FITS エコノミックレポート

午前の市場コメント!

日11月の貿易統計(速報):市場予想を大幅に上回る黒字額

財務省が発表した11月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた輸出超過額は1134億円の黒字となり、市場予想の▲400億円の赤字額に反して黒字となった。

米国から貿易不均衡の警告が出そうな黒字転換となった。そのため、一段の円安局面では米国要人から円安けん制発言が出やすくなっている。

また、日銀が発表した日銀短観では、前規模産業の消費者物価見通しは1年後が前年比0.8%、3年後が前年比1.1%、5年後が前年比1.1%となっている。日銀が目標とする2%には程遠く、長期的な金融緩和維持により、ドル高・円安になりやすい。

 

日経平均株価:リスク選好の動きが継続し上げ幅拡大

米国での税制改革法案の進展期待や、それに伴う米長期金利とドルの下げとまり、リスク回避の円高後退などがプラス要因となりやすい。米国株市場では11月後半から先行して高値警戒売りに押されてきたハイテク株が、前週は下げ止まりとなった。日本でも関連株の下支えとなりやすい。ただ、米国の税制改革法案の進展に関しては、一定の織り込みも進展してきた。紆余曲折や好材料の出尽くしも含めて、株安の材料としても警戒されやすい。今週後半から海外ではクリスマス休暇モードとなるため、休暇前にポジション調整や利益・損失の確定、薄商いでの上下動などにも注意が必要となる。日経平均株価は、前週末比217円高の2万2770円で寄り付いた。 その後も米税制改革案の実現性の高まりからドル買い・円安基調が継続している。そのため、リスク選好の動きから 上げ幅をじわりと広げる展開が続いている。

 

 

東京外国為替市場:株高からリスク選好のドル買い優勢

ドル/円は、112円台割れの段階では実需や利益確定のドル買いが散見されるなか、底堅い展開を見せている、同時に113円台でも実需やポジション調整売りが控えるなど、依然としてどちらにも動きにくい状況が継続している。ユーロ/ドルは、ECB理事会で何ら進展は見られなかったが、ドイツ最大野党の社会民主党がメルケル首相との連立へ暫定交渉入りを支持するとの報道や、ポンド売りが支えにユーロを買い戻す動きとなった。ただ、引き続き直近の1.1700~1.1850ドルレンジ内で推移すると見られる。

 

本邦輸出時江は期日決済分以外は静観スタンス。米系短期筋のドル売りは112.95円から継続的に観測されている。また、本邦実需勢は112.35円からドル買いスタンス。米系短期筋も112円台前半でのドル買いスタンス。

 

クリスマス休暇を控えて市場流動性が徐々に薄くなるなか、本邦実需勢や米短期筋のポジション調整の動向には注意が必要となる。

 

中国は鋼材の輸出勢撤廃:世界へデフレ輸出の可能性も

中国税制省は、鋼材の輸出税を2018年1月1日に撤廃すると発表した。これを受けて、中国で過剰に生産された鉄鋼製品が安値でさらに海外にあふれ出し、日米欧など世界各国の反発が今後一段と強まる可能性もある。

 

米完全雇用でも賃金が上がらない理由

2期目に入ったオバマ前大統領が2013年に、危機後の雇用情勢改善をアピールすべくアルバイト等パートタイマーをNFP(非農業部門雇用者数)に参入させた雇用統計改定にある。この雇用統計改定によりNFP増加分の8割がアルバイトやパートだから失業率が4%に迫る完全雇用においても賃金が上がらない。イエレン米FRB議長にとっても、繰り返すフィリップ曲線への信奉、堅調な動労市場がいずれ賃金と物価を上げるとの期待実現に、これほど時間を要するとは想定外となっている。正規社員中心のオバマ改定前の雇用統計では、失業率は依然として8%水準で高止まりしてる。そのため、金融正常化利上げペースは鈍化せざるを得ない。

 

米税制改革法案の可決を睨んだ展開に

米与党共和党の議会両院執行部は、約30年ぶりとなる抜本税制改革で焦点だった法人税率を来年に35%から21%に引き下げる法案で最終合意した。全体の減税規模は10年間で約1兆5000億ドルとなる。米国の上下議会両院で一本化された税制改革案が来週19-20日のうちに可決され、22日にも大統領が署名、法案成立の可能性が高まった。上院で反対していたコーカー上院議員が支持に回ったほか、子供の税額控除をめぐり難色を示していた共和津尾のルビオ米フロリダ州上院議員も支持を表明したことが背景にある。ライアン議長は下院が19日に採決を行うと発表し、上院は19または20日の採決を予定している。

 

12月12日付シカゴIMM投機筋の対米ドルでの差し引き持ち高

 

(12月5日)   ⇒   (12月12日)

・円     :▲114,267   ⇒   ▲114,123

・ユーロ    : +93,106    ⇒     +113,889

・ポンド    : +6,406  ⇒     +11,388

・豪ドル    : +40328   ⇒    +40,720

 

短期投機筋の円の売り持ち高は依然高水準で推移しているため、円の一段の下落余地を狭めている。また、ユーロの買い持ち高は2007年5月以来の最大に膨れ上がっており、ECB定例理事会後、ユーロが伸び悩んだ一因となっている。

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ