FITS エコノミックレポート

午前の市場コメント!

★日12月国際収支速報:市場予想より弱い結果

財務省が発表した12月の国際収支速報で、経常黒字は1兆1122億円となり、市場予想の1兆1833億円より弱い結果となった。また、内訳では貿易収支が8068億円の黒字となり、市場予想の7389億円より黒字額が大きかった。

 

★日経平均株価は朝方から小動きの展開

米国株の抵抗力やリスク回避の円高一服などが下支え要因となりやすい。前日までの日本企業の決算発表では、底堅さを示す物が多く見られた。為替市場では、欧米の政治不安などがリスク回避の円高要因として警戒される。ただ、昨日は英国中銀政策委員が、先行きの英利上げ示唆したことで、ポンド高・円安の流れが円高に歯止めを掛けた。しかしながら、10日の日米首脳会談に向けて不透明感が残されている。そのため、安心して日本株買い・円売りに動ける状況ではない。原油安や資源相場の下落につれて、関連株には悪材料となりやすい。日経平均株価は、前日比40円高の1万8951円で寄り付いた。その後も、前日比50円前後高で推移しており、大きな動きにはつがっていない。

 

★東京外国為替市場:ドル/円はアジア市場では動きにくい展開

ドル/円はドル高けん制懸念が払しょくされないなか、上値の重さを意識せざるを得ない展開となっている。ドル高は欧州の政治的リスクによる消去法的なリスク回避であり、堅調な米経済による米金利先高観測である。日本株がプラス圏で推移しており、株価反発を意識してリスク選好的な円売りが観測されている。112円以下には個人勢、短期勢などのドル買い意欲が残されている。そのため、アジア市場でリスク回避的な円買いが増える可能性は低いと見られる。ユーロ/ドルは、ユーロ圏の足並みの乱れもあり、買い戻しの動きは限定的となっている。ただ、米長期金利の低下を踏まえて、下値も限定的にはるなど依然として方向感に乏しい展開となっている。

 

本邦輸出勢は引き続き本格的なドル売りは113円台後半から114円台で、現状は静観スタンス。米系短期筋は112.50円からドル売りが継続的に観測されている。また、本邦輸入勢は111.80円からドル買いスタンス。米系短期筋も112.00円割れからドル買いが継続的に観測されている。

本日は目立った財慮もなく実需の買いと米系短期筋の売りの動向が注目される。

 

★米12月JOLTではスラック(たるみ)の解消ペースが遅い

米労働省が発表した12月JOLT求人件数は550.1万件と11月550.5万件から増加予想に反して小幅減少した。予想を若干下回ったものの米国の労働市場が依然健全であることが確認された。雇用が増えている一方で、解雇率は依然減少の基調にある。同時に、労働市場に存続するスラックの解消ペースが相変わらず遅いことも明らかになった。イエレン米FRB議長が特に注目している最新の退職率は2.0%と、金融危機前の水準に並んだ11月2.1%から低下した。1年前の2.2%からも低下し伸び悩んでいる。米1月の雇用統計では賃金の伸びの停滞が示されたが、現段階で、2017年度の利上げが思ったように速やかに進まない可能性が示された。

 

★米年内の3回の利上げに懸念がドル高を鈍化させる

年末年始の段階では米FRBによる2017年の米利上げは3回の予想が大勢だった。しかし、ここに来て3回が怪しくなってきた。これにより米長期金利の上昇が一服し、現在の2.4-2.5%程度で横ばい推移する可能性があり、ドル上昇のエネルギーを鈍化させている。ドル高をけん引する米長期金利が再び上昇するには①物価上昇の証左、②トランプ政権の積極財政への転換、③公共投資や大型減税の実行性の高まりが必要視される。

 

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