FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月11日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は反発した一方で、ナスダック総合指数は反落する展開になった。米上院はこの日、バイデン大統領と上院超党派グループが合意したインフラ投資法案を賛成多数で可決した。法案成立には下院の可決が必要だが、米景気回復を支えるとの期待が浮上し、買いが広がった。原油高が支援したほか素材や資本財など景気敏感株に買いが集まった。NYダウは史上最高値を更新して引けた。一方、ハイテク株では米長期金利が上昇したことで、高PER(株価収益率)の売りが出た。一方、長期金利は、このところの堅調な米雇用指標の結果や米連邦準備理事会(FRB)高官らのタカ派的な発言で、FRBが量的緩和の縮小(テーパリング)に動きやすくなるとの見方から、この日も債券売り(利回りは上昇)が続いた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は16.72から16.79へわずかに上昇した。VIX指数は20を下回る展開になっており、相場安定化の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月9日:▲3.161%⇒8月10日:予想▲3.107%(前日比で縮小:割高)

 

8月9日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.292%から▲0.185%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.119%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.995%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.434%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.910%下回った。NYダウは、1兆ドルのインフラ投資法案が上院を通過したことが好感され景気敏感株や経済活動再開銘柄が上昇した一方、長期債利回りの上昇を受けてアップル、マイクロソフトなどのハイテク・ジャイアントが軟調となった。前日に106ドル安と3日ぶりに反落したNYダウは、162.82ドル高(+0.46%)の35264.67ドルとほぼ一日の高値で終了し、取引時間中と終値の史上最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月9日:▲3.118%⇒8月10日:予想▲3.080%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は小反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.773%から+0.307%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.789%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.922%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.099%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.419%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.142%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月9日:▲1.671%⇒8月10日予想▲1.652%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが小反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.776%から▲0.124%平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.527%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.731%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.846%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.151%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.442%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価は反落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばまでスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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