FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/10/15:14:21

日経平均株価:リスク回避姿勢が後退して先物主導で上昇

米5月雇用統計発表の米国株高を好感したほか、米国の対メキシコ関税発動が見送られたことで、リスク回避姿勢が後退し主力輸出株に買い戻しが先行した。朝方に上げ幅を260円を超えたが、その後は戻り待ちの売りにも出て高値圏で一進一退となった。ヘッジファンドなど海外投資家の先物買いが主導した。結局、前週末比249円高の2万1134円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株が堅調だったことで円売り・ドル買い

ドル/円は、日経平均株価の続伸を背景に、108.50円前後へ上昇した。週末に米政府がメキシコからの全輸入品に対する関税発動を見送る方針を表明したことも、引き続き円売り要因として意識された。午後もこの流れが続き、日経平均株価の上げ幅拡大や米長期金利上昇にも支えられ、108.67円前後までじり高となった。また、黒田日銀総裁が一部メディアのインタビューに応じ、『大規模な緩和を行う余地がある』と発言したことも、円売りを誘った。ユーロ/ドルは、高値警戒感から利益確定売り持ち高調整のユーロ売り・ドル買いに押され、1.1303ドル前後まで下落した。

 

日本の景気の底堅さを確認

内閣府が発表した1-3月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は前期比0.6%増となった。年率換算では2.2%増で1次速報から上方修正された。1次速報は前期比0.5%増、年率2.1%増だった。民間設備投資は前期比0.3%増(1次速報は同0.3%減)とプラス転化した。内閣府幹部は、GDP2次速報値を受けて『景気認識は1次速報時と変わりない』と述べている。設備投資は、卸売り、小売り、サービス業など非製造業関連が上方修正されており、弱めな製造業に対して、非製造業が確りしてる構図となっている。

 

GSは関税リスクを踏まえて人民元相場の見通しを元安に修正

ゴールドマン・サックス(GS)は9日のリポートで、米中の貿易戦争懸念が高まっていることを踏まえてトランプ政権が7月までに中国の3000億ドル規模の製品に対して10%の関税を課す可能性が60%あると見込んでいる。関税が撤廃される可能性もあるとしつつ、それは早くても2019年後半から2020年初めになると指摘した。6月末に行われるG20 サミットの機会を利用して米中首脳会談が行われる希望があるにも関わらず、米中合意に至らないことを予想している。その上で、ドル/陣減相場の見通しをドル高・人民元安に修正し、今後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月先でそれぞれ1ドル=7.05元、6.95元、6.80元と見込み、従来の(6.95元、6.65元、6.60元)から大きく修正した。

 

南アの国営企業改革の袋小路を嫌気して上値の重い展開

南アランド/円は、先週末1月3日のフラッシュクラッシュ時の安値7.09円に近づく、7.15円まで下落した。ただ、メキシコペソ/円の買いにつれて2.255円まで小幅上昇したているが、上値も限定的となっている。 週末に福岡のG20に参加したモガジャネ国庫担当長官は『(国営会社)エスコムへの追加融資をしなくてはならない、それ以外の選択肢はない』と発言した。しかし先週クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁は『SARBは国営企業を救済することはない。なぜならばインフレ悪化に導くからだ』と述べ、『保証されていない企業に対して貸付を行うことは法律で禁止されている』とも発言し、中央銀行がエスコム支援に介入することを否定している。エスコムに対して際限のない追加支援に対しては格付け機関の多くが反対している一方、国営企業が健全に戻らない限り、南アの計画停電の影響で南アの企業に与える影響も大きい。南アの国営企業改革は袋小路に入っている。

 

ムニューシン米財務長官と中国人民銀行易綱総裁が会談

ムニューシン米財務長官は9日、福岡市で開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせ、中国の中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁と会談した。米中の閣僚級貿易協議は5月10日を最後に途絶えている。今回の会談は貿易交渉としての設定ではないが、協議のメンバーが会うことで対立緩和へ地ならしを試みる狙いがあるとの見方。 ムニューシン氏は会談後に『貿易問題で率直な議論を行い、建設的な会談だった』とツイッターに投稿し、前向きなメッセージを出した。中国にとって輸出が有利となる人民元安など為替問題を協議したとみられる。 一方、中国人民銀行は発表文で、両氏が『グローバル経済・金融情勢とG20の事務、その他の共通する関心議題について意見を交わした』とするにとどめた。

 

欧州委員会はイタリアの財政規律違反に厳しく対処

欧州委員会のモスコビシ委員は、イタリアの財政規律違反に厳しく対処する方針をユーロ圏の財務相は『強力に支持する』との見通しを示した。イタリア政府が改善策を講じない場合、EUは7月にイタリアに対する『過剰財政赤字是正手続き』と呼ぶ制裁措置に踏み切る見通しとなっている。実際に同手続きに入れば、イタリアは制裁金を課される可能性があるが、何ヵ月もの検討が必要なほか、政治的にも発動は難しいとみられる。モスコビシ氏は、ユンケル委員長率いる欧州委は10月末に任期を迎えるが、イタリアのへの是正手続きは現在の委員会が最後まで実施すると説明している。

 

欧米イベント

○17:30   4月英国内総生産(GDP、予想:前月比▲0.1%)
○17:30   4月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.7%/前年比1.0%)
      製造業生産高(予想:前月比▲1.0%)
○17:30   4月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:129.6億ポンドの赤字/47億ポンドの赤字)
○18:30   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:15   5月カナダ住宅着工件数(予想:20万件)
○21:30   4月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比0.5%)
○オーストラリア(女王誕生日)、スイス、ノルウェー、ドイツ(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/07/15:12:24

日経平均株価:米国がメキシコ関税の導入を検討を好感

米政権が対メキシコ関税の導入先送りを検討しているとの報道を好感し、前日の米国株が上昇した。為替も108円半ばで落ち着いた動きとなり、朝方から買いが先行した。その後、2万0890円まで上げ幅を拡大し、取引時間中として5月30日以来1週間ぶりの高値を付けた。結局、前日比110円高の2万0884円と反発した。

 

東京外国為替市場:108円半ばでもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅が100円を超えたことに支えられ、108.53円付近まで上昇した。米国とメキシコの移民や制裁関税をめぐる交渉が継続する見通しとなったことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、前日NY市場でつけた戻り高値108.56円が意識されると上げは一服して108.45円前後でのもみ合いとなった。午後は、日経平均株価をにらみながら108.40円台を中心とした狭いレンジ内での取引となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EUとイタリアの対立が鮮明になる可能性も

欧州委員会はイタリアに対して財政再建への取り組みが不十分として過剰な赤字手続き(EDP)の開始を勧告した。今後、EU理事会の特定多数決により正式な手続き開始が決定される。その後も効果的な是正措置が採られない場合、GDP比で最大0.5%の制裁金が課される。 イタリアの連立政権内の不協和音が高まっている。先の欧州議会選挙で、同盟と五つ星運動の連立内の立場の逆転が決定的なものになった。減税策などが受け入れられない場合、同盟は連立解消を決断する公算としている。最近の世論調査は、同盟が小規模な右派政党の協力で連立政権を発足できる可能性を示唆した。
 右派政権の誕生で財政運営の自由度はやや増すが、それでもEUとの対立は避けられない。これまで政権内で歯止め役となってきた経済財務相や首相がいなくなり、同盟のEU懐疑論者が要職につけば、EUとの対立姿勢が鮮明となる恐れがある。 イタリア下院は最近、未払い債務の支払い加速を求める決議を可決した。その財源の1つとして、同盟のEU懐疑論者が主張する政府の借用証書(ミニボッツ)の発行が検討されている。並行通貨が発行されれば、ユーロ離脱の第一歩と受け止められ、市場の動揺を誘う恐れがある。

 

IMFは米中貿易戦争により世界成長率予想を下方修正

トランプ政権がメキシコ製品にも制裁関税を課すべく検討し、世界的な貿易戦争リスクが拡大する中で国際通貨基金(IMF)は5日、米国と中国の貿易戦争による世界経済への最新影響分析を公表、米中貿易協議が決裂、米大統領が「第4弾」3000億ドル分の中国製品にも新たに25%の関税を課した場合、従来の中国20年の成長率6.1%から1.0%減速し5.1%、米国も1.9%の従来予想から0.2%下押し1.7%成長に鈍化すると分析した。米中貿易戦争は世界第1位と2位の米中両国の景気減速を通じて世界成長率を下押し、19年分に見込まれる関税引き上げの影響を合算すると、従来の世界成長率予想3.6%から下振れ幅は0.5%、好不況境目3%水準まで落ち込む可能性があると警鐘を鳴らした。

 

メキシコの追加関税協議行方次第で週初リスク

トランプ米大統領は6日、不法移民対策をめぐるメキシコとの協議について『多くの進展があったがメキシコはさらに行動すべきだ』と強調した。両政府が同日も協議することを踏まえ、効果的な対策を講じるようメキシコに圧力をかけた。トランプ氏は対策が不十分だと判断すれば、10日からメキシコ製品に追加関税5%を課す方針を示している。議会で関税の引き上げに反対論が出ていることに関しては『上院議員を含めて多くの人が中身を理解していない』と指摘した。一方で『劇的なことが起きるかもしれない』とも語り、10日の追加関税発動の前にメキシコとの協議がまとまる可能性にも含みを残した。

 

FRB利下げ検討に着手:米WSJ紙

米FRB当局者は、難しい選択肢を抱えつつ、6月18-19日の連邦公開市場委員会(FOMC)に向けた準備を開始した。つい1カ月前まで、パウエル米FRB議長は今夏の利下げ臆測を一蹴していた。だがここにきて、FRB当局者は景気見通しの悪化に直面しており、一転して利下げが現実味を帯びている。今月の利下げはなくても、その後7月かそれ以降の会合で実施されるかもしれない。

 

米国の5月雇用統計が公表

非農業部門雇用者数は4月実績の前月比+26.3万人を下回る見込みとなっている。製造業、専門職・企業のサービスの雇用者数はやや伸び悩む可能性がある。失業率については4月実績と同水準になるとみられるが、労働参加率が低下した場合、失業率は0.1ポイント低下する可能性がある。

 

欧米イベント

○14:45   5月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○15:00   4月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%/前年同月比▲0.4%)
○15:00   4月独貿易収支(予想:195億ユーロの黒字)
○15:00   4月独経常収支
○15:45   4月仏貿易収支(予想:47.42億ユーロの赤字)
○15:45   4月仏経常収支
○15:45   4月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
○18:00   リムシェービッチ・ラトビア中銀総裁、講演
○21:00   5月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.20%)
○21:30   5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化8000人/失業率5.7%)
○21:30   1-3月期カナダ設備稼働率(予想:81.0%)
○21:30   5月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18.5万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.2%)
○22:00   5月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.22%)
○23:00   4月米卸売売上高(予想:前月比横ばい)
○23:00   4月米卸売在庫(予想:前月比0.7%)
○8日04:00   4月米消費者信用残高(予想:120億ドル)
○メイ英首相が保守党党首辞任

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/06/15:16:15

日経平均株価:米国とメキシコの関税協議が合意に至らず

米国とメキシコによる移民・制裁関税を巡る協議や、週末の米雇用統計などを見極めたいとする向きが多く、様子見ムードが広がる中、指数寄与度の高い銘柄への買いが下支えとなった。しかし、米国とメキシコの関税協議が合意に至らず米大統領のメキシコ関税発動を辞さない姿勢が嫌気され下げに転じた。結局、前日比2円安の2万0776円と小反落で終了した。

 

東京外国為替市場:持ち高調整のドル売りが優勢

ドル/円は、日経平均株価がマイナス圏からプラス圏に転じたことに支えられ、108.41円前後まで上昇した。しかし、FRBが年内に利上げを実施するとの観測が高まっているため、上値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利の低下や中国株安を背景に、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され108.25円前後までじり安となった。午後もこの流れは続き、日経平均株価のさえない動きをながめて、108.14円付近まで下落した。前日に発表された5月ADP全米雇用リポートが予想外に低調だったことも、引き続きドルの重石となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EUとイタリアの溝が深まる懸念

欧州委員会は昨日、拡大するイタリアの債務についてEUの財政規則違反と判断し、是正手続き開始を勧告した。しかしながら、モスコビシ欧州委員(経済・通貨担当)は制裁回避の可能性についても言及し、コンテ伊首相はEU側へ歩み寄り姿勢を示しており、最悪の事態は避けようとする当局の動きはみられる。ただし、サルビーニ伊副首相が態度を軟化させるとは考え難く、同氏の発言次第ではEUとイタリアの溝が深まる懸念は残る。

 

トルコリラはラマダン明けの砂糖祭り以降堅調推移

トルコがラマダン(断食月)明けの祭り・砂糖祭(4-6日)に入って以降、通貨リラは堅調な値動きとなっている。米の経済制裁につながるトルコのロシア製ミサイル導入が延期されるのではないかという期待感、米国の早期利下げ観測、原油安などがリラ買いを後押しした要因かどうか、砂糖祭最終日もリラの底堅さが続くか注目される。 

 

欧州市場ではECB定例理事会が開催

欧州中央銀行(ECB)は今回の理事会で、長期リファイナンスオペ(TLTRO)に新たな条件を付与することを決定する見込み。現行の政策金利は据え置きとなると予想される。市場関係者は融資目標を達成した銀行に対する2年物ローン金利は、▲0.25%から▲0.3%程度に設定される可能性がある。

 

IMFは2020年に世界の経済生産は下押しの見方

国際通貨基金(IMF)は、米中の報復関税合戦が2020年に世界の経済生産を0.5%ポイント下押しする可能性があるとの見方を示した。 ラガルドIMF専務理事は、今週末に日本で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議向け資料の中で、米中がすべての輸入品に関税を課した場合、4550億ドル相当の国内総生産(GDP)が失われると指摘した。『自傷行為は避けねばならず、それには最近導入した貿易障壁を撤廃し、今後もあらゆる障壁を導入しないことだ』と述べた。

 

7日の米5月雇用統計のネガティブサプライズに注意

米労働省は7日に最新5月の雇用統計を発表する。市場予想は失業率が3.6%とほぼ50年来の低水準を維持、非農業部門雇用者数は前月比18万人と、4月26.3万人から伸びが鈍化すると見ている。先行指標の中でも労働省が発表する雇用統計と相関関係が最も強いとされている民間の雇用統計となるADP雇用統計の5月分は前月比+2.7万人と、市場の予想外に10万人割れとなり9年ぶり低水準の伸びに落ち込んだ。雇用統計の結果でもネガティブサプライズに警戒される。万が一、10万人以下の伸び、または減少となった場合は、景気後退懸念や利下げ観測がさらに強まりドル売りに拍車をかける。一方で、米国経済の7割を消費が占めるため注目されるISM非製造業雇用の雇用は58.1と昨年10月来の高水準となった。2年ぶりの最低を記録した4月53.7から上昇した。活動の拡大と縮小の境目となる50は5年連続で上回っている。 市場予想:失業率:3.6%(4月3.6%)、非農業部門雇用者数:前月比+18万人(4月+26.3万人)、民間部門雇用者数:前月比+17.2万人(3月+23.6万人)、平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+3.2%(4月+0.2%、+3.2%)

 

欧米イベント

○15:00   4月独製造業新規受注(予想:前月比0.1%/前年同月比▲5.9%)
○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:5.75%に引き下げ)
○18:00   1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.4%/前年比1.2%)
○18:00   1-3月期南アフリカ経常収支(予想:1545億ランドの赤字)
○18:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、東京で講演
○20:30   5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:30   ドラギECB総裁、定例記者会見
○21:30   4月カナダ貿易収支(予想:28億カナダドルの赤字)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比3.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21万5000件/166万人)
○21:30   4月米貿易収支(予想:507億ドルの赤字)
○21:40   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○23:00   5月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日02:00  ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○6-7日   5月ロシアCPI(予想:前月比0.3%)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○トルコ(砂糖祭)、スウェーデン(建国記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/05/15:10:49

日経平均株価:米国株の大幅な上昇を好感した買い優勢

パウエル米FRB議長が金融政策に柔軟な姿勢を示したことを好感し、前日の米国株が上昇した。日経平均株価は前日で5日続落していた反動もあり、幅広い銘柄で買い戻しや自律反発狙いの買いが先行した。利益確定や戻り売りで上昇の勢いが鈍る場面もあったものの、上海総合株やNYダウ先物がプラス圏で推移したことが安心感を誘った。結局、前日比367円高の2万0776円と6日ぶりに反転して終了した。

 

東京外国為替市場:利下げの思惑からドルの上値重い

ドル/円は、前日にパウエル米FRB議長が利下げの可能性に言及した余波が続き、108.00円近辺までじり安となった。トランプ米大統領が『メキシコに対する関税措置は脅しではない』との見解を示したことも、円買いを誘った。ただ、前日に付けた5ヵ月ぶりの安値107.85円が視野に入ると、下げは一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら108.10円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.1260ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

新債券王のガンドラッグ氏の米国債利回り上昇予想

新債券王として米国債市場に君臨している米ダブルライン・キャピタルのガンドラッグCIOの相場見通しは、『債務の海』を漂流する米国はトリプル安に向かう、すなわち、NY株下落、ドル下落、そして米国債の下落を予想している。ガンドラッグ氏は、2016年に、米長期金利上昇を予想し、米10年債利回りは5年で6%まで上昇すると予想していた。米10年債利回りは、昨年に3.2594%まで上昇したものの、その後は下落基調にある。しかし、ガンドラッグ氏は、5月29日、米10年債利回りのテクニカル分析では、『ブローオフ・モメンタム・トップ』を形成しており、『バイイング・クライマックス』の様相を呈しつつあり、『かなり近いうちに買い手の後悔が始まるだろう』と警鐘を鳴らしている。

 

メキシコの自動車各社は関税の期限を控え出荷の加速化

トランプ米大統領がメキシコに対する追加関税措置を表明したことを受け、主要自動車メーカーの間で供給網などに対する費用を検証する動きが広がっており、車両の出荷の一部遅延も検討されていることが4日、複数の関係筋の話で明らかになった。
トランプ大統領は5月30日、メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していないとし、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課すと表明。移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げ、関税率は7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%とするとした。 自動車各社は来週10日に関税の期限を控え、重要な部品の出荷の加速化を図っている。

 

米議会はメキシコ関税計画を覆す構え

米上院共和党議員はトランプ政権の対メキシコ関税計画を巡り、大統領による拒否権発動があっても、議会として覆すことも辞さない構えを示している。大統領は、同党議員が経済的悪影響への懸念から関税賦課を阻止しようとする可能性を一蹴した。
クレイマー議員(ノースダコタ州)は、トランプ大統領が計画する対メキシコ関税について、実施を阻止する措置に大統領が拒否権を発動しても、それを覆すのに十分な票が上院で集まると予測する。人々は貿易戦争に飽き飽きしていると指摘した上で、『上院共和党は関税に飽き飽きしている』と述べた。

 

パウエル米FRB議長は必要とあれば利下げする方針

米国経済が景気後退に陥るとの脅威が強まりつつある中、注目されていたシカゴの会合あいさつで、パウエル米FRB議長は4日、FRBが貿易の展開による影響を綿密に監視し、景気拡大を持続されるために適切な行動をとるとし、利下げも辞さない構えを表明した。議長は貿易交渉や他の問題がどのようにどういった形で解決するかわからないと、不透明性に言及した。 力強い経済にかかわらずインフレの低迷が長期化するとインフレ期待の低下につながる深刻なリスクを我々は背負っていると警告した。政策金利がゼロに近づく環境下、危機に対して、量的緩和(QE)、ZIRP(ゼロ金利政策)、NIRP(マイナス金利政策)でさえも手段として利用する可能性を示唆するなど、ハト派姿勢を強めた。 一方で、経済は良好で、労働市場も強く、インフレも2%の目標に近づいていると、景気に楽観的な見方を維持しつつ、必要とあれば利下げする方針を示した。

 

欧米イベント

○16:50   5月仏サービス部門PMI改定値(予想:51.7)
○16:55   5月独サービス部門PMI改定値(予想:55.0)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.5)
○17:00   ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○17:30   5月英サービス部門PMI(予想:50.6)
○18:00   4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比3.2%)
○18:00   4月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.4%/前年比1.5%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:15   5月ADP全米雇用報告(予想:18.0万人)
○21:30   1-3月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.3%)
○22:45   5月米サービス部門PMI改定値(予想:50.9)
○22:45   5月米総合PMI改定値
○22:45   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、あいさつ
○23:00   ボウマンFRB理事、議会証言
○23:00   5月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.5)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○6日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○欧州委員会がイタリアの財政状況について報告書公表
○トランプ米大統領、欧州訪問(6日まで)
○トルコ(砂糖祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/04/15:12:11

日経平均株価:押し目買いが下支え

朝方は前日まで4営業日で850円下落した反動から買い戻しや値ごろ感の買いが先行したものの、ドル/円が107円台後半まで円高に振れると為替と連動する先物売りで下げに転じた。上海株の下落も投資家心理を冷やした。反発の可能性について市場では『トランプ米大統領が何かしら投資家心理を緩和する発言をするか、米国株が上昇するかが必要だろう』との指摘もあった。結局、前営業日比2円安の2万0408円と小幅に5日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避継続も一方的な円高にはならず

ドル/円は、FRBが年内に利下げを実施するとの観測から下値を試す展開となり、一時107.82円近辺まで下落し、約5ヵ月ぶりの安値を付けた。日経平均株価の下げ幅が一時100円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。ただ、1月10日につけた107.77円が下値目処として意識されると、下げも一服した。その後は、国内輸入企業などが値ごろ感からドル買い・円売りに動き、108円近辺まで持ち直した。午後は株価にらみの展開となり107.90円台でのもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台半ばで小幅な動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では5月ユーロ圏消費者物価コア指数

4月実績は前年比+1.3%で市場予想を上回った。旅行費用の上昇が要因とみられている。コアインフレ率の上昇は一時的な減少となる可能性が高いことから、5月のコアインフレ率は4月実績を下回る可能性が高いと見られている。

 

イタリア市場の寄付きの動向に注目

イタリア政局が混迷の様相を強めている。昨日はコンテ伊首相が連立政権を構成する2党『五つ星運動』と『同盟』の溝の拡大を懸念し、関係修復ができなれば辞任との覚悟も示した。財政に対して伊政権内での意見の一致がなければ、欧州委員会から制裁の可能性が高まる。昨日は堅調なまま終えたイタリア株・債券市場だが、コンテ首相の発言は織り込んでおらず、本日の寄り付き動向には注目したい。

 

中国が米国に対してレアアースの禁輸ならば貿易摩擦も激化に

トランプ米政権が対中制裁関税第4弾の発動可能性がたかまりつつあるなか、中国が報復措置としてレアアースの禁輸を検討しているとの報道が伝わっている。中国は2010年に日本との尖閣諸島問題がエスカレートした際にレアアースの実質的な禁輸を行った過去がある。当時、日本や米国はレアアースの調達を中国に依存していたが、禁輸措置を受けて調達先の多元化やレアアースの代替材料の開発を進めました。そのために中国が再びレアアースを切り札としても大きな効果は見込めないとの見方も少なくい。ただ、中国は依然として世界のレアアース生産の80%近いシェアを持っており、米国はレアアース輸入の80%を中国に依存している。習・中国国家主席は先月、対米貿易交渉の責任者を伴ってレアアースの関連施設を視察した。習氏のこの行動はそのタイミングから見ても間違いなく今後を示唆する動きである。『レアアースの禁輸』の効果があるかどうかは別として、中国が禁輸措置に踏み切った場合、米中貿易摩擦は一段と激化する。

 

他のFOMCメンバーは利下げには慎重姿勢

2019年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するブラード・セントルイス連銀総裁は講演で、インフレの低迷や世界貿易緊張からくる経済成長のリスク上昇で、近く利下げが正当化される可能性があると指摘した。長短金利差の逆転は3日、一段と悪化した。景気後退の有無を判断する上で注目されている3カ月物、10年物の利回り格差は一時‐27.8と、2007年6月来で最大のマイナスとなった。米国経済が景気後退に陥るとの見解が一段と強まり、ドル売り圧力を強めた。ただ、他のFOMCメンバーは利下げに依然、慎重姿勢となっている。ハト派として知られるカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁でさえ先週のインタビューで、『利下げを必要とする兆候はまだ見られない』と発言している。 米金利先物市場では年2回の利下げを織り込みつつあるが、バークレイズ銀の米国チーフエコノミストは年内75ベーシスポイント、あと3回の利下げを予想している。貿易の緊張が一段と深刻化する可能性が強いと見ており、国内総生産(GDP)の成長率が低下すると予想している。

 

欧米イベント

○15:45   4月仏財政収支
○17:30   5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.5)
○18:00   4月ユーロ圏失業率(予想:7.7%)
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.3%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.9%)
○18:30   1-3月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率▲1.7%/前年同期比0.7%)
○18:30   ロウRBA総裁、講演
○21:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○22:55   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○23:00   4月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.9%)
○4日04:45   ブレイナードFRB理事、パネルディスカッションに参加
○米英首脳会談(ロンドン)
○トルコ(砂糖祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ