FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/06/15/15:10:49

日経平均株価:NYダウ先物の下落に連れた売り優勢

米中の新型コロナウイルス感染『第2波』懸念に売りが優勢となった。また、アジア株安や時間外取引のNYダウ先物の下落が投資家のリスク選好姿勢を後退させた。日経平均株価は3月に底値を付けてから先週までほぼ一本調子で上昇してきたこともあり、過熱感を冷ますための健全な調整とみる向きも多い。NYダウ先物が午後から下げ幅を拡大すると日経平均株価も下げ幅を広げた。結局、前週末比774円安の2万1530円と3日続落して終了した。この3日間で1594円下落している。

 

東京外国為替市場:株価下落でリスク回避の円買い強まる

ドル/円は、米国で新型コロナウイルスの感染者が急増していることや、北京の食品卸売市場でも新型コロナの集団感染が確認されたことを背景に、107.15円付近へじり安となった。日経平均株価の続落やアジア株安も、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価の大幅安を眺めてさらにドル売り・円買いが進み、107.00円付近まで下落した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、107.10円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、ユーロ/円の下げに連れ安となり、1.1240ドル付近へ値を下げた。

 

中国は次世代技術に巨額投資:米国との覇権争い激化懸念広がる

中国が次世代技術の開発に向けて、巨額投資に本腰を入れ始めた。米国に先駆けて中核分野で覇権を握る狙いがある。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によると、北京市や上海市の地方政府のほか、十数の地方自治体が今年に入り6兆6100億元(約99兆9700億円)規模の投資を表明した。当局の要請を受けて、中国企業も資金を投じる方針を発表している。中国工業情報省(MIIT)が今年明らかにした計画では、人工知能(AI)やデータセンター、モバイル通信などの分野に集中投資を行う。

 

イラクの石油大手は追加減産に合意:協調減産合意の順守率高める狙い

イラクは同国南部の大型油田を操業する石油大手と6月の追加減産について合意した。油田を担当するイラク政府関係者らが14日、明らかにした。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する『OPECプラス』による協調減産合意の順守率を高める狙いがある。具体的には、ロシア石油大手ルクオイル(LKOH.MM)が操業する西クルナ2油田について、6月13日から生産量を追加で日量5万バレル減らし、同27万5000バレル程度にすることで同社と合意した。関係者らによると、ルクオイルは5月にイラク石油省の要請で日量7万バレルの減産を実施した。4月の生産量は約39万500バレルだった。

 

英国と欧州連合(EU)の離脱交渉の進展に注目が集まる

英国と欧州連合(EU)の将来的な関係を巡る交渉の進展に注目が集まる。5日に終了した第4ラウンドの交渉は、EUが求める環境・労働基準の統一など公正な競争条件の確保や英領海での漁業権へのアクセスに英国が引き続き抵抗し、大きな進展が見られなかった。双方の溝が埋まらない状況が続いているが、12月末までとなっている移行期間を延長するかどうか今月末までに決めなければならない。英国は延長を求めない方針を崩しておらず、妥結できないまま年末を迎えると、英・EU間の貿易には翌年から関税が発生し、新型コロナの打撃を受けた経済はさらに悪化し、社会に混乱を招く事態が懸念される。第5ラウンドの交渉は対面で行われる可能性があり、双方は交渉の加速に意欲を示している。月内に開かれるジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長、ミシェルEU大統領の会談で、今後の交渉の進め方などを協議する見込みで、この会談での打開を期待する声もある。

 

米国がメキシコとの国境封鎖ならペソの重石

メキシコ国内での感染者数は昨日も過去最高を記録するなどペースは収まらないうえ、米国でもメキシコ国境に近いテキサス州などで爆発的な感染拡大がみられており、経済再開への懸念が一段と高まっている。先週末に米ホワイトハウスがテキサス州などでの感染について、『経済活動再開というよりも、メキシコからの旅行者が大きく影響を与えている可能性がある』との見解を示し、メキシコとの国境閉鎖の可能性も浮上してきた。そうなると、ペソにとっては重石となるため、今後の動向には注意が必要である。

 

YCC導入の場合はドルの下支え要因となる可能性も

10日に開催された米連邦準備制度理事会(FRB)による米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ゼロ金利の長期化方針とイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)導入議論の継続が示唆された。そのため、円高にプラスしてドル安も意識される環境となった。しかし、実際に長期金利の低位抑制につながるYCCが採用されるとなれば、米国の株価や不動産などのリスク資産にはプラス効果をもたらす。また、米長期国債の債券価格についても、長期の安定化や値上がりが期待されやすい。
さらに、米長期金利の長期に及ぶ低位定着は、米国内外の長期運用型投資家から運用難対策として、米国の高配当株、長期の安定配当実績がある米国の公益株などへの需要を高めていく。YCC導入の場合、こうした米国資産は日本勢から見た円換算でも、米国債の価格や米国の高配当株、公益株などに関して、ドル安・円高に伴う為替差損を凌駕する上昇リターンが得られる成長可能性を秘めている。ドル/円ではドルの下支え要因となる可能性も残されている。

 

欧米市場イベント

○15:30   5月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比▲1.20%)
○15:30   5月スイス生産者輸入価格
○18:00   4月ユーロ圏貿易収支(季節調整済/季節調整前)
○21:30   4月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲20.0%)
○21:30   6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲30.0)
○23:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○16日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○16日05:00   4月対米証券投資動向

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/06/12/15:13:41

日経平均株価:日銀とGPIFの買い思惑から下げ幅縮小

新型コロナ感染拡大『第2波』懸念から前日のNYダウ1800ドル超安の過去4番目の下げ幅に投資家心理が悪化しこれまで急ピッチで上げただけに利益確定売りが膨らみ全面安の展開となった。ただ、米国株先物が堅調推移したことから、中盤から戻り歩調となった。また、利益確定売りが重荷になる半面、日銀のETF買いや年金積立金管理独立行政法人(GPIF)に代表される公的年金による買いに思惑が広がり、下値を支えた。結局、前営業日比167円安の2万2305円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下一服でドルの買い戻し

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が一時600円を超えたことが嫌気され、106.59円付近まで下落した。仲値に向けて国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。しかし、前日の海外市場でつけた約1ヵ月ぶりの安値106.58円付近が意識され下げは一服した。その後は、米長期金利上昇を眺めたドルの押し目買いが入り、106.80円台へ値を切り返した。午後は、日経平均株価が下げ幅を縮小すると、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、107.33付近まで上昇した。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急落した反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1310ドル付近へじり高となった。

 

欧州市場では4月ユーロ圏鉱工業生産が公表

4月については、ウイルス感染の拡大を抑制するために欧州各国で導入された都市封鎖などの影響を全面的に受けることから、2ヵ月連続で大幅な減少となる可能性が高い。

 

米ZOOMが中国から圧力を受けた可能性

仏AFPは10日、ZOOMでビデオ会議を開いた米・人権団体の有料アカウントが、一時的にではあるが何の説明もなく停止されたことを報じた。同人権団体は、『1989年6月4日の中国・天安門事件』を振り返るビデオ会議を開催し、中国からも含めて250人以上が参加したもよう。その会議の1週間後にアカウントが閉鎖された。アカウント停止により影響を受けた人権活動家らは、米ズームが中国から圧力を受けた可能性があるとしている。ズーム広報の発表『会議が複数の国にまたがって実施される場合、各参加者はそれぞれの国の法令に従うことが求められる』が報じられているが、人権団体が求めた具体的な閉鎖理由については回答がない。

 

メキシコの格下げには注意:通貨下落の可能性高まる

新型コロナウイルスのパンデミックによって、メキシコでは深刻な景気低迷に直面しているが、こうした状況でメキシコ国債が投資適格級を失う可能性も視野に入ってきている。現状、3大格付け機関(フィッチ・レーティングス、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、S&Pグローバル・レーティング)のうち、もっともメキシコの外貨建て長期債務格付けが低いのはフィッチで『BBBマイナス』である。ジャンク(投機的)級の1段階上に当たります(見通しは「安定的」)。
続いてS&Pが『BBB』でジャンク級の2段階上、ムーディーズが『Baa1』で3段階上の評価となっているが、両社はともに格付け見通しを『ネガティブ』としており、今後格付けが引き下げられる可能性もある。今後メキシコが投資不適格とされるとメキシコ国債などが売り圧力にさらされ、メキシコからの資金流出が一層進む可能性も高まる。メキシコペソにとっても当然ながらマイナスの影響を受けることになる。

 

米FRBの金融政策決定のポイントは失業率の動向

米連邦準備制度理事会(FRB)は最大雇用、物価安定という2つの責務達成を目指し金融政策を決定する。パウエルFRB議長は10日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で長期インフレ期待が比較的安定しており、インフレも目標の2%割れで推移していると、インフレの急伸などには懸念を示さなかった。一方で、失業率が長期にわたり高止まりすることを警戒している。このため、今後の金融政策決定において、失業率の動きが鍵を握ることになる。パウエルFRB議長は5月の雇用統計の結果はポジティブサプライズだったが、2200万から2400万人の失業者の雇用を復活させる必要があり、容易に回復するとは見ておらず、『労働市場の回復は先が長い』との見方を示した。また、労働市場に回復が見られるまで緩和措置を継続していくとした。FOMCメンバーは2022年に失業率が5.5%と5%台に戻ると見ており、それまでは、ゼロ金利を据え置く見込みである。

 

米国市場では6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報が公表

5月確定値は72.3で速報値から下方修正された。期待指数確定値は65.9で2013年以来の低水準となった。6月については、経済活動の再開を受けて改善する見込みだが、5月の期待指数が市場予想を下回っており、大幅な改善は期待できない。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英国内総生産(GDP、予想:前月比▲18.4%)
○15:00   4月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:110.0億ポンドの赤字/55.00億ポンドの黒字)
○15:00   4月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲15.0%/前年比▲19.3%)
      製造業生産高(予想:前月比▲15.6%)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比0.2%)
○16:00   4月トルコ経常収支(予想:45億ドルの赤字)
○16:00   4月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲10.5%)
○18:00   4月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲18.5%/前年比▲28.8%)
○20:00   ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○21:00   4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲45.0%)
○21:30   1-3月期カナダ設備稼働率(予想:80.0%)
○21:30   5月米輸入物価指数(予想:前月比0.6%)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:75.0)
○ロシア(ロシアの日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/06/11/15:27:15

日経平均株価:円高や米国株先物安を嫌気した売り優勢

金融政策据え置きとなった米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて円高が進んだことを嫌気した売りが優勢となったが、売り一巡後は徐々に様子見ムードが広がり全体的に下げ渋った。しかし、後場になると、特段の売り材料は見当たらないものの下げ幅を広げた。市場からは、『週末のメジャーSQ(特別清算指数)算出を前に短期筋が思い切って仕掛け的な売りを出している』との指摘があった。後場にNYダウ先物やNY原油先物の下げ幅拡大に連れ安を辿り、結局、前日比652円安の2万2472円と大幅反落で終了した。

 

東京外国為替市場:ドル売り一巡後は買い戻しで107円台回復

ドル/円は、東京市場では約1ヵ月ぶりの106円台に突入したことで、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、107.10円付近へ上昇した。しかし、FRBのゼロ金利政策が長期化するとの観測から、上値を追う動きは限られた。その後は、米国で新型コロナウイルスの感染者が200万人を突破したため、感染拡大の『第2波』を警戒したドル売りに押されて106.90円付近へ値を下げた。午後は、WTI原油先物価格の下落を眺めた資源国通貨に対するドル高が波及、107.20円付近へじり高となった。このところの一本調子の下げが続いていることから、利益確定のドル買い・円りが入りやすい面もあった。ユーロ/ドルは、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のユーロ売り・ドル買いが入り1.1330ドル台まで下落した。

 

コモディティー市場の上昇は過剰:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスはコモディティー(商品)市場全般の上昇はファンダメンタルズに見合っておらず、現時点でロングポジションの推奨はためらわれるとの見解を示した。農産物とエネルギー市場については、膨大な在庫と需要の落ち込みを考えると最近の上昇は驚きの状況で、下押しリスクがあると警告した。『バランスのシフトがなければ、現物商品市場のいかなる上昇も維持できない』とし、原油の上昇は規模とペースが行き過ぎと指摘した。一方、金属については状況が異なると分析している。同社のアナリストは、金属市場はタイトな状況で、5月は建設とインフラ部門を中心とした中国からの需要が『非常に大きく』、最も楽観的な予想ですら上回ったと指摘した。

 

OECDの2種類の世界経済見通し:第2波があると成長率は下方修正

経済協力開発機構(OECD)は、新型コロナウイルスの感染拡大が第1波で収束した場合と、第2波が起きた場合の2種類の世界経済見通しを発表した。
 以下、世界全体と主要国・地域の2020年と21年の成長率。括弧()内は第2波が起きた場合とする。※▲はマイナス。
・世界全体 20年▲6%(▲7.6%)、21年5.2%(2.8%)
・米国 20年▲7.3%(▲8.5%)、21年4.1%(1.9%)
・ユーロ圏 20年▲9.1%(▲11.5%)、21年6.5%(3.5%)
・中国 20年▲2.6%(▲3.7%)、21年6.8%(4.5%)

各国政府による大規模な財政支援や各中銀の積極的な金融緩和により、21年の成長回復は規定路線となっている。ただ、新型コロナ感染の第2波に襲われてしまうと成長率は下方修正される。

 

米FOMCでは政策金利据え置き

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.00-0.25%に据え置くことを決定。声明ではフォワードガイダンスで2022年まで実質ゼロ金利政策を維持する見通しを示し、回復支援で全ての手段を活用していくと公約した。FRBは2020年の経済が6.5%のマイナス成長に落ち込むと見ている。

 

米5月コア消費者物価指数(CPI)が9年ぶり低水準

米労働省が発表した5月消費者物価指数(CPI)は前月比-0.1%と、予想外に3カ月連続のマイナスに落ち込んだ。前年比では+0.1%と、4月+0.3%から予想外に低下した。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目している変動の激しいエネルギーや食品を除いたコアCPIは前月比-0.1%と、やはり予想外に3カ月連続でマイナスとなった。前年比では+1.2%と、予想+1.3%を下回り、4月+1.4%から低下し、2011年3月以降ほぼ9年ぶり低水準となった。インフレの低迷はFOMCの大規模緩和を正当化する。

 

支持率上がらずトランプ大統領に大統領選挙への焦りも

大統領ツイートには、秋の大統領選挙まで5カ月を切ったが支持率がまったく上がらない焦りも感じられる。ウエブサイトRealClear Politicsでは、主要なメディアや調査会社が出した大統領支持・不支持率を平均した数値を出している。トランプ氏が大統領に就任した2017年から、ほぼ一貫して支持率平均は不支持率平均を下回っており、今月8日時点での支持率平均は42.6%、不支持率平均が54.4%とその差は11.8ポイント開いていた。今年3月末には新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済への支援策が好感され、差が2ポイント程度まで縮まったのも今となっては遠い昔である。たしかに、現在の12ポイント弱ほどの差は今まででもあった(最大は17年12月の約21ポイント差)。ただし、今回は中国叩きもやり、株価もナスダック総合などは史上最高値を更新と、これまで支持に繋がっていた材料の効果が薄くなっている。

 

米CNNは昨日、最新の世論調査を発表し、トランプ大統領への支持率が38%と19年1月以来の最低水準となったことを明らかにした。この時期での40%割れは、再選を果たせなかったカーター大統領やブッシュ大統領(父親)と同じとしている。同調査は2-5日に行われており、昨日の大統領ツイート(デモ参加負傷者に対し、陰謀論を主張)への非難は含まれていないため、更に支持率は下がっている可能性はある。

 

欧米市場のイベント

○16:30  5月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比▲0.4%)
        コア指数(予想:前月比0.3%/前年比▲0.4%)
○20:00   4月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比▲15.1%)
○21:30   5月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比▲1.2%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比▲0.1%/前年比0.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:155.0万件/2000.0万人)
○12日02:00   米財務省、30年債入札
○ユーロ圏財務相会合
○ポーランド(聖体祭)、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/06/10/15:09:54

日経平均株価:海外勢による先物の買い戻しが下支え

前日NYダウとS&P500が反落し、為替市場でややドル安・円高が進んだことを受け日経平均は安く寄り付いた。しかし、2万3000円より下で始まったものおん、2万2900円は割り込むことなく、海外勢による先物の買い戻しが下支えとなり、下げ幅を縮小しプラス転換した。結局、前日比33円高の2万3124円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:FOMCを控えた持ち高調整のドル売り

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、107.87円付近まで上昇した。しかし、前日の米長期金利低下で、日米金利差が縮小していることから上値を追う動きは限られた。その後は、上海総合株価指数の反落を眺めたドル売り・円買いに押され、107.65円付近まで下落した。午後は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いは入り、107.40円付近へじり安となった。ユーロ/ドルは、FOMCでイールド・カーブコントロールが議論される可能性が浮上し、米金利の上昇が抑制されるとの思惑からユーロ買い・ドル売りが進み1.1370ドル付近まで上昇した。

 

中国の5月貿易収支:既に海外受注に対応したことによるプラス

中国の税関総署が7日に発表した5月の貿易収支は629.3億ドルの黒字と、市場予想の黒字額を大きく上回り、統計開始以来の最高を記録した。中国5月貿易収支が大幅黒字になったものの、中身は良くない。輸出は前年比-3.3%の2068億ドルで、4カ月ぶりにプラスに転じた4月から再びマイナスに沈んだ。欧米を中心に新型コロナの感染拡大が深刻になり、世界的な需要が減退したのが要因である。輸出は1-2月に-17.2%に悪化し、4月は中国国内で企業活動が再開し、既に受けていた海外受注に対応したことで一時的にプラスになった可能性が高い。輸入は-16.7%と、4月の-14.2%から落ち込み幅が拡大した。1-5月累計では、前年比で輸出が-7.7%、輸入が-8.2%となり、このうち米国からの輸入は-7.6%となった。米中関係が悪化すれば、米中が1月に『第1段階』で合意した『米農産品の大量購入』を中国が破棄するのではないかとの懸念が強まっている。

 

メキシコは格下げならペソ安の引き金となる可能性も

国内の新型コロナウイルスの感染状況は悪化を辿るばかりで、改善の兆しが見られない。経済状況にしてもリセッションに直面しており、一部では米格付け会社がメキシコの格下げを検討しているとも言われている。仮に投資不適格となるジャンク級に引き下げられた場合、メキシコ国債および国内社債も売り浴びせとなり、ペソ安の引き金となる可能性があるため、注意が必要である。

 

全米に広がった抗議デモへの対応でトランプ大統領の支持率急落

米中西部ミネソタ州で起きた白人警官による黒人男性暴行死事件を受け、全米に広がった抗議デモに強硬姿勢を示したトランプ大統領の支持率が急落した。新型コロナウイルスを巡っても政権の甘い対応が感染拡大を招いたとの批判が強い。11月の大統領選まで5カ月を切る中、与党共和党重鎮も再選不支持を表明。トランプ氏は失地挽回に躍起となっている。米CNNテレビの8日発表の全米世論調査では、支持は事件前の前回5月から7ポイント下落して38%、不支持は57%に上った。軍動員示唆やデモ敵視を繰り返したトランプ氏の対応を『有害』とした人は65%に上った。

 

米4月では労働市場の脆弱さが表面化

米労働省が発表した4月JOLT求人件数は504.6万件と、3月601.1万件から急減し、2014年12月以降で最小となった。おおよそ、2100万人が失業しており、1つの求人に対する倍率は4.6倍。3月の1.2倍から急伸し2011年1月来で最高となった。前回の景気後退時2009年7月の6.4倍に近づく勢いとなった。
4月の解雇者数は770万人と3月の1120万人から減少も依然高水準。退職(173万人)や解雇(770万人)を含む離職(separation)は989万人。ウイルスによる経済閉鎖を受けて、過去最大を記録した3月の1464万人からは減少したものの過去2番目に高い水準となる。4月解雇率(Layoffs/discharges rate)も5.9%と、3月7.6%に続き高水準となった。
労働市場の健全性を見極める上で重要な退職率は1.4%と、3月1.8%からさらに低下し2011年4月来の低水準となり、労働者市場の脆弱さが明るみに出た。昨年同月の2.3%、2008年の金融危機前の 2.1%も下回っている。労働市場が最善の状況だった年初は過去最高を記録していた。
採用者数は352万人と、3月の511万人から減少。採用率は2.7%と、3月3.4%からさらに低下し、それぞれ過去最低を記録した。5月長期失業率(15週以上)は10.7%と、2019年36.2%に比べ低い。ただ、5週から14週の失業率は70.8%と、4月の30.4%から跳ね上がった。昨年5月時点は26.9%。今後、長期の失業者が増加するとさらなる懸念材料となる。

 

米国市場では5月消費者物価コア指数が公表

4月実績は前年比+1.4%だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、旅行関連と衣料品への支出が減少した。5月については、4月に続いて旅行関連と衣料品の支出減少が予想されていることから、インフレ率は4月実績をやや下回る可能性がある。

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)会合最終日

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は5月29日開催のイベントで『まず行動し、それから答えを出すというのが現在置かれている状況だと、私は強く確信している』との見方を示した。現行の金融緩和策は妥当な措置であることを示しており、FOMCメンバーも同じ見解であることから、今回の会合では金融政策の現状維持が全会一致で決定される見込み。この会合では次の緩和の手段としてイールドカーブコントロールが検討されると見ており、9月会合にも導入し、FRBの意向が反映されやすい2年物が対象になると予想されている。

 

欧米市場のイベント

○15:00   5月ノルウェーCPI(予想:前月比0.1%/前年比1.1%)
○15:45   4月仏鉱工業生産指数(予想:前月比▲20.0%)
○16:00   3月トルコ失業率
○16:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○19:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   5月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比▲0.47%)
○21:30   5月米CPI(予想:前月比横ばい/前年比0.2%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比横ばい/前年比1.3%)
○22:30   デギンドスECB副総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○11日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:0.00-0.25%で据え置き)
○11日03:00   5月米月次財政収支(予想:6000億ドルの赤字)
○11日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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2020/06/09/15:18:19

日経平均株価:円高基調が嫌気され売り優勢

米国株の上昇よりも円高進行が警戒されて下落スタートした。序盤はプラス圏に浮上する場面もあるなど、前日終値近辺でもみ合ったが、東京時間に入っても円高基調が続いたことから、徐々に売りが優勢となった。ただ、下げ幅を200円超に広げて節目の2万3000円を下回ったところでは、売り一巡感が出てきて下げ渋った。戻りは鈍く、買いが先行したメガバンクも下げに転じるなどさえない地合いが続いたものの、前引けでは2万3000円を上回った。ただ、アジアの主要な株価指数が堅調に推移し、投資家心理を支えた。押し目とみた買いも入りやすく、下値は限定的だった。結局、87円安の2万3091円と7日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価安と米長期金利低下を眺めドル売り優勢

ドル/円は、日経平均株価の反落や米長期金利低下を眺め、107.90円付近まで下落した。仲値に向けて国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。しかし、108円割れ水準では値ごろ感からドルの押し目買いが入り、108.10円台へ切り返す展開となった。午後は、本日から開催されるFOMCを控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、107.90円付近へ下落した。米国で人種差別の抗議デモが続いていることも、ドルの重石となった。ただ、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、下値を追う動きは限られ、108.00円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.12ドル後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

 

BofAセキュリティーズの顧客フローリポート

同社の顧客は1~5日の1週間に米株を23億1600万ドル売り越した。3週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は5日に発表された5月の米雇用統計で非農業部門の新規雇用者(NFP)が市場予想に反して増加したことで、S&P500が週間ベースで4.91%高と大幅に3週連続で上昇していたが、投資家の慎重姿勢がうかがえた。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が5億2300万ドルの売り越しで、8週連続の売り越し。機関投資家は15億ドルの売り越しで、3週ぶりに売り越しに転じた。個人投資家は10億200万ドルの売り越しで、5週連続の売り越し。企業の自社株買いは7億800万ドルで、久々の高水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自社株買いを停止する企業が多く、年初来では前年同期比43%減の状態にある。相場が強い中で全体に売り越しの主体が多かったが、ETF買い・個別株売り様相で、ETFも加えれば売越額はやや縮小していた。

 

南アランド/円は危険な水準に近づきつつある

約1カ月半程度堅調地合いを維持しているランド/円は、深追いするには危険な水準に近付きつつある。世界各国の低金利が招いたコロナバブルが弾けていないことで、株価堅調によるリスクオン相場がまだ続いているが水準的にはかなり伸び切っている。週末にクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁が南アの問題点を指摘したが、SARB総裁曰くそもそもの南アの失敗は『2008年の金融危機対策を間違えたため』としている。南アは2007年に民主主義以来初めて財政黒字を記録し、2008年会計年度のGDPに対する債務は26.6%だった。しかし、2021年3月までの会計年度にGDPの65.6%に増加すると予測している。財政的な基盤が弱いことはウイルス対策にも影響を及ぼし、今後の南ア経済の回復にはまだまだ時間がかかる。

 

協調減産合意でも原油相場は不安定さが残る展開

OPECプラスは6日の会合で日量970万バレル規模の協調減産を7月末迄1ヶ月延長することで合意した。合意順守に向けたペナルティーを科すことも合意したが、実効性は不透明である。また、メキシコは枠組から離脱するなど早くも足並みの乱れも懸念される。 国際金融市場の活況を受けて原油市況は上値を追う可能性がある一方、米国でのシェールオイル増産を招くなど需給環境の改善に繋がるかは不透明である。よって、先行きの原油相場は国際金融市場環境の動向に揺さぶられながらの展開が続く可能性は高い。

 

米大統領選を控え欧州にも圧力強める

トランプ米大統領が先週、ドイツの駐留米軍を縮小する方針を示したことにより、欧州の地政学リスクが高まる可能性にも注意が必要となる。米大統領は先週末、3万4500人いるドイツの駐留米軍を約9500人削減するように指示した。縮小が実施されれば、北大西洋条約機構(NATO)が仮想敵国とするロシアへの抑止力が低下することになる。通貨では、欧州の地政学リスクの強弱に影響されるユーロ/スイスフランの動意につながる可能性がある。またトランプ米大統領は、欧州連合(EU)が輸入する米産ロブスターの関税を引き下げなければ、EU製自動車への報復関税を示唆した。大統領選まで約5カ月となり、低迷する支持率を挽回させるためにトランプ大統領は、『アメリカファースト』と称して他国への圧力をあらゆる形で強めてくる。国際秩序を乱すトランプ大統領が、今後も大きな市場のリスク要因となりやすい。

 

共和党の有力者からもトランプ大統領から離反

米共和党のブッシュ(子)政権で国務長官を務めたコリン・パウエル氏は7日、米CNNテレビのインタビューで、11月の大統領選で民主党のジョー・バイデン前副大統領に投票すると明言した。ミネソタ州で黒人男性が白人警官に押さえつけられて死亡した事件への対応を巡り、トランプ大統領に対する批判は共和党の有力者から軍の元幹部らにまで広がっている。パウエル氏は、黒人男性の死亡事件に端を発したデモや暴動の収束に向け、軍の投入も辞さないとするトランプ氏の強硬姿勢について『合衆国憲法から逸脱している』と非難した。

 

今回のFOMCでは緩和を据え置く見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は明日9日から10日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。FRBはこの会合で、異例な大規模緩和を据え置く見通し。5月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想外の増加に転じ過去最大の伸びを記録したほか、失業率も上昇予想に反して低下するポジティブサプライズも、FRBの慎重な方針を1カ月の指標で翻すには十分ではない。ブルーンバーグが実施した調査によると、対象となった市場関係者の回答者のうちほぼ半数は次のFOMCの行動はイールドカーブコントロールだと見ていることがわかった。時期は9月会合で発表される可能性が強いと見ている。また、FRBの政策の意向がより反映し易い短期物で導入する可能性が強いと見ている。第1四半期の国内総生産(GDP)はマイナス5%成長となった。5月の雇用統計を受けて雇用の回復が警戒されていたより速く、V字型回復への期待も強まりつつある。金融機関は景気見通しを引き上げた。平均で第2四半期をマイナス29%(前回マイナス40%)、第3四半期はプラス成長に回復し+12%(前回+5%)へそれぞれ引き上げた。 多くのエコノミストは景気後退が4-6月期には終了すると予想 している。

 

米国株価はコロナ以前の水準に回復も注意が必要

米雇用の回復が勢いのあるものとなるかどうかは、経済活動再開後の需要(消費)の勢い次第でもある。所得面については、米政府の給付金支給もあって4月の可処分所得は高い伸びとなったものの、これが消費に回るかどうかは5月分の消費関連統計を見極める必要がある。 また、米国の感染者数は減少に転じているとはいえ、未だに1日あたり2万人を超えるペースで増加しており、不要不急の外出を抑制する動きが続くリスクはある。加えて、全米から米国外にまで拡大している人種差別デモも、消費の足を引っ張る要素となり得る。株価はコロナ以前の水準に近づいており、戻り売り圧力にも注意が必要である。

 

欧米市場イベント

○08:01   5月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比3.0%)
○10:00   6月NBNZ企業信頼感
○10:30   5月豪NAB企業景況感指数
○14:45   5月スイス失業率(季節調整前、予想:3.5%)
○15:00   4月独貿易収支(予想:116億ユーロの黒字)
○15:00   4月独経常収支(予想:141億ユーロの黒字)
○15:45   4月仏貿易収支(予想:30.00億ユーロの赤字)
○15:45   4月仏経常収支
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00   1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比▲3.8%/前年比▲3.2%)
○20:00   5月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.51%)
○23:00   4月米卸売売上高(予想:前月比▲2.0%)
○23:00   4月米卸売在庫(予想:前月比0.4%)
○10日02:00   米財務省、10年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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