FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/06/06/15:14:20

日経平均株価:円安と米株価指数先物の上昇を好感した買い

先週末の米5月雇用統計を受けた米国株の下落を受け、寄り付きは200円超下げて始まった。しかし、寄り付き直後を安値に直ぐに下げ幅を2桁に縮小した。外国為替市場で円安・ドル高が進んだことが自動車や機械といった輸出関連の支えとなった。また、米株価指数先物が午後に上げ幅を広げており、日本株の買い安心感にもつながった。米国が高インフレに対応するため、対中関税を引き下げる候補に日用品や自動車などを挙げていることが好感された。結局、前営業日比154円高の27915円と続伸して、3月30日以来の高値となった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は130円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、先週末に発表された5月米雇用統計の強い数字で、米FRBの利上げペースが加速するとの思惑から一時130.98円付近まで上昇し、約1ヵ月ぶりのドル高・円安をつけた。しかし、東京市場で急ピッチの上昇に対する警戒感から、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、130.55円付近へ軟化した。米長期金利が時間取引で小幅に低下したことも、ドルの押し下げにつながった。昼過ぎに、黒田総裁が講演を行い『強力な緩和を粘り強く続ける必要がある』『経済は感染症から回復途上にあり、所得面は資源価格上昇で下押しされているため、金融引き締めを行う状況には全くない』などと発言した。新味に乏しい内容と受け止められ、ドル/円相場への影響は限定的となった。午後に入ると、本邦輸出勢のドル売り・円買いが観測されるなかで一時130.43円付近まで値を下げた。しかし、今晩の米株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後、日経平均株価の上げ幅拡大がリスク選好の円売りを誘い、値を持ち直して130.60円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、本日はフランスやドイツが休場となるため、積極的な売り買いは目立たず、1.07ドル台前半で小動きに終始した。

 

ドイツとフランスが休日のため動意に乏しい展開の可能性も

本日のロンドン為替市場のユーロドルは、スウェーデンが建国記念日で休日、ノルウェー、ドイツ、スイス、フランスが聖霊降臨祭翌日の月曜日で休日となることで、動意に乏しい展開が予想される。ユーロドルは、9日の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けて動きづらい展開が予想される中、ウクライナ情勢には引き続き要警戒となる。5日午前、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で複数回の爆発があったとクリチコ市長が明らかにした。キーウは4月下旬を最後に攻撃を受けていなかったことで、ロシアによる首都への攻撃が再開される可能性に要警戒となる。プーチン露大統領は、ウクライナにより射程の長いミサイルが供与されれば、ロシアは新たな標的に対して攻撃を拡大する、と警告している。一方で、ロシア建国の日である6月12日の『ロシアの日』を節目に軍事作戦を終了させるのではないか、との噂も流れており、引き続きウクライナ関連のヘッドラインには要警戒となる。

 

前週のFX概況ではドル買い比率低下

QUICKが6日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引で総建玉に占めるドル買い比率は3日時点で56.7%だった。前の週末から13.3ポイント低下し、4月中旬以来の低水準となった。約20年ぶり安値である1ドル=131円台前半がせまる中、個人投資家は目先の利益を確定する目的で円買い・ドル売りを入れた。前週は5月の米雇用統計など市場予想を上回る米経済指標の発表が相次いだほか、NY原油先物相場も再び1バレル120ドル台に上昇、米長期金利が上昇したのもあって外国為替市場では円相場が3日に一時130.98円と5月9日以来およそ1ヵ月ぶりの安値を付けていた。だが、131円台に入ると円は底堅さを増すとの見方から、個人投資家はいち早く利益確定売りに動いた。ドル以外の通貨では円買い・ユーロ売りの勢いが増している。『ユーロ/円』取引ではユーロ買い比率が12.0ポイント低い13.6%と、2007年2月の算出開始以降で最低となった。円が対ユーロで1ユーロ=140円台前半で約7年ぶりの円安・ユーロ高水準で推移する中、個人による利益確定目的に円買い・ユーロ売りが入ったほか、欧州の景気減速を意識した新たにユーロ売りの持ち高を形成する動きも活発となった。

 

トルコでは抜本的な対策なしではインフレ抑制も難しい

先週末に発表された5月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比73.5%と市場予想を下回ったものの、1998年以来の伸び率を記録した。トルコ中銀が政策決定のうえで重要視するとしたコアCPIも、前年比が前回52%台から56%まで上昇した。くわえて、同月生産者物価指数(PPI、前年比)が132%超えと加速度は増すばかりである。このインフレ結果を受けてネバティ・トルコ財務相は、月次インフレ率が低下傾向にあると指摘した。今後も天候の良さで農業生産が拡大し(食料品の価格が下落)、インフレ緩和に向かうだろうと述べている。 確かに前月比CPIは3%をやや割り込み、前回7%台から4%まで低下するとの予想値も下回った。ただし、天気頼みの農業生産だけが明るい兆しとは心許ないと言える。エネルギー価格も上昇基調を維持するなか、抜本的な対策なしではインフレ抑制は難しそうである。

 

南アの財政悪化が懸念されランドの重し

南ア政府は4・5月には、エネルギー価格上昇抑制のために、ガソリンなどにかかる関税をリッター当たり1.5ランド免除してきた。6月の対応が注目されていたが、先週鉱物資源エネルギー省(DMRE)は引き続き1日から7月6日まで同水準の免税延長、7月7日から8月2日にかけては0.75ランドの免除を発表した。また、今月のガソリン等の基準価格も、市場予想より価格上昇が抑えられた。この措置はインフレ抑制と国民の不満解消の一助にはなるが、大規模洪水被害によるインフラ再整備やコモディティ価格の上昇が小休止しているなか、南アの財政悪化が懸念されており、ランドの重しとなりそうである。その状況下で9日に発表される、経常収支には注目をしておきたいところである。

 

メキシコ中銀総裁はインフレ高進からペソ高容認姿勢

先日発表された四半期のインフレリポートでは、インフレのピーク値が引き上げられたほか、中銀目標値まで戻ってくる時期を後ずれした。また、各メンバーの見解も伝わっている。先日の会合では0.75%の利上げを主張するなど、メンバーの中で最もタカ派寄りのエスピノーサ副総裁は『インフレ見通しが引き上げられたことでさらなる利上げが必要になった。ただ、何回、どれだけの規模の利上げが必要となるかは不透明』と述べている。なお、ロドリゲス総裁はメキシコペソについて語っており、『ペソ高はマクロ経済の安定から来ている』とペソ高へは容認する姿勢を示している。

 

米国の利上げ議論は9月のFOMCに移っている

5月の米雇用統計が力強い内容だったことを受け、連邦準備制度理事会(FRB)は2週間後に開く次回および7月下旬の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントの利上げを決めることがほぼ確実となった。労働省が3日発表した雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比39万人増加した。職探しをする人が増える中、失業率は3.6%で横ばいだった。賃金の前月比上昇率は0.3%と再び鈍化した。この傾向が持続すれば、労働市場の過熱を巡るFRB当局者の懸念は若干和らぐ。FRB当局者は6月と7月のFOMCで0.5ポイント利上げする必要があるとの見方でおおむね一致している。そのため、議論は9月のFOMCに移っている。

 

欧米市場イベント

○ニュージーランド(女王誕生日)、韓国(戦没者慰霊日)、スウェーデン(建国記念日)、ノルウェー、ドイツ、スイス、フランス(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/06/02/15:19:28

日経平均株価:米金融引き締めに再警戒

注目されていた米ISM製造業景況指数が予想を上回る改善を示したことで、米FRBがインフレ抑制に向けた積極的な利上げサイクルを軌道修正することはないとの見方が強まった。米長期金利の上昇を促すと警戒する声が聞かれる。さらに、一時は落ち着きていた原油価格が再び上昇志向を鮮明にしたことも、インフレ圧力を強める要因として嫌気された。これを受けて日本株は朝方から軟調な展開となった。一時は前日比200円を超す下げとなったものの、中盤から押し目買いが入り下げ渋った。市場では一連の米経済指標の数値や原油価格の動向から、インフレ圧力が警戒されるとみられ、日本株も積極的に上値を買う雰囲気にはならないとの指摘もあった。結局、前営業日比44円安の27413円と反落して終了した。5月第4週(23~27日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は368億円売り越し、売り越しは2週ぶりとなった。個人投資家は1497億円の売り越し、売り越しは2週連続となった。信託銀行は85億円の売り越し、売り越しは5週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:130.00円を挟んで方向感の乏しい値動き

ドル/円は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入り、129.89円付近まで軟化した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドルの押し下げに繋がった。しかし、下値では日米金融政策スタンスの違いを意識してドルを買い戻す動きも見られ、130円台前半へ切り返した。仲値にかけて国内輸入勢のドル買い・円売りが多く観測されたことも、ドル/円の下値を支えた。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、130.00円を挟んで方向感に乏しい値動きが続いた。ユーロ/ドルは、英国市場でエリザベス女王在位70周年特別休日で休場となるため、積極的にポジションを傾けにくく、1.06ドル台半ばで小動きに終始した。

 

トルコ経済活動の鈍化が懸念:インフレが景気の足かせ

5月トルコ製造業PMIは49.2となり、3カ月連続で景況判断の境目となる50を下回った。オランダの金融大手INGグループも予想しているが、トルコ経済活動の鈍化が懸念されている。物価高による購買力低下、通貨安や供給不安などネガティブな材料が山積みである。なお昨日はトルコ国営の石油・ガス輸送会社ボタシュ(BOTAS)が、家庭用天然ガス価格を30%引き上げると発表した。また産業用については、10%から40%の値上げが決定された。電力価格に関しても、エネルギー規制当局が15%から25%上げるもようである。インフレ圧力は弱まるどころか高まるばかりであり、景気の足かせになり続けている。

 

トルコ調査機関ENAGはハイパーインフレを予想

トルコの経済学者や金融アナリストで構成される独立系の調査機関ENAGは先週、今後の同国消費者物価指数(CPI)は前年比で200%以上加速する可能性があるとの報告書を発表した。ENAGはこれまでも、トルコ統計局のインフレデータは現実を反映していないと主張している。統計局発表の4月CPIの前年比69.97%についても、同時期のENAGの調べでは156.9%としている。 ENAGの言い分に対し統計局サイドは、外国人投資家に誤った印象を与えるよう意図的に作られ、国家の評判を落とすと反発している。昨年秋になるが、当時のエルバン財務相がENAGの調査結果を無視するように国民に求めるなど、政府もかなり神経質になっている。3日には5月トルコCPIが発表予定である。一部通信社が調べた市場予想では前年比76%超えが見込まれている。トルコ中銀は先週の声明で『ディスインフレのプロセス開始』を述べていたが、中銀の期待通りにはなかなか行きそうにはない。

 

南アの5月ABSA製造業PMIが改善:回復は洪水の復興次第

南ア国内情勢のポジティブ要因としては、昨日発表された5月のABSA製造業PMIが54.8となり、前回や予想の50.7を上回ったことがあげられる。もっとも、クワズール・ナタール州東部は、4月の大洪水と停電の影響が5月にも響き、伸び悩んだとの結果が出ている。今後の製造業の回復は同州の復興次第となりそうである。

 

物価予想を『見誤った』:イエレン米財務長官

イエレン米財務長官は5月31日、米CNNテレビのインタビューで『物価上昇が辿る道筋について私は見誤った』とし、特にエネルギーと食料の値上がりや供給目詰まりが予想を超えて経済に悪影響を与えたと回顧した。イエレン長官は昨年、物価高騰リスクは小さいと述べていたが、当時の認識は間違っていたとした上で『今は理解している』とし、バイデン政権の最重要課題は物価対策だと強調した。

 

6月からFRBがバランスシート圧縮開始:どの程度の効果があるか分からず

米連邦準備制度(FRB)は6月1日から、計8兆9000億ドル(約1150兆円)に膨らんだバランスシートの圧縮を開始する。利上げと共にインフレ抑制が期待される措置だが、どの程度の効果があるのかは金融当局者も分かっていない。連邦準備制度のバランスシートは新型コロナウイルス禍を受けた量的緩和(QE)で規模が2倍に拡大。今回で2回目となる量的引き締め(QT)は最終的に前回2017-19年のほぼ2倍のペースで進められる。米国債の実際のランオフ(償還に伴う保有証券の減少)開始は約150億ドル相当が満期を迎える15日となる。ランオフのペースは月間で当初、米国債が300億ドル、エージェンシー債と住宅ローン担保証券(MBS)は175億ドルの計475億ドルに上限を設定。9月には最大で計950億ドル(内訳は米国債600億ドル、エージェンシー債・MBS350億ドル)と、前回(最大500億ドル)の2倍近くに拡大される。

 

5月米ISM製造業『景気』『物価』『雇用』指数に注目

5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、6月と7月のFOMCでの0.50%の追加利上げと6月からのバランスシート縮小開始が示唆された。本日発表される5月米ISM製造業『景気』『物価』『雇用』指数では、9月のFOMCでの追加利上げ幅を見極めることになる。タカ派のウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は、5月30日に、『インフレが著しく低下するまで、毎回の会合で50ベーシスポイント刻みで利上げすることを提唱する』と述べ、9月FOMCでの0.50%の追加利上げを示唆した。米連邦準備理事会(FRB)は、『インフレピーク説』が囁かれる中、景況感、物価、雇用関連の指標にも関わらず、年末に向けて中立金利の予想中央値2.4%前後を超えて、2.75-3.00%程度までの利上げを目論んでいるのかもしれない。5月米ISM製造業『物価』指数が下落していた場合、インフレピーク説の可能性が高まることになり、ドル/円の上値を抑える要因となり、上昇していた場合は、インフレ率が再び上昇基調を回復する可能性が高まることで、ドル円の買い要因となる。

 

欧米市場イベント

○15:30   5月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)
○15:45   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比2.3%/前年比38.5%)
○20:30   5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00   1-3月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前期比1.2%/前年同期比1.8%)
○21:15   5月ADP全米雇用報告(予想:30.0万人)
○21:30   4月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比0.7%)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲7.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0万件/132.5万人)
○23:00   4月米製造業新規受注(予想:前月比0.7%)
○24:00   EIA週間在庫統計
○3日00:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○3日02:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合(オンライン)
○エリザベス英女王即位70周年で英国休場(5日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/06/01/15:33:23

日経平均株価:米国先物の上昇と円安基調が支援

連休明けの米国株式市場は反落したものの、日本株は米国株先物のしっかりした動きや外国為替市場での円安基調が支援した。市場では、米国株との連動性が薄まっており、日本株は重いのほか底堅いとの声が聞かれた。米長期金利が上昇し、為替の円安が進む中、景気敏感セクターを中心に買いが先行、外資系証券などの日本株の投資判断も支援材料となった。結局、前営業日比178円高の2万7457円で終了した。4月21日以来の高値となった。信用評価損益率は5月27日申し込み時点でマイナス12.4%と、前の週のマイナス12.16%からマイナス幅が0.24ポイント悪化した。悪化は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの違いを意識した円売り優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、129.10円台へ値を上げた。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、高値警戒感から上値では利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、129.00円付近へ緩んだ。午後に入ると、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りで一時129.30円近くまで上昇した。ユーロ/ドルは、欧州景気の減速に対する根強い懸念から、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.07ドル割れをうかがう姿勢を見せた。

 

HFや機関投資家が売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの5月31日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は23日~27日の1週間に米株を12億5000万ドル売り越した。6週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は、27日に発表された4月の米個人消費者支出(PCE)コア物価指数が鈍化してインフレ懸念がやや和らいだことで、S&P500指数が週間で6.58%高となって8週間ぶりに反発して終えた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が7億4500万ドルの売り越しで、2週連続の売り越しとなった。機関投資家は16億9600万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しだった。個人投資家は2200万ドルの小幅買い越しで、2週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは11億7000万ドルで4週移動平均(18億6700万ドル)を下回って好調だった。リリーフ・ラリーで強い相場展開の中、個別株の売り越しが大きかった反面、上昇投資信託(ETF)への資金流入は3月末以来の大きさを記録した。決算シーズンの終わりが近づく中、企業の自社株買いのペースは鈍化した。

 

1-3月期トルコGDP予想を上振れ:今後は消費の落ち込みが懸念

昨日発表された1-3月期トルコ国内総生産(GDP、前年比)は7.3%増と予想から0.2%ほど上振れた。金融緩和を背景とした個人消費の拡大や、通貨安の恩恵を受けた輸出増に支えられた。ただし前四半期の9.1%増から鈍化しており、手放しで喜ぶことはできない。インフレ高騰から脱却する術も見当たらず、今後は消費の落ち込みが懸念されている。観光シーズンに入る4-6月期であるが、トルコにとって優良顧客であったロシアとウクライナの戦争が泥沼化するなか、観光業の回復の遅れは避けられない。今四半期の成長はあまり期待できそうにもなく、やはりリラの買いづらさは変わらない。ところで一部メディアは、トルコ野党連合の『総選挙が今年11月に前倒しされる可能性』との見方を報じている。経済問題で国民の苛立ちが強まるなか、エルドアン大統領は予定されていた来年6月まで待てないと見ている。選挙に関する大統領の発言が今後は注目される。

 

南アのエネルギー関税の免除延期:財政の急激な悪化懸念

昨日、最大の注目となった南アのエネルギー関税は、リッター1.5ランドの免除が6月1日から7月6日まで延長された。また、その後7月7日から8月2日かけては、0.75ランドの免除実施が鉱物資源エネルギー省(DMRE)から発表された。また、今月のガソリン等の基準価格も、市場予想よりも価格上昇が抑えられた。国内価格を抑えたことで国民の不満爆発は一先ず避けられそうだが、今後の南ア財政の急激な悪化は懸念される。先月20日に格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)社が南ア債の格付け見通しを、『安定的』から『ポジティブ』に引き上げたが、今後は見通しの引き下げの可能性もあり得るかもしれない。

 

南アの1-3月期の失業率は改善方向

昨日発表された1‐3月期の失業率は34.5%となり、市場予想や前回値(35.3%)よりも強い結果となった。また、拡大失業率(求職をあきらめた人を含む)は46.2%から45.5%へ低下、15歳から24歳の若年層失業率も63.9%(前回66.5%)に改善された。コロナの影響で2020年からは電話でのデータ収集だったものが、今回からは対面でのデータ収集となったことも改善要因となった。 なお、4月の貿易収支は市場予想を下回った。アジア圏への輸出が中国でのロックダウンの影響もあり31%減少したことが、黒字額の減少の要因とされた。

 

米国市場では5月ISM製造業景況指数:予想は54.5

参考となる4月実績は55.4で2020年7月以来の低い水準となった。受注残、雇用指数が低下した。仕入れ価格の上昇ペースは鈍化しつつある。5月については、サプライチェーンの制約状況は改善しつつあるが、中国における都市封鎖の影響が出ていることから、4月実績を下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独小売売上高(予想:前月比▲0.2%/前年比4.0%)
○15:00   5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.6%)
○16:00   5月トルコ製造業PMI
○16:30   5月スイス製造業PMI(予想:61.0)
○16:50   5月仏製造業PMI改定値(予想:54.5)
○16:55   5月独製造業PMI改定値(予想:54.7)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:54.4)
○17:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:30   5月英製造業PMI改定値(予想:54.6)
○18:00   4月ユーロ圏失業率(予想:6.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、パネルディスカッションに参加
○22:45   5月米製造業PMI改定値(予想:57.5)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.50%に引き上げ)
○23:00   5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:54.5)
○23:00   4月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○23:30   5月メキシコ製造業PMI
○2日00:15   パネッタECB専務理事、議会証言
○2日00:30   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○2日00:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○2日01:00   4月ロシア失業率(予想:4.3%)
○2日02:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○2日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○2日03:00   5月ブラジル貿易収支(予想:45.66億ドルの黒字)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/05/31/15:12:43

日経平均株価:利益確定売りで上値の重い展開

前日の米国市場が休場で手掛かりに乏しい中、米先物や為替の円安が支援した。前日に大幅高となったハイテク株や高PERが利益確定売りに押され、上値は重かった。ただ、中国国家統計局が発表した5月の製造業PMIは49.6と前月の47.4から上昇し、景況悪化のペースが鈍化した。製造業と非製造業を合わせた総合PMIは48.4となり、4月は42.7だった。市場ではリスク要因となっていた中国経済も底打ちの兆しがみられ、地合いが改善しつつあるとの声が聞かれた。結局、前営業日比89円安の2万7279円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:月末絡みのドル買いフロー先行後は利益確定売り優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などから月末に絡むドル買い・円売りフローが多く持ち込まれ、128.34円付近まで上昇した。米長期金利が2.85%近くへ急上昇し、日米金利差が拡大したこともドルの押し上げ要因となった。ただ、メモリアルデーの休場明けとなる米株式市場の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ128.00円へ軟化した。午後は日経平均株価のさえない動きを眺め、やや値を下げて127.85円前後でもみ合いとなった。今週予定されている5月米ISM製造業景況感指数や5月米雇用統計などの指標を前に、ポジションを積極的に傾けにくくなっている。ユーロ/ドルは、1.07ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場ではユーロ圏5月消費者物価コア指数

参考となる4月実績は前年比+3.5%となり、インフレ率は3月実績を大幅に上回った。エネルギー価格の上昇は一服しつつあるが、財・サービスや飲食料の上昇が伸び率を押し上げている。こうした状況は5月も変わらないとみられており、物価上昇率は4月実績と同水準か、やや上回る可能性がある。

 

トルコリアの上値の重い要因とは

週末にエルドアン・トルコ大統領が、北欧2カ国の北大西洋条約機構(NATO)加盟に否定的な立場を再び表明した。トルコと同盟国の関係悪化が危惧されてリラの重しとなった。また、来月3日に発表されるトルコの5月インフレ指標への警戒感もリラ売り圧力を強めた。トルコはエネルギーの多くを輸入に頼っており、原油価格の高騰は外貨買いリラ売りを強める要因である。同国経済へのダメージとなるだけでなく、インフレの更なる押し上げにも繋がってしまう。しかしながら、ネバティ財務相は昨日、悪化しているインフレ見通しは一時的と述べた。インフレ抑制をリードしなければならない財務相が現実を直視できていないようでは、今後の対策も期待できそうにない。なお本日は、日本時間16時に1-3月期トルコGDPが発表される。前年比の市場予想は7.1%とプラスではあるが、前四半期9.1%から減速が見込まれている。世界景気の低迷が懸念されるなか、結果の下振れには注意が必要で ある。

 

南アでは原油価格の上昇が経済や財政に深刻な影響も

南アはランド安の影響もあり国内のエネルギー価格が急騰をしている過程で、更なる原油先物価格の上昇は経済的な影響が深刻になりかねない。今後を占う上で特に難しいのは、4月と5月の特殊要因である。この時期は政府が関税の一部を一時的に免除したため、エネルギー価格の上昇をある程度抑制できた。しかし、この免除が月が変わる明日から無くなれば、エネルギー価格が『これまで見たことのない急騰(南ア自動車協会談)』との見方が強まっている。最新の南ア報道によれば、現時点では上述の免除の延長が発表されていない。仮に延長されない場合は、ガソリンはリッター約4ランド値上りし、報道では『モンスター級の上昇(Monster Hike)』になるとされている。一方で、免除が延長された場合は、南アの財政に大きな痛手となることで、政府は非常に難しい立場に立たされている。

 

6月のドル/円はFRBの9月利上げへの思惑で振幅

5月後半に公表された住宅関連の経済指標は米景気減速の兆しを示し、米個人消費支出(PCE)物価指数の伸び鈍化は米国のインフレ沈静を期待させるものだった。6月4日からは米連邦公開市場委員会(FOMC)参加メンバーからの情報発信が控えられるブラックアウト期間に入り、6月3日の米雇用統計や10日の米消費者物価指数(CPI)などをこなしながら14~15日のFOMCを迎えることになる。6月FOMCでの0.5%利上げ決定と7月の0.5%利上げ示唆も織り込み済み。政策金利見通し(ドットチャート)では中央値の大幅引き上げが見込まれ、前回3月からの上方修正分によって9月以降の利上げペースが逆算される。フェデラルファンド(FF)金利先物は9~12月で0.25%利上げを3.5回織り込み、9月に通常の倍のペースの0.5%利上げを5分5分とみる。9月利上げ0.25%に減速するとの見方が強まれば、米金利の低下に連れてドル円は下値余地を探ることになる。逆に、0.5%のペースが維持されるとの見方が支持されても、過度の金融引き締めによる景気懸念という学習効果が働き、ドル円が131円台に戻ることは難しくなる。

 

米国市場では5月CB消費者信頼感指数:予想は103.9

4月実績は107.3で3月改定値を若干下回った。期待指数は77.2で前月から上昇した。5月については、ガソリン価格の高騰などで物価は上昇しており、景況感は多少悪化する可能性がある。高額商品の購入意欲は衰えていないとの見方があるものの、5月は4月実績を下回る見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:30   4月スイス小売売上高
○15:45   1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比横ばい)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.7%/前年比5.2%)
○15:45   4月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   4月仏消費支出(予想:前月比0.8%)
○16:00   1-3月期スイスGDP(予想:前期比0.3/前年比4.3%)
○16:00   1-3月期トルコGDP(予想:前年比7.1%)
○16:00   4月トルコ貿易収支(予想:61億ドルの赤字)
○16:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:55   5月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲1.60万人)
○17:30   4月英消費者信用残高(予想:12億ポンド)
○17:30   4月英マネーサプライM4
○17:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○17:50   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比7.8%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.6%)
○18:30   1-3月期南アフリカ失業率(予想:35.4%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   4月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.50%)
○21:00   1-3月期インドGDP(予想:前年同期比3.9%)
○21:00   4月南アフリカ貿易収支(予想:202億ランドの黒字)
○21:30   3月カナダGDP(予想:前月比0.5%/前年比3.7%)
       1-3月期カナダGDP(予想:前期比年率5.4%)
○22:00   3月米住宅価格指数(予想:前月比2.0%)
       1-3月期米住宅価格指数
○22:00   3月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比20.0%)
○22:45   5月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:55.0)
○23:00   5月米消費者信頼感指数(予想:103.9)
○1日02:15   バイデン米大統領とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、イエレン米財務長官が会談
○欧州連合(EU)臨時首脳会議(最終日)
〇米NZ首脳会談(ワシントン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/05/30/15:13:00

日経平均株価:前週末の米株高を好感した買いが強まった

先週末の米国株式市場はインフレ鈍感と底堅い消費支出を示す統計を受け、米FRBが景気後退を回避しつつ、金融引き締めを進めることが可能という楽観的な見方が広がった。これを受けて日本株は幅広く買われてスタートした。前週末の米株市場では、大型ハイテク株などグロース系銘柄しっかりだったことを受けて、半導体関連株をはじめ指数寄与度が大きい値がさのハイテク株が物色され、指数を押し上げる格好となった。戻りの関門として意識された2万7000円を大きく上回った。結局、前営業日比587円高の2万369円と4月21日以来約1ヵ月ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:米国市場休場のため127.00円で方向感に乏しい展開

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いフローが通常より多く持ち込まれ、126.86円付近まで軟化した。インフレに対する過度な懸念が和らぎ、米FRBの利上げペースが加速しないとの思惑が浮上していることも、ドル売りにつながった。ただ、27日の海外市場でつけた安値126.82円に接近すると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、127.00円付近へ値を切り返した。午後は、メモリアルデーで米国市場が休場となるため、積極的な売り買いは目立たず、127.00円を挟んで方向感に乏しい値動きが続いた。ホワイトハウスが『31日にバイデン米大統領とパウエルFRB議長が米国と世界経済の状況について会談する』と発表したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、このところECB当局者によるタカ派的な発言が相次いでいることで、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.0760ドル近辺へじり高となった。

 

ドル買い比率は70%に低下:前週のFX概況

QUICKが30日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)建玉状況によると、『ドル/円』取引で総建玉に占めるドル買い比率は27日時点で70.0%と前の週末から1.6ポイント低下した。20日時点でドル買い比率は約1年5ヵ月ぶり高水準となっており、目先の利益確定を目的とした円買い・ドル売りが増えた。5月上旬にかけて進んだ急ピッチな円安・ドル高が一服するなか、個人投資家の一部から利益確定の円買い・ドル売りが入った。しかし、発表された米経済指標が相次いで市場予想を下回ったことで米景気の先行き不透明感が強まり、円相場は24日に一時1ドル=126.37円付近と、約1ヵ月ぶりの水準に上昇した。円高が進んだ場面では円売り・ドル買いにうごっく個人投資家が多く、ドル買い比率は高水準を保った。ドルや円に対してユーロの買い比率は低下した。『ユーロ/ドル』取引でのユーロ買い比率は49.9%と前の週末から2.9ポイント低下した。『ユーロ/円』取引では、ユーロ買い比率が同7.7ポイント低い25.6%となった。欧州中央銀行(ECB)による早期の利上げ観測を背景にユーロは円やドルに対して戻り歩調となっており、相場の流れに逆らって取引する『逆張り』傾向のある個人はユーロ売りに動いた。

 

今週のトルコ経済指標の注目点:景況感とインフレ指標

トルコ中銀は先週発表した声明や金融安定報告書において、国内経済活動は堅調に推移すると楽観的な見通しを示した。確かに31日に発表される1-3月期国内総生産(GDP)は7%超えのプラス成長が見込まれている。ただ、前回値からはやや下回り、次の四半期はウクライナ戦争の影響で成長鈍化の可能性が高そうである。1日発表の5月製造業購買者担当景気指数(PMI)は、景況感の境目となる50を3カ月連続で割り込むことになるかがポイントである。エネルギー価格の高止まりとリラ安のダブルパンチで原材料価格は高騰し、製造業を取り巻く環境は厳しさが増している。 最も注目されるのが、3日の5月消費者物価指数(CPI)である。前回69.97%まで伸び率が加速した前年比は、一部では73%超えが予想されている。ここまでくると予想値からの上下振れはあまり関係ないと思われる。

 

南アでは1-3月期の失業率が注目:大規模なデモなどのリスクには警戒

今週の経済指標では1-3月期の南ア失業率が注目される。今までの調査方法にはかなり不備があったことで、徐々に改善をする予定の同指標であるが、今回の指標結果に改善点がどの程度反映されるかは定かではない。また、上述のようにインフレ下での昇給率の低さで国民の不満の声が高まっているが、失業率がさらに悪化した場合は、昨年7月のような国民の大規模デモなどのリスクもあるので警戒したいところである。

 

メキシコ中銀は0.75%の利上げ幅には慎重な意見

先週はメキシコ中銀の金融政策決定会合議事要旨が発表され、先日の会合で0.75%の利上げを主張したエスピサノ副総裁の見解が明らかになった。同副総裁は『インフレがここまで上昇した割には利上げ幅が限定的で引き締めの効果は限定的だった』『異常な状況には異常な行動が必要となる可能性があり、期待を維持するために力強い行動が必要』と述べていた。これに対して、別の委員は0.75%の利上げを検討したことに言及しつつも、『市場を驚かせ将来の金利見通しを困難にさせる可能性がある』と慎重な意見を示していた。

 

米国株式市場はインフレのピークの数カ月後に上昇:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは27日付リポートで、『我々の予測ではヘッドライン・インフレが米国でピーク、ユーロ圏と英国でピークに達する可能性が高い。高インフレや粘り強いインフレが株式にとって逆風となっていることを考えると、ピーク・インフレは市場が谷と見つけられることを意味するだろうか』と指摘している。1951年まで遡って米国の主要なインフレ率が3%を超える12回のピークを平均して見た場合、バラつきが大きいものの、『株式市場はインフレのピークに達するまで下落し、ピークの数カ月後には上昇する』という結果が示された。インフレがピークに達した場合、これまで物価上昇が景気減速をもたらすとの懸念から景気敏感株が軟調だったため、景気敏感株にとって良好な環境に変わる可能性があるとしつつも、『インフレのピークについてあまり多くを読むことに注意が必要だ。インフレの道筋についての不確実性は高い。インフレの下方シナリオには、低成長が伴うことが多い』とも指摘した。リポートでは『欧州では引き続き、バランスシートが堅調、利益率が高く安定している、設備投資や政府投資が構造的に増加する可能性のある企業、4分野を推奨する。我々は、市場の消費セクターに引き続き警戒しており、インフレの低下は有益であるが、裁量的支出はは急落するとの見方を変えていない』との見解を示した。

 

9月時点では米利上げ幅縮小の可能性も

市場関係者の間では、米国経済の大幅な減速を受けて連邦準備制度理事会(FRB)は9月以降に利上げを一時停止する可能性があるとの思惑が浮上している。5月、6月、7月の3会合で合計1.5ポイントの追加利上げが実施される可能性は極めて高いと予想されているが、9月以降については見方が分かれている。CMEのFedWatchによると、5月26日時点で9月開催のFOMC会合でFF金利の誘導目標水準が2.00-2.25%以上となる確率は97%程度である。また、12月開催のFOMC会合でFF金利の誘導目標水準が2.50-2.750%以上となる確率は93%程度となっている。金融市場では9月も追加利上げが実施される可能性は高いと予想しているが、予想される利上げ幅は0.5ポイントではなく、0.25ポイントに傾いている。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独輸入物価指数(予想:前月比2.0%/前年比32.0%)
○15:00   1-3月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.4%)
○16:00   5月スイスKOF景気先行指数(予想:102.3)
○18:00   5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:104.9)
○18:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲21.1)
○21:00   5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比7.6%)
○21:30   1-3月期カナダ経常収支(予想:32.0億カナダドルの黒字)
○22:15   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○24:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○31日02:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)臨時首脳会議(31日まで)
○米国(メモリアルデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ