FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで5月21日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに全て反発する展開になった。週次新規失業保険申請件数が予想以上に減少し、パンデミックによる経済封鎖が始まった昨年3月以来で最小水準に改善したため、景気回復期待を受けた買いが再燃して寄り付き後は上昇した。米長期金利が低下したことで、高PER(株価収益率)銘柄に買いが入り一時330ドル超上昇した。前日に急落した暗号資産(仮想通貨)ビットコインが反発し、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らいだ面もあった。引けにかけ、イスラエルとハマス当局が停戦で合意したとの報道で、地政学的リスクの後退も好感材料となった。一方、米長期金利は、5月米フィリー指数が予想を大幅に下回ると、『米金融緩和策の長期化方針は変わらない』との冷静な見方が改めて強まり、債券買いが進んだ。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は22.18から20.67へ低下した。VIX指数が再び20を超えていることから、市場が不安定な動きになりやすいので注意が必要である。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.298%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・5月19日:▲2.858%⇒5月20日:予想▲2.883%(前日比で拡大:割安)

 

5月19日のNYダウは反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.298%から▲0.415%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.343%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.219%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.658%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.134%下回った。NYダウは、ハイテク株の下落を受けて大幅安でスタートしたが、取引終盤に下落幅を縮小した。NYダウは、ハイテク株が買い直されたほか、新規失業保険申請件数がコロナパンデミック以降で最も低い水準となったこともセンチメントの改善につながった。NYダウは188.11ドル高(+0.55%)の34084.15ドルと4日ぶりに反発した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.769%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・5月19日:▲2.771%⇒5月20日:予想▲2.774%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.769%から+0.002%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.095%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.228%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.405%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.725%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.448%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.780%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・5月19日:▲1.501%⇒5月20日予想▲1.494%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発した一方で、米長期金利が低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.780%から▲0.286%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.685%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.889%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.004%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.309%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.600%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下した一方で、株価大幅反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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