FITS エコノミックレポート

★12月17-23日分の対外及び対内証券売買契約等の状況

国内投資家は対外中長期債は4342億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。対外株式は1777億円の買い越しとなり、買い越しは31週連続となった。また、海外投資家は対内株式は762億円の買い越しとなり、買い越しは6週間ぶりとなった。対内中長期債は2兆237億円売り越しとなり、売り越しは5週ぶりとなった。対内短期債も9499億円となり、売り越しは2週連続となった。

 

国内投資家意の海外投資が継続していることで、円売りが根強いことを示しており、円高を抑制する動きとなっている。海外投資家はクリスマス休暇前に買い越しとなっており、買い越しが継続するかが焦点となる。一方で、全般国内債券は大幅売り越しとなった。本邦国内勢のドル調達に目処が立ったことで、スワップレートなどが落ち着いたことから、一旦国内債券のニーズが低下したことが要因である可能性が高い。

 

★日銀決定会合の主な意見：目新しい材料はない

日銀金融政策決定会合における主な意見（12月20－21日分）「２％の『物価安定の目標』達成にまだ距離がある現在は、金融政策は現状維持が妥当である」「今後、２％に向けて物価が上昇し、経済の中長期的な成長力が高まるもとでは、金融緩和政策の効果は強まることになる。そうした環境変化や政策の副作用も考慮しながら政策運営にあたることが必要である」

「消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると 、2018年度中に『物価安定の目標』を達成することが望ましく、10年以上の国債金利を幅広く引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当である」「ＥＴＦをはじめ各種リスク資産の買入れについては、株価や企業収益などが大きく改善していることや、今後も堅調に推移すると見込まれることを踏まえると、政策効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から検討すべきである」

 

日銀は物価目標である2％に向けて現状の金融政策を継続するが、実際インフレ率が高まると債券金利も上昇し、日銀が買い入れていた債券（12月20日現在：約405兆円)の含み損が大きくなる。また、米国景気後退により株価が下落するとETFにも含み損が発生することになる。そうなると、日銀における財務健全性リスクが発生し、新たなリスクとして浮上してくる。

 

★日経平均株価：前日終値近辺でもみ合い相場

米国株の打たれ強さや米国の消費者信頼感指数の底堅さなどが下支え要因となりやすい。米長期金利は低下とあんったが、リスク選好の持続により、対円でのドル安や全般的な円高は抑制されている。需給面では、年末までの背何時勢対策売り一巡や、クリスマス明け海外勢による新年運用資金の新規配分の仕込み買い、日銀の株式ETF買いなどが日本株を下支え要因となる。ただ、米長期金利の低下は、ドルの上値の重さにつながる。日本の金融株、保険株などにはマイナス要因となる。さらに原油価格の下落は、資源エネルギー関連株にはネガティブ要因となりやすい。日経平均株価は、前日比0.84円高の2万2912円で寄り付いた。その後も前日終値を挟んでもみ合い相場が継続している。

 

★東京外国為替市場：狭いレンジ相場が想定される

ドル/円は、米長期金利の低下が嫌気されるなか、上値トライには慎重姿勢となっている。ただ、日米金利差を軸にドル買戻し志向は根強いものがある。そのため、113円前後でもみ合い相場が予想される。しかし、円ショートが積み上がっていることから、ポジション調整的な下落も想定される。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下や年末調整含みのユーロ買いが優先されている。ポンドとのつれ高していることや、来年以降のECB資産購入縮小期待が先行している。しかし、ユーロ圏をめぐる政局不安がある以上、さらに買い上がる機運には至っていない。

 

本邦輸出勢は引き続き期日決済以外は114.00円からドル売りオーダーを置いている。米系短期筋のドル売りは113.50円から継続的に観測されている。また、本邦実需勢は112.80円からドル買いオーダーが観測されている。米系短期筋は112円台後半からドル買いスタンス。

113.00円と113.50円にはNYカットで行使期限を迎えるオプションが大量に設定されており、動きは限定的となる可能性が高い。また、本邦官公庁が御用納めとなり、ほとんどの期魚うも明日から年末年始休暇にはいることから、閑散商いになりやすい。

 

★時間外米長期金利の低下一服：ドルの下支え

前日の米国債市場では、年末、四半期期末、月末などを控えてポートフォーリオ調整やポジション調整などによる米長期金利の低下が進展した。28-29日にかけては年末調整が一巡してくるか、調整余地が残されてているかが焦点となる。