FITS エコノミックレポート

午前の市場コメント!

日経平均株価:SQを控え需給面での下げ

米税制改革に関する期待の一旦の消化進捗、米国株の失速、前日比でのドル安や円高の地合いなどが重しとなりやすい。米税制改革法案については上院と下院の一本化協議に不透明感が残るほか、8日の米雇用統計に向けて様子見ムードが広がりやすい。今週末にはオプション・先物のメジャーSQ(特別清算指数算出)が控えていることも、需給面でのかく乱要因として警戒される。ただ、衣料小売関連では、好調な売り上げ速報が目立っている。米国での金融株の底堅さも、日本の銀行株などにはプラスとなる。株安場面では押し目買い需要の根強さも注目される。日経平均株価は、前日比111円安の2万2595円で寄り付いた。その後も下げ幅を拡大する動きとなっている。

 

東京外国為替市場:取引材料多くボラティリティに注意

ドル/円は、前週末からの乱高下からは落ち着きを見せているものの、依然として、損切りと利食いの動きが混在しているなか、引き続き神経質な展開が強いられる。欧米市場で113円台を一時回復したものの、滞空時間が短く上値の重さが意識されている。ユーロ/ドルは、ドイツの政局不安が解消されないなか、1.118ドル半ば前後でもみ合い相場が続いている。ただ、英EU離脱交渉の難航により、ポンドの上昇に歯止めがかかると共に、地政学リスクの受け皿としてのユーロ買戻しの動きもあり、下値は限定的となっている。

 

本邦輸出勢は期日決済以外のドル売りは静観スタンス。米系短期筋のドル売りは112.75円から継続的に観測されている。また、本邦実需勢は引き続き112.20円からドル買いスタンス。米系短期筋も112円台前半でドル買いスタンス。

米税制改革法案の一本化の期待のなか、ロシア疑惑や英国EU離脱問題、北朝鮮情勢により地政学ありクスなども多く存在しており、ボラティリティの高まりには注意。

 

米国の暫定予算の延長や税制改革協議の行方に注目

12月8日に向かえる債務上限問題を巡っては、与野党がギリギリまで対決姿勢を続けるリスクがある。ただ、暫定予算については、土壇場までの存在感のアピール合戦があっても最終的には再度延長されると見られる。延長できない場合は、一部政府機関の閉鎖となる。税制改革の上下院協議については、すでに一定の遅延や減税規模のスケールダウン方向での歩み寄りが警戒されているだけに、少しでも前向きな進展が見られるとポジティブサプライズとなりやすい。

 

レーガン政権とトランプ政権による減税の違い

米エコノミストは減税が米国経済の成長に与える影響は『限定的』として冷静に受け止めている。80年代にレーガン政権が実施した税制改革は個人の減税を柱にしたもので、消費を押し上げ、米国経済成長に大きく貢献した。それに対して、トランプ政権が計画している税制改革案は主に法人税を中心したもので、経済への影響はあまり期待できないと見ている。全米企業エコノミスト協会は、米国の税制改革による2018年のGDPの成長率の押し上げが0.2%ポイントにとどまると見ている。また、ゴールドマンサックスやRDQエコノミックスはそれぞれ+0.3%ポイントと全般的に控えめな数値となっている。

 

米長短金利差の縮小:将来長期金利の反動上昇によるドル高

米国債市場では、短期債金利がFRBによる利上げ継続観測で高止まりする一方で、長期債金利は根強いインフレ低下圧力や先行きの景気減速懸念、米税制改革協議への不透明感から上げ渋っている。米10年債から2年債を引いた長短金利差は、前週に0.56%方向に縮小した。これは2007年11月以来の金利差縮小となる。米長期金利が急低下から過熱調整的な反動上昇に移行し、タイムラグを経てドル/円はドル高の圧力が高まるパターンが観測されいている。

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