★裁定売り残とは、『先物買い・現物売り』のポジションを組んだ裁定取引を解消していない現物売りの残高のことである。先物取引の決済日に裁定売り残が大量に残っていると、裁定解消のための現物株の買戻しで相場が上昇する要因となる。
9月6日に裁定売り残は、過去最高の2兆666億円に達した。そのため、手仕舞い解消による現物買い・先物売りが入りやすい地合いとなっていた。
上昇基調の中9月20日には1兆7419億円まで売り残は減少した。その後は、日経225は下落基調となったことで、売り残も再び増加すると思われたが、底値圏に至る10月4日でも売り残は1兆6575億円と減少が続いていた。10月4日の空売り比率は45.4%と高水準となっていた。25日SMA(青線)がレジスタンスとして上値を抑えていたのは、空売り比率が高止まりしていたことも要因となりそうだ。(空売り比率:10月7日:46.2%、8日:42.3%、9日:43.9%、10日:45.1%、11日:47.1%)
11日に売り残が15,980円となり25日SMAを上抜けしたところで空売り比率がピークとなった。翌15日には空売り比率は40.4%と空売りからの買い戻しが入り窓を空けて上昇する展開となった。
その後も上昇基調は継続しながら、10月18日の裁定売り残15,388億円、10月25日の裁定売り残13,686億円と減少傾向が続いた。要するに裁定売り残の手仕舞いによる現物の買い戻しが続いていると思われる。空売り比率もその後は40%~43%程度に落ちついた動きとなっていた。
ただ、昨日30日には空売り比率が48.9%と急上昇したことから、本日の朝からの上昇は空売りの買い戻しが入ったと思われる。
裁定売り残がピーク時よりかなり減少してきていることから、裁定売りの手仕舞いによる現物株の買い戻し圧力も徐々に解消されてきている。本日は朝から空売りの買い戻しによる上昇となったが、ポジション解消による買戻しも終わると上値が重くなっている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)も、かなり割高感が強まっており、いつ下落基調となっても不思議ではなくなっている。裁定売り残高が全般に整理されてきていることから、ポジション解消による現物の買い戻しバイアスも低下傾向にあり、注意して見ていく必要がありそうだ。
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