FITS エコノミックレポート

★日経平均株価：一巡後は上値の重い展開

週末の衆院選での与党圧勝、それに伴う日本の政治安定化とアベノミクスの強靭化への期待、日銀による異次元緩和の長期化観測などが支援材料となりやすい。米国での税制改革改善期待もあり、米長期金利の上昇とドル高、リスク選好による円安の地合いも維持されやすい。ただ、日本株は歴史的な連続上昇により、高値過熱感もくすぶっている。米国ではFRB議長人事に不透明感が残されているほか、日本の与党圧勝を受けた好材料の出尽くし、安倍政権による憲法改正への前のめりと経済万新、経済軽視への警戒感も残る。日経平均株価は、前週末比251円高の2万1709円で寄り付いた。買い一巡後は、高値警戒感や材料出尽くしから伸び悩む展開となっている。

 

★東京外国為替市場：日米貿易不均衡けん制も残りドルを買い進みにくい

ドル/円は自公民の圧勝により、次なる節目である115円台が意識される。ただ、北朝鮮が第19回中国共産党大会の終了後には、再度弾道ミサイル発射を強行する可能性があり、地政学リスクが残るなか、ドルを一方的に買い戻す雰囲気には至っていない。さらに、同レベルでは日米貿易不均衡によるドル高けん制の動きも再燃する可能性もあり、過度な円安局面は見込みにくい。ユーロ/ドルは、ストップロスを巻き込み戻り優勢になか、1.17ドル台半ば前後でこう着感を強めている。スペイン・カタルーニャの独立問題や26日のECB理事会での資産購入策に対する不透明感なども、今後の波乱要因となっている。

 

本邦輸出勢は114円台は状況を見ながらのドル売りスタンス。米系短期筋のドル売りは114.20円から継続的に観測されている。また、本邦輸入勢は113.20円からドル買いが観測されている。米系短期筋は113円台前半ではドル買いスタンス。

 

★衆院選後の日程：11月1日に第4次安倍内閣を発足

衆院選で安倍政権が信任を得たとして、特別国会を11月1日に招集して首相指名選挙を行い、同日中に第4次安倍内閣を発足させる調整に入った。安倍首相は基本的に現在の閣僚は再任し、自民党役員も続騰させる見通しで、年末の予算編成や北朝鮮聴きなどに備える。また、安倍首相は23日に公明党の山口代表と会談し、連立政権の継続を確認する。現在の第3次安倍第3次改造内閣は8月3日に発足したばかりで、政権幹部によると、党の布陣を含めて人事は落選者が出た場合の補充など最小限にとどめる方向となっている。

 

★スペイン・カタルーニャ自治州問題：ユーロの上値を抑える可能性

スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立問題で、中央政府のラホイ首相は臨時閣議後に記者会見し、憲法の規定に基づき独立の動きを止めない自治州の自治権を一部停止する措置を閣議決定したと明らかにした。『緊急措置』として、プチデモン州首相ら閣僚を解任し、6カ月以内に州議会選挙を実施する方針も決めた。

一方、カタルーニャ自治州のプチデモン首相は演説を行い、中央政府が自治権停止を盛り込んだ憲法上の特例を使って首相を含む州政府幹部を罷免する方針を示したことについて、『1939-1975年のフランコ独裁政権時代以降でもっともひどい弾圧だ』と批判し、近く州議会を招集して対応策を協議する考えを示した。

 

★次期FRB議長巡り身内が対立：共和党内ではタカ派を支持

トランプ米大統領は近く、米FRBの次期議長を指名する。過去8年にわたりFRBを批判してきた共和党にとっては、ようやく訪れた金融政策の方向性を変えるチャンスとなる。しかし、肝心のその方向性を巡り、共和党内で意見が割れている。昨今の金融危機を受け、FRBへの監視を強めるとともに、FRBの裁量を制限するよう求める動きがとりわけ下院共和党内で勢い付いた。共和党は、低金利は預金者に打撃を与え、市場をゆがめるとして、何故低金利を維持しるのかとFRB当局者を追及してきた。トランプ米大統領は、最終段階にあるFRBの次期議長人事は『心理面で重要だ』と強調し、金融市場や景気への影響を考慮していると示唆している。また、トランプ大統領は、イエレンFRB議長、パウエル理事、テイラー・スタンフォード大教授の3氏を軸に人選を進めていると明言した。さらに、空席となっている副議長を同時指名する可能性に言及し、『極めて近いうちに』発表すると語った。

 

★10月17日付シカゴIMM投機筋の対米ドルでの差し引き持ち高

 

（10月10日）　　　⇒　　　（10月17日）

・円　　　　　：▲101,419　　　⇒　　　▲101,286

・ユーロ　　 ：　+98,079　　　 ⇒　　　　+90,452

・ポンド　　　：　+15,508　　　 ⇒　　　　　+5,047

・豪ドル　　　：　+69,182　　　⇒　　　　+61,800