★欧州市場の朝方の取引では、米国が独立記念日の祝日の為、ドルの動意は乏しく主要通貨に対して前日終値近辺でもみ合いとなった。なお、欧州株は小幅高で推移した。欧州勢参入後、円相場は目立った方向感は見られず、主要通貨のクロス円は前日比高安まちまちの展開となった。欧州株も概ね前日終値付近で動意が鈍く、手掛かりとはならず、翌日のNYカットオプション107.75円周辺で動意に乏しい動きが続いた。その後も翌日に米6月雇用統計の発表を控えていることで、取引は閑散となった。相場のレンジも11銭程度にとどまりこう着が続いた。対ユーロでドル高が進んだ場面では107.82円付近と本日高値の107.84円付近に迫ったものの、動きは鈍かった。
NY時間には市場参加者がかなり限定され、107.80円を中心にこう着状態となった。引けに掛けては、より変動幅が小さくなった。
★欧米主要経済指標
・ユーロ圏の5月小売売上高は前月比-0.3%、前年比+1.3%となった。予想は前月比+0.3%、前年比+1.6%。
★欧米市場のポイント
・107.72-83円のレンジ相場
・市場参加者少なく、米雇用統計発表を控え閑散相場
・イラン産と思われる原油タンカーを英海兵隊が拿捕
・トルコリラは国内インフレが改善で買いが散見
★日米金利差だけがドル/円の変動要因ではないが、上値・下値を切り下げながら日米金利差2年(赤線)と日米金利差10年(青線)が縮小している。それに伴ってドル/円相場も円高進行してきているのは確かである。
7月のFOMCでは、米国の利下げは織り込まれているが、利下げ幅は0.25%が70%、0.50%が30%の比率となっている。
今後の経済指標次第ではあるが、市場予想を下回る結果となると利下げ幅拡大の思惑が膨らむ。また、主要先進国では、米国債券の金利が高いことから、金利低下の余地が残っている。そのため、より日米金利差が縮小するようなら、円安期待が削がれていくことになり、投機筋の仕掛け的なドル売り・円買いも入りやすくなる。
ただ、米国株の主要3指数が史上最高値を付けるなど、株価が上昇しているなかで予防的利下げが可能なのか疑問も残る。29日の米中首脳会談でも第4弾追加関税は先送りされ、米中貿易戦争もやや後退している。もし5日の米6月雇用統計が予想を上回る結果となった場合、予防的利下げをするというお題目が消滅するテールリスクが残る。市場が利下げを織り込んで動いているだけに、株価下落・金利上昇・ドル買い戻し動きになりやすい。米国株も米長期金利が低下していることから、史上最高値を付けてもイールドスプレッドによる過熱感は出ていない。しかし、利下げが見送られ米長期金利が再び上昇するようなら、米国株に割高感が生じることから、相当の下落調整する可能性がある。
★東京金の日足では、夜間取引で下落調整となったものの、5日SAM(赤線)4,868円がサポートとして意識され下ヒゲを伴って戻る展開となった。5日SAMが10日SMA(黄線)を上回り、両線とも上向きを維持していることから、短期的な上昇基調は継続している。また、25日SMA(青線)も緩やかに上向きとなっていることで、中期的にも上昇基調は継続している。
5月31日安値4,493円を起点として6月18日安値4,645円を結んだトレンドライン(S1)の上方に位置していることかも上昇トレンドは維持している。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、高水準から一時%DがSlow%Dを下回り下落基調となったものの、わずかであるが%DがSlow%Dを上抜け回復してきている。
DMI(パラメータ:14)は、現在の相場が上昇トレンドなのか下降トレンドなのかを計るためのテクニカル指標である。2つのDIは逆相関関係にあり、+DI(赤線)が上昇すれば-DI(青線)は下降し、+DIが下降すれば-DIは上昇する特性がある。また、ADX(緑線)はトレンドの総合的な強さを測定するためのものである。
現在+DIは下向きとなっているものの-DIも緩やかに下向きを維持している。また、ADXは上昇基調を維持していることから、トレンドが持続していることを示している。そのため、トレンドは継続しており調整的な下落となっていることを示している。
総合すると、現在は上昇基調の中の短期的下落調整となっている。そのため、投資判断は『買い』または『継続』となる。そのため、18年8月16日安値4,112円を(A)、19年2月20日高値4,789円を(B)、19年5月29日安値4,487円を(C)として一目均衡表の値幅観測論の計算値では、N計算値:5,164円、V計算値:5,091円、E計算値:5,466円、NT計算値:4,862円となる。また、NT計算値は達成している。
投資判断を変更するシグナルとしては、10日SMAを下抜けさらにS1を下抜けするような動きとなり、5日SMAが10日SMA下抜けするデッドクロスするような動きが反転の兆しとなる。その際、ストキャスティクス・スローでは、%DがSlow%Dを下抜け両線がかい離しながら下向きとなる。また、DMIでは+DIが下向きとなり-DIが上向きとなって、ADXが下落基調になっていることが確認できる。下値では、25日SMAの4,724円が一旦の下値目処となる。下げ止まらなければ、100日SMAの4,641円や75日SMA4,633円が下値目処として意識される。
★米国三指数は過去最高値まで上昇したものの、米長期金利が低下しているためイールドスプレッドからは割高感は出ていない。今後も米長期金利の低下が続くようなら、さらなる米国株高になりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.378%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月2日:▲3.600%⇒7月3日予想▲3.588%
7月3日はNYダウは上昇し米長期金利は低下したものの、NYダウの上昇率の方が高かったため、イールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.378%から▲0.790%スプレッドがかい離していることや、直近1月3日大底の▲4.226%から▲0.638%スプレッドがかい離している。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。一方、米長期金利は低下したものの、株価の上昇率が高かったことで、イールドスプレッドは前日比で縮小した。そのため、米国債に対してNYダウが前日比で割高となった。米国株を買うより米国債券を買った方が良いということになる。そのため、米国株が売られやすく米国債券の買いが出やすい。今後も、米長期金利の動向が重要ポイント。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.679%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%
・7月2日:▲3.490%⇒7月3日予想▲3.474%
S&P500が上昇し米長期金利が低下したものの、S&P500の上昇率の方が高かったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.679%から▲0.205%とスプレッドがかい離していることや、1月3日の▲3.869%スプレッドに対して▲0.395%、6月3日の3.881%から▲0.407%とスプレッドがかい離している。S&P500は1月3日や6月3日からイールドスプレッドがかい離していることで、割安感はないが特に割高感もない状態となっている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.224%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%
・7月2日:▲2.008%⇒7月3日予想▲2.004%
NASDAQは上昇し米長期金利が低下したものの、NASDAQの上昇率の方が高かったことで、イールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.224%から▲0.220%とスプレッドがかい離している。また、1月3日の▲2.179%スプレッドに対しては▲0.175%、6月3日の▲2.328%スプレッドに対して▲0.324%とスプレッドがかい離している。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。
三指数のイールドスプレッドは、株価が上昇しの米長期金利が低下したものの、株価指数の上昇率の方が高かったことでスプレッドは拡大した。現在は割安感も割高感もない水準で推移している。今後も米長期金利が引き続き低下するなら、米国株に過熱感が出にくい。ただ、FRBの早期利下げ期待は後退して米長期金利が上昇してくると、イールドスプレッドが縮小傾向となり米国株に割高感が出始める。トランプ大統領がFRBに利下げを強要するのは、米長期金利が低下すると米国株が上昇してもイールドスプレッドの縮小が抑えられるからである。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★6月27日以降の東京金60分足では、下押ししたが3日に空けた窓を埋めたところで戻り基調となったものの、上値では24時間SMA(緑線)がレジスタンスとなっている。寄付きご雲のネジレがあり、トレンドの反転や加速など相場の節目になりやすい。
NY金先物市場は、1424.90ドルまで上昇後、一旦1414.70ドルまで下落した。昨日の引け後に、トランプ米大統領はハト派と知られる2名を米連邦準備理事会(FRB)理事に指名したことを明らかにした。金融緩和への期待感の更なる高まりに米債利回りは低下傾向を強め、金利が付かない金にとっては支持材料となり、金先物は時間外の東京午前に大きく上昇した。もっともNY勢が本格参入すると、祝日前のポジション調整の売りに上値を抑えられた。為替相場でドルがユーロに対して底堅かったこともドル建ての金先物の重しとなり、上げ幅を縮小して引けた。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯が下方にあるため、上値が重くなると利益確定売りが入りやすい。そのため、利益確定売りを吸収できる買いが入ってくるかが注目される。出来高が2極化しており、出来高が少ない価格帯では値動きが大きくなりやすいので注意が必要となる。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方から緩やかに下落基調となっているものの、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上抜け両線とも上向きとなっていることから、上昇基調となっている。寄付き後の動きには注意。
東京金日足では、5日SMAの4,868円がサポートとして意識され下げ止まった。5日SMAと10日SMAは上向きを維持していることから、短期的な上昇基調は継続している。NY金は米国の利下げ期待が強いことに加え、米国債金利も低下傾向にあることから、底堅い展開となっている。為替市場では、米国の利下げ期待が根強く米債券金利が低下傾向にあり、円高進行となりやすい地合いにある。ただ、107円台後半で推移するなど、ドルも底堅く推移している。
本日の注目点は、5日SAMや10日SMAを維持出来るかが焦点となる。NY市場が独立記念日で休場となることから、全般動き難い展開とりやすい。
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