FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで6月8日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は反落した一方で、ナスダック総合指数は続伸する展開になった。米経済活動正常化への期待から買いが先行したものの、景気敏感株の一角に売りが集まると失速した。5月米消費者物価指数(CPI)の発表を10日に控えて、積極的な売買が手控えられた面もある。足元で株価上昇が続いていた景気敏感株を中心に利益確定の売りに押され、終日マイナス圏での推移となった。一方のナスダックは、下落して始まったものの、終日堅調に推移。主要7ヵ国(G7)の財務相会合で、法人税の最低税率を15%とする共同声明が採択されていたが、影響は限定的だった。一方、米長期金利は、今週予定されている米物価指標の発表や国債入札などのイベントを控えて持ち高調整目的の売り(利回りは上昇)が優勢となった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は14.42から16.42に上昇した。VIX指数は上昇したものの、20を下回っていることで安定化を維持している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.296%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月4日:▲2.901%⇒6月7日:予想▲2.899%(前日比で縮小:割高)

 

6月7日のNYダウは反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.296%から▲0.397%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.327%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.203%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.642%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.118%下回った。NYダウは、フェイスブックなどのハイテク・ジャイアントが総じて堅調となったほか、AMCエンターテイメントなどの『ミーム銘柄』も大きく反発した一方、景気敏感株には利益確定売りに押されるものが目立った。NYダウは朝方に64ドル高まで上昇したものの、126.15ドル安(-0.36%)と反落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月4日:▲2.785%⇒6月7日:予想▲2.771%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.770%から+0.001%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.098%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.231%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.408%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.728%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.451%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.779%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月4日:▲1.506%⇒6月7日予想▲1.473%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.779%から▲0.306%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.706%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.910%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.025%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.330%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.621%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価が反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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