FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで7月29日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続落したも一方で、ナスダック総合指数は反発する展開になった。疾病管理予防センター(CDC)による室内でのマスク着用に関するガイダンス変更を受け新型コロナ・デルタ株流行への警戒感が再燃したほか、連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小の道筋を示すとの思惑などから金利上昇を警戒して、寄り付き後は下落した。その後、FOMCの声明やパウエル議長の会見で、FRBの金融緩和を辛抱強く維持する姿勢が再表明され金利が低下に転じると、NYダウは下げ止まった。一方で、ナスダック総合指数は上げ幅を拡大した。一方、長期金利は、米FOMCではテーパリング開始に向けて『今後複数の会合で経済情勢の進捗を確認する』との見解が示されたが、パウエル米FRB議長が会見で『労働市場の状況は引き続き改善したが、なお時間がかかる』『テーパリング時期はデータ次第』『利上げには程遠い』などと発言すると、債券買い(利回りは低下)がじわりと強まり上げに転じた。  今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は19.36から18.31へ低下した。VIX指数は再び20を下回る展開になっており、リスク回避の動きが後退して相場安定の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・7月27日:▲3.118%⇒7月28日:予想▲3.146%(前日比で拡大:割安)

 

7月28日のNYダウが続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.292%から▲0.146%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.080%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.956%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.395%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.871%下回った。NYダウは、FOMC後のパウエルFRB議長会見で緩和的金融政策の継続姿勢が示されたことが一定の支えとなった。小幅に上昇してスタートしたNYダウは、181ドル安まで下落後、ほぼ変わらずまで値を戻したが、127.59ドル安(-0.36%)と2日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.771%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・7月27日:▲3.049%⇒7月28日:予想▲3.062%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.771%から+0.291%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.807%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.940%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.117%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.437%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.160%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・7月27日:▲1.629%⇒7月28日予想▲1.622%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが反発した一方で、米長期金利が低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.776%から▲0.154%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.557%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.761%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.876%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.181%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.472%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下したうえ、株価も反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台前半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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