FITS エコノミックレポート

金投機ネット減少で金の上値は重い展開!

 

★商品先物委員会(CFTC)が発表する6月8日付けの金の投機筋のネット持高(赤線)では、209,387枚の買持残高となり、前週の213,701枚の買持残高から▲4,314枚の減少となった。5月25日付けの214,642枚がピークとなり2週連続の減少となった。

NY金(青線)は6月2日の1909.9ドルがピークとなりその後は上値の重い展開になっている。一方金標準先物(黒破線)も6月1日の6,740円がピークとなりその後は上値を切り下げる展開になっている。

投機筋の買持残高の減少傾向が続くようなら、上値の重い展開が継続しそうである。

ただ、米国10年債金利(緑線)は高値圏もみ合いながら低下傾向にあり先週末終値では1.451%と1.50%割れまで低下していることから、金価格にとっては下支えとなりやすい。一方、期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.35%(前日比+0.03%)と戻り基調となっており、マイナス実質金利が拡大しており、金にとってはポジティブな動きになっている。

投機筋のポジション整理的な動きが続いていることから、金の上値が重くなっているようである。ただ、市場環境的には米国の長期金利の低下する一方で、BEIが上昇してきたことでマイナス金利の拡大により金の買い戻しが入りやすい。

今週15-6日に開催される米連邦公開市場員会(FOMC)では、テーパリング開始の協議に注目が集まっている。しかし、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長やハト派のFRB高官は、西院のインフレ高進に対して一時的との見方を堅持しており、早期のテーパリング開始への警戒感は後退している。そのため、米長期金利の上昇を抑制しており、金の下押しバイアスを弱めている。

3月公表の参加者の政策金利見通し(ドット・チャート)では、利上げ開始は2024年以降との予想が18日中11人(61%)を占めた。6月のFOMCでは利上げ時期の予想を前倒しする参加者が出る可能性もある。その場合は、再び米長期金利が上昇する可能性もあり、金の売り材料になりやすい。

 

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