★6月26日以降の東京金60分足では、逆三尊底のネックラインを上抜け勢いのままに雲の上限を上抜けした。26期間先の先行スパンでは先行スパン1が先行スパン2を上抜け両線とも上向きとなっていることで上昇基調を示している。上値目処では、6月28日の直近高値4,910円が意識される。
NY金先物市場は1392.60ドルから1410.80ドルまで上昇した。ペンス米副大統領は、緊急事態のためにイベントをキャンセルしホワイトハウスに戻ったとの一部報道や、プーチン露大統領が露国防相と緊急会談などが報じられるとリスク回避への思惑が高まった。ペンス副大統領の件は緊急事態ではないとされ、露大統領も潜水艦事故についてのこととされたが、金先物は底堅いままだった。米長期金利が低下傾向なことも金利が付かない金にとっては支持要因となった。 また、英中銀のカーニー総裁が英国の合意なきEU離脱や世界的な貿易摩擦に警戒感を示したことから、安全志向の買いが急速に広がった。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯を再び上抜けしたことで、買い方からの『やれやれ売り』を吸収しながらの上昇となっている。上値で出来高が増加してくるかが焦点となる。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、MACDがゼロラインを上抜けシグナルとかい離幅を広げながら上昇していることから、騰勢が強いことを示している。一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、短期的にかなり過熱感が出ているものの、上昇トレンドが明確になっているで高水準に張り付く可能性がある。そのため、MACDの動きに注意が必要となる。
東京金の日足では、一旦10日SMAを下抜けしたものの、再び5日SMAと10日SMAを上抜けしたことで、上昇トレンドが回復した。上値では6月28日高値4,910円や6月25日高値4,932円が意識される。NY金は米長期金利の2.00%割れや地政学的リスクに関する報道が材料となり買いに勢いが付いている。米ドルインデックスが低下していることも金買いを支えている。外国為替市場では、再び米国の利下げが意識されており。108円台から107円台後半へドルが切り下げる展開になっている。
5日SMAの4,854円を再び回復したことから、短期的には上昇基調が継続しやすい。そのため、直近高値の4,910円や4,932円を上抜けしてくるかが注目される。
★欧州市場朝方の取引では、米長期金利低下を背景に円買いが優勢となった。なお、欧州株は高安まちまちの展開となった。NYダウ先物が40ドル超の下落、米長期金利が2.00%台へ低下したことで、108.20円までじり安となった。米長期金利が2.02%付近に持ち直し、ドル売りが後退した。しかし、米長期金利が再び2.00%付近まで低下した動きをながめながらドル売りが再開した。その後、ナバロ米大統領補佐官が『米中通商協議はとても良い方向に向かっている』と述べるとドル買い戻しも入った。
米国の主要経済指標の発表がなく、材料が少ない中、米株安・長期金利低下を受けドル売りが優勢となった。『ペンス米副大統領が、緊急事態のためにホワイトハウスへ戻った』との報道と『プーチン露大統領が国防相と緊急会談』との報道がほぼ同時に伝わったことで、リスク回避から米長期金利が1.97%付近まで低下し、108.00円を割り込む展開となった。その後、『プーチン露大統領が国防相と緊急会談』は14名が犠牲になった露潜水艦の調査を指示と露メディアが報じるとドルが下げ渋る展開となったが、上値の重い展開が継続した。
★欧米主要経済指標
・英・6月建設業PMI:43.1(予想:49.2、5月:48.6)
・ユーロ圏・5月生産者物価指数:前年比+1.6%(予想:+1.7%、4月:+2.6%)
★欧米市場のポイント
・107.73-108.33円のレンジ相場
・BOE総裁が短期的な政策変更の可能性を示唆
・ECB政策担当者は7月に早急に利下げする理由はない
・EU首脳が次期ECB総裁にラガルドIMF専務理事を指名
・地政学的リスク報道に振れる展開
・VIX指数は14.06から12.93へ低下
★東京白金のボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)日足では、バンド幅が縮小するスクイーズから、±3σのバンド幅が拡張するエクスパンションとなってきた。そのため、上昇基調が強まると思いきやプラス3σまで上昇したものの、急に上値が重くなる展開となっている。
プラス3σの上値には、一目均衡表の雲が真上にありレジスタンスとして意識され上昇にブレーキがかかっている状況である。
ただ、DMI(パラメータ:14)は、+DI(赤線)が-DI(青線)を上抜け、トレンドの勢いを示すADXが緩やかに上向きになっていることからトレンドが出始めている。
まとめると、東京白金は上昇基調となってきているものの、一目均衡表の雲下限がレジスタンスとして意識され上値が重くなっている。ただ、雲の下限を上抜け出来ると雲の厚みが薄いだけに、一気に雲の上限を上抜けするような動きになりやすい。一方投資判断を変更するシグナルとしては、21日SMA(黒線)を再び下抜けするようなら、買いシグナルが全てダマシとなった可能性がある。
★騰落レシオは(n期間の前日比上昇銘柄数÷n期間の前日比下落銘柄数)×100で求めることが出来る。特徴は①投資家の行動のすう勢を反映、②日経平均株価の値ガサハイテク株の値動きに影響されやすい、③ハイテク銘柄が上昇すれば、他の大多数が上昇しなくても日経平均株価は上昇するが、騰落レシオは過半数の銘柄上昇しないと100を超えない、④通常は120%(過熱圏)~70%(底値圏)程度で推移し、稀に150%(天井圏)~50%(大底圏)に達することもある。
利用方法としては、①東証1部全銘柄を対象として計算すると、構成銘柄の約2/3が小型株で、株価指数よりも小型株の動きを反映しやすい。②小型株は主力株に先行して動くとされており、強いトレンドが発生している時には株価指数と騰落レシオは概ね連動する。③天井圏や大底圏では両者はかい離しやすい。④両者が連動していればトレンド継続、かい離すれば変化の前兆となる。
長所は株価指数に現れないマーケットのすう勢を表す。一方、短所は株価変動率の大小、業種や規模による物色の偏りといった質の変数は反映されない。また、主力株相場など小型株が蚊帳の外になると指標性が薄れる可能性がある。
注意点は、短所は業種別や規模別の各種指標、騰落ランキングなどを参照することでかなり解消される。また、上昇局面では100超に、下降局面では100未満に偏りやすく、指標の値に合理的な意味があるわけではない。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.400%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月28日:▲3.645%⇒7月1日予想▲3.596%
7月1日はNYダウは上昇し、米長期金利が上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.400%から▲0.804%スプレッドがかい離していることや、直近1月3日大底の▲4.226%から▲0.630%スプレッドがかい離している。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で縮小した。そのため、米国債に対してNYダウが前日比で割高となった。米国株を買うより米国債券を買った方が良いということになる。そのため、債券が買われやすく米国株売りが出やすい。今後も、米長期金利の動向が重要ポイント。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.699%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%
・6月28日:▲3.532%⇒7月1日予想▲3.467%
S&P500が上昇し米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.699%から▲0.232%とスプレッドがかい離していることや、1月3日の▲3.869%スプレッドに対して▲0.402%、6月3日の3.881%から▲0.414%とスプレッドがかい離している。S&P500は1月3日や6月3日からイールドスプレッドがかい離していることで、割安感はないが特に割高感もない状態となっている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.236%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%
・6月28日:▲2.034%⇒7月1日予想▲1.969%
NASDAQは上昇し米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.236%から▲0.267%とスプレッドがかい離している。また、1月3日の▲2.179%スプレッドに対しては▲0.210%、6月3日の▲2.328%スプレッドに対して▲0.359%とスプレッドがかい離している。
NASDAQは上昇し米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で縮小した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。
三指数のイールドスプレッドは、株価が上昇し米長期金利も上昇したことでスプレッドは縮小した。現在は割安感も割高感もない水準で推移している。今後も米長期金利が引き続き低下するなら、米国株に過熱感が出にくい。ただ、FRBの早期利下げ期待は後退して米長期金利が上昇してくると、イールドスプレッドが縮小傾向となり米国株に割高感が出始める。トランプ大統領がFRBに利下げを強要するのは、米長期金利が低下すると米国株が上昇してもイールドスプレッドの縮小が抑えられるからである。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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