FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月17日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続伸した一方で、ナスダック総合指数は反落する展開になった。中国や米国の経済指標が市場予想を下回ったほか、中東の地政学的リスク上昇で寄り付き後は大きく下げた。新型コロナ・デルタ株感染拡大への懸念も根強く、さらなる売り材料になった。その後、ディフェンシブ銘柄への買いが膨らんだほか、低調な中国指標に圧迫されて序盤に下落していた銘柄に押し目買いが入ると切り返した。 引けにかけては、資本流入や防衛関連への期待に上昇に転じると、NYダウは連日史上最高値を更新して引けた。米道路交通安全局(NHTSA)が「電気自動車(EV)のテスラの運転支援機能『オートパイロット』 の正式な調査を始めた」と発表したことを受けて、同社株は一時5.5%超下落する場面があった。一方、長期金利は、中国の景気減速懸念とアフガニスタンでの地政学リスクの高まりが投資家心理の悪化につながり、相対的に安全資産とされる米国債には買い(利回りは低下)が入った。ただ、安く始まったNYダウが上昇に転じ、史上最高値を更新すると徐々に上値が重くなった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は15.45から16.12へわずかに上昇した。VIX指数は20を下回る展開になっており、相場安定化の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月13日:▲3.139%⇒8月16日:予想▲3.135%(前日比で縮小:割高)

 

8月16日のNYダウが続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.292%から▲0.157%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.091%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.967%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.406%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.882%下回った。NYダウは、弱い中国の経済指標を受けて世界景気の減速懸念が高まったことで軟調にスタートしたが、決算発表を控えたホーム・デポやウォルマートなどの小売株の上昇が一定の支えとなった。NYダウは283ドル安まで下落後したが、110.02ドル高(+0.31%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月13日:▲3.123%⇒8月16日:予想▲3.122%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続伸した一方で、米長期金利が低下したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.773%から+0.349%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.747%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.880%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.057%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.377%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.100%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月13日:▲1.718%⇒8月16日予想▲1.734%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが反落したうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.775%から▲0.041%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.445%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.649%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.764%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.069%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.360%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.7%台前半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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