FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/13/15:14:09

日経平均株価:米中貿易摩擦の激化が警戒され売り優勢

米中通商協議が難航し再交渉の日程も公表されていない中、米国は新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを始め、詳細を13日に公表すると発表した。米中貿易摩擦の激化が警戒された。ヘッジファンドなど海外短期筋が先物に売りを出し下げ幅は一時200円超へ広げた。結局、前週末比153円安の2万1191円と6日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中貿易戦争の長期化懸念からリスク回避の動き

ドル/円は、米中貿易戦争が長期化するとの懸念から調整色が強まり、109.59円まで下落した。日経平均株価の続落も、リスク回避の円買いを誘った。しかし、10日のNY市場で付けた109.47円が下値の目処として意識され、下げは一服した。その後は、本邦輸入企業などがドル買い・円売りに動き109.80円前後まで切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら109.75円前後で取引された。トランプ米政権が本日公表する対中関税『第4弾』の詳細を見極めたいとの雰囲気から、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.1230ドルを挟んで方向感の欠くもみ合い相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

メイ英政権は労働党との超党派協議を再開

首相官邸が12日の声明で明らかにしたところによると、メイ英政権は、欧州連合(EU)離脱の共同案策定に向けた最大野党・労働党との超党派協議を13日に再開し、その結果を受けてEUと『政治宣言案』修正の可能性について話し合う方針となっている。夏までのEU離脱が労働党との協議の目的だと声明をだしている。
英政府は将来の関税取り決めに関する合意の修正をEUと話し合う。拘束力のない政治宣言案部分が修正対象となる。議会提出を予定する『EU離脱協定法案』に労働党と合意した修正内容をどのように反映させるかも政府は検討する。

 

米中貿易摩擦の悪化がドル売り圧力に

市場は貿易戦争休戦が崩壊した一方で、協議が継続していることはポジティブと受け止め、結果を見極める姿勢をとっている。最終的な協議の結果として大半は交渉を継続するとの見方が大半だが、最悪なシナリオは交渉打ち切りである。多くのアナリストは最終的な合意にいたるとしても時間がかかるとの見方を示している。
米国による2000憶ドル規模の関税引き上げで中国経済の成長率は0.3%引き下げられ、また、追加で残りの3000憶ドルの関税が引き上げられた場合は全体の成長率から0.6%引き下げられると見られている。関税は米中経済だけでなく世界経済の成長を減速させる。FRBも利下げに踏み切らざるを得ない環境となるとの見通しが引き続きドル売り圧力となる。

 

米国通商代表部が13日に新たな関税引き上げ詳細を公表

アメリカのトランプ政権は、中国との貿易交渉で歩み寄りが見られなかったとして、まだ関税を上乗せしていない約3000億ドル分の輸入品についても新たに上乗せする手続きを始め、13日にその詳細を公表する方針となっている。これが実行されれば中国からのすべての輸入品が関税引き上げの対象となり、米中の攻防はさらに激しくなる。トランプ政権は、中国との貿易交渉で折り合うことができず、中国からの2000億ドルの輸入品に課している関税の上乗せを10日、10%から25%に大幅に引き上げた。
これに対し中国側も報復措置をとる構えを示したことから、アメリカ通商代表部はトランプ大統領の指示を受けて、新たに約3000億ドル分の輸入品に関税を上乗せする手続きを始めた。
これが実行されれば、通商法301条に基づいて知的財産権の侵害を理由にした関税の上乗せは中国からのすべての輸入品が対象になり、アメリカ通商代表部は13日にその詳細を公表する方針となっている。

 

イランのロウハニ大統領が追い詰められると軍事衝突の可能性も

トランプ大統領は9日イランに対し、核放棄に向けた交渉の席に付くよう促した上で、両国の軍事衝突の可能性を排除しないと語った。米国は今月、イラン産原油禁輸措置を強化したほか、湾岸地域での米軍の配備を拡大させている。11日イランのロウハニ大統領は『現在の状況が(1980-88年)の戦時よりも良いのか悪いのかは言えないが、戦時には金融機関や石油販売、輸出入に問題はなかった。あったのは武器購入への制裁だけだった』と指摘した。『敵からの圧力はイスラム革命史上前例のない戦争だ。しかし、私は将来に大きな期待を抱いている。われわれが結束すれば、この厳しい状況を乗り切れると確信している』と述べた。ロウハニ大統領は、2015年の核合意から米国が昨年離脱し、制裁を再開したことを受け、国内強硬派から非難に直面しているほか、身内の穏健派からも一部離反が出ている。

 

欧米イベント

○15:00   1-3月期ノルウェー国内総生産(GDP、予想:前期比横ばい)
○16:00   3月トルコ経常収支(予想:9億8000万ドルの赤字)
○22:05   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、あいさつ
○14日02:20   カプラン米ダラス連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/10/15:13:02

米国は2000億ドル分の中国製品の追加関税率を25%に引き上げ

米政府は10日、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げた。新たな関税は米東部時間10日午前0時1分(日本時間午後1時1分)以降の輸出品に適用される。

トランプ米政権は、欧州連合(EU)からの輸入品110億ドルに関税を導入すると表明し、欧州委員会が報復関税として200億ドルの米製品への課税を発表しており、欧米通商摩擦がユーロ圏の景況感悪化懸念を高めている。本日のドイツ3月の貿易黒字にも要注目となる。

 

日経平均株価:米中通商協議の先行き不透明で乱高下

朝方は、米国の対中関税引き上げの期限が迫り、売り方に株価指数先物を買い戻す動きが出た。米中通商協議継続ニュースの見方が出る中、上海株が上げ幅を拡大したことや為替市場でやや円安方向に振れたことも日本株の支えとなった。しかし、米政府が、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を引き上げる見通しとなった。市場では、関税の実効までは時間的な猶予があり、引き続き協議の結果待ちだが、昼休み時間中に短期筋から先物売りが出て下げに転じた。引けにかけては米中貿易協議継続や週末ということもあり、先物主導で手仕舞いの買い戻しによる下げ幅を縮小した。結局、前日比57円安の2万1344円と5日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商協議絡みで乱高下

ドル/円は、日経平均株価が買い先行となったことや、中国株高に支えられ110.04円前後まで上昇した。一部メディアが『米中通商協議は10日の午前も継続される』と報じられたことも、円売りを誘った。しかし、前日に付けた高値110.08円が意識されると、上げ幅は一服した。その後は、週末を控えた利益確定売や戻り待ちのドル売り・円買いに109.80円台へ押し戻された。午後は、トランプ政権は中国からの輸入品2000億ドル相当に課している関税を引き上げた。これに対して中国商務省も『米国に報復せざるを得ない』との声明を発表した。米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から日経平均株価が下げ幅を拡大すると、リスク回避の円買いが強まって109.62円まで下落した。ただ、米中通商協議の行方を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、109.70円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で大きな方向感は出なかった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

南アフリカ総選挙では現政権が過半数維持する勢い

8日実施の南アフリカ総選挙(下院、400議席、任期5年)で、選挙管理委員会は10日未明、開票率70%超の時点での暫定結果を発表し、与党アフリカ民族会議(ANC)の得票率が約57%となった。汚職疑惑や景気低迷で批判を浴びていたが、過半数は維持する勢いだ。2014年の前回選挙で獲得した249議席を保つかどうかが焦点となる。過半数を維持した場合、昨年2月に大統領に就任したラマポーザ氏が、約2週間後の下院本会議で再任される。黒人主体の急進派、経済的解放の闘士(EFF)は、10日未明時点、前回から約3%増えて10%前後となっている。

 

昨日の米国経済指標:インフレ指標は安定的

米労働省が発表した4月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.2%と、3月の+0.6%から低下し予想の+0.3%も下回った。前年比では+2.2%と上昇予想に反して3月と同水準にとどまった。変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアPPIも前月比+0.1%と、3月+0.3%から予想以上に低下。前年比では+2.4%と、上昇予想に反して3月と同水準にとどまった。
先週分新規失業保険申請件数は前週比2000件減の22.8万件。予想22.0万件は上回った。失業保険継続受給者数は168.4万人と、減少予想に反して前回167.1万人から増加した。
同時刻に米商務省が発表した3月貿易収支は-500億ドルとなった。赤字幅は2月493億ドルから拡大したものの予想501億ドルは小幅下回った。

 

欧米イベント

○15:00   3月独貿易収支(予想:200億ユーロの黒字)
○15:00   3月独経常収支(予想:260億ユーロの黒字)
○15:00   4月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.8%)
○15:45   3月仏鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.5%)
○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○16:00   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:30   ラウテンシュレーガーECB専務理事、講演
○17:30   3月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○17:30   1-3月期英GDP速報値(予想:前期比0.5%/前年比1.8%)
○17:30   3月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比0.5%)
      製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○17:30   3月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:138億ポンドの赤字/46億ポンドの赤字)
○18:30   ビスコ・イタリア中銀総裁、講演
○21:00   3月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.3%)
○21:00   4月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.63%)
○21:30   3月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.8%)
○21:30   4月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1万人/失業率5.8%)
○21:30   4月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.1%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○21:30   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○22:08   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:30   クーレECB理事、講演
○11日03:00   4月米月次財政収支(予想:1650億ドルの赤字)
○ロシア(振替休日)、休場
○12日 リトアニア大統領選

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/09/15:14:27

日経平均株価:米中貿易摩擦の激化に警戒感売り優勢

米中貿易摩擦の激化に警戒感が広がったことで、朝方から幅広い銘柄が売られた。さらに、トランプ大統領の支持者集会で、中国は米国との通商協議で『ディールを破った』とし、合意に達しなければ厳しい関税に直面することになる』と発言したことが伝わると投資家心理が一段と冷やされ、下げ幅を拡大した。ただ、中国上海株の下げ渋りや、本邦一部企業による決算発表での自社株買い計画を好感、日銀による株式ETF購入の思惑などで下げ渋る展開となった。結局、前日比200円安の2万1402円と4日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いが優勢

ドル/円は、トランプ大統領が『中国は貿易協議で約束を破った』と発言したことから、リスク回避姿勢が強まって一時109.84円近辺まで下落し、約1ヵ月半ぶりの安値となった。日経平均株価の下げ幅が200円を超えたことも、円買いを誘った。しかし、3月25日につけた109.71円が下値の重要なサポートとして意識されると、下げは一服した。その後はトランプ大統領が『中国に関しては心配無用、全てうまく行く』との見解を示すと、値ごろ感からのドルを買い戻す動きも見られ、110.00円付近へ切り返した。午後に入ると、本邦実需などの売り買いが一巡したことから、109.95円前後でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1195ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

大詰めを迎える米中貿易閣僚級協議

中国の4月輸出が予想外のマイナスに落ち込んだことは世界経済への懸念を強めることになった。 ライトハイザーUSTR代表は中国が合意していた重要な事項ほぼ全てに関して再交渉を要請してきたため、対中輸入品に対する関税を引き上げる米国政府の方針を確認した。これに対し、中国も報復措置をも辞さない構えを示した。
トランプ米大統領は8日のツイ―トで『中国が合意を撤回した理由は、20年の大統領選を見据え民主党との交渉を望んでいるため』『本日、副首相が合意を成立するために訪米するとの中国政府からの報告を受けた』『同時に、1000億ドル規模の関税でもいい。米国には有益だが、中国にはよくないだろう』と言及した。
中国の通商代表団を指揮する劉副首相も訪米する。9日から米中貿易閣僚級協議が開催され大詰めを迎える。米国政府は2日目の協議終了を待たずに10日午前0時1分(日本時間10日午後1時1分)に関税引き上げに踏み切る方針を表明している。果たして関税の引き上げが回避されるかどうかが焦点となる。
報道によると、先週末に中国政府が公式に米国政府に送った通商協定草案で、数か月にかけて合意してきた重要な課題に関する150ページにわたる内容が削除されていた。このため、米国政府は中国製品対する関税を引き上げる方針を表明したとされている。世界で最大、第2位の貿易摩擦の深刻化は世界経済にも悪影響を与えることが警戒される。

 

トランプ大統領は自動車追加関税の決断を先送りか?

米商務省は2月に通商拡大法232条に基づく自動車関税報告書を提出し、トランプ大統領は今月18日までに関税を課すか同かを決める予定となっている。しかし、トランプ政権側と接触した自動車メーカー幹部は、トランプ大統領はさらに180日延ばす公算が大きいと語った。背景には現在も米国が欧州連合(EU)および日本とこの問題で協議を続けていることがある。

自動車・自動車部品輸入への追加関税は米議会でも反対の声が広がっている。8日には超党派の159人の下院議員がクドロー国家経済会議(NEC)委員長宛にの書簡で、『自動車セクターと米経済に打撃を与えかねない通商面の制約を課す』ことをやめるよう、クドロー氏がトランプ大統領に進言することを求めた。

 

具体性欠きポンド買いにつながらず

メイ英政権と最大野党・労働党は、欧州連合(EU)離脱を巡る協議に『真剣』に取り組んでいると首相官邸が8日の声明で言及した。『われわれはこれまで話し合った内容の詳細を確認しようとしており、今後数日のうちに両者間の作業グループの会合がさらに開かれ、文書のやりとりがさらに行われることになるだろう』と首相官邸。
労働党も『今週2回目となる協議を終え、交渉チームは合意の余地を確保しようと努力しており、来週初めに協議を再開する』と声明を発表した。

昨日は、『英国の欧州連合(EU)離脱を巡る与野党協議が決裂寸前』と報道されており、続報に要警戒となる。

 

南アフリカの総選挙の結果は11日:南アランドの変動要因

アフリカ最大の工業国で日本企業も多く進出する南アフリカの総選挙は8日、投票が行われ、開票作業が始まった。かつてアパルトヘイト=人種隔離政策の撤廃運動を率いた与党は、経済格差や汚職への不満からかつてない逆風にさらされていて、過半数を維持できるかが焦点となっている。南アフリカでは、5年に1度、総選挙で議会下院の400議席すべてが改選され、その投票が8日、全国で一斉に行われた。
南アフリカでは、アパルトヘイトの撤廃後、25年にわたって与党ANC=アフリカ民族会議が60%以上の得票率を得て政権を担ってきましたが、一向に解消しない人種間の経済格差や前のズマ大統領の汚職疑惑によって、かつてない批判にさらされている。選挙結果は、今月11日までに判明する見通し。

 

欧米イベント

○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.00%で据え置き)
○21:00   3月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比▲2.6%)
○21:30   3月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   3月カナダ貿易収支(予想:24.5億カナダドルの赤字)
○21:30   4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
○21:30   3月米貿易収支(予想:502億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22万件/167万人)
○21:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○22:00   4月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.06%)
○22:45   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   3月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○23:00   3月米卸売在庫(予想:前月比横ばい)
○10日02:00   米財務省、30年債入札
○10日02:15   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○米中閣僚級貿易協議(ワシントン、10日まで)
○欧州連合(EU)非公式首脳会議(ルーマニア・シビウ)
○ロシア(戦勝記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/08/15:15:40

日経平均株価:前日欧米株式相場の急落を引き継いだ下げ

トランプ大統領の対中関税引き上げ発言を嫌気した前日の欧米株式相場の急落を受けて、投資家心理が悪化しリスク回避の売り、一時下げ幅を400円に広げた。ただ、上海株やNYダウ先物が比較的落ち着いた値動きとなったことから一段安は免れた。結局、前日比321円安の2万1602円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いが強まった

ドル/円は、トランプ米政権が10日に対中関税を引き上げる方針を示し、米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から調整色が強まり、109.95円付近まで下落した。日経平均株価の大幅安も、リスク回避の円買いを誘った。ただ、110円割れの水準では国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、110.00円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価が冴えない動きや中国1~4月期対米貿易黒字が昨年同期比で増加したことを背景に一時109.90円付近まで下落した。ただ、9~10日に再開される閣僚級の米中通商協議を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り110.00円付近でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.1205ドル前後で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国4月米国向け輸出は減少傾向鮮明

8日発表された中国4月米国向け輸出(ドル建て)がトランプ政権の10%関税の影響本格化により前年同月比▲13%、米国からの輸入(同)が同▲26%と昨年9月から8ヵ月連続で前年を下回った。春節(旧正月)の特殊要因を均し1-3月輸出水準(前年同期比▲9%)と比べても4月はマイナス幅が拡大した。昨年7-9月に米国が発動した10%追加関税によりその後駆け込み輸出が起きたが、すでにその反動減少に見舞われている。対米輸出の不振で輸出全体も4月は前年同月比▲3%と2ヶ月ぶり減少となった。

 

中国側の裏技に米国側が激怒し関税引き上げ

日本の十連休の終盤、トランプ大統領が5日のツイッターに『中国との通商協議は継続しているが、遅すぎる。中国側は再交渉しようとている。ノーだ』と投稿し、中国発の株安、リスク回避の円高が進行した。 連休中に数々の米国指標やイベントを無難にこなしたが、結局、タリフマンの発言に振り回された。駆け引きが合意に至らねば、米中次第で世界経済の回復時期が後ズレする可能性が出てくる。 今回の騒動の発端となったのは、基本的には中国側の変化にあることは事実である。知的財産権を守る法改正を伴う合意事項や、中国企業に支給されている国からの補助金を巡る合意事項の文言を突然削除することが判明した。ライトハイザーUSTR代表が慌ててトランプ米大統領に報告したことが関税引き上げ表明の理由となっている。
 関係者からの話によれば、『これまで両国で作成していた合意文書は全て英語だったが、最終的に中国語の文書が作られて、共産党幹部に回覧された。その時点で、かかる文言の削除が副首相のほうに命じられたのではないか』とのこと。米国側は、『当然そのままの文言で合意している』前提だったことから、『全く話が違う』ということになった。いずれにしても、9日から訪米する中国の交渉団次第ということになっているが、しばらくはかかるヘッドラインに振り回されることになる。 

 

英離脱協議の行方は視界不良のまま

大型連休中の英EU離脱協議に目立った進展はなし。2日の統一地方選で与党・保守党は歴史的な敗北を喫し、党内からメイ首相への退陣圧力が再燃している。首相は早期の離脱実現を目指し、与野党協議での追加譲歩に傾いている。 ただ、メイ首相の譲歩案は労働党が求める関税同盟の永久残留とは隔たりがあり、労働党が譲歩提案を受け入れるかは予断を許さない状態。仮に与野党間で合意に至ったとしても、議会での合意受け入れ採決や法制化作業の行方は不透明となっている。 また、首相が労働党に歩み寄れば、メイ降ろしが本格化する可能性が高い。与野党協議が決裂した場合、首相は代替案の投票で離脱方針の一本化を探る模様で、この場合も、細部での意見集約は難航が予想される。

 

原油相場の底堅さはドルの下支え要因

原油相場は前週以降、米FRBの利下げ後退や米中貿易協議の対立懸念などでも底堅さを維持させている。一因としては米国が産油国であるイラン、ベネズエラへの制裁を強化しており、供給制約の懸念がある。イランに関しては米国が5日、『イランによる数々の挑発的言動』に対応するため、空母打撃群と爆撃部隊を中東に派遣すると発表した。これまた原油相場の下支え要因となりやすい。
原油相場の底堅さは、米国でのインフレ底上げと金利低下の歯止めを通じて、ドルの下支え要因となりやすい。日本はイラン周辺の中東諸国からの原油輸入依存が高く、中東の地政学リスクは資源価格の上昇や資源調達難などによる円安材料となる。その反面、イラン発の有事緊張の高まりは、リスク回避による円高の潜在要因としても注視される。

 

欧米イベント

○14:45   4月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○15:00   3月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年同月比▲2.6%)
○17:15   ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:30   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:15   4月カナダ住宅着工件数(予想:19.64万件)
○21:30   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○9日02:00   米財務省、10年債入札
○9日05:00   オアRBNZ総裁、議会証言
○9日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○南アフリカ総選挙

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/07/15:16:15

日経平均株価:米中通商企業の先行き懸念が重石

中国は通商協議の一時的中断の用意があるとの観測報道が嫌気されたほか、上海株のマイナス転換やNYダウ先物の軟調推移も重石となった。市場からは、先月26日に発表された日本企業の決算で市場予想を下回る見通しを出した企業が散見された。控えめに出てくることは想定されたことではあるが、米中協議が長期化または頓挫すれば、回復を見込んでいたシナリオが狂ってくる。米中協議への懸念がじわりと効いてきている。との指摘もあった。結局、前週末比335円安の2万1923円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中貿易摩擦激化懸念からドルの重石に

ドル/円は、トランプ米政権が10日に対中関税を引き上げる方針を示したことを背景に、110.65円近辺まで下落した。日経平均株価が節目の2万2000円を一時1ヵ月ぶりに下回ったことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、上海株価指数が買い先行で始まったことや連休明けとなる本邦実需筋がドル買い・円売りに動きたことで、110.70円台まで戻した。午後は、日経平均株価の下げ幅をながめて、110.61円近辺までじり安となった。ユーロ/ドルは、米中貿易摩擦激化するとの懸念から持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1215ドル近辺まで上昇した。

 

豪準備銀行の政策金利の据え置きで豪ドル買い戻し

豪準備銀行(中央銀行)は本日開催した理事会で政策金利を1.50%に据え置くことを決定した。市場参加者の多数は0.25%の利下げを予想していたことから、金利据え置きを受けて豪ドル買いが強まった。

 

トルコリラの重石となっている要因

今週前半には、エルドアン大統領率いる与党・公正発展党(AKP)が要請している『イスタンブール市長選の再投票』について、トルコ高等選挙評議会(YSK)が審議結果を発表する。YSKの決定に対してエルドアン大統領の圧力は増しているようであり、先週は複数のYSKメンバーが大統領府に呼ばれたという話も噂ベースだが伝わった。また、週末にはYSK委員長が大統領と会ったとの噂もでている。地元イスタンブールを取り戻すために大統領は必死だが、先行き政局不安を招きトルコリラ売りにつながっている。また、チャウショール・トルコ外務相は、トルコがキプロス沿岸で天然ガス油田の掘削工事を開始することを表明した。それに対して米国や欧州諸国は強く反発している。トルコが関係を深めているイランに対しても米国は経済制裁を強め、くわえて軍事的行動も示唆した。トルコと欧米諸国との関係悪化への懸念は高まっていることも通貨リラの売り圧力となっている。

 

ラマダン入りで世界的にテロ攻撃を警戒

サウジアラビアなど中東のイスラム圏で6日、イスラム教徒が日の出から日没まで飲食や喫煙を断つラマダン(断食月)が始まった。預言者ムハンマドが神(アラー)の啓示を受けた最も神聖な月とされ、信仰心が高まる。イスラム過激派は例年ラマダンに合わせテロ攻撃を繰り返しており、各地で厳戒態勢が敷かれている。過激派組織『イスラム国』(IS)が3月にシリア最後の拠点を失って以降、初のラマダンとなる。IS最高指導者バグダディ容疑者とされる男は4月末、動画で『ジハード(聖戦)は最後まで続くことを敵は知るべきだ』と主張している。世界中でIS過激思想の支持者らが触発される恐れもある。

 

米中貿易協議に関してNY市場は楽観的

米国のトランプ大統領は全中国輸入品に対して25%の関税を課すと警告した。これを受け、中国政府は8日から開催を予定していた協議に出席するための代表団派遣を中止することを検討していると報じられた。先週までは、協議が順調に進んでおり今週末の協議で合意成立も期待されていた。 他の報道によると中国政府は依然代表団の派遣を計画しているが、交渉を指揮している劉副首相が含まれるかどうかはまだわからない。警告はトランプ大統領が交渉を有利に進めるための手段に過ぎないとの見方も少なくない。動向は流動的で、特に今後1,2日の動きに焦点が集まっている。
ただ、大手金融機関のストラティジストは比較的楽観的。ゴールドマンサックスのアナリストは、米国政府が10日までに対中輸入品2,000億ドルに対して関税を引き上げることはかろうじて回避できる可能性が強いとの考えを示した。また、シテイ銀のアナリストも貿易摩擦の激化を予想していないとしている。UBSは『警告のタイミングからして、貿易交渉のレバレッジを最大限に引き上げる手段だ』と受け止めている。ウォールストリートの期待通りに、関税の引き上げがかろうじて回避できた場合は、リスクオンの動きが再開することになる。

 

欧米イベント

○15:00   3月独製造業新規受注(予想:前月比1.5%/前年同月比▲5.4%)
○15:45   3月仏貿易収支(予想:45億ユーロの赤字)
○15:45   3月仏経常収支
○18:20   カンリフ・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○20:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○23:00   4月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:53.0)
○8日01:30   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○8日02:00   米財務省、3年債入札
○8日04:00   3月米消費者信用残高(予想:160億ドル)
○7-8日   4月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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