FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月24日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに大幅反落する展開になった。高インフレや米連邦準備理事会(FRB)が利上げを急ぐとの観測を懸念した売りが再燃し、寄り付き後は下落した。2月の新築住宅販売件数が予想以上に減少したほか、WTI原油先物価格高で景気への懸念も再燃し、終日軟調に推移し、引けにかけ下げ幅を拡大した。一方、長期金利は、足もとで相場下落が続いたあとだけに押し目買い(利回りは低下)などが入った。米国株の下落も債券買いを誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅低下したうえ、主要三指数も反落したことで、イールドスプレッドは三指数ともに大幅拡大した。そのため、割高感が急速に是正される展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.94から23.57へ上昇した。VIX指数が30台割れとなっているものの、20超えの高水準で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.270%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/3/22-▲2.217%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月22日:▲2.217%⇒3月23日:予想▲2.366%(前日比で拡大:割安)

 

3月23日のNYダウが大幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.270%から▲0.904%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.860%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.736%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.175%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.651%下回った。NYダウは、ウクライナ情勢への懸念から欧州株が下落する中、原油相場の大幅上昇を受けたインフレ高進懸念が重石となった。著名投資家のカール・アイカーン氏がインフレやウクライナ紛争を理由にリセッションへの警戒感を示したこともセンチメントの悪化につながった。NYダウは448.96ドル安(-1.29%)とほぼ安値引けとなった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.781%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/3/22-▲2.457%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月22日:▲2.457%⇒3月23日:予想▲2.366%(前日比で縮小:割高

 

S&P500が反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.781%から▲0.415%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.503%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.636%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.813%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.133%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.856%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.763%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/3/22-0.981%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月22日:▲0.981%⇒3月23日予想▲1.114%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが大幅反落したうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.763%から▲0.649%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.065%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.269%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.384%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.689%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.980%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下したうえ、株価も大幅低下したことで前日比で大幅拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.1%前半まで縮小していることで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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