FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで7月2日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全てで上昇する展開になった。週次の失業保険申請件数がパンデミックによる経済封鎖が始まった昨年3月中旬以降で最小となったため、労働市場の回復期待が一段と強まり、寄り付き後は上昇した。引き続き原油高も手伝い終日堅調に推移し、引けにかけて上げ幅を拡大した。市場では『新たな四半期に入ったことで、新規投資資金の流入期待も広がっている』との声が聞かれた。一方、長期金利は、明日の6月米雇用統計を前に様子見ムードが強く、大きな方向感は出なかった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は15.83から15.48へ低下した。VIX指数は再び20を下回っていることで市場ではリスク回避の動きは後退している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.294%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月30日:▲2.898%⇒7月1日:予想▲2.894%(前日比で縮小:割高)

 

7月1日のNYダウが小幅続伸した一方で、米長期金利がわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.294%から▲0.400%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.332%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.208%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.647%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.123%下回った。NYダウは、翌日に注目の米6月雇用統計の発表を控える中、新規失業保険申請件数がコロナパンデミック以降の最少を記録したことや、6月ISM製造業PMIがおおむね市場予想並みの高水準を保ったことで、景気回復期待が続いた。原油高を好感したエネルギー株を筆頭に幅広い銘柄が上昇した。NYダウは131.02ドル高(+0.38%)と3日続伸した。 

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月30日:▲2.829%⇒7月1日:予想▲2.820%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.770%から+0.050%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.049%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.182%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.359%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.679%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.402%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.777%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月30日:▲1.425%⇒7月1日予想▲1.435%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅反発した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.777%から▲0.342%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.744%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.948%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.063%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.368%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.659%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利がわずかに低下した一方で、株価は反発したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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