FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月5日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は反落した一方で、ナスダック総合指数は続伸する展開になった。7月ADP全米雇用報告が予想を大幅に下回り、雇用回復の遅れが警戒されたほか、クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長の発言を受けて、早期の量的緩和の縮小(テーパリング)観測が高まり売りが膨らんだ。前日に発表した四半期決算で通期見通しを据え置いたバイオ製薬アムジェンが6%を超す下落となり、1銘柄でNYダウを97ドル程度押し下げた。ただ、ナスダックはプラス圏を維持した。一方、長期金利は、予想を下回る7月ADP全米雇用報告を受けて債券買い(利回りは低下)が先行した。利回りは一時1.1258%前後と2月11日以来の低水準を付けた。ただ、7月米ISM非製造業指数が予想を上回ったことが分かると一転債券売り(利回りは上昇)が優勢になった。クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長が『米経済が予想通りに推移した場合、量的緩和の縮小(テーパリング)について年内に発表し、23年には利上げを開始する』との見通しを示したことも相場の重石となり下げに転じた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は18.04から17.97へ低下した。VIX指数は20を下回る展開になっており、相場安定化の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月3日:▲3.299%⇒8月4日:予想▲3.333%(前日比で拡大:割安)

 

8月4日のNYダウが反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.292%から+0.041%と平均値より上方かい離したことで割安になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.893%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.769%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.208%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.684%下回った。NYダウは、決算が嫌気されたGM株が9%近く下落したほか、7月ADP民間部門雇用者数が予想を下回ったことで景気敏感株が幅広く下落した。コミュニケーション、ITが上昇が上昇したものの、エネルギー、資本財、素材、金融などの景気敏感株が幅広く下落した。NYダウは323.73ドル安 (-0.92%)と反落した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月3日:▲3.230%⇒8月4日:予想▲3.243%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.772%から+0.471%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.626%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.759%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲0.936%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.256%下回った。20年3月23日の6.222%から▲2.979%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月3日:▲1.826%⇒8月4日予想▲1.814%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.776%から+0.038%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.365%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.569%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.684%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲0.989%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.280%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.8%台前半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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