FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで5月28日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続伸したものの、ナスダック総合指数は小幅反落する展開になった。朝方発表された週次新規失業保険申請件数がパンデミックが始まって以来の最低水準に改善し、市場予想をも下回ったため、労働市場の改善が加速しているとの見方から、寄り付き後は上昇した。『バイデン米大統領が28日公表する予定の2022会計年度予算案では、連邦政府の歳出が6兆ドルに増加するようだ』との観測報道を受けて買いが優勢となった。新型コロナウイルスのワクチン接種率が高まる中、経済活動の正常化への期待から買いが入った面もある。一方、長期金利が上昇したことはナスダックの重石になった。おおむねプラス圏で推移するも引けにかけて前日の終値近辺でもみ合い、わずかに下落して取引を終えた。一方、米長期金利は、、国債増発による需給懸念が強まり売り(利回りは上昇)が広がった。ただ、7年債入札が『好調』だったことが分かると買い戻し(利回りは低下)が入り下げ幅を縮めた。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.36から16.74へ低下した。VIX指数が再び20を下回ってきたことで、市場が安定化してくるかが注目される。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.297%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・5月26日:▲2.885%⇒5月27日:予想▲2.843%(前日比で縮小:割高)

 

5月27日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.297%から▲0.454%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.383%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.259%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.698%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.174%下回った。NYダウは、バイデン米大統領が大規模なインフラ投資案を発表するとの一部報道や、新規失業保険申請件数が強い結果となったことで景気敏感株が総じて上昇した。ただ、長期金利が上昇しハイテク株が利益確定売りに押されたことが上値圧迫要因となった。NYダウは朝方に285ドル高まで上昇し、141.59ドル高(+0.41%)と2日続伸して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・5月26日:▲2.784%⇒5月27日:予想▲2.754%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.770%から▲0.016%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.115%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.248%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.425%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.745%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.468%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.780%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・5月26日:▲1.489%⇒5月27日予想▲1.465%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは小幅反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.780%から▲0.315%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.714%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.918%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.033%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.338%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.629%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価は小幅反落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台半ばまで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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