FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月12日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続伸した一方で、ナスダック総合指数は続落する展開になった。7月消費者物価指数(CPI)の伸びが一段落しインフレ高進への脅威が後退した。金融引き締めを急ぐ必要性が示されなかったため、寄り付き後は上昇した。インフラ投資が回復を強めるとの期待も根強く、NYダウは終日堅調に推移した。連日、史上最高値を更新し、引けた。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅続落した。一方、長期金利は、7月米消費者物価指数(CPI)の結果が伝わると、過度なインフレ懸念が和らぎ、米連邦準備理事会(FRB)の早期金融引き締め観測が後退し、債券買い(利回りは低下)が優勢となった。好調な米10年債入札も相場の支援材料となった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は16.79から16.06へわずかに低下した。VIX指数は20を下回る展開になっており、相場安定化の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月10日:▲3.125%⇒8月11日:予想▲3.116%(前日比で縮小:割高)

 

8月10日のNYダウが続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.292%から▲0.176%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.110%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.986%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.425%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.901%下回った。NYダウは、注目された米7月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったものの、変動率の大きいエネルギー、食品を除くコアCPIが前月比で市場予想を下回ったことで早期テーパリングへの懸念がやや和らいだ。NYダウは終日プラス圏で推移し、220.30ドル高(+0.62%)とほぼ一日の高値で終了した。前日に続いて取引時間中と終値の最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月10日:▲3.082%⇒8月11日:予想▲3.089%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は小幅続伸した一方で、米長期金利は低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.773%から+0.316%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.780%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.913%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.090%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.410%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.133%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

8月10日:▲1.657%⇒8月11日予想▲1.681%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.775%から▲0.094%平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.498%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.702%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.817%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.122%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.413%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台後半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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