FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月26日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数全てで続伸する展開になった。利益確定売りに寄り付き直後は下落した。しかし、7月耐久財受注速報値が予想ほど落ち込まず、安心感が広がり上昇に転じた。製薬会社ファイザー・ビオンテックがブッスター接種の正式承認を目指した申請を当局に提出したとの報道で、回復期待に伴う買いが一段と強まり終日堅調に推移した。ただ、27日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えて、積極的に上値を追う動きも限られた。一方、長期金利は、7月米耐久財受注額が予想を上回ったことを受けて売りが先行した。米国株相場の上昇も相場の重しとなった。27日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えて、ポジション調整目的の売りも出た。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.22から16.79へ上昇した。VIX指数が20下回ってきたことで、再び相場は安定化してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.291%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月24日:▲3.131%⇒8月25日:予想▲3.072%(前日比で縮小:割高)

 

8月25日のNYダウが小幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.291%から▲0.219%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.154%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.030%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.469%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.945%下回った。NYダウは、週末のパウエルFRB議長講演を控え薄商いが続いたものの、長期金利の上昇を好感した金融株が軒並み高となったほか、コロナ・デルタ株感染拡大のピークアウト見通しを背景にレジャー関連株など経済活動再開銘柄も幅広く上昇した。NYダウは39.24ドル高 (+0.11%)と小幅ながら4日続伸した。朝方に78ドル安まで下落後、午後に一時134ドル高まで上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月24日:▲3.102%⇒8月25日:予想▲3.039%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅続伸したほか、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から+0.265%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.830%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.963%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.140%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.460%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.183%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月24日:▲1.707%⇒8月25日予想▲1.650%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.775%から▲0.125%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.529%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.733%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.848%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.153%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.444%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばまでスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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