FITS エコノミックレポート

★欧州市場序盤では、108.50円レベルにドル続落となったものの、同水準でのドル買い注文が厚く下支えされると、欧州株が下げ渋るにつれ、108.80円台にドルが反発となるなど方向感の乏しい値動きとなった。欧州株安や米長期金利の上昇幅縮小を横目に一時108.45円の安値を付けた。これは、北朝鮮の核実験を巡る報道について勘違いがあったようで、円買いが強まった後、直ぐに円売りに転じた。NYダウや日経先物の上昇などが手掛かりに円売り・ドル買いがでた。しかし、米8月ISM非製造業指数の発表を控え、一本調子で上昇する展開にはならなかった。カナダ中央銀行が、政策金利を引き上げたことでカナダドルの急伸やNYダウの上昇につれ円安となったが、米8月ISM非製造業指数が予想を下回ったこともあり買いは続かなかった。トランプ大統領が『北朝鮮での軍事行動は第1の選択肢ではない』と述べると、北朝鮮情勢を巡る緊張がやや和らぎ買い戻しが先行した。『トランプ大統領と議会は災害救済に短期歳出、債務上限を抱き合わせで合意した』との報道も好感され買いが入った。米長期金利が上昇すると一時109.39円まで買い上げられたが、引けにかけてはもみ合い商状となった。

引けにかけて上値が重くなったことから、アジア市場では新規材料待ちとなる。ただ、欧米市場では108円台半ばでは実需筋などのドル買いの根強さが改めて確認された展開となった。

★ドル/円の長期トレンドを見ていく上では、17カ月線（赤線）109.26円と34カ月線（青線）114.17円の組み合わせが分かりやすい。

2006年以降の動きを見ても、レジスタンスラインになったりサポートラインになったりときっちりした動きとなっている。

現在も2017年1月に17カ月線と34カ月線がデッドクロスした。その後は、34カ月線がレジスタンスラインとなり、17カ月線がサポートラインとなっていた。

しかし、17カ月線を下抜けしてきている。ただ、9月末に17カ月線を上抜けて終了すると、下ヒゲとなる可能性があるので注意は必要となる。

ストキャスティクス・スロー（パラメータ：14、3、3、20、80）は、％K：53.24、％D：58.36と、％Kが％Dを下抜け両線とも緩やかに下向きとなっている。

トレンドで見ても上値を切り下げてきており、上値の重さが意識されている。

現在のところは、下落トレンド入りとなっている。しかし、もし有事になった場合は、日本が当事国となり、何らかの被害が発生すると円売りが強まるので、注意が必要となる。

★ユーロ/円一目均衡表の日足では、基準線（青線）の129.61円を下抜け、雲の上限129.52円の攻防となっている。ちょうど基準線と雲の上限に挟まれた状態となっている。

雲の上限を下抜けると、先行スパン2（灰色：当日まで引き直し）の128.21円や75日指数平滑線（紫線）の127.93円が下値目処となる。

遅行線（緑線）も26期間手前のロウソク足を下抜けしたことから、下落基調となっている。

ストキャスティクス・スロー（パラメータ：14、3、3、20、80）は、買われ過ぎ域から％Kと％D：はデッドクロスして下向きとなっている。

ロウソク足でも8月30日をピークとして徐々に上値・下値切り下げてきていることから、下落基調を示現している。

雲の下限を下抜けると、下落基調が加速しやすいので注意が必要となりそうだ。