FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで9月8日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続落した一方で、ナスダック総合指数は続伸する展開になった。先週発表された8月雇用統計が予想を大幅に下回ったことを受けて、景気回復ペース減速が警戒され、寄り付き後は下落した。新型コロナウイルスのデルタ株による経済への影響や財政支援の終了でエコノミストが成長予測を引き下げたことも手伝い、NYダウは終日軟調に推移した。モルガンスタンレーが投資判断を引き下げたジョンソン・エンド・ジョンソンなどの医薬品株も軟調だった。 一方で、ハイテク株の買いは続き、ナスダック総合指数は連日史上最高値を更新し終了した。一方、長期金利は、今週予定されている国債入札を警戒して、債券を売る(利回りは上昇)動きが広がった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は16.41から18.14へ上昇した。VIX指数が、20上回ってくるようなら相場が不安定化してくる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.291%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・9月3日:▲3.085%⇒9月7日:予想▲3.070%(前日比で縮小:割高)

 

9月7日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.291%から▲0.221%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.156%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.032%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.471%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.947%下回った。NYダウは、アップル、フェイスブック、ネットフリックスなどのハイテク・ジャイアントが上昇した一方、景気敏感株が売りに押された。ゴールドマン・サックスがデルタ株感染拡大などを理由に2021年の成長率見通しを引き下げたほか、モルガン・スタンレーも9、10月の株価軟調見通しを理由に米国株の投資判断を『アンダーウェート』に引き下げた。先週末の弱い米8月雇用統計を受けて74ドル安となったNYダウは269.09ドル安(-0.76%)と続落した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・9月3日:▲3.026%⇒9月7日:予想▲2.993%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.775%から+0.218%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.876%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.009%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.186%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.506%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.229%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・9月3日:▲1.644%⇒9月7日予想▲1.594%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.775%から▲0.181%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.585%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.789%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.904%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.209%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.500%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価が続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台後半までスプレッドが縮小してきた。米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落(利回りは上昇)しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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