FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月6日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも全て上昇する展開になった。週次失業保険申請件数が2週連続で減少し労働市場の斬新的な改善が示唆されたため、寄り付き後は上昇した。また、ウォール街のストラテジストによるS&P500種株価指数の年末目標引上げなども手伝い投資家心理が改善し、終日堅調に推移した。ナスダック総合指数は史上最高値を更新して終了した。7月米雇用統計の発表を明日に控えて様子見ムードが強かったが、前日に下げが目立った景気敏感株を中心に押し目買いが入ると底堅く推移した。米長期金利の低下が一服したことも投資家心理の改善につながった。一方、長期金利は、米国株相場が底堅く推移すると、相対的に安全資産とされる米国債が売られた。『明日の7月米雇用統計を前にポジション調整目的の売りが出た』との声も聞かれた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.97から17.28へ低下した。VIX指数は20を下回る展開になっており、相場安定化の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月4日:▲3.318%⇒8月5日:予想▲3.244%(前日比で縮小:割高)

 

8月5日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.292%から+0.048%と平均値より上方かい離したことで割安になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.982%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.858%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.297%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.773%下回った。NYダウは、翌日に注目の米7月雇用統計の発表を控える中、足もとで下落が続いた旅行・レジャー関連株や原油高を好感したエネルギー株の上昇が相場をけん引した。前日に323ドル安となったNYダウは終日プラス圏で推移し、271.58ドル高(+0.78%)とほぼ一日の高値で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月4日:▲3.247%⇒8月5日:予想▲3.179%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.772%から+0.407%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.690%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.823%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.000%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.320%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.043%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月4日:▲1.810%⇒8月5日予想▲1.747%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.776%から▲0.029%平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.432%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.636%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.751%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.056%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.347%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.7%台半ばまでスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ