FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月3日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て大幅反発する展開になった。ロシアとウクライナが2回目の停戦協議を計画していることが明らかになったほか、民間雇用動向を示すADP雇用統計の2月分の予想を上回る強い結果を好感し、寄り付き後は上昇した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が下院金融サービス委員会での半期に一度の証言において、3月連邦公開市場委員会(FOMC)での25ベーシスポイントの小幅利上げを支持する姿勢を見せると同時に、ウクライナ戦争を巡る不透明性が強く、注意深く利上げを実施していく方針を示したため、過剰な利上げにより景気が損傷するとの警戒感が後退した。さらに、ソフトランディングが可能と自信を示したため安心感が強まり終日堅調に推移した。一方、長期金利は、ウクライナとロシアによる第2回停戦協議への期待から米国株が大幅に反発すると、相対的に安全資産とされる米国債には売りが出た。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で、インフレに対する警戒感を強く示したことも債券売りを促した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅に上昇したうえ、主要三指数も大幅反発したことでイールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小大した。米長期金利が急上昇したことで、昨日までの割安感は一気に後退した。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価がが売られやすい。米国株のVIX指数は33.32から30.74へ低下した。しかし、VIX指数が30台で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.273%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月1日:▲3.003%⇒3月2日:予想▲2.767%(前日比で縮小:割高)

 

3月2日のNYダウが大幅反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.273%から▲0.506%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.459%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.335%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.774%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.250%下回った。NYダウは、ロシアがウクライナとの停戦交渉に臨む姿勢を示したことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で金融政策正常化を注意深く進めるとしたことが好感された。前日に597ドル下落したNYダウは596.40ドル高(+1.79%)と3日ぶりに反発した。30の構成銘柄はビザ(-0.23)を除く29銘柄上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.780%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月1日:▲3.307%⇒3月2日:予想▲3.062%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は大幅反発したうえ、米長期金利も大幅に上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.780%から+0.282%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.807%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.940%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.117%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.437%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.160%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.764%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月1日:▲1.765%⇒3月2日予想▲1.556%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.764%から▲0.208%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.623%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.827%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.942%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.247%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.538%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価が大幅反発したことで前日比で大幅縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台半ばまでスプレッドが縮小したことで再び割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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