FITS エコノミックレポート

★中国製造業・非製造業PMI：中国景気が後退で豪ドル売り

中国国家統計局が発表した10月の中国製造業（PMI)は51.6となり、市場予想の52.0を下回った。また、10月非製造業PMIは54.3となり、9月の55.4を下回った。

 

中国経済との相関性が高い豪州経済への悪影響が懸念され、豪ドルが売られる展開となっている。

 

★日9月完全失業率：完全失業率は市場予想通り

総務省が発表した9月の完全失業率（季節調整値）は2.8%となり、市場予想通りとなった。また、厚生労働省が同時に発表した9月の有効求人倍率（季節調整値）は1.52倍と前月と横ばいとなった。市場予想の1.53倍は下回った。

 

★日9月鉱工業生産速報：市場予想を上回る

経済産業省が発表した9月の鉱工業生産動向（速報）で、生産指数（2010年＝100、季節調整済み）は前月比で1.1%低下となり、市場予想の前月比1.6%低下を上回った。

 

★日経平均株価：押し目買いと円高一服で下げ幅縮小

米国の法人減税の実施スケジュールに対する失望、米長期金利の低下とドル安、米トランプ大統領のロシア疑惑再燃などが重しとなりやすい。米国でのソフトバンク系の通信再編暗礁や、前日のドイツ物価指数の低迷によるユーロ安、リスク回避の円高なども逆風になる。31日は日銀金融政策決定会合、31-1日には米FOMC、3日には米雇用統計、週内に米FRB議長の後任内定といった重要イベントが控えていることも、日本株の上値追い慎重ムードや一旦の利益確定機運を後押しする。ただ、日本企業の個別決算では、今後も良好な内容が期待される。日経平均株価は、前日比114円安の2万1897円で寄り付いた。その後は、好業績企業への押し目買いや円高一服を支えに下げ幅を縮小する展開となっている。

 

★東京外国為替市場：月末絡みの実需筋の動きにが中心

ドル/円は、本日の日銀政策決定会合では緩和継続という見通しとなっているが、米欧が出口戦略に向けて、前向き姿勢である以上、株高基調を背景に何らかの進展が見られるとの期待もある。ただ、市場では次期FRB議長人事や週末の米雇用統計に移行しつつあり、引き続きレンジ相場内での動きとなりそうだ。ユーロ/ドルはスペインのカタルーニャ自治州の独立問題が上値を抑えているが、ドルの調整売りを踏まえて短期筋もユーロ/ドル1.15ドル台からのユーロ売りには慎重になっている。

 

本邦輸出勢は期日決済以外のドル売りは静観スタンス。米系短期筋のドル売りは113.70円から継続的に観測されている。また、本邦輸入勢は112.85円からドル買いが進んでおり、112円台のドル買い意欲は強い。米系短期筋は112円台では状況を見ながらドル買いを入れる模様。

月末に絡む本邦実需勢のフロー主導の展開となりやすい。

 

★北朝鮮による連日の威嚇報道：7日までは警戒が必要

朝鮮中央通信は、北朝鮮の2団体が『米帝の核戦争挑発策動は、トランプ政権発足以降、もっとも極端な状況に至っている』と非難する共同告発状を発表し、『トランプ政権が挑発に明け暮れるなら、米国の完全破滅という残酷な結果だけを招く』と威嚇したと報じている。また、韓国に対しても『米国の核戦争騒動の犠牲になりたくなければ、侵略的な外部勢力と決別し、民族共助の道を歩まなければならない』と訴えている。

 

トランプ大統領のアジア歴訪に際して、北朝鮮によるミサイル試射や核実験など行動実施が警戒されやすい。そのため、地政学リスクによる円安や株高は後退しやすい状況となっている。トランプ大統領のアジア歴訪の予定は、5-6日に訪日、7日に訪韓する予定となっている。そのため、韓国を離れるまではリスク選好の動きにはなりにくい。

 

★次期FRB議長人事は2日に公表見通し：パウエルFRB理事なら織り込みか

米メディアは30日、ホワイトハウス高官の話として、トランプ大統領がFRBの次期議長の指名を11月2日に公表する見通しだと報じた。パウエルFRB理事を指名する公算が大きいと伝えている。トランプ氏は、次期議長人事を巡り、来年2月に任期を終えるイエレン議長を続投させるか、パウエルFRB理事あるいはテイラースタンフォード大教授の起用を軸に最終調整に入ったと明らかにしていた。

報道ではパウエルFRB理事が有力視されているが、トランプ大統領は気が変わりやすいことから、決めつけるのはリスクがある。ただ、イエレン議長再任やパウエルFRB理事ならば、リスク選好の動きが続きそうであるが、テイラー大教授となった場合は米長期金利上昇と株安につながりやすい。ただ、選択肢としては3人のうち議長と副議長を同時に発表する可能性も高い。