FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで6月10日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも全てが下落する展開になった。5月消費者物価指数(CPI)の発表を控え、様子見姿勢が強い一日となった。NYダウは高値警戒感から売り圧力が強く、景気敏感株を中心に売られた。プラスに転じる場面もあったが、引けにかけて下げ幅を拡大し、取引を終えた。長期金利がおおむね1.5%を下回って推移したことは、ハイテク株にとってはサポート材料になった。ナスダックは朝方、1ヵ月ぶりに1万4000台に乗せたが、取引終了直前に下げに転じた。一方、米長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の縮小(テーパリング)時期を探るうえで重要な5月米消費者物価指数(CPI)の発表を明日に控えて、ポジション調整目的の買い(利回りは低下)が優勢となった。利回りは一時1.4705%前後と約1カ月ぶりの低水準を付けた。なお、米10年債入札は『好調』と受け止められた。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.07から17.89にわずかに上昇した。VIX指数は上昇したものの、20を下回っていることで安定化を維持している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.296%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月8日:▲2.918%⇒6月9日:予想▲2.992%(前日比で拡大:割安)

 

6月9日のNYダウは続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.296%から▲0.304%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.234%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.110%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.549%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.025%下回った。NYダウは、翌日の米5月消費者物価指数(CPI)の発表を控え、上値の重い展開が続いた。クリーン・エネルギー・フューエル(+31.52%)など一部の『ミーム銘柄』が急騰した一方、金融、資本財、素材などの景気敏感株が軟調になった。NYダウは朝方に54ドル高まで上昇後、152.68ドル安(-0.44%)と3日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月8日:▲2.800%⇒6月9日:予想▲2.862%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は小反落したうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.770%から+0.092%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.007%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.140%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.317%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.637%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.360%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.779%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月8日:▲1.491%⇒6月9日予想▲1.548%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.779%から▲0.231%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.631%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.835%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.950%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.255%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.546%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価が小幅反落したことで拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台半ばまで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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