FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで9月10日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三主要株価指数は全て続落する展開になった。新規失業保険申請件数が予想以上に減少し、パンデミック以降で最小となったことを好感して寄り付き後は上昇した。しかし、新型コロナウイルス変異株の流行によりソフトウェアメーカーのマイクロソフト(MSFT)が従業員のオフィス復帰を無期限に延期したほか、航空各社が予約減少で見通しに慎重な見方を見せたため、消費、景気への影響を警戒した売りが強まり、下落に転じた。NY午後には利食い売りなどが優勢になった。また、バイデン米政権が薬価引き下げの包括案を発表し、製薬株が売られたことも指数の押し下げ要因になった。一方、長期金利は、しばらくはもみ合いの展開が続いていたが、好調な米30年債入札をきっかけに債券買い(利回りは低下)が広がった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.96から18.80へ上昇した。ただ、VIX指数は、20を下回っていることで相場は安定化にしている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.290%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・9月8日:▲3.080%⇒9月9日:予想▲3.141%(前日比で拡大:割安)

 

9月9日のNYダウは続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.290%から▲0.149%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.085%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.961%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.400%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.876%下回った。NYダウは、寄り前に発表された新規失業保険申請件数がパンデミック以降の最少を記録する強い結果となったことなどを好感し朝方は堅調に推移したが、9月株安アノマリーが意識される中、デルタ株感染拡大の影響や経済活動再開状況、21-22日開催のFOMCなどの不透明感が重しとなった。ダウ平均は168ドル高まで上昇したものの、151.69ドル安(-0.43%)と4日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・9月8日:▲3.024%⇒9月9日:予想▲3.112%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.775%から+0.337%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.757%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.890%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.067%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.387%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.110%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・9月8日:▲1.657%⇒9月9日予想▲1.707%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.775%から▲0.068%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.472%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.676%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.791%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.096%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.387%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.7%台前半までスプレッドが拡大してきた。米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落(利回りは上昇)しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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