★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.412%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月25日:▲3.669%⇒26日予想▲3.613%
26日はNYダウは下落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.412%から▲0.799%スプレッドがかい離していることや、直近1月3日大底の▲4.226%から▲0.613%スプレッドがかい離している。
NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。しかし、米長期金利が大幅上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で縮小した。そのため、米国債に対してNYダウが前日比で割高となった。米国株を買うより米国債券を買った方が良いということになる。そのため、債券が買われやすく米国株売りが出やすい。今後も、米長期金利の動向が重要ポイント。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.732%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%
・6月25日:▲3.590%⇒26日予想▲3.544%
S&P500は下落したものの、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.732%から▲0.188%とスプレッドがかい離していることや、1月3日の▲3.869%スプレッドに対して▲0.325%、6月3日の3.881%から▲0.337%とスプレッドがかい離している。S&P500は1月3日や6月3日からイールドスプレッドがかい離していることで、割安感はないが特に割高感もない状態となっている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.275%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%
・6月25日:▲2.111%⇒26日予想▲2.039%
NASDAQが上昇し、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.275%から▲0.236%とスプレッドがかい離している。また、1月3日の▲2.179%スプレッドに対しては▲0.140%、6月3日の▲2.328%スプレッドに対して▲0.289%とスプレッドがかい離している。
NASDAQが上昇し、米長期金利も上昇したことでで、イールドスプレッドは前日比で拡縮小した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。
三指数のイールドスプレッドは縮小した。現在は割安感も割高感もない水準で推移している。今後も米長期金利が引き続き低下するなら、米国株に過熱感が出にくい。ただ、FRBの早期利下げ期待は後退して米長期金利が上昇してくると、イールドスプレッドが縮小傾向となり米国株に割高感が出始める。トランプ大統領がFRBに利下げを強要するのは、米長期金利が低下すると米国株が上昇してもイールドスプレッドの縮小が抑えられるからである。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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