FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/07/04/15:12:13

日経平均株価:2万6000円割れでは割安感から買い優勢に

前週末の米国株式市場の上昇を好感した格好となり、買い優勢でスタートした。ただ、買い一巡後は米株先物が軟調に推移したこともあって、日経平均は値を消す展開になった。それでも、下値では割安感から買いが入り、中盤からは持ち直す動きとなった。市場では、『2万6000円を下回る水準では買いが入ることが確認できた』との声が聞かれた。本日は独立記念日で米国市場が休場となるため、徐々に様子見姿勢が広がり値動きが乏しくなった。結局、前営業日比218円高の2万6153円と4営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:ドルの押し目買いから135円台へ回復

ドル/円は、最近発表された米経済指標が低調で、米景気減速を警戒したドル売り・円買いが先行し、135円を割り込んで134.79円付近まで下落した。ただ、1日の東京市場でつけた安値134.75円に接近すると下げは一服した。その後は、日米金融政策のスタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、135.00円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価の底堅い動きや米株価指数先物の下げ渋りを眺めたドル買い・円売りが持ち込まれ、135.30円付近へじり高となった。ただ、本日は独立記念日で米国市場が休場となるため、積極的な上値追いは手控えられた。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気から1.043ドル前後で終始した。

 

GPIFの日本株比率低下で買いが必要:SMBC日経証券

1日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が21年度の業務概況書を公表したことを受け、SMBC日興証券は1日付のクオンツリポートで『足もとの円安で日本株構成比は24%程度まで低下しているもよう』との見解を示した。リポートでは、GPIFの3月末時点の運用資産合計は202.2兆円(年金特別会計積立金約5.6兆円を含む)で、このうち日本株は49.5兆円、日本株比率は24.49%だったとしながら、『基本ポートフォーリオにおける日本株比率は25%であり、0.51ポイントのアンダーウェイトとなっている』と指摘。その上で、6月末時点の推定日日本株比率は24.1%と指摘し、『金利上昇は債券にはネガティブだったが、円安の効果で外債の構成比が高まったこともあり、日本株の構成比が低下した』とも指摘。単純計算で、日本株構成比を25%までに高めるには、『1.8兆円程度うの買いが必要となる』とみている。

 

ドル買い比率が67.0%に上昇:前週のFX概況

QUICKが4日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買いの比率は1日時点で67.0%だった。前の週末から0.5ポイント上昇した。円相場が約24年ぶりの安値を更新した後に下げ幅を縮めた局面で、相場の流れに逆らう『逆張り』傾向が強いとされる個人投資家は円売り・ドル買いに動きた。円相場は6月29日に一時1ドル=137円ちょうどと1998年9月以来の安値を付けた。その後は5月の個人消費支出(PCE)など米経済指標が市場予想よりも下振れし、米景気懸念が台頭。米金利低下につれて、円相場は週末にかけて134円台まで上昇する場面があり、個人の円売り・ドル買いが優勢になったとみられる。ドル以外の通貨に対しては円売り・外貨買いが加速している。『豪ドル/円』取引では同ドル買い比率が71.5%と前の週末から8.5ポイント上昇し、2月上旬以来およそ5ヵ月ぶりの高水準となった。『英ポンド/円』取引でもポンド買い比率は同9.9%ポイント高い59.3%とになった。世界的な景気減速懸念で円はドル以外の通貨に対して上昇しており、個人による逆張りの円売り・外貨買いが活発だった。

 

トルコの6月CPIは前年比で伸び率加速

本日発表の6月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比で78-79%近くまで伸び率加速が見込まれている。前月比も5%台まで上昇予想と、同国のインフレは悪化の一途を辿るばかりである。政府は最低賃金を引き上げて市民の不満を抑えようとしているが、物価を抑制するための効果的な措置は取ることができていない。 トルコ中銀が金融引き締めに転じることができれば雰囲気は変わるが、金利嫌いのエルドアン大統領に睨まれた中銀金融政策委員会(MPC)は全く動こうとしていない。『物価の番人』という重要な役割を捨ててしまった中央銀行が発行する通貨はやはり買いづらいままである。

 

北欧2カ国とNATO同盟国がトルコに対しての対応に注目

先週エルドアン大統領は、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟支持を表明した。ただしその後、トルコとの覚書(クルド人活動家の身柄引き渡しなど)を守らなければ、加盟の批准手続きを進めないと警告している。トルコ側の高圧的な態度に北欧2カ国やNATO同盟国がどのように対応するかが注目される。一方エルドアン大統領は、ロシアの協力で進めているトルコ南部アックユでの原発建設を今後も進めていくことを表明した。くわえて大統領はロシアとの『防衛産業上のつながり』についても言及しており、こちらもNATOからの反発を呼びそうである。

 

南アBER消費者信頼感指数の悪化傾向が鮮明に

先週発表された4-6月期の南アBER消費者信頼感指数は-25となり、ウイルス感染拡大時(2020年4-6月期)に記録した-33に次ぐ低い数字だった。ロシアのウクライナ侵攻による経済的影響、ガソリン価格の高騰、インフレ上昇、高金利、社会的苦痛救済(SRD)助成金の不払いなどが要因である。更に電力の負荷制限の水準が上がり、金利上昇やエネルギー価格の上昇もあり、今後も悪化が予想されている。その中で注目されるのがエネルギー関税の行方である。リッター1.5ランドの免税が6日まで延長されているが、7日からは0.75ランドまで引き下げられる予定となっている。南ア政府の目論見通りにはいかず、原油価格が高値安定の水準で取引されていることもあり、国内エネルギー価格の上昇とそれに伴うインフレ高進を危惧する声が高まっている。政府からの免税額の変更などがあるかにも注目である。

 

メキシコの6月CPI結果次第では金利先高観が強まる可能性も

世界的なリスク回避の流れはエマージング通貨であるメキシコペソにとってもネガティブな材料となりそうである。一方で、メキシコの景況感は依然として改善傾向にある。相対的な評価となるが、他の通貨と比較するとペソの底堅さが意識される。また、今週は注目の6月メキシコCPIが発表予定されている。市場では約21年ぶりの高水準となった4月時の前年比7.68%を上回る伸びとなることが予想されており、メキシコ銀行(中央銀行)の金利先高観がさらに高まることになる。

 

米国では4-6月期ですでに景気後退入りの可能性も

米6月製造業PMI改定値が予想外に上方修正されドル買いが一時強まったが、供給管理協会(ISM)が発表したISM製造業景況指数の6月分が予想以上に5月から低下し、パンデミックによる経済封鎖直後の2020年6月以降2年ぶり低水準となったほか、建設支出も予想外に昨年9月来のマイナスに落ち込み景気後退懸念が強まった。最近の重要インフレ指標がインフレピークアウトの兆候を示しているだけでなく、消費の落ち込みで4-6月期にすでに景気後退入りした可能性もある。米商務省と類似したモデルを使用しているアトランタ連銀の4-6月期国内総生産(GDP)見通しは現状で―1.0%と、1-3月期に続く2四半期連続マイナス成長でテクニカルリセッション予想となっている。景気の減速で、7月FOMCでは0.5%、0.25%の利上げに留まる可能性も除外できない。9月FOMCで利上げ休止の可能性も残る。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独貿易収支(予想:27億ユーロの黒字)
○15:30   6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)
○16:00   6月トルコCPI(予想:前月5.38%/前年比78.35%)
○18:00   5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.0%/前年比36.7%)
○23:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○24:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○米国(独立記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/07/01/15:13:06

日経平均株価:世界景気減速懸念が引き続き意識され買い控え

前日の下落を受けて自律反発を期待した買いが先行したが、米国などの金融引き締めの加速による世界景気減速懸念が引き続き意識され積極的な買いは手控えられた。米国株先物が軟調に推移したことも相場の重しになった。また、市場では、東京都が新型コロナの警戒度を1段階引き上げたことで国内経済の回復が遅れるとの思惑も、相場の重しになった。自動車や半導体関連など景気敏感株を中心に幅広い銘柄が売られた。日経平均の下げ幅は500円を超える場面があった。結局、前日比457円安の2万5935円と、6月20日以来の2万6000円割れとなった。

 

東京外国為替市場:リスク回避強まり135円割れの展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、135.99円まで値を上げた。しかし、前日に発表された5月米個人消費支出や5月米PCEコアデフレーターが予想を下回り、米景気後退が警戒されていることから、積極的な上値追いは手控えられた。その後、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押される展開となり、135.20円台へ軟化した。日経平均株価や米株価先物の下落で、リスク回避が強まったことも円買いを誘った。午後に入ると、日経平均株価の心理的節目の2万6000円を割り込んで一段と下げ幅を拡大した。これを受けて、ドル/円はドル売り・円買いに弾みがつき、135円を割り込んで一時134.80円近辺へ下落した。ただ、今晩公表される6月米ISM製造業景況指数を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、値を切り返して135.00円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、週末を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.046ドル台方向感に欠ける値動きとなった。

 

日銀短観が2四半期連続で悪化:ゴールドマン・サックス証券

日銀が発表した6月短観で、大企業・製造業の業況判断DIがプラス9で前回3月調査のプラス14から悪化し、市場予想の中心値(プラス12)を下回った。ゴールドマン・サックス証券の1日付のリポートで『悪化は2四半期連続となる。業種別に見ると、16業種中12業種で悪化し、改善は2業種に止まった(2業種は不変)。主な悪化業種は木材・木製品、鉄鋼、汎用機械である。エネルギーをはじめとするコモディティ価格の高騰や、中国のゼロ・コロナ政策などによる供給ボトルネックが重石となった可能性が高い』との見解を示した。リポートでは大企業の先行き業況DIがほぼ横ばいとなっていることについて『製造業では、自動車、鉄鋼などで改善見込まれている一方、石油・石炭製品、木材・木製品などでは悪化が予想されている』と指摘した。22年度の想定為替レートが118.96円となったことについては『3月と比べて7円ほど円安方向に傾いているものの、足もとの水準(135円近辺)に照らすと依然としてキャッチアップは遅れており、このまま行けば輸出企業にとっては収益上アップサイド要因となる』と指摘した。ただ、『製造業でも輸入依存の高い素材業種や非製造業全般ではダウンサイド要因となる可能性が高いためっ要注意だ』とし、円安のネガティブな影響を警戒していた。

 

6月トルコ製造業PMIが公表:下振れには注意が必要

本日は6月トルコ製造業PMIが発表される。先月まで3カ月連続で景況感判断の境目となる50を下回っていた。エネルギー価格の高騰など基本的に製造業への負担は大きいままであり、状況が改善していないなか、結果の更なる下振れには注意が必要である。なお、エルドアン・トルコ大統領は昨日、NATOに加盟申請をしていたフィンランドとスウェーデンと結んだ覚書の内容は、トルコの外交的勝利を意味すると述べた。また、バイデン米大統領は、エルドアン大統領に米国はF16戦闘機を売却すべきと話した、と述べている。政府寄りのメディアは今回の成果を大きく持ち上げているが、一般市民がどのように感じているか、世論調査の結果が待たれるところである。 

 

南アでは6月CPIも高い水準なら75pbの利上げの可能性も

昨日発表された5月の南ア卸売物価指数(PPI)は前年比で14.7%の上昇となり、市場予想(14.1%)や前回(13.1%)を上回る結果になった。この結果は2008年9月に16%に達して以来の高水準となっている。燃料と食糧価格の上昇に歯止めがかからないことがPPIを引き上げている。すでにCPIも予想を上回る上げ幅だったことで、今月21日の南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)での50ベーシスポイント(bp)の利上げは織り込んでいるが、MPC前に発表される6月CPIも高い水準となれば、米連邦準備理事会(FRB)に歩調を合わせ75bpの利上げの可能性もある。

 

メキシコでは大気汚染が深刻な問題

メキシコの首都メキシコシティで大気汚染が深刻な問題となっている。環境当局は今年前半の段階ですでに5回の大気質アラートを発令した。前年の4回をすでに上回った。環境学者などの分析によると、原因の一つが新型コロナウイルス後の経済活動の再開した。さらには今年前半の気温が平年と比べて高かったこと、春先に強い風が吹かなかったことも要因となっている。大気汚染の中でも特に問題視されているのがディーゼルやガソリン、天然ガスなどによる燃焼で発生した微小粒子状物質(PM2.5)である。国際環境保護団体グリーンピースは、2020年にメキシコシティでPM2.5によって亡くなった人数が1万5000人に達したとしており、今年は一段と深刻な大気汚染によって健康を害する人数が増加することも懸念される。

 

米インフレピークアウト:9月の利上げ休止観測強まる

米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として特に注視している変動の激しい燃料や食品などを除いたコアPCE価格指数は前年比+4.7%となった。伸びは3カ月連続の鈍化で、予想も下回り昨年11月来で最小にとどまった。インフレがピークに達した可能性が示唆された。5月個人所得は前月比+0.5%と、予想に一致した。個人消費支出(PCE)は前月比+0.2%。伸びは4月+0.6%から予想以上に鈍化し、年初来で最小にとどまった。インフレを調整した実質個人支出は前月比-0.4%と昨年12月来で初めてのマイナスに落ち込んだ。1月から3月分も下方修正された。ガソリンや食料品価格の上昇で、支出が抑えられた証拠になった。下半期の消費の勢いが弱まり、成長の重しとなる可能性が示唆された。消費者信頼感指数も過去最低付近、高インフレでサービスの支出の伸びが弱まる可能性が強まった。6月の原油価格は月ベースで昨年11月以降初めて下落した。このため、今後のヘッドラインインフレ率が低下していく可能性がある。これに伴い期待インフレも低下すると見られ、大幅な利上げの必要性も薄れる。7月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げ確率も低下傾向にあるほか、9月FOMCでは利上げ一時休止観測も強まりつつある。

 

S&P500 の過去140年弱気相場の下落期間は平均9.6ヵ月

米BofAの『Bull & Bear Indicattor』は既に『0』という極度の恐怖に至り市場センチメントが正に『陰の極み』に到達したようだが、アナリストは『売りは始まったばかり』と警鐘を鳴らしている。米BofAによれば、過去140年で19回の『Bear Market』(弱気相場)の株価下落率(平均)は37%、下落期間は289日(約9.6ヶ月)とされ、この平均値に従えば今回の『Bear 』(弱気)相場の下落調整はS&P500指数で3000水準、日柄的には1月4日高値4818から9.6ヶ月後の今秋10月頃まで波乱相場が続く可能性が指摘される。

 

欧米市場イベント

○16:00   6月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30   6月スイス製造業PMI(予想:57.9)
○16:50   6月仏製造業PMI改定値(予想:51.0)
○16:55   6月独製造業PMI改定値(予想:52.0)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:52.0)
○17:30   6月英製造業PMI改定値(予想:53.4)
○17:30   5月英消費者信用残高(予想:13億ポンド)
○17:30   5月英マネーサプライM4
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比8.4%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.9%)
○22:45   6月米製造業PMI改定値(予想:52.4)
○23:00   6月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:54.9)
○23:00   5月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○23:30   6月メキシコ製造業PMI
○2日01:00   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比3.5%)
○2日02:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○2日03:00   6月ブラジル貿易収支(予想:99.94億ドルの黒字)
○米債券市場は短縮取引(独立記念日の前営業日)
○カナダ(建国記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/06/30/15:15:58

日経平均株価:米FRBの金融引き締めが世界景気の減速警戒感

米FRBの積極的な金融引き締めが世界景気の減速を招くとの警戒感から売りが優勢になった。値がさの半導体関連銘柄に売りが出て指数を押し上げた。FRBのパウエル議長が29日、ECB主催のシンポジウムで、インフレ抑制を重視する姿勢を示した。積極的な金融引き締めに伴う世界景気の減速懸念が広がり、前日の米国株式市場では主要な半導体銘柄で構成するフィラデルフィア反動株指数が2%超下落した。東京市場でも東エレクアドテストなどの半導体銘柄が軒並み売られた。日経平均は3月末から6月29日までに3.65%下落した。そのため、市場では、保有資産の株式比率が低下した機関投資家らのリバランス(資産配分の見直し)に伴う買いが入るとの思惑が支援材料となった。しかし、米国株先物市場の下落幅が拡大すると下げ幅が広がった。結局、前営業日比411円安の2万6393円で終了した。6月第4週(20日~24日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1656億円売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。個人投資家は1017億円売り越しとなり、売り越しは2ぶりとなった。信託銀行は745億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:持ち高調整や月末絡みのドル売りで上値重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、136.80円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた24年ぶりの高値137.00円が視野に入ると上げは一服した。その後は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入り、136.50円台へ値を下げた。仲値にかけて本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いも多く観測された。午後に入ると、米国の景気減速を警戒したドル売り・円買いに押され、一時136.30円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅拡大で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。ユーロ/ドルは1.04ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

仮想通貨ヘッジファンが生産手続き:スリーアローズ

暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドのスリーアローズ・キャピタルが清算手続きに入った。シンガポールに拠点を置くスリーアローズは仮想通貨投資家として知られていたが、ここ数カ月の仮想通貨急落局面で厳しい状況に置かれていた。仮想通貨取引仲介のボイジャー・デジタルは27日、融資の返済が履行されなかったとしてスリーアローズにデフォルト(債務不履行)を通告したと発表した。英領バージン諸島の裁判所も同日、スリーアローズに清算を命じ、コンサルティング会社テネオが清算人に任命された。

 

中国成長率の2回目の見通し引き下げ:米格付け会社S&P

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、中国の今年の成長率見通しを4.2%から3.3%に引き下げた。下方修正は5月に4.9%を4.2%として以来今年2回目。新型コロナウイルスの感染防止対策として実施されたロックダウン(都市封鎖)が想定以上に経済成長の打撃になったとみている。

 

トルコ大統領が北欧2カ国のNATO加盟支持:水面下による交渉が成功

フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟についてエルドアン・トルコ大統領が支持を表明したことは、国際社会から好意的に受け止められている。また、北欧2カ国によるトルコ武器禁輸の解除やクルド系武装組織への支援停止を合意させたことは、トルコ国内からも認められるような結果である。くわえてエルドアン大統領と会談したバイデン米大統領は、トルコへのF16戦闘機売却の可能性を示唆したとも報じられている。戦闘機の近代化で安全保障上の問題も取り除かれることになれば、低迷していたエルドアン大統領の支持率が上向くかもしれない。ただしそれが、通貨リラにとってポジティブとは言えないところが問題である。

 

南アの4-6月期BER消費者信頼感指数が低迷:景気後退の可能性も

昨日発表された4-6月期の南アBER消費者信頼感指数は-25となり、ウイルス感染拡大時(2020年4-6月期)に記録した-33に次ぐ低い記録となった。ウクライナでのロシアの侵攻による経済的影響、ガソリン価格の高騰、インフレの上昇、高金利、社会的苦痛救済(SRD)助成金の不払いなど、すべてが悪化する要因になった。更に警戒しなくてはならないのが、7月からガソリンなどの免税措置が減額になることで価格が上昇すること、南アフリカ準備銀行(SARB)の利上げも予想されていること、電力の負荷制限の水準が上がっていることなどあり、今後も悪化する可能性が高いことである。SARBと日銀の金融政策の方向性の違いがあることで、ランド/円は簡単には崩れないが、多くのエコノミストも景気後退の可能性についても言及しいるようにファンダメンタルズ面ではランド買いも難しいのではないかとも思われる。

 

メキシコ大統領が来月訪米してバイデン大統領と会談

訪米を予定していたロペスオブラドール大統領だが、政府より正式に来月12日にワシントンを訪れ、バイデン米大統領と会談をすることが明らかになった。先日には米通商代表部(USTR)が、メキシコによる電力改正法案などが自由貿易協定に違反しているとの主張を強める構えを示したことで、メキシコ大統領が反発し、米州首脳会議を欠席したように急遽訪米をキャンセルするのではないかとの懸念が浮上していたが、とりあえずは予定通り行われることになった。この会談では、移民問題などが取り上げられるとのことだが、キューバを巡る米国の対応、自由貿易協定についても踏み込んだ議論がされるかどうかにも注目である。

 

景気よりもインフレ高進抑制に努めることを最優先:パウエルFRB議長

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、欧州中央銀行(ECB)がポルトガル、シントラで開催した年次フォーラムで、『FRBはインフレを2%に引き下げる』と、インフレ鈍化させることを再公約した。さらに、FRBの利上げが行き過ぎるリスクもあるが、最大リスクではないとし、最大のリスクが『物価安定を元に戻すことに失敗すること』と景気よりもインフレ高進抑制に努めることを最優先とする姿勢を再表明した。利上げが成長を減速させると見込みつつ、プラス圏であることを期待するとした。『軟着陸は可能だが、かなり困難になる』と、引き締めによる軟着陸を保証できないことを認めた。現状ではパウエル議長はパンデミックにより、家計の貯蓄率が高水準で、今後も消費が成長を助けると見ており、米国経済が強く、引き締めに耐えうると見ている。ドル高に対しては、ドル相場はFRBの責任を負うものではなく、政府の責務と指摘した。議長が期待しているほど経済が強くない可能性はリスクになる。

 

状況に変化なければ7月に75bp利上げ支持:米クリーブランド連銀総裁

メスター米クリーブランド地区連銀総裁は29日、経済情勢に変化がなければ、7月の次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で75ベーシスポイント(bp)の利上げを支持するとの姿勢を示した。CNBCとのインタビューで述べた。メスター氏は、7月会合では利上げ幅を50bpにするか75bpにするかが議論されることになると指摘した。『現在の状況が会合時点でも変わらなければ、私は75bp(の利上げ)を支持するだろう。利上げ幅を50bpに戻すのに必要なインフレ面の条件が整っていないからだ』とした。

 

米国市場では5月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+4.8%

4月実績は前年比+4.9%で序章率は鈍化した。個人消費支出はまずまず堅調だが、インフレ加速の可能性は低下しつつある。5月については、大幅な低下は期待できないものの、上昇率は4%台後半にとどまる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比▲1.8%)
○15:00   5月独輸入物価指数(予想:前月比1.5%/前年比31.5%)
○15:00   1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.8%/前年比8.7%)
○15:00   1-3月期英経常収支(予想:398億ポンドの赤字)
○15:00   6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○15:30   5月スイス小売売上高
○15:45   6月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.7%/前年比5.7%)
○15:45   5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   5月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○16:00   6月スイスKOF景気先行指数(予想:96.3)
○16:00   5月トルコ貿易収支(予想:107億ドルの赤字)
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.75%に引き上げ)
○16:55   6月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲0.60万人)
○18:00   5月ユーロ圏失業率(予想:6.8%)
○18:30   5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.3%/前年比14.1%)
○21:00   5月南アフリカ貿易収支(予想:220億ランドの黒字)
○21:30   4月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比4.9%)
○21:30   5月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       5月米個人所得(予想:前月比0.5%)
       5月米PCEデフレーター(予想:前年比6.4%)
       5月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.4%/前年比4.8%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.8万件/131.0万人)
○22:45   6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:58.0)
○石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合(オンライン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/06/29/15:14:43

日経平均株価:米国の景気に対する楽観的見方の後退で連れ安

前日の米国株市場は景気に対する楽観的な見方が後退して大幅続落し、その流れで日本株も朝方から売りが優勢となった。特に半導体関連など値がさのグロース株を中心に売られ、前日まで地合い改善が感じられたムードとは一変し指数は下押しを余儀なくされた。米国株先物が底堅く推移したため中頃から下げ渋ったが、戻りに弾みを加える動きとならず、安値圏でのもみ合いに終始した。海外要因だけでなく、国内指標への関心も高まってきており、週末の日銀短観の発表を控えていることから、目先は様子見ムードが強まっている。結局、前営業日比244円安の2万6804円と5営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下を眺めドル売りに押される展開

ドル/円は、高値警戒感から利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いが先行し、135.90円付近まで値を下げた。本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いフローも観測された。ただ、今晩の米国株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、136.10円付近へ値を戻した。午後に入ると、海外勢などがドル買い・円売りを持ち込み、136.27円付近まで上昇する場面があった。しかし、前日のNY市場でつけた高値136.38円に接近すると上げは一服した。その後は、米長期金利の低下を眺めたドル売りに押され、136.00円付近へ下落した。ユーロ/ドルは、13時30分頃、ドイツのノルトライン・ウェストファーレン州の6月消費者物価指数が発表され、前年比+7.5%と前月の+8.1%よりも大幅に伸びが鈍化したことが分かると、ユーロ/ドルはユーロ売り・ドル買いが強まり、1.0500ドル付近まで下落する展開になった。

 

7月に就任後初の来日:イエレン米財務長官

米財務省は28日、イエレン米財務長官が7月12~13日に日本を訪問すると発表した。同氏の来日は財務長官の就任後初めてである。7月15~16日にインドネシアで開催予定の20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席にあわせて、日本と韓国を訪問する。イエレン氏は東京で開催される会議やイベントに出席する。日本政府の経済分野関係者とも会談し、強固で弾力性のあるサプライチェーン(供給網)の構築、製造業の技術革命などについて協議する。米財務省はげ体的な日程は後日公表するとした。

 

ECBの利回り格差抑制策:ラガルドECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は28日、ECBが検討している債券買い入れプログラムについて、ユーロ圏の利回り格差の無秩序な拡大を抑制すると表明した。各国政府に健全な財政を維持するよう圧力をかけ続ける考えも示した。当地で開催されたECBの年次フォーラムで『新たな措置は効果的でなければならず、なおかつ健全な財政政策への推進力を維持するために十分な安全措置(セーフガード)を盛り込む必要がある』と指摘した。ECBは段階的に行動するが、中期的なインフレが悪化した場合、特にインフレ期待が不安定化する兆候がある場合は、断固として行動する選択肢もあると述べた。

 

市場は来週のトルコ6月CPIに注目:トルコ大統領が北欧2カ国NATO加盟支持

今週は明日以降にトルコの貿易収支や製造業PMIの発表が予定されている。しかしながら、市場の目はすでに来週初の6月消費者物価指数(CPI)に向いており、結果を確認するまでは動きづらいかもしれない。トルコCPI(前年比)は前回5月分が73%を超えたが、一部通信社のエコノミスト調査では今回は78%を上回るとされている。80%超えを予想する専門家もおり、トルコ当局の物価抑制策は全く効果なしということが確認される。インフレによる通貨価値の下落も避けられそうにない。そのため発表前までにリラが買われる場面がもしあったとしても、その動きは長続きしないと予想される。なお、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の開催を本日に控え、エルドアン大統領は、ストルテンベルグ事務総長と、NATO加盟を申請しているフィンランドとスウェーデンの首脳と会談した。そこでトルコは、北欧2カ国のNATO加盟支持で合意した 。エルドアン・トルコ大統領がNATO拡大は北欧2カ国の対応次第ということを繰り返し述べていたため、首脳会議前の決着は難しいと予想されていた。その意味では驚きの結果と言える。4者協議前にエルドアン大統領はバイデン米大統領とも話したようであり、トルコにとって何らかの魅力的な条件が提示されたのかもしれない。

 

南アの4-6月期の消費者信頼感指数に注目:悪化ならランドへの悪材料

本日は4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)の消費者信頼感指数が発表される。1‐3月期は前期の-9から-13へと落ち込んでいるが、世界的に消費者信頼感指数の悪化が指摘されていることもあり、南アの同指数も弱まる可能性が高い。インフレ下の景気後退という最悪な状況は、通貨ランドにとっても悪材料になりやすい。なお、国営電力会社エスコムに関しては好悪両材料が昨日は出ている。良いニュースとしては労使間の賃金交渉がまとまったこと、悪いニュースとしては電力の負荷制限が昨日と本日(16-22時)はステージ6まで制限が厳格化されることである。

 

メキシコの最新レポート:米格付け会社ムーディーズ

米格付け会社ムーディーズが、最新のレポートを発表し、『政策金利の継続的な引き上げは銀行にとってプラス』とのポジティブな見解を示した。一方で、『家計にとっては可処分所得にマイナスの影響を与えるため、メキシコ全体で言えばメリット・デメリットりが両方あり、相殺される』とした。そのうえで、経済成長率については2023年も低く、パンデミック前の水準に戻るには2024年になる可能性があると示した。

 

米消費者信頼感の悪化で景気減速やリセッションを警戒

インフレ高進に加え、これに対処する連邦準備制度理事会(FRB)の急速で大幅な利上げが消費者の不安をあおっている。消費者信頼感が急速に悪化しており、消費の減速が経済の成長を抑制すると懸念される。最新6月のミシガン大消費者信頼感指数確定値は50.2と過去最低を記録したことに続き、米コンファレンスボードが発表した6月消費者信頼感指数は98.7と、5月103.2から予想以上に低下し、昨年2月来で最低となった。特に期待指数が66.4と2013年3月以来で最低に落ち込んだことが影響した。消費者は高インフレや利上げで下半期の景気が減速し、景気後退リスクが上昇することを警戒している、とコンファレンスボードの幹部が指摘している。回答者の3割近くがビジネスの状況は下半期に悪化すると見ており、金融危機時の2009年3月来で最高の割合となる。また、2020年8月で最高となる回答者が、賃金が減少すると見ていることも明らかになっており、消費者の悲観的見通しが明らかになりつつある。必然的に下半期の消費、小売りにも影響を与えることになる。

 

欧米市場イベント

○17:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:00   6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:103.0)
○18:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲23.6)
○19:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比8.0%)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率▲1.5%)
○21:30   1-3月期米個人消費(確定値、予想:前期比3.1%)
○21:30   1-3月期米コアPCE(確定値、予想:前期比5.1%)
○22:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルドECB総裁、ベイリーBOE総裁、ECBフォーラムで演説
○22:15   ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、議会証言
○23:30   EIA週間在庫統計
○30日00:30   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○30日01:00   5月ロシア失業率(予想:4.2%)
○30日02:05   ブラード米セントルイス連銀総裁、あいさつ
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(マドリード、30日まで)
○ECB年次フォーラム(ポルトガル・シントラ、最終日)
○石油輸出国機構(OPEC)定時総会

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/06/28/15:16:31

日経平均株価:内需関連に買いが入り指数を下支え

日経平均株価も朝方は売り優勢で始まったものの、一時は2万7000円を回復するなど、小緩みながらも底堅さを感じさせる動きとなった。実質6月最終日とあって12月の決算企業の中間配当権利を取る動きがあったものの、全体的に方向感に乏しい展開だった。ただ、自動車などの景気敏感が買われたほか、内需関連にも買いが入り、指数を支えた。前日比178円高の2万7049円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:月末絡みのドル売りがやや優勢

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いフローが多く持ち込まれ、135.40円付近へ下落した。その後も、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され、135.10円付近へ下落した。ただ、NY市場でつけた安値135.03円に接近すると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、135.25円付近へ値を切り返した。日経平均株価や米長期金利を睨みながら、135.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.05ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

S&P500指数が上昇した週にHFは6週連続売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの27日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は20~24日の1週間に米株を12億2700万ドル売り越した。4週連続の売り越しとなる。この週は24日に発表された6月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値で1年先の予想インフレ率が5.3%となり、速報値(5.4%)から下方修正されたことを受けてインフレ懸念が和らぐ中、S&P500指数が週間で6.44%高となって4週ぶりに大幅反発した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が2億6200万ドルの売り越し。機関投資家は13億6000万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しだった。個人投資家は4億6600万ドルの売り越しで、2週連続の売り越し。企業の自社株買いは8億6100万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは8億6100万ドルで4週移動平均(10億300万ドル)を下回って低調だった。相場が反発局面を迎えたものの、上場投資信託(ETF)を含めれば29億ドル超の大幅売り越しとなり、積極的な買い手不在の状況が伺えた。中でもエネルギー関連のETFの売越額が膨らみ、同セクターのETFとしては2017年以来の大きさを記録した。

 

イタリアで最大政党が分裂:政局リスクが金利上昇の一因

イタリアでは議会最大勢力の五つ星運動がウクライナ支援を巡って分裂した。ディマイオ外相が旗揚げした新党はドラギ政権を支持する方針を示唆しているが、コンテ前首相が率いる五つ星運動内には来年の選挙を睨んで政権から距離を置くべきとの声も浮上している。総選挙後は右派ポピュリスト政権が誕生する可能性が高く、財政運営などを巡ってEUとの対立再燃が不安視される。ECBの利上げ開始が近づくなか、イタリアの長期金利に上昇圧力が及んでいる。緊急理事会で南欧金利の上昇抑制策の検討が支持されたが、政治不安からも金利に上昇圧力が及びやすい。

 

トルコの銀行調整監視機構の融資禁止規制の影響が残った

先週末にトルコの銀行調整監視機構(BRSAまたはBDDK)が決定した『外貨の大量保有企業に対するリラ建て融資禁止』の影響が残った。対象となる外貨現金資産が多い企業が、リラ転換を急ぐのではないかとの思惑が強まった。銀行規制当局が融資禁止とした企業は、1500万リラ相当(1ドル=16.5リラで9000万ドル超)以上の外貨キャッシュを保有し、それが総資産または1年間の売上高の10%を超える場合である。一部通信社の調べでは、監査対象となる企業数は約1万社とされているが、その中でもダメージを受ける企業の数は限られるということである。先週末と週初の上げでリラの下値警戒感は一旦緩んだかもしれない。しかしながら、資本規制強化への警戒感は高まる一方であり、外資の流入増はあまり見込めそうにもない。なお、29日からマドリードで始まる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加するエルドアン大統領は、前日から現地入りする。そこでストルテンベルグ事務総長と、NATO加盟を申請している北欧2カ国の首脳と話しあうことが報じられている。

 

南アジャンク債から脱出できるか

格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は5月20日に南ア債の格付けをStableからPositiveに引き上げた。南ア債はいまだにジャンク扱いのままですが、Positiveになったことで、どのようにしたら格上げされ、ジャンク債から脱出ができるかということが注目されている。 脱出のために必要とされているのは、南アの政策が依然として不確実性が高いことで、改善が必要とされている。ラマポーザ政権樹立後はある程度安定はしているが、重要な政策について与党内でも異なる方向に動くことが多いことで、海外からの直接投資の障壁になっているとされている。また、大きな問題としては国営電力会社エスコムによる度重なる負荷制限の改善が必要と指摘されている。手ごろな価格で信頼性が高く、安定したエネルギー供給はどの国の開発とGDP成長にも不可欠となることで、エスコム問題の解決も必至とされている。ポジティブまで見通しは上がった南ア債だが、ここからが正念場と言える。 

 

メキシコ中銀の金利先高期待が高まる:次回会合も0.75%の利上げか

先週のメキシコ中銀による金融政策は満場一致での0.75%の大幅利上げとなり、利上げに消極的だったエスキベル副総裁やヒース副総裁も利上げに賛同したことで、さらなる金利先高期待が高まっている。声明文では『次回の会合でも政策金利の引き上げを継続する意向で、必要であれば同様の強硬策を取ることを検討』としている通り、次回会合でも0.75%の大幅利上げが市場では予想され始めている。最新のCPIも前年比で+7.8%と、先日中銀が発表した四半期リポートでのピーク値+7.6%をすでに超えてきており、インフレ抑制のための一段の金融引き締めは避けられない。

 

米国の金利市場は景気後退リスクを過少評価:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックス・グループの金利ストラテジストは、米金利市場が2024年のリセッション(景気後退)リスクを過小評価しているとの見方を示した。プラビーン・コラパティ氏ら同行ストラテジストは24日付のリポートで、市場が示唆する米政策金利予想は、23年の早い時期の『下振れ余地は限定的』と示唆する水準に過去数週間で低下したが、24年のフェデラルファンド(FF)金利のプライシングは景気後退リスクを過小評価している可能性があると指摘した。インフレの高止まりリスクは、リセッション懸念によるイールドカーブの傾斜への影響を複雑にしていると述べた。

 

米国市場では6月CB消費者物価指数:予想は100.4

5月実績は106.4で4月実績の108.6から低下した。インフレの高止まりや大幅な利上げが消費者心理を圧迫しつつあるとみられる。6月については、インフレの状況が改善していないことや金利高が懸念されていることから、5月実績を下回る可能性が高い。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲27.6)
○15:45   6月仏消費者信頼感指数(予想:84)
○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:30   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18:30   エルダーソンECB専務理事、講演
○20:00   パネッタECB専務理事、講演
○20:00   5月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.10%)
○21:30   5月米卸売在庫(予想:前月比2.1%)
○22:00   4月米住宅価格指数(予想:前月比1.5%)
○22:00   4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比21.0%)
○23:00   6月米消費者信頼感指数(予想:100.4)
○23:00   6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲5)
○23:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、インタビュー
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○主要7カ国首脳会議(G7サミット、独エルマウ、最終日)
○ECB年次フォーラム(ポルトガル・シントラ、29日まで)

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