含めて、声明文に何かしら明示されるか注目される。一方でMPCがこれまで通り、年後半にかけてのインフレを楽観視している可能性もある。資源価格高騰の原因である露ウクライナ戦争の出口が見えないにもかかわらず、インフレ抑制の手立てなしとなれば、当然ながら市場の失望を誘うことになる。

・20:00 トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)

 

南アが運用先として安全な避難所としての魅力増加

ここ最近のランド買いの一因としては、南ア債の入札が好調なこともある。南ア財務省によると、英国、北米、ヨーロッパ、アジア、アフリカのファンドマネージャー、年金、ヘッジファンド、銀行など、さまざまな投資家が関心を示していると発表している。また、ウクライナへの侵攻により南アフリカの交易条件の見通し改善、財政状態の改善、および他の新興市場(特にロシアやトルコなど)と比較した場合の相対的な『安全な避難所』としての魅力も要因とされている。なお、昨日発表された南アの小売売上高が市場予想よりも弱く、前年同月比ではマイナスとなった。2月末からロシアのウクライナ侵攻もあることで、3月も伸び悩むと、インフレと景気停滞が同時に進む、スタグフレーションが懸念される。

 

米3月PPIは過去最大の伸び:インフレが3月でピークとの見方も

米3月生産者物価指数(PPI)は前月比+1.4%となった。伸びは2月+0.9%から予想以上に拡大し少なくとも2009年以降で最大を記録した。前年比でも+11.2%と、2月+10.3%から予想以上に伸びが拡大した。また、変動の激しい食料や燃料を除くコア指数は前月比+1.0%と、2月+0.4%から予想以上に伸びが拡大し、過去最大となった昨年7月に並んだ。また、前年比では+9.2%と、2月+8.7%から伸びが拡大しやはり過去最大を記録した。ただ、コアCPIが鈍化の兆しを見せたため、インフレが3月でピークとの見方も根強く、金利は低下した。 

 

米国市場では3月小売売上高が公表:予想は前月比+0.6%

2月実績は前月比+0.3%だった。ガソリンスタンドとフードサービスの販売が主に増加した。個人消費意欲はまずまず堅調との見方はあるものの、インフレ高進の影響は無視できないため、ガソリンスタンド、フードサービスを除く部門の売上が伸び悩んだ場合、全体の売上高は予想下回る低い伸びにとどまる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.3%/前年比5.6%)
        コア指数(予想:前月比1.3%/前年比5.6%)
○15:30   3月スイス生産者輸入価格
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   2月カナダ製造業出荷(予想:前月比3.6%)
○21:30   2月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○21:30   3月米小売売上高(予想:前月比0.6%/自動車を除く前月比1.0%)
○21:30   3月米輸入物価指数(予想:前月比2.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:17.1万件/150.0万人)
○23:00   2月米企業在庫(予想:前月比1.3%)
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:59.0)
○15日04:50   メスター米クリーブランド連銀総裁、討議に参加
○インド(ジャイナ教マハビラ生誕日)、ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/13/15:16:11

日経平均株価:全体的に自律的な切り返し

米国株安、予想を下回る機械受注など悪材料が重なったものの、前日までの動きが下げ過ぎとの警戒感も生じ、全体的に自律的な切り返しに転じた。また、米長期金利の上昇に一服感が出たことで、グロース(成長)株を中心に買いが入った。中国経済の先行きを巡る過度な警戒が後退したとの見方から、海運や機械といった景気敏感銘柄の一部にも買いが集まった。結局、前営業日比508円高の2万6843円と3営業日ぶりに反発した。信用評価損益率は8日申し込み時点でマイナス12.7%と、前の週のマイナス11.94%からマイナス幅が0.76ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇していることでドル堅調推移

ドル/円は、日経平均株価が堅調なスタートとなったことを好感してドル買い・円売りが先行し、125.55円付近まで上昇した。その後も、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、125.64円付近までじり高となった。米長期金利が上昇したこともドル買い・円売りを促した。仲値発表後に上値を125.65円まで伸ばしたものの、その後は利益確定やポジション調整のドル売り・円買いに押され125.40円台へと上げ幅を縮めた。午後のドル/円は、米長期金利が緩やかに上昇を続けていることで、ドル買い基調となり、125.40円台から125.73円付近まで値を上げた。日経平均株価が堅調なこともドル買い・円売りを促した。ただ、11日付けた125.77円が意識されると、上値が重くなった。その後は、米3月卸売物価指数(PPI)の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、125.60円台を中心とするレンジで小動きとなった。ユーロ/ドルは、1.083ドル台を中心とする狭いレンジの展開になった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀は来年末まで政策変更なしと予想:UBS証券

UBS証券は13日付のリポートで『メインシナリオは、来年末まで政策変更はなし』との見解を示した。リポートでは、今後、消費者物価指数(CPI)のインフレ率が約2%にまで上昇するものの、日銀の金融政策は変更はないと想定するとしながら、『この見方は今年2月から変更ない。しかし、3月半ば以降の急速な円安と米国における更なる金利上昇がこの見方を揺るがしている』と指摘している。日銀が動かない4つの理由として、①円安が日本経済にとって差し引きプラスになると日銀が述べている、②度重なるコロナ感染症の波により日本の経済回復は停滞しており、マイナスの需給ギャップが依然大きい、③インフレの主因はエネルギーと食料であり、これは国内総生産(GDP)成長率にマイナス要因となることから、2%のインフレ率は持続不可能とみられる、④現在の政策金利に関するフォワードガイダンス『円安が急すぎると判断すれば、財務省による円買い介入もあり得るだろう』とみている。

 

欧州市場では2月ユーロ圏鉱工業生産が公表:予想は前月比0.0% 午後6時発表

1月実績は前月比で横ばいとなった。非耐久消費財の生産は増加したが、耐久財、鉄鋼などの中間財、機械などの資本財は減少した。2月については非耐久消費財の生産水準はあまり変わっていないこと、資本財の生産が大幅に増加することは期待されていないことから、前月比で横ばいとなる可能性がある。

 

強引なトルコリラ支え策持続性に疑問も

『トルコ国会で与党・公正発展党(AKP)が外貨をリラに交換した企業に対する税制優遇措置の延長法案を提出した』と報じられ、リラ需要の高まりを期待した買いが入った。一部報道によればトルコ当局は、輸出企業に義務付けていた『外貨収入の25%を中銀に売却(リラ購入)』について、その割合を50%まで拡大を検討している。前述した税制優遇措置や、昨年末に導入した定期預金の保護策もそうだが、リラ支援策が力尽く過ぎる感は否めない。足元でのリラ相場は確かに底堅くはあるが、1年前との比較では、対ドルでまだ約44%も価値を落とした水準である。エルドアン政権の強引なリラ支え策は財政的にも長く続けられるわけもなく、急に梯子を外される可能性もあるということは念頭に置いておく必要はある。

 

南アランドはコモディティ価格の動向に振れる展開

南アからもネガティブなニュース(弱い製造業生産、電力負荷制限再開など)が出ているが、市場はほぼそれらのニュースには反応が鈍いままである。また、ネガティブなニュースよりもロシアのウクライナ侵攻で、コモディティ価格などが基本的には買い地合いが続くと見込まれていることのほうが、ランド市場には大きな影響を与えていると言える。本日は南アの2月小売売上高が発表される。前年比では1.1%程度の上昇が予想されている。来週の2月消費者物価指数(CPI)ではランドも動意づきそうだが、小売売上高でランド相場が上下することを期待するのは難しい。

 

メキシコでは国民投票で大統領の続投を支持

メキシコでは10日、ロペスオブラドール大統領の解職の是非を問う国民投票が実施され、90%超が大統領の続投を支持したことが明らかになった。この国民投票は大統領が積極的に推し進めて実施されることになったわけだが、投票率自体が全体の20%を下回っており、野党側は大統領のパフォーマンスに過ぎないと批判している。

 

米3月CPIコア指数の鈍化でインフレピーク期待

米労働省が発表した3月消費者物価指数(CPI)は前月比+1.2%と、予想通り2月+0.8%から伸びが拡大し2005年9月以降17年ぶり最大となった。前年比では+8.5%で、伸びは2月+7.9%から予想以上に拡大し、1981年12月以降ほぼ40年ぶり最大となった。食料品やエネルギー価格の上昇が押し上げた。また、CPIの3分の1を占める家賃の伸びは前月比+0.5%、前年比で+5%と、1991年5月来で最大の伸びとなった。一方で、中古車価格の値下がりが、物価上昇を抑制した。パンデミック以降、物価を押し上げてきた中古車・トラックは前月比-3.8%、前年比では+35.3%と依然大幅高だが、上昇が一段落し始めた可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している変動の激しい食料やエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.3%と、予想外に2月+0.5%から鈍化し昨年9月来で最低になった。前年比では+6.5%と、2月+6.4%から拡大し1982年8月以降40年ぶり最大の伸びを記録したものの、予想は下回った。
コア指数は鈍化の兆しを見せたが食料品やエネルギー価格が下げ止まる兆候は見られず、一段の上昇が警戒される。また、高インフレが家計を圧迫している証拠が見られつつあり、いずれ消費鈍化にもつながる。

 

ブレイナードFRB理事は前回に比べタカ派色弱める

米連邦準備制度理事会(FRB)の副議長指名のブレイナード理事は、コアCPI指数の低下を歓迎すると述べた。しかし、インフレは高過ぎるとの見解で、中国のロックダウンやウクライナ戦争がインフレの上方リスクになると見ている。利上げのペースに焦点を当てたくないとし、FRBは金融政策を入念に引き締めていくとの言及にとどめ、利上げ幅に関する言及を避けた。また、バランスシート縮小に関しては早くて5月に決定し、6月から開始する可能性があると指摘した。理事の発言は、前回に比べタカ派色が若干弱まった。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%/前年比6.7%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比5.3%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.9%/前年比8.8%)
○15:15頃   黒田東彦日銀総裁、あいさつ(第97回信託大会)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   2月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.1%)
○21:00   2月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲1.1%)
○21:30   3月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.1%/前年比10.6%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比8.4%)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.00%に引き上げ)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   マックレムBOC総裁、記者会見
○14日02:00   米財務省、30年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/12/15:16:02

日経平均株価:米金融引き締めや中国での感染拡大を警戒した売り優勢

米国株安を受けて安く始まった後も、徐々に下げ幅を拡大した。米国で3月消費者物価指数(CPI)の発表を控える中、米国での金融引き締めへの懸念から積極的な買いが手控えられたほか、中国での新型コロナ感染拡大による景気減速への警戒感が重石となった。半導体関連や電子部品などのハイテク株や、高PER株、中国関連株など幅広く売られた。下げ幅は500円を超える場面もあった。結局、前営業日比486円安の2万6334円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:口先介入よりも米長期金利上昇に円売り

ドル/円は、鈴木財務相が『為替の安定は重要、急激な変動は望ましくない』などと発言したことを受けドル売り・円買いとなり、125.11円付近まで急落した。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明なことから、これ以上のドル売り・円買いとはならなかった。その後は、仲値にかけて本邦輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、125.56円付近まで値を持ち直した。米長期金利が更に上昇し2.83%台と高水準となったことも、ドル買い・円売りを後押しした。仲値発表後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら125.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。午後のドル/円は、米長期金利が2.80%付近で上げ止まりを見せていることから、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが入り、125円台半ばから125.20円台へ徐々に水準を切り下げた。ただ、売り一巡後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが再値し、125.60円台まで値を上げ、行って来いの展開になった。ユーロ/ドルは、1.0880ドル前後でもみ合い相場となった。

 

中国当局はファンドに『窓口指導』か:A株市場の乱高下を懸念

中国本土の株式市場が11日に大きく下落したことを受け、中国当局が一部ファンドに『窓口指導』する市場介入を行ったもようである。消息筋によると、当局は投資信託の運用大手に対し、A株を売り越さないよう求めた。市場のパニックを防ぐために使われる行政手法であり、当日だけに適用される。口頭で行われるこうした指導は比較的温和な介入手段だが、当局が最近の相場の乱高下を懸念している証左だと市場関係者は受け止めている。『信報』が11日、外電を引用する形で伝えた。中国証券監督管理委員会(CSRC)はコメントを控えている。

 

HFは6週連続で米国株を売り越す:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの12日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は4~8日の1週間に米国株を24億9400万ドル売り越した。2週連続の売り越しとなった。この週は米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め懸念から、金利上昇基調が続く中で主力ハイテク株が弱く、S&P500指数が1.26%安となって4週ぶりに下げた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が27億5100万ドルの売り越しで、6週連続の売り越しとなった。機関投資家は1億3200万どるの小幅売り越しで、2週連続の売り越しだった。個人投資家は3億1400万ドルの小幅売り越しで、3週ぶりの売り越しとなった。企業の自社株買いは7億300万ドルで4週移動平均(7億5600万ドル)並みだった。相場の地合いが悪い中、今年は同社顧客の自社株買いが低調といい、現時点でS&P500指数の時価総額対比で2021年、2019年の水準を下回った。

 

ロシアでは国際金融市場のアクセスは困難:外資企業の事業撤退

国際金融市場では、ロシアのウクライナ侵攻を理由に欧米諸国などが経済制裁を強化して資金流出圧力が強まり、ルーブル相場は大きく調整した。政府及び中銀はルーブル相場の安定に向けて資本規制の導入や大幅利上げに動いた。さらに、その後はルーブルへの実需の誘発による相場下支えの動きを強めたこともあり、足下のルーブル相場は侵攻前の水準を回復するなど、表面的には影響を克服しつつあるようにみえる。
 こうしたことから、ロシア中銀は19日の定例会合を前に8日に緊急利下げを実施し、ルーブル相場の安定を目的とする資本規制を段階的に緩和することを決定した。他方、ロシア政府が今月4日のドル建国債の元利払いをルーブルで余儀なくされたことを受けて、S&Pグローバルは格付を選択的債務不履行とした後、格付自体を撤回した。主要3社によるロシア関連の格付撤回で国際金融市場での資金調達は困難になる一方、金融機関や事業会社はロシア関連評価が困難になり、事業撤退を余儀なくされる可能性もある。ルーブル相場は当座の最悪期を過ぎたとみられるが、今後も再び不安定化する可能性に注意が必要と言える。

 

トルコ政府による為替差損の補填は約束通り実行:リラ相場の支え?

トルコ政府が昨年末に導入した為替リンクのリラ建て定期預金で、期間が最も短い3カ月物が満期を迎えている。『為替差損の補填』は約束通り実行されており、不履行への懸念がひとまず払しょくされたことも、リラ相場の支えとなっているかもしれない。しかしながら、このまま現状水準でドルリラが推移するようであれば、夏には補填額が450億リラを超えるとの試算も一部メディアから報じられた。トルコの国庫負担が拡大し続けるようであれば、いずれリラの買いづらさが意識される。

 

南アではイナゴ警報:数十年に一度の大量発生

ウクライナ侵攻で小麦価格高騰していることで、南アだけでなく多くのアフリカ諸国は大きな影響を受けている。この厳しい状況の中で、さらに困難な状況を迎えることが予想されている。それは、数十年に一度と言われるイナゴの蔓延である。大雨の影響で、作物を食べるイナゴが数十年に一度の大量発生となっていると、南アでは報じられている。昨年の9月から徐々に増えていたことで、すでに8000万ランドが一部の州(東ケープ州、北ケープ州、西ケープ州)で殺虫剤の費用として計上されている。しかも、9月以後も降雨量が増加したことで、繁殖力の高いイナゴが大量発生する傾向にある。

 

NY連銀の3月インフレ見通し:消費者の悲観論強まる

NY連銀の調査で、消費者のインフレ見通しは3月も過去最高を記録した。食品や家賃の見通しが一段と上昇。NY連銀インフレ期待(平均)1年物:6.6%(2月6%)3年物:3.7%(3.8%)1年先の家計支出の伸び:+7.7%(2月+6.4%)、食品やガス+9.6%、家賃+10.2%、住宅価格+6%(+5.7%)
今後3カ月間、債務の最低額の支払いができない可能性11.1%(9.2%)
長期のインフレ期待が若干低下したことは良い兆候。しかし、家計支出の予想が一段と拡大しており、FRBは物価の引き下げに努める必要性がある。消費者は高インフレからくる困難が緩和する前に、一段と深刻化すると警戒しており、家計への悲観的見方が広がっている。今後3カ月間で債務の最低額の支払いができない可能性があるとの回答は11.1%と、9.2%から上昇し、12カ月平均10%を上回った。職を失う可能性があると指摘した回答者も全体の11.06%と、10.75 %から上昇した。

 

米国市場では3月消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+6.6%

2月は中古車、住居費、航空運賃の上昇が目立った。この状況は3月も変わっていないとみられており、他の項目もやや高い伸びとなる可能性があることから、3月のコアインフレ率は2月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   3月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比2.5%/前年比7.3%)
○15:00   3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   12-2月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○15:45   2月仏貿易収支
○15:45   2月仏経常収支
○16:00   2月トルコ鉱工業生産(予想:前月比2.7%)
○18:00   4月独ZEW景況感指数(予想:▲48.0)
○18:00   4月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:00   2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比2.6%)
○21:00   2月インドCPI(予想:前年比6.35%)
○21:30   3月米CPI(予想:前月比1.2%/前年比8.4%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.6%)
○13日01:10   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、イベントに参加
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   3月米月次財政収支(予想:1900億ドルの赤字)

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