FITS エコノミックレポート

★豪10月雇用統計を受けて豪ドル買戻し

豪州の10月雇用者数は予想を大きく下回る減速となったが、正規雇用者数は大幅に改善したほか、失業率は予想を下回る低下の改善となったことで、豪ドルの買い戻しが入り小幅高となった。

 

★11月5-11日分の対外及び体内証券売買契約等の状況

国内投資家は対外中長期債は1050億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。対外株式は3082億円の買い越しとなり、買い越しは25週連続となった。また、海外投資家は対内株式は1824億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。対内短期債は6012億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

海外投資家の対内株式が再び買い越しとなっているが、取得と処分の金額が大きくなっており、利益確定と押し目買いの銘柄入れ替えがあった可能性がある。一方、国内投資家は相変わらず海外投資を進めており、ネット合計でも2787億円の投資を進めている。そのため、円売り外貨買い根強く残っていることを示現している。

 

★日経平均株価：円高一服と押し目買いでプラス圏回復

米国株や原油価格の下落、リスク回避の円高地合いなどが重しとなりやすい。世界経済の回復は『現在が最良の天井圏』との警戒感がくすぶり始めたほか、米国の税制改革協議も難航懸念がされている。海外勢による年末決算に向けた利益確定売りやポジション調整的な売り、ヘッジファンド対応の持続が意識される。一方で、日本株は前日まで6日続落となっており、高値警戒感が修正されてきている。米国の経済指標自体は底堅さを維持しているほか、ドイツでは大手銀行の再編期待が浮上してきている。そのため、押し目買い重要が焦点となる。日経平均株価は、前日比53円安の2万1975円で寄り付いた。マイナス圏で寄り付いた後は、円高が一服したことや押し目買いが入り上げ幅を拡大している。

 

★東京外国為替市場：米長期金利動向を注視

ドル/円は、利益確定売りやストップロスを巻き込んで112円台への緊張感を強めている。引き続き株価が軟調となれば、もう一段の円高局面を視野に入れる必要がある。ただ、米長期金利が下限レベルまで低下してきており、112円台では底堅い展開が予想される。ユーロ/ドルは、ユーロ圏やドイツのＧＤＰ改善、そして、ドル売りによる受け皿となり一時1.18ドル台半ばまで上昇したが、短期筋中心に、急ピッチの上昇に警戒感を強めている。ただ、今回のユーロ上昇は、以前のような地政学リスクの受け皿ではないだけに底堅く推移する可能性が高い。

 

本邦輸出勢は期日決済以外のドル売りは静観スタンス。米系短期筋のドル売りは113.20円から継続的に観測されている。また、本邦実需勢は112.30円からドル買いが観測されているが、状況次第でドル買いの水準を上げる。米系短期筋は112円台半ばからドル買いスタンス。

アジア市場では売買材料が乏しいく、株価動向を睨んだ展開となりそうだ。

 

★前日米国経済指標では12月追加利上げ後押し

米労働省が発表した10月消費者物価指数（ＣＰＩ）で変動の激しいエネルギー、食品を除いたコア指数は前年比+1.8％となり、予想外に9月の+1.7％から上昇した。1月来の上昇で、4月来の高水準となった。特にコア指数は、ＦＯＭＣがインフレ指標として注目しており、12月の追加利上げを後押しする。米国経済の7割は消費が占めることから、景気動向を占うために注目される小売売上高も堅調な伸びを示し、12月の利上げを支援する結果となった。安定した雇用や資産価値の上昇、安定したインフレが消費につながった。米商務省と類似したモデルを使用しているとして市場関係者が注目しているアトランタ連銀の10-12月期ＧＤＰの成長予測は3.2％だった。見通し通りとなると、今年の経済は1-3月期を除いて、3％台の成長を実現できることになる。

 

★米上院共和党は大幅な変更案を提示：不透明性が残る内容

米上院財政委員会のオリン・ハッチ委員長は共和党の税制改革法案について、法人税率引き下げの恒久化やオバマケア見直しなどを盛り込んだ大幅な変更案を提示した。上院共和党は9日、下院に続いて税制改革法案を発表したが、法人税の引き下げ時期や州・地方税控除の扱いなどで上下両院案に相違があり、調整が難航する可能性があるとの見方が出ていた。変更案によると、一部の個人所得税率を若干引き下げるほか、代替ミニマム課税は一時撤廃するものの、2025年に再び導入する。ただし、ハッチ委員長の変更案が上院でどの程度支持を集めるかは現時点では不明となっている。ただ、オバマケア見直しが盛り込まれていることで先行き不透明性が高まる可能性がある。