FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで9月7日の米国株市場を先取り!

 

9月6日は米国市場はレーバーデーで株式市場・債券市場は休場

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は小幅反落した一方で、ナスダック総合指数は続伸する展開になった。8月雇用統計の雇用者数が予想を大幅に下回る伸びに留まったため、景気回復ペースの減速を警戒した売りが広がり、寄り付き後は下落した。同時に賃金が予想以上の上昇を示したため、高インフレへの懸念も再燃し特に景気循環株が売られ、NYダウは終日軟調に推移した。一時170ドル超下げたが、米早期テーパリング観測も同時に後退したため下値も限られた。 一方、ハイテク株の買いは根強く、ナスダック総合指数は連日史上最高値を更新し終了した。一方、長期金利は、8月米雇用統計で非農業部門雇用者数が低調だったことを受けて直後には債券買い(利回りは低下)で反応し、利回りは一時1.26%台まで急低下した。ただ、平均時給が予想より強かったことで一転して売り(利回りは上昇)が優勢に。利回りは一時1.33%台まで上昇した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は16.41で前日と変わらずだった。VIX指数が20下回っていることで、相場は安定化してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.291%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・9月2日:▲3.117%⇒9月3日:予想▲3.091%(前日比で縮小:割高)

 

9月3日のNYダウは反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.291%から▲0.200%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.135%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.011%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.450%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.926%下回った。NYダウは、弱い米8月雇用統計を受けてNYダウが下落し、最高値更新が続くS&P500もわずかに下落して終了した一方、ハイテク株主体のナスダック総合は3日連続で終値の最高値を更新した。8月雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が23.5万人増と市場予想の75.0万人増を大きく下回り、前月改定値の105.3万人増から大幅にスローダウンした。デルタ株感染拡大による景気回復腰折れ懸念からクルーズなどの経済活動再開銘柄や小売株、住宅株などが幅広く下落した。一方、弱いNFPが9月FOMCでのテーパリング表明予想を大きく後退させ、エヌビディアなどのグロース株が堅調となった。NYダウは朝方に174ドル安まで下落し、74.73ドル安(-0.21%)と反落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・9月2日:▲3.060%⇒9月3日:予想▲3.026%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.775%から+0.251%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.843%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.976%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.153%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.473%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.196%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・9月2日:▲1.683%⇒9月3日予想▲1.641%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが小幅続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.775%から▲0.134%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.538%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.742%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.857%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.162%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.453%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価が小幅続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばまでスプレッドが拡大してきた。そのため、一時の割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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