FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで5月11日の米国株市場を先取り!

 

NY株式市場では、三指数は全て上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割高)した。新型コロナウイルス発生源をめぐる米中対立への懸念が後退し、買いが膨らんだ。引けにかけては、景気底入れへ期待感から上げ幅を一段と拡大した。米長期金利も上昇してきており、三指数とも割安感は薄れてきている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りが出やすい。また、米企業の業績下方修正により、PERが上昇しやすく割安感が薄まる。

 

今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げや量的緩和、財政政策などを実施しても市場の不安は一時的なものになりやすい。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、景気後退は避けられないほか、どの程度速やかに救済資金が消費者や企業に供給されるかなどに不透明感もあるため、一方的な戻りにもなり難い。VIX指数は31.44から27.98へ低下した。VIX指数が20台後半まで低下してきたことで、過度なリスク回避の動きがやや弱まってきている。ただ、未だにVIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。米中関係の悪化懸念も出始めていることは、株式市場の売り材料になりやすい。

 

NYダウは、5SMA23,901ドルと10SMA24,044ドルを上抜けしたことで、再び短期的には上昇基調となった。ただ、上値では緩やかに下向きの75SMA24,981ドルが位置しており、レジスタンスとして意識される。一方、212日高値29,569ドルと323日安値18,214ドルの半値戻し23,891ドルを上回ったことで、サポートラインとして半値戻しが意識される。過度な割安感は払拭されてきており、戻りが早いことから一旦の下落調整があっても不思議ではない状態が続いている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P5003.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P5003.8%~4.0%台、NASDAQ2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.424%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048

                20/01/17‐▲3.018

NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%20/3/23-6.017%

NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

57日:▲3.694 58日:予想▲3.567

 

5月7日のNYダウは上昇したもうえ、米長期金利が大きく上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.424%から▲0.857%と平均値よりかい離していることで割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.659%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.535%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲0.974%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.450%下回った。ムニューシン米財務長官とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は前日、中国の劉副首相と電話で会談し、米中貿易交渉の『第1段階の合意』履行を確認したと伝わった。新型コロナウイルス発生源をめぐる米中対立への懸念が後退し、買いが膨らんだ。引けにかけては、景気底入れへ期待感から上げ幅を一段と拡大した。また、米国で半数以上の州が規制緩和に動いていることも好感されて、一時470ドル超上昇した。VIX指数は31.44から27.98へ低下した。

 

10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.655%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%19/8/5-▲4.002%

                19/8/15-▲4.179%20/2/28-4.499

               20/3/23-▲6.222%

57日:▲3.44358日予想▲3.329

 

S&P500は上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.655%から▲0.326%と平均値よりかい離していることで割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.540%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.673%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲0.850%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.170%下回った。20年3月23日の6.222%から▲2.893%下回った。

 

10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.339%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%19/8/15-▲2.383%

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094

57日:▲2.23958日予想▲2.148

 

NASDAQは上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.339%から▲0.191%平均値よりかい離していることで割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.031%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.235%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.350%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲0.655%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲1.946%下回った。

 

NASDAQが上昇したものの、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。過去のイールドスプレッドを下回ってきたことから、さらに割安感は払しょくされてきている。ただ、米中対立緩和や新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、引き続き急速な戻り基調となりやすい。三指数の中での割安感が払しょくされてきている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が全て反発したうえ、米長期金利が上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに縮小した。新型コロナウイルス発生源をめぐる米中対立への懸念が後退したことで、市場ではリスク回避姿勢が後退した。新型コロナウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続いている。

 

PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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