FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで7月31日の米国株市場を先取り!

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.262%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・7月29日:▲3.370%⇒7月30日予想▲3.380%

 

7月30日はNYダウは小幅下落したうえ、米長期金利もわずかに低下したことで、イールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.262%から▲0.882%スプレッドがかい離していることや、18年12月3日の天井▲3.069%から▲0.311%や直近の天井となった19年4月25日3.048%から▲0.332%とスプレッドがかい離していることで買われ過ぎ過熱感は現状出ていない。

NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利がわずかに低下したことで、イールドスプレッドは前日比でわずかに拡大となった。米国債に対してNYダウが前日比で割安となった。米国債を買うよりNYダウを買った方が良いということになる。そのため、NYダウが買われやすく米国債券に売りが入りやすい。今後も、米長期金利の動向が重要ポイント。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.579%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%

・7月29日:▲3.291%⇒7月30日予想▲3.310%

 

S&P500が下落しうえ、米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.579%から▲0.269%とスプレッドがかい離している。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%に対して▲0.579%とスプレッドがかい離している。S&P500は18年12月3日の天井となったイールドスプレッドからかい離していることで、史上最高値圏に位置しているものの特段割高とは言えない。S&P500高が継続し米長期金利が上昇してくるようら急速に割高感が出るので注意が必要となる。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.092%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%

・7月29日:▲1.745%⇒7月30日予想▲1.757%

 

NASDAQは下落したうえ、米長期金利もわずかに低下したことで、イールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.092%から▲0.335%とスプレッドかい離している。また、12年12月3日の天井となった▲1.198%に対しては▲0.559%とスプレッドがかい離している。

NASDAQも史上最高値圏に位置しているものの、18年12月3日の天井となったスプレッドからかい離しており、特段過熱感は無い状態となっている。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。

 

三指数ともイールドスプレッドは、前日比でわずかに低下する動きとなった。現在は三指数とも割安感も割高感もない水準で推移している。米長期金利が再び低下するようなら、米国株に過熱感が出にくい。ただ、FRBの早期利下げ期待が後退して米長期金利が上昇してくると、イールドスプレッドが縮小傾向となり米国株に割高感が出始める。トランプ大統領がFRBに利下げを強要するのは、米長期金利が低下すると米国株が上昇してもイールドスプレッドの縮小が抑えられるからである。

FOMCでの利下げは織り込まれているものの、利下げ幅も概ね0.25%と予想されている。実際利下げが実施された後、米長期金利の動向が重要ポイントとなる。米長期金利が低下するようなら、イールドスプレッドが拡大しやすくなることから株価は上昇しやすくなる。一方で、材料出尽くしから米長期金利が上昇するようなら、株価への割高感が強まりやすく下落調整しやすくなる

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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