FITS エコノミックレポート

『びっくり』するほど米国景気は減速傾向!

 

★シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。

この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。

 

米国(黄線)欧州(緑線)日本(赤線)のびっくり指数では、直近8月26日現在の米国:-47.0、欧州:-13.2、日本:-17.7となっており、米国のびっくり指数の低下が際立っている。

米国のびっくり指数は、20年7月16日の+237.9がピークとなり、その後は上値を切り下げる下落基調が続いており、さらに持ち直す動きにはなっていない。要するに各種経済指標に対して市場予想を下回る結果がかなり増えていることを示している。

数人の地区連銀総裁が新型コロナウイルスのデルタ株感染拡大にもかかわらず、年内の緩和縮小開始を支持している。しかし、びっくり指数の動向から判断すると、米景気動向は減速傾向にありテーパリングによってさらに悪化させる可能性もある。

そのため、今晩のパウエル米FRB議長の講演では、景気に慎重姿勢を示すほか、テーパリングに関して言及しない可能性もある。一方、タカ派的な発言になり米FRBが早期にテーパリングを実施していくようなら、びっくり指数から米景気減速感が高まる可能性があるので、株安やドル安に対する警戒が必要となる。

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