FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで7月15日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数は全て反発する展開となったうえ、米長期金利はリスク選好の動きから売り(金利は上昇)が強まった。そのため、イールドスプレッドは三指数とも前日比で縮小(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割高)した。米長期金利の変動幅が上下に大きくなっており、日々イールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。全米でウイルス感染が引き続き拡大する中、ウイルス治療薬に期待が広がった。また、今週から本格化する米主要企業の4-6月期決算を前に、業績期待から買いが入り相場を押し上げた。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割安感はなくなっている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りがでやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』が懸念されている。米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されてきている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は32.19から29.52へ低下した。しかし、 VIX指数が未だ20台後半で推移していることから、リスク回避の動きは継続している。VIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。

 

NYダウは、レジスタンスとして意識されていた200日SMAの26,223ドルと260日SMAの26,326ドルを上抜ける展開となった。明確に上抜けすると、6月8日高値27,580ドルが上値目処して意識される。下値25,000ドル程度と上値200日SMAのレンジ相場の上限を上抜けしたことで、上値追いとなるか注目される展開となっている。また、各SMAが徐々に集中してきていることから、上下に大きく放れる可能性が非常に高まってきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.328 %

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・7月13日:▲3.377%⇒7月14日:予想▲3.288%(前日比で縮小)

 

7月14日のNYダウが続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.328%から▲0.040%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.938%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.814%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.253%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.729%下回った。カリフォルニア州などウイルス感染再燃により経済活動の再開を数段階戻す動きが見られ景気回復が遅れるとの懸念や米中関係の悪化懸念から下落で寄り付いた。しかし、引き続きウイルスワクチン開発期待が下支えとなり上昇に転じた。今週から本格化する米主要企業の4-6月期決算を前に、業績期待から買いが入り相場を押し上げた。なお、本日発表のJPモルガン・チェースの決算は好調なトレーディング収益を頼りに市場予想を上回る結果となった。これまで出遅れていた資本財や石油など景気敏感株にも買いが入り、一時600ドル超上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.771%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・7月13日:▲3.017%⇒7月14日予想▲2.963%(前日比で縮小)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.771%から+0.192%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.906%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.039%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.216%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.556%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.259%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.811%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・7月13日:▲1.694%⇒7月14日予想▲1.666%(前日比で縮小)

 

NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.811%から▲0.145%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.513%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.717%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.832%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.137%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.428%下回った。

 

NASDAQは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは縮小した。そのため、イールドスプレッドは一時より半分以下まで縮小していることで、割安感は払しょくしている。NASDAQのイールドスプレッドは1.6%台で推移しており、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。ただ、今週から決算発表されるハイテク関連株の業績の予想が好調なほか、景気回復期待や新型コロナウイルスのワクチンや治療薬などのポジティブな報道があると、引き続き好感され買われやすい。一方で、新型コロナウイルスの感染第2波の拡大や米中関係の悪化懸念も高まっていることで、下落調整する展開になっても不思議ではない。三指数の中では割高感も出てきている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が全て反発したうえ、米長期金利も上昇したことからイールドスプレッドは三指数とも縮小した。全米でウイルス感染が引き続き拡大する中、ウイルス治療薬に期待が広がった。また、今週から本格化する米主要企業の4-6月期決算を前に、業績期待から買いが入り相場を押し上げた。今後も新型コロナウイルス感染報道や米中対立激化懸念、中東情勢、原油価格の変動、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続く。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

 

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