★NY株式市場では、三指数は全て続落する展開となったうえ、米長期金利も低下したことで、イールドスプレッドは前日比で連日大幅拡大(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割安)した。三指数のイールドスプレッド拡大した。三指数ともに続落したことで割安感が強まった。連日の原油相場の急落が米景気悪化や石油関連企業の信用不安につながるリスクが警戒されて売りが膨らんだ。また、これまで相場の戻りをけん引してきたアマゾン・ドット・コムやマイクロソフトなどハイテク株に売りが出て、指数を押し下げた面もある。売買期間が短期化していることから、上下に振れる展開となっている。さらに、1-3月期の米企業決算発表も多くあり、今後も内容次第では乱高下しやすいので注意が必要となる。
今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げや量的緩和、財政政策などを実施しても市場の不安は一時的なものになりやすい。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、景気後退は避けられないほか、どの程度速やかに救済資金が消費者や企業に供給されるかなどに不透明感もあるため、一方的な戻りにもなり難い。VIX指数は43.83から45.41へ上昇した。VIX指数が再び上昇してきていることから、リスク回避の動きが強まってきている。VIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。今後の米経済指標は悪化の一途となることから、経済指標発表時の動きには注意が必要となる。
NYダウは、下向きに転換した5日SMAの23,591ドルと緩やかに上向きの10日SMAの23,510ドルがレジスタンスとなりわずかに下抜ける展開となった。そのため、下値目途として25日SMAの222,021ドルが視界に入ってきている。さらに、2月12日高値29,569ドルと3月23日安値18,214ドルの半値戻し23,891ドルもレジスタンスとなっており、半値戻しが意識されている。現在は、リスク回避の動きが強くネガティブな材料に強く反応しやすい地合いとなっている。一方、好材料が出てくると、割安感が残っているだけに一気に上昇基調となり上下に大きく振れやすい地合いが継続している。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.616%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・4月20日:▲4.078%⇒4月21日:予想▲4.246%
4月21日のNYダウが大幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.563%から▲0.370%と平均値よりかい離していることで割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を+0.020%から上回った。19年8月5日の大底▲4.102%を+0.144%上回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲0.268%下回った。20年3月23日の6.017%から▲1.771%下回った。原油相場の急落が米景気悪化や石油関連企業の信用不安につながるリスクが警戒されて売りが膨らんだ。これまで相場の戻りをけん引してきたアマゾン・ドット・コムやマイクロソフトなどハイテク株に売りが出て、指数を押し下げた面もある。1-3月期決算で売上高が予想を下回ったIBMも軟調だった。 トランプ大統領が石油・ガス会社の資金援助計画・策定を指示したことや石油輸出国機構(OPEC)が減産拡大を検討するとの報道を受けて、昨日史上初のマイナス圏で取引を終えたNY原油先物5月限はプラスに転じたものの、6月限は前日比40%安となった。米上院が4840億ドル規模の追加中小企業救済策で合意したものの、引けにかけても軟調推移となった。VIX指数は43.83から45.41へ上昇した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲4.002%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・4月20日:▲4.138%⇒4月21日予想▲4.329%
S&P500は続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.002%から+0.327%とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を+0.460%上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を+0.327%上回った。19年8月15日の▲4.179%を+0.150%上回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲0.170%下回った。20年3月23日の6.222%から▲1.893%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.629%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・4月20日:▲2.820%⇒4月21日予想▲2.983%
NASDAQは続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.629%から+0.354%とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+0.804%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して+0.600%上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して+0.485%上回った。20年2月28日の大底2.803%から+0.180%上回った。20年3月16日の▲4.094%から▲1.111%下回った。
NASDAQが続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。過去のイールドスプレッド上回っていることで、割安感は残っている。そのため、新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、引き続き急速な戻り基調となりやすい。
三指数のイールドスプレッドは、三指数が全てが続落したうえ、米長期金利も低下したことで三指数は前日比で大幅拡大した。前日に続き WTI原油先物相場の急落が米景気悪化や石油関連企業の信用不安につながるリスクが警戒されて売りが膨らんだ。引き続きウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続いている。米国企業の1-3月期決算結果への警戒感も強いため、決算内容次第で上下に振れやすいので注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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