FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで6月17日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに下落する展開になった。連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えた警戒感に寄り付きから下落した。結果は市場の予想通り、大規模な金融緩和が据え置かれたが、同時に発表されたスタッフ予測において、成長やインフレ見通しが引き上げられ、さらに、利上げの時期の予想が前倒しされたため早期の金融引き締め警戒感が一段と強まり、相場を一段と押し下げた。ただ、パウエル議長が緩和縮小を急ぐ姿勢を見せなかったため引けにかけて、下げ幅を縮小した。一方、米長期金利は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表された金利見通しでは、2023年までに2回の利上げが行われる可能性が示された。ゼロ金利解除期待の高まりから債券売り(利回りは上昇)が進み、10年物国債利回りは一時1.5890%と4日以来の水準まで上昇する場面も見られた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.02から18.15へ上昇した。VIX指数が低下したうえ、20を下回っていることで市場の安定化を維持している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.295%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月15日:▲2.943%⇒6月16日:予想▲2.896%(前日比で縮小:割高)

 

6月16日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.295%から▲0.399%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.330%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.206%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.645%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.121%下回った。NYダウは、翌日のFOMC結果公表を控え、持ち高調整売りが強まった。NYダウは、FOMCで2023年までに2回の利上げの可能性が示唆され、インフレ見通しも大きく引き上げられたことで長期金利が上昇し、株価は下落した。ただ、パウエルFRB議長が会見で、利上げ見通しは『話半分』に受け止めるべきとしたほか、資産購入の段階的縮小(テーパリング)開始についての協議がなかったことも一定の安心感につながり、株価は下落幅を縮小した。NYダウは382ドル安まで下落後、265.66ドル安(-0.77%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月15日:▲2.826%⇒6月16日:予想▲2.768%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.770%から▲0.002%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.101%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.234%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.411%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.731%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.454%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.779%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月15日:▲1.495%⇒6月16日予想▲1.421%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.779%から▲0.358%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.758%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.962%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.077%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.382%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.673%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇た一方で、株価が続落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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