FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで9月9日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三主要株価指数は全て下落する展開になった。新型コロナウイルス変異株の感染拡大による景気鈍化が懸念される中、寄り付き後は下落した。9月相場入りで投資家心理も悪化し、終日軟調に推移した。引けにかけて公表された地区連銀経済報告(ベージュブック)の中で、経済活動ぺースが若干下方に傾斜したことが明らかになると連邦準備制度理事会(FRB)による大規模緩和が当分必要になるとの思惑に下げ幅を縮小した。ハイテク株も史上最高値付近からの利益確定売りに下落した。一方、長期金利は、欧米株価の下落を背景に、相対的に安全資産とされる米国債が買われた(利回りは低下)。好調な米10年債入札も相場を下支えした。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は18.14から17.96へわずかに低下した。VIX指数は、20を下回っていることで相場は安定化にしている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.291%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・9月7日:▲3.041%⇒9月8日:予想▲3.078%(前日比で拡大:割安)

 

9月8日のNYダウは続落したうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.291%から▲0.213%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.148%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.024%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.463%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.939%下回った。NYダウは、9月は下落する可能性が高いというアノマリーが意識される中、米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、全体的に7-8月の経済成長ペースが鈍ったと報告された。前日にはゴールドマン・サックスが2021年の成長率見通しを引き下げ、モルガン・スタンレーが米国株の投資判断を『アンダーウェート』に引き下げており、年初から大きな調整もなく上昇が続いた米国株の9-10月の下落リスクが意識された。3連休明けに269ドル下落したダウ平均は68.93ドル安(-0.20%)と3日続落した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・9月7日:▲2.991%⇒9月8日:予想▲2.999%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が続落したうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.775%から+0.224%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.870%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.003%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.180%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.500%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.223%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・9月7日:▲1.602%⇒9月8日予想▲1.647%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.775%から▲0.128%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.532%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.736%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.851%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.156%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.447%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価が反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばまでスプレッドが縮小してきた。米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落(利回りは上昇)しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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