FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/20/15:14:48

日経平均株価:1-3月期GDPがプラス成長となり買い優勢

寄付き前に発表された1-3月期実質国内総生産(GDP)が予想に反してプラス成長となったことに反応し買いが先行し、一時179円だかまで上昇した。しかし、GDPの内容について、内需が弱いなど表面的な数値ほど良くないとの見方が広がり、上げ幅を縮小した。市場では『日本株は引き続き売られ過ぎの水準であり、優良株の一角には見直し買いが入っているものの、中東情勢の緊迫化なども意識され上値は重い』との指摘もあった。結局、前営業日比51円高の2万1301円と小幅続伸で終了した。

 

東京外国為替市場:ドル買いも米中貿易戦争長期化を嫌気して上値重い

ドル/円は、本邦実需筋のドル買い・円売りや日経平均株価の上昇に支えられ、110.31円まで上昇した。朝方に内閣府が発表した1-3月期国内総生産(GDP)速報値が、前期比+0.5%となり、市場予想の±0・0%を大きく上回ったことも、リスク選好の円安を誘った。しかし、トランプ米政権が対中強硬姿勢を崩していないため、米中貿易戦争は長期化するとの思惑から上げは一服した。その後は、上海総合株価指数の続落をながめて持ち高調整などのドル売り・円買いが入り110.20円付近へ押し戻された。午後は、株価をにらみながら110.10円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、23~26日に予定されている欧州議会選において、EU懐疑派が勢力を拡大するとの警戒感が浮上しているため、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.11ドル台半ばの安値圏で推移した。

 

日本のGDPは予想を上回るも内容は良くない

内閣府が発表した2019年1-3月期国内総生産(GDP)は、季節調整済み前期比プラス0.5%、年率プラス2.1%となった。中国経済を中心に海外経済減速が輸出を下押しし、内需も個人消費や設備投資が落ち込んだ。プラス成長となったのは、内需減少に伴う輸入の大幅減や公共投資が要因となった。米中摩擦再燃で民需の回復が見えにくくなっており、プラス成長とはいえ、その内容は決して良くない。

3月年度末を前に公共投資など予算使いきりが指数を押し上げた可能性が高い。

 

英国の先行き見通せないEU離脱の行方

英国の欧州連合(EU)離脱を巡る政府与党・保守党と最大野党・労働党との協議は17日、労働党が協議を打ち切り決裂した。そのため、離脱を巡る状況は再び先行きが見通せない状況となった。労働党のコービン党首はメイ首相宛ての書簡で、政府が立場を根本的に変えず『政策面で双方の重要な溝を埋めることができなかった』と指摘した。『さらに重大なこととして、政府の脆弱性や不安定性が高まっており、仮に双方で合意出来たとしても政府を信頼することはできないと判断した。』と述べ、労働党は来月初旬に予定されている離脱協定案の決裂で反対票を投じると明言した。

 

サウジアラビアは供給不足なら増産の検討も

サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は18日、米国など世界の石油在庫はなお増加していると指摘し、供給不足だとは認識していないと述べた。一方で、石油輸出国機構(OPEC)は石油市場のニーズに対応するとの姿勢も示した。同相は、OPECは次回総会が予定されている6月末までは、生産について決定することはないと述べた。 供給懸念を受けた増産は検討されているとの問いに対して、同相は『供給が不足しているのかは定かではないが、(市場)分析を参考にしたい。十分な供給が確保されるよう対応する』と強調した。

主な産油国は、日本時間の19日夜から20日未明にかけて、サウジアラビアのジッダで会合を開いた。今回の会合で、産油国は来月までとしている減産を7月以降、見直すべきか話し合ったが、イラン情勢や、アメリカと中国の貿易摩擦が原油の需給にどのような影響を与えるか見極める必要があるという認識で一致した。

 

欧米イベント

○15:00   3月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.4%)
○17:00   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:00   3月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○22:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○21日01:30   ブロードベント・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○シンガポール(べサックデイの振替休日)、カナダ(ビクトリア女王誕生日)、休場

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/17/15:15:04

日経平均株価:米中貿易摩擦激化懸念で上げ幅縮小

前日のNYダウ214ドル高で3日続伸したことや、1ドル110円台の円安を好感して海外投資家の先物買いに一時上げ幅を336円へ広げた。しかし、上海株の下落や米国の中国ファーウェイの禁輸令による米中貿易摩擦激化を懸念した戻り待ち売りに押された。また、週末を控えた後場で様子見ムードも広がった。結局、前日比187円高の2万1250円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米中貿易激化懸念でリスク回避の円買い

ドル/円は、本邦輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ一時100.02円近辺まで上昇した。しかし、トランプ大統領が対中強硬姿勢を崩しておらず、上値を追う動きは限られた。その後は、上海総合株価指数の反落を眺めて利食い売りなどに押され109.85円付近へ下落した。午後に入ってもこの流れが続き、中国こ国営メディアが『中国は米国との通商協議を継続する気がない』と報じたことも嫌気され109.60円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、1.11ドル台後半で小幅な値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

5月月例経済報告は景気判断を引き下げる方向

日本政府は5月月例経済報告で、景気の総括判断を引き下げる方向で検討を始めた、と報じている。米中対立の激化で輸出・生産の回復時期が後ずれする可能性が出てきたほか、20日に公表予定の2019年1-3月期のGDP1次速報が、前期比マイナスとなる公算が大きく、これまで堅調だった設備投資や消費も下振れつつある。

 

海外投資家は日本株売り越しに転じる

大阪取引所が16日発表した5月第1週(7-10日)の日経平均先物とTOPIX先物の投資部門別売買動向によれば、海外投資家は2週連続で売り越し、日経平均先物とTOPIX先物の合計売越額は6378億円と3月第4週以来の大きさとなった。一方、東京証券取引所が10日発表した5月第1週(5月7-10日)の投資部門別株式売買動向(東京など2市場1-2部・新興市場計)によれば、海外投資家は5週ぶりに売り越し、売越額は191億円と前の週の買越額3079億円から売り越しに転じた。

 

米国のファーウェイに対する輸出規制に対して中国は大人対応

米商務省は15日、安全保障上の懸念があるとして輸出を規制する外国企業のリスト(エンティティー・リスト)に、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と関連企業約70社を追加したと発表した。

中国外交部の陸報道官は16日に開かれた定例記者会見で、米当局がファーウェイに対する事実上の『禁輸令』を発動したことを巡り、中国が同国に進出する米国企業の標的に対抗措置をとることの警戒が広がっていることについて『心配する必要はない』とコメントした。陸報道官は、在中外資系企業は合法的な経営を行ってさえいれば、心配する必要はないと発言した。また、同日に中国商務部で開かれた定例記者会見で、高峰報道官は中国が最も外資の歓迎を受ける市場の一つだと強調し、全ての在中外資系企業の合法的な権益は中国政府の保護を受けることが出来るとの考えを示した。

 

中国は関税引き上げ前から米国産豚肉の発注を取り消す

米政府が中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げると表明した週に、中国の業者が3247トンの 米国産豚肉の発注を取り消していたことが16日、米農務省の統計で明らかになった。 こうした発注の取り消しがあったのは5月9日までの週。米政府は10日付で関税率を10%から25%に引き上げている。
農務省の統計によると、今年に入ってからの中国業者による豚肉の購入の取り消しは、2月28日までの週が53トン、3月21日までの週が999トン、4月18日までの週が214トン。 中国業者が購入を控えれば米精肉業界は打撃を受ける。

 

米国市場では5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が公表

参考となる4月確報値は97.2で速報値96.9から上方修正された。5月については金融環境に大きな変化がないことや雇用上情勢はまずまず良好であることから、4月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米イベント

○18:00   3月ユーロ圏建設支出
○18:00   4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.7%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.2%)
○23:00   4月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.2%)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:97.5)
○18日00:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討論会に参加
○18日02:40   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○17-20日   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比1.2%)
○欧州連合(EU)財務相理事会
○ノルウェー(憲法記念日)、休場
○18日 豪総選挙

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欧米タイム直前市場コメント

2019/05/16/15:20:12

日経平均株価:米中通商問題懸念が根強く上値の重い展開

米中通商問題への懸念が根強く、朝方から幅広い業種で売りが先行した。先物への売りも相場を押し下げ、一時200円超に下げ幅を拡大した。しかし、その後は日銀の株式ETF買いへの思惑が下支えとなった。市場では、日経平均2万1000円を割り込むとこのレベルがレジスタンスとして意識されるとの観測だった。結局、前日比125円安の2万1062円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株下落でリスク回避の円買い

ドル/円は、トランプ大統領が早期に国家安全上のリスクがある企業の通信機器使用を禁止する大統領令に署名したことで、米中貿易摩擦が激化するとの懸念が広がり、109.33円前後まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、前日の海外市場で付けた109.15円が下値も目処として意識され、下げは一服した。その後は、国内輸入企業のドル買い・円売りや上海総合株価指数の持ち直しに支えられ、109.50円前後まで戻した。午後は、株価をにらみながら109.50円を挟んだもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは1.12ドル台前半で方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

18日の豪州総選挙に注目

豪州では今週土曜日5月18日に連邦議会の総選挙が実施される。注目は下院(代議院、House of Representatives)150議席のうち改選前は69議席の野党・労働党が政権を奪還するかどうかである。週末の世論調査では、労働党支持率は51%と4月当初よりも低下しているが、モリソン首相率いる自由党を含む与党・保守連合の49%を上回っている。労働党が政権党となった場合、このところ強まっていた中国への警戒感を緩める姿勢に転換する可能性もでてきた。また、保守連合よりも労働党の方がより積極的な温室効果ガス排出量削減の目標を掲げており、多国籍企業や銀行へ課税し、それを財源に再生可能エネルギーへの投資も表明している。労働党が豪国民からの信頼を勝ち取れる政党になれるのか、18日に注目される。

 

中国の景気底打ちが遠のく様相

米中貿易摩擦を巡っては、米中双方が制裁強化に動くなど不透明さが増している。昨年の中国経済はデレバレッジに伴う内需鈍化に加え、米中貿易摩擦や世界経済の減速懸念が外需の重石となったが、年明け以降は内需喚起策への期待が高まった。3月には企業マインドが底入れする動きもみられたが、4月には早くも頭打ちするなど期待先行の色合いが強く、米中摩擦再燃に伴い景気底打ち時期は後ズレが避けられそうにない。 4月の鉱工業生産は前年比+5.4%と再び鈍化し、インフラ関連で底堅い一方で製造業を中心に弱含む動きがくすぶっている。小売売上高も実質ベースで前年比+5.1%と歴史的低水準に鈍化し、株価の頭打ちや物価上昇に伴う実質購買力の下押しなどが消費の重石になっている。さらに、1-4月の固定資産投資は前年比+6.1%に鈍化し、『国進民退』が進むなど民間投資が鈍化する一方、カネ余りを受けて不動産投資は堅調に推移するなど新たなリスクもくすぶる。足下の不動産市況は底入れしており、上振れ懸念の再燃にも要注意だ。国家統計局は4月の経済指標について引き続き『合理的な水準』との見解を示す一方、下振れリスクを注視する姿勢を示し、マクロ政策による対応余地に言及した。劉鶴副首相が財政・金融政策での対応余地に言及したことに合致する。短期的にプラスの期待がある一方、中長期的な『バブル清算』のリスクは引き続きくすぶる。

 

中国リスクは企業負債の増加

中国「構造不況」が景気底入れ後の回復力の鈍さを危惧させる最たる要因が、すでに日本のバブル期と同じ200%を超えた中国の民間債務比率の大きさである。足元で企業倒産が記録的な水準に達し、国全体の総負債額のうち60%を企業負債が占め、リーマン危機以降の財政大判振る舞いにより、世界の債務増加額67兆ドルのうち、中国が27.5兆ドルと全体の4割を占める。
『2017年の中国全体の負債額は32.5兆ドル(GDP比266%)を超え、10年間で4.4倍(GDP比で1.6倍)に膨れ上がった』そもそも、中国の経済発展は多額の債務をテコに成就された。2011年からの7年間で名目GDPは6.3兆ドル(約700兆円)増えたが、その間に債務も膨れ上がった。とりわけ、企業負債の中で突出しているのがドル建て債務であり、2011年頃から急増し17年10-12月期に450億ドルに迫った。

 

10月末に近づくにつれ英国の合意なき離脱不安が高まる

メイ首相は6月第1週に離脱協定法案を議会に提出し、7月後半に始まる夏季休会前の成立を目指す方針を発表した。関税同盟への残留を軸とした与野党協議の行方に暗雲が広がっているうえ、保守党を取り巻く政治環境の悪化で議員の態度も硬化している。
法案成立に必要な賛成票が得られるかは疑わしい。見切り発車の法案審議が失敗に終わり、メイ首相はこのまま退陣を余儀なくされる可能性が高い。後継首相の下で再開される離脱協議も難航が避けられない。強硬離脱派の後継首相誕生時や10月末の協議期限が近づくにつれ、合意なき離脱の不安が再燃する。

 

欧米市場イベント

○16:30   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00   3月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:194億ユーロの黒字)
      ユーロ圏貿易収支(季調前)
○21:30   3月対カナダ証券投資
○21:30   3月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.1%)
○21:30     4月米住宅着工件数(予想:120.5万件、前月比6.2%)
        建設許可件数(予想:129.0万件、前月比0.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22万件/168.0万人)
○21:30   5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:9.0)
○21:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17日01:05   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○17日01:15   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○17日02:30   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17日03:00   クーレECB理事、講演
○17日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)
○ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/15/15:17:24

日経平均株価:過度なリスク回避後退で8日ぶりに反発

米中貿易摩擦の激化懸念が和らぎ、前日の米国株が上昇したことを受け、日経平均株価は前日までの下げの反動もあり、買いが先行した。しかし、貿易摩擦激化への懸念は完全に払拭できていないことから、その後は伸び悩み前日終値を挟んだもみ合いとなった。午後になると上海株高も安心材料となり、個別で買い戻しがみられじり高地合いとなった。結局、前日比121円高の2万1188円と8日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:109.65円を挟んだもみ合う展開が続いた

ドル/円は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じたことから円買いが先行詞、109.51円まで下落した。しかし、前日の海外市場でつけた安値109.45円が下値目処として意識され、下げは一服した。その後は、本邦輸入企業のドル買い・円売りや上海総合株価指数の反発に支えられ、109.70円近くまで持ち直した。ただ、中国国家統計局が発表した小売売上高などの経済指標が低調な結果となったことを受け伸び悩み109.65円を挟んだもみ合う展開となった。午後も株価をにらみながら109.65円前後でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中通商協議が難航するならば中国の米国債売却の可能性も

米国財務省外国資産管理室(OFAC)は、外交政策や安全保障上の観点から、米国が指定した国・地域や特定の個人・団体などの資産凍結措置を講じてきた。これまで国家(イランやイラク)や政府要人(ロシアや中国)などの米ドル建て資産の凍結を行ってきており、トルコやロシアは、米国債を売却している。中国は、米国の借用書である米国債の最大の保有国であり、米中貿易戦争での最終兵器は、米国債の売却となる。米国債の保有主体は、1位が量的金融緩和で米国債を購入してきたFRBで2.1兆ドル、2位は21世紀の対米貿易黒字国の中国で1.13兆ドル(2019年2月)、3位は20世紀の対米貿易黒字国の日本で1.07兆ドルとなっている。日本企業や中国企業が米国に輸出し、米ドルの売り圧力が強まり、円高・人民元高となることで、自国通貨高を阻止するために、日本銀行や中国人民銀行が自国通貨売り・ドル買い介入を行い、結果的に外貨準備としての米国債の保有残高が増えたことになる。

米中通商協議が難航して米中貿易戦争が勃発する可能性が高まる中、中国は報復措置として、米国債の売却を警告している。もし、米国債を売却した場合、米ドル売り・人民元買いにより人民元高となるが、ロシアのように米国債から欧州債や金へ移行すれば人民元高は回避できる。米国債の大量売却により、米国長期金利の上昇や米国財政赤字ファイナンスへの懸念が高まることで、トランプ米政権に対する強力な武器となる。

 

欧州市場では1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値が公表

速報値は前期比+0.4%、前年比+1.2%で市場予想を上回った。ユーロ圏のサービス業PMIはまずまず順調だが、製造業PMIは弱含みとなっている。個人消費、企業設備投資はまちまち、外需の寄与度は全体的にはプラスになるとみられており、成長率は速報値と同水準になるとみられる。

 

仮想通貨相場の復活に向けての上昇は本物か?

仮想通貨の『冬の時代』が終わった。少なくとも仮想通貨の支持者は、そう考えている。貿易摩擦激化への警戒感から主な金融市場が低迷する中、仮想通貨『ビットコイン』の価格が急回復している。ビットコイン価格は14日午前のアジア市場で、昨年7月以来約10カ月ぶりに8000ドル(約88万円)台を回復した。つい先週まで6000ドルを割り込んでおり、今年に入り3500ドル前後に落ち込む場面もあったのと比べれば様変わりだ。投資家は機関投資家の支持が強まっている点を、相場回復の理由に挙げている。

 

メイ首相は労働党との溝埋まらず退陣の可能性高まる

メイ英首相は14日、欧州連合(EU)離脱をめぐる行き詰まりの打開に向け、最大野党・労働党のコービン党首と会談した。首相報道官は『有益で建設的だった』と評価したが、労働党側は『譲歩を達成する首相の能力』に懸念を表明した。結局は溝は埋まらなかったもよう。政府の離脱案は議会で三度否決され、首相が4月上旬、労働党に協力を求めた。しかし、首相はEUとの緊密な経済関係の維持など、労働党の要求を拒否した。そのため、話し合いは平行線が続いている。
英メディアによると、政府は離脱案の批准に不可欠な法案の議会採決を6月3日からの週に計画した。これが政府と労働党の妥結期限となる。協議が不調に終われば、法案が可決される見込みは薄い。その場合、首相は退陣を余儀なくされるという見方が有力だ。

 

米国市場では4月小売売上高が公表

参考となる3月実績は前月比+1.6%で市場予想を上回った。自動車・同部品の売上増が寄与した。オンラインの無店舗小売りなども好調となった。4月については、自動車の売上高がやや減少すると予想されるが、オンライン販売、家具類、衣料などの売上も順調であると予想されており、前月比プラスとなる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   1-3月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比0.4%/前年同期比0.7%)
○15:00   1-3月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比0.7%)
○15:45   4月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.2%)
○16:00   2月トルコ失業率(予想:15.0%)
○18:00   1-3月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比0.4%/前年比1.2%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.6%)
○21:30   4月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.0%)
○21:30   4月米小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.7%)
○21:30   5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:8.5)
○22:15   4月米鉱工業生産指数(予想:前月比横ばい)
       設備稼働率(予想:78.7%)
○22:30   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、米上院銀行委員会で証言
○23:00   5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:64)
○23:00   3月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○23:15   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○16日01:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○16日01:30   プラートECB専務理事、講演
○16日05:00   3月対米証券投資動向

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/05/14/15:15:12

日経平均株価:米中貿易交渉の過度な警戒感が後退して下げ幅縮小

中国が対米報復関税を発表し米中対立激化への警戒感に前日のNYダウ617ドル安の急落を嫌気して売りが先行した。一時下げ幅を400円超へ広げ2万1000円割れとなった。しかし、トランプ大統領が米中貿易交渉に楽観的な見方を示したことで下げ渋った。結局、前日比124円安の2万1067円と7日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商協議についての過度な懸念が後退

ドル/円は、トランプ大統領が米中通商協議について楽観的な見方を示すと、短期筋などのショートカバーが持ち込まれ、109.40円前後へ上昇した。東京市場では久しぶりの109円台前半で取引が始まったこともあり、国内輸入企業のドル買い・円売りも観測された。その後も、NYダウ先物の上昇や日経平均株価が2万1000円を回復したことに支えられ、109.65円近辺までじり高となった。午後もこの流れは続き、109.70円近辺まで上昇した。しかし、米中貿易摩擦が激化するとの根強い懸念から上げは一服、109.65円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1240ドル前後で大きな方向感は出なかった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

15日に中国市場では4月の鉱工業生産と小売売上高などが公表

同じ4月分の製造業PMIや貿易統計での輸出は、前月改善からの反動減速となっていた。改めて中国の回復の鈍さが示されると、リスク回避の円高や中国経済の影響度が高い豪ドル、NZドル、カナダ・ドルといった資源国通貨の下落が後押しされる。
一方で中国では4月に輸入が改善した。中国では4月から減税がスタートしたほか、資金供給強化などの内需刺激策が強化されており、小売売上高などの内需指標は打たれ強さを示す可能性もある。

 

中国の消費マインドは低下傾向継続

中国自動車工業協会が13日発表した4月の新車販売台数は、前年同月比14.6%減の198万台だった。景気減速に加え、米中貿易摩擦の長期化で消費者の購入意欲が低下していることが響き、10カ月連続で前年実績を下回った。減少幅も前月(5.2%)から拡大し、2カ月ぶりに2桁の落ち込みとなった。

 

こう着する米中通商協議

9-10日に行われた米中協議は今後も協議を継続することで決裂は回避されたものの、物別れに終わった。米政府が求めている法改正の確約に対し、中国側は自国の利益を阻害する要求は受け入れない姿勢を強調した。中国共産党機関紙の人民日報は13日の社説で『中国は自国の尊厳を放棄することは決してない』、『誰しも中国が自国の根本的な利益を阻害する要求を受け入れることを期待すべきではない』と指摘した。
 中国は協議を継続する姿勢を示しているものの、重要な原則で譲歩することはないと強調している。これは今に変わったのではなく、最初から中国は『重要な原則』で譲歩するつもりはなかった。中国の強気は経済への大きな影響から中国の譲歩を期待していたトランプ米政権にとっては予想外だった。また、貿易摩擦(貿易不均衡)を巡る問題ではなく、先端技術分野を主戦場として強気に攻めてくるトランプ米政権の姿勢も中国にとっては想定外である。いずれにせよ、お互いに手を引けなくなっているのが厄介となる。中国は米国のやり方が『中国の主権と尊厳』を阻害する行為と見ており、譲歩するのは難しい。一方、2020年の米大統領選に向けて成果がほしいトランプ大統領も後戻りができない。

 

欧州議会選挙後の主要人事に注目

欧州委員会委員長、欧州理事会常任議長、欧州中央銀行総裁の人事は、月末の欧州議会選挙後に本格化しよう。主要人事が重なる今回は、3ポストを一体的に決定する可能性がある。鍵を握るのは委員長人事である。議会最大会派の筆頭候補が就く場合、ドイツが手に入れると予想される。 ただ、フランスのマクロン大統領が筆頭候補制に反対している。妥協案として浮上するのが、最大会派出身でフランス人のバルニエ元外相の委員長就任である。さらに待望論が聞かれるのが、ドイツのメルケル首相の常任議長就任である。ドイツとフランスの大物政治家がタッグを組む最強人事はあるのか、期待が膨らむ。

 

強弱混在が続く米経済指標に注目

14日の4月輸入物価については、資源反発のほか、昨年からの中国輸入製品関税引き上げを受けた緩やかな物価上昇が注視される。15日の4月小売売上高は前月改善の反動減速が予想されているが、株高やイースター商戦などにより、底堅さを示す可能性も無視できない。15日の住宅市場指数や住宅着工件数については、金利低下や雇用改善、春季入りなどによる持ち直しが焦点になる。一方で、、15日の鉱工業生産は、根深い貿易摩擦や自動車・ハイテクなどの減速が重石になる。15日のNY連銀、16日のフィラデルフィア連銀の各製造業景況指数や、17日のミシガン大学消費者信頼感はいずれも最新5月指標だけに、米中対立再燃や米国株反落などが悪材料になりやすい。

 

欧米イベント

○15:00   4月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.0%/前年比2.0%)
○15:00   4月独卸売物価指数(WPI)
○15:30   4月スイス生産者輸入価格(予想:前月比0.2%)
○15:30   4月インドWPI(予想:前年比3.07%)
○16:00   3月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.9%)
○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○16:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○16:30   4月スウェーデンCPI(予想:前月比0.6%/前年比2.1%)
        コア指数(予想:前月比0.5%/前年比1.9%)
○17:30   4月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○17:30   1-3月英失業率(ILO方式、予想:3.9%)
○18:00   3月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年比▲0.8%)
○18:00   5月独ZEW景況感指数(予想:5.0)
○18:00   5月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   4月米輸入物価指数(予想:前月比0.7%)
○15日01:45   ジョージ米カンザスシティー連銀総裁、講演
○米露外相会談(ソチ)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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