FITS エコノミックレポート

午前の市場コメント!

日経平均株価:寄り付き後から値動きの荒い展開

米国の減税期待後退や米国株の下落、、米長期金利の低下とドル安、リスク回避の円高などが重しとなりやすい。日本株は前日ボラティリティ指数の球状などで急落する場面もあり、10日も週末前の高値警戒売りが意識されやすい。日米とも決済発表のピークアウトしつつあり、当面の好材料出尽くしが警戒される。ただ、日本株は9-10月以降の上昇が速かったため、国内外に買い遅れの投資家も多い。そのため、押し目買いの需要も注視されやすい。日経平均株価は前日比288円安の2万2580円で寄り付いた。その後は値動きの荒い展開がマイナス圏で値動きの荒い展開が継続している。11月限オプションSQ暫定値は2万2531.10円となった。

 

東京外国為替市場:米税制改革案でドルの上値が重い

ドル/円は、不透明な米税制改革案をめぐり、一時113円割れ寸前まで下げ足を強めるなど、改めて114円台の上値の重さが意識されている。前日の日経平均株価の急落も起因しているが、あくまで急ピッチの上昇による反動売りとなったとの見方も多い。日米の好調な企業業績から暴落するほどの下落にはつながりにくい。そのため、レンジ内での値動きとなる可能性が高い。ユーロ/ドルは、ドルの調整売りに押されるなか、ユーロ圏の国債利回りは上昇しており、ユーロ/ドル1.16ドル半ば近辺まで買い戻されるなど、底堅い展開となっている。

 

本邦輸出勢は期日決済以外は114.50円からドル売りスタンス。米系短期筋のドル売りは113.70円から継続的に観測されている。また、本邦輸入勢は113.00円からドル買いが継続的に観測されている。米系短期筋は113.00円割れから買いスタンス。

市場では米税制改革案の行方に注目が集まっているが、上院共和党が1年先送りと公表されたことが懸念材料となっており、ドルの上値の重しとなっている。

 

ユーロ圏の成長率見通しは大幅上方修正:欧州委員会公表

欧州委員会は、ユーロ圏の今年の成長率は過去10年で最も早いペースになるとの見通しを示した。従来予想を大幅上方修正した。ただ、景気拡大は2018年と2019年にやや減速するとした。今年のユーロ圏の成長率見通しは2.2%で、2016年の1.8%から加速すると予想した。5月時点では今年の成長率見通しは1.7%だった。

声明では、『今年の欧州経済は、個人消費や世界的な景気拡大、失業率の低下に支えられ予想よりはるかに好調。投資も上向き、不透明感の後退とともにセンチメントが大幅に改善下』と評価した。

 

上院と下院の税制改革案の主な相違点
●上院
*個人の税率構造を7段階で維持38.5%、下院の39.5%を下回る
*法人税減税の実施を2019年に先送り、恒久的に20%
*住宅ローン利子控除のローン総額の上限を100万ドルで維持
*相続税を維持、そのかわり支払い義務の資産上限を倍の1100万ドルに引き上げ
*州・地方税控除を完全撤廃


●下院
*個人の税率構造を現7段階から4段階へ削減
*法人税減税を2018年から20%へ引き下げ
*住宅ローン利子控除のローン総額の上限を100万ドルから50万ドルへ引き下げ
*相続税を段階的に削減へ
*医療費控除を維持
*州・地方税控除撤廃、固定資産税の控除は1万ドルまで

 

FRBの大幅刷新は歴史的な事件

FRB正副議長にNY連銀総裁、さらに民党員のブレイナードFRB理事も退任する可能性が高く、7人のうち5人の理事をトランプ大統領が指名するFRBの『トランプ化』が懸念されている。米FRBの歴史において、FRB議長、副議長、NY連銀総裁が1年以内に同時に退任した例は過去に一度しかない。1979-1980年にポール・ボルカー氏がNY連銀総裁からFRB議長へ昇進した事例のみであり、それほど今回のFRBの大幅刷新は歴史的な事件である。

 

テイラー教授は利上げに積極的なタカ派であり、トランプ大統領は副議長や理事に一人たりともタカ派は選ばないと言い切っている。ちなみに、米株式専門誌『バロンズ』は、パウエル議長・テイラー副議長の新体制を見込んでいる。

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