FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで6月1日の米国株市場を先取り!

 

5月31日の米国市場はメモリアルデーで休場

 

★NY株式市場では、三指数の全てで小反発する展開になった。バイデン米大統領が予算教書で発表する6兆ドル規模とされる大型予算案への景気回復期待感から買いが先行した。朝方発表された連邦準備理事会(FRB)が物価動向を測るうえで重視する4月の米個人消費支出物価指数のコアが前年比で3.1%の上昇と92年7月以来の伸びとなったが、FRBのインフレ高進は『一時的』とのスタンスに変化を与えることはないとみられ、長期金利への影響は限定的だった。前日引け後に好決算を発表したセールスフォース・ドットコムが大幅高となり、相場の上昇をけん引した。ただ、指数は史上最高値近辺にあり、短期的な利益確定売りも出て上値は重かった。3連休を控えた持ち高調整の売りも出た。一方、米長期金利は、4月米個人消費支出(PCE)などの物価指標は予想を上回ったものの、月末特有の買い(利回りは低下)が入ったため底堅く推移した。なお、週明け31日はメモリアルデーの祝日で休場となるため、本日が月末最終日の取引となった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は16.74から16.76へわずかに上昇した。VIX指数が再び20を下回っていることで、市場は安定化してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.297%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・5月27日:▲2.873%⇒5月28日:予想▲2.884%(前日比で拡大:割安)

 

5月28日のNYダウは小幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.297%から▲0.413%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.342%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.218%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.657%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.133%下回った。NYダウは、大型財政支出による景気回復期待を背景に堅調に推移したが、3連休を控え取引終盤に上昇幅を縮小した。NYダウは一時166ドル高まで上昇し、64.81ドル高(+0.19%)と3日続伸して終了した。好決算や強い見通しを発表したセールスフォースが5.43%上昇し、1銘柄でNYダウを約81ドル押し上げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・5月27日:▲2.760%⇒5月28日:予想▲2.775%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は小幅続伸した一方で、米長期金利は大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.770%から+0.005%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.094%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.227%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.404%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.724%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.447%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.780%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・5月27日:▲1.469%⇒5月28日予想▲1.485%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.780%から▲0.295%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.694%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.898%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.013%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.318%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.609%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価は小幅反発したものの拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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